私はただのマサラ人です!   作:若葉ノ茶

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第十三話~Aブロック 前半戦~

 

 

 

 

 

 

ポケモンバトル大会は、AブロックとBブロック、そしてCブロックの戦いに分けられる。Aブロックの参加者は勝ち抜いたトレーナーは次にCブロックで勝ち抜いたものと戦い、そして次に決勝となるBブロックで勝ち抜いたトレーナーと戦うことになる。

 

 

つまり、AブロックとCブロックに参加する者にとっては最も厳しい戦いになるのだ。Bブロックも一つのブロックで勝ち抜いたトレーナーとしか戦わないから若干難易度は下がると思われるかもしれないが、そんなことはない。シルバーの話だと戦歴があるトレーナーがAやCに比べてBブロックの方が多いという。つまり、どのブロックも難易度は同じということらしい。

 

 

そして始まったのが、中央の通路が大きく開けられたバトルフィールドとトレーナー達の戦い。

 

 

 

 

【それではァァやってきましたまいりました!ポケモンバトル大会Aブロックの挑戦だァァ!!!】

 

 

 

 

観客たちが司会進行者にあわせて歓声を上げる。その声を聞いてトレーナー達はそれぞれ手を上げて応える。私はそういうのはちょっと恥ずかしいからただ頭を下げるだけしておいた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【それではぁポケモンバトル大会Aブロックの挑戦だ!今から呼ぶ挑戦者はバトルフィールドに集まってくれぇ!】

 

 

 

そんな司会者の声が私の名を呼び、バトルフィールドのトレーナーの立ち位置までやって来る。ナゾノクサはボールに入りたくないと拒否しているのでもちろん抱き上げたまま。

そして観戦している人の中にはヒビキとシルバーがそれぞれ焼きそばやりんご飴を手にして心から楽しんでいるようだと分かった。

 

 

「むぐ…頑張れよヒナ!グッゲホッッ!」

「汚いぞヒビキ。口の中にあるものを食べてから喋れ馬鹿が」

「うるせえよアホシルバー!」

 

 

「ほらそこ喧嘩しない!」

『ナゾォ?』

 

【おおっとヒナ選手、観戦席にいる少年たちと諍いを起こしているが大丈夫かぁぁ!?】

 

 

「大丈夫です問題なく!」

『ナゾ』

 

「ふふふッ僕と戦うんだ。その余裕なくしてみせるよ!!いくよブーバー!!」

『ブゥウウウ!!!』

 

『ナゾッ!!』

「あ、ちょっとナゾノクサ!?」

 

 

【おおっとメル選手の出したブーバーに対してヒナ選手はナゾノクサを選択ゥゥウ!!】

 

 

 

ナゾノクサがブーバーの炎に引き寄せられて私の腕から飛び出し、バトルフィールドの中央に行ってしまった。その行動はバトルする意味で行ったわけじゃなく、ナゾノクサが単に炎を浴びたいから飛び出しただけであって…でもそんなこと観客や相手選手は聞いちゃいないことだろうからもういいや。

 

「ナゾノクサ。バトルすることになるけど大丈夫?カスミさんとのジム戦みたいに痛い思いしても平気?」

『ナッゾォ!!』

 

 

「よし分かった。じゃあ頑張ろうねナゾノクサ!」

『ナッゾ!』

「ふっナゾノクサを選んだことを後悔させてやるよ!」

『ブゥゥウウ!』

 

 

ナゾノクサはブーバーの放つ炎を見てまるで楽しい遊具か美味しそうな食べ物が目の前に広がっているかのように目を輝かせている。でも相手選手やブーバーはナゾノクサが上機嫌な意味を知らない。それどころか好戦的なナゾノクサだと認識してバトルをしてナゾノクサを叩きのめしてやろうという余裕さえあるようだ。

ナゾノクサはまだまだ幼い子供でバトルに関してはやる気十分なようだがまあ何とかしてやっていくしかないと考える。とにかく、ナゾノクサが傷つかないように気をつけて行動しないとね。

 

 

【それではァァ!!ブーバー対ナゾノクサの試合を開始するぅぅ!!】

 

 

「ブーバー、一撃で終わらせるぞ!かえんほうしゃだ!!」

『ブゥゥウウ!!』

 

 

『ナッゾォ!!』

「あっちゃぁ…」

 

【おおっと?!これはどうしたことかッ!ナゾノクサが自らブーバーの炎の中に飛び込んでいってしまったぞぉぉ!!!】

 

 

「おい何をしているヒナ!ナゾノクサには炎は弱点!しかもまだ育成しきっていないだろうが!!!奴の言うとおり一撃でしとめられる可能性の方が高いぞ!!!」

「シルバーお前汚ねえ!!口の中のりんご飴全部食い切ってから言えよ!!」

「喧しいぞヒビキ!ヒナがここで負けてもいいのか!?」

「いや負けてほしくねえに決まってんだろ?!!でもここで俺たちが慌てても仕方ねえだろうが!!」

「正論だが苛立つ!この馬鹿が!!!」

「八つ当たりすんな!アホシルバー!!!」

 

 

観戦席が物凄く煩い。できればあいつらの近くに行って頭を殴りにいきたい。

でも集中できないからという言い訳はできない。リーグ戦に挑む目標をもっているのならなおさらだ。それにナゾノクサは炎を浴び続けているが、楽しそうに鳴き声を上げている。草タイプだからという考えを持っているシルバーたちから見れば、今現在ブーバーが放つかえんほうしゃによってナゾノクサは痛い鳴き声を上げて叫んでいると思っているんだろう。観戦席からはやくやめてあげてと言うような声も聞こえてくる。草タイプは炎に弱いから。しかもまだ進化していないナゾノクサだから。そんな先入観さえなければこんなにナゾノクサは楽しそうに揺らめいていると言うのに。

相手選手はシルバーたちと同じように思ったらしい。満足そうな声を出してブーバーに向かって言う。

 

 

「よしブーバー止めてやれ…さすがにナゾノクサが黒焦げの炭になるのは可哀想……っ何!?」

『ブゥゥウウッ?!』

 

「ナゾノクサ、楽しかった?」

『ナッゾォ!』

 

 

【おおっとこれは凄い!!ナゾノクサ無傷!無傷のまま生還!!しかも何やら楽しそうだァァ!!!】

 

 

 

「うわすげぇ!ナゾノクサが無傷だ!」

「どういうことだ…?ナゾノクサは草タイプのポケモン。力強いかえんほうしゃには一撃でやられてしまう可能性の方が強いはず。それにヒナは指示を出してはいなかった。ナゾノクサも何か変な行動はしてはいない。いや、炎にむかって突っ込むと言う無茶な行動はしていたがそれだけだ。まさかみがわりか?いやみがわりならばかえんほうしゃを一度でもかすればナゾノクサのレベルだとすぐに壊れるはず、まもるも同じ意味を持つだろうな…なのに何故――――――――」

 

「おーいシルバーさぁん!聞こえてますかぁぁ!?」

 

「いやナゾノクサはまもるも使ってはいなかった。技を使ってはない。ならば特性か?だが炎を無力にする技などもらいびしかないはず…ナゾノクサがそんな特性を…まさか新しい特性か?いやだがナゾノクサの生態についてはウツギ博士とオーキド博士の共同研究によって発表されたばかりだ。そんな大事な発表を覆す新種がいるなど―――――」

 

「だーめだこりゃ」

 

 

シルバーは長考に入ってしまったようでヒビキが耳元で叫んでも聞いていない。シルバーを呆れたような表情で見て肩をすくめてこちらを向く。でも私たちのやるべきことは変わらない。

 

 

 

「ナゾノクサ、ブーバーの動きを集中して見て!!」

『ナゾッ!』

 

「クッ炎をどうやって躱したのか知らないが、これならどうだ!ほのおのパンチ!」

『ブブゥゥウウ!!!』

 

 

「ジャンプして躱す!」

『ナッゾォ!』

 

 

ナゾノクサが私の指示を聞いてブーバーの動きをよく見て炎の拳を躱すように高くジャンプする。ブーバーがジャンプしたナゾノクサを追うように炎の拳を上に上げる。だが、ナゾノクサがブーバーの顔面に着地して拳の振り下げた位置を調節し、自滅させてブーバーから離れていく。

 

その炎の拳をちょっとだけ舐めていたナゾノクサに苦笑しながらも、私は口を開いた。

 

 

 

「ブーバー?!」

『ブゥゥゥウ?!』

 

 

「よしよしよくやったねナゾノクサ!」

『ナッゾォ!』

「でも敵なんだから好きな炎でも舐めたりしちゃ駄目だよ?お菓子じゃないんだからね?」

『……ナゾ』

 

 

「クッ炎が好き?意味が分からないことを言うな!ブーバー!だいもんじ!!」

『ブゥゥゥウ!!』

 

 

 

【大】の文字を書いた力強い炎がナゾノクサに向かって飛び出してくる。その炎はナゾノクサにとって攻撃の意味を持たず、むしろナゾノクサ自身の機嫌を上げるぐらいなので相手選手にちゃんと伝えた方が良かったかもしれないと思いながらも、私は口を開いた。

 

 

「ナゾノクサ!じたばたよ!」

『ナッゾォ!』

 

 

『ブゥゥウウウ?!!』

「ブーバー!!!」

 

 

 

ナゾノクサはわざと炎の中に飛び込みながらもブーバーに向かって直進し、その頭に向かってじたばたを発動させた。ポケモンセンターのバトルフィールドの地面にヒビを入れるほどの威力を持つナゾノクサのじたばたはブーバーを頭から地面へめり込ませる攻撃力をもっているようで―――それこそ、一撃でしとめてしまったのだった。

バトルスタイルに関してはナゾノクサはかくとうタイプだと思って接した方が良いかもしれない。ぶっちゃけ【すいとる】よりも攻撃性が高いと感じてしまった私は一瞬でそう考えた。この先のナゾノクサの成長によっては一体どんな風になるのだろうかと楽しみに思いながらも。

 

 

その後、ナゾノクサの一撃に周りが時を止めたかのように静かになる。そしてバトルが終了したのを認識し、爆発したかのような歓声が沸き起こった。

 

 

 

【なんということだ?!炎にも負けない草が勝ってしまったぞ!!勝者ァァ!!ヒナ選手とナゾノクサァァ!!】

 

 

「頑張ったねナゾノクサ!ありがとう!!!」

『ナッゾォォ!!』

 

 

「ブーバー、お疲れ様…いやまいったよまさか君が一撃で僕のブーバーをしとめるだなんてね…僕に勝ったんだから、優勝ぐらいは目指してくれよ」

「ええ、もちろんよ!」

「…応援してる。頑張ってくれ」

「ありがとう」

 

 

私たちは拍手して第一試合を終わらせたのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

【――――――勝者ァァ!!進化してないのにポケモンが強いヒナァァ!!】

 

 

 

「進化してないとか余計な一言よね」

『ピッチュゥ』

 

 

 

私たちはその後、無事に第二第三と試合に勝利していった。ピチューがほとんどバトルに出ていて、リザードンが不満げにボールを揺らしているのでそろそろ出した方が良いのかなと思ったAブロックの決勝戦。

 

 

向かい合った相手トレーナーの表情は何かに怒っているよう。そして視線はシルバーに向けられていた。

 

 

 

「あいさつなんて必要はない!私はただこの男に勝つためにここまでやって来た!!」

 

 

指差した先にいるのは予想通りのシルバーの姿。

その様子に私とヒビキは焦った。次の決勝は私が出なければいけないのについ観戦者がいるところまでやって来て問い詰めてしまうほど。まさか相手トレーナーはシルバーの犠牲者ってことなのだろうかと。

 

 

「ちょっとシルバー何をやったの?!」

「そうだぜシルバー!!お前まさかついに犯罪でも犯したのか!?」

「おいまて貴様等。俺はあの悪党で屑で雑魚な偽ロケット団のように犯罪などやってはいない!」

「じゃあ何であいつお前の事怒ってんだよ!!?」

「何か無意識でやらかしたとかないの?」

「知るか!!!」

 

 

 

「知るか…だと?私はお前を倒すその時を夢見てきたというのに!お前は忘れただと?!」

 

 

 

なんかすっごく怒ってる。

シルバーは本当に何をやらかしたんだろうかとジョウト地方でずっと一緒にいたヒビキが頑張って思い出そうとしている。でも呟き声にはシルバー含めてヒビキ自身でもやらかしたことがある事実がいっぱいあったようで、私の肩に乗るピチューが呆れていた。

 

 

 

「忘れたと言うのなら思い出させてやる!!シルバー!私はお前に復讐するために旅に出たんだ!!!」

 

 

相手トレーナーは、怒り顔よりも笑った顔の方が似合いそうな可愛らしい少女。でも雰囲気が怒気に包まれていて恐ろしくなっていた。般若とかになれそうな鋭い怒りを、シルバーにだけ向けていた。当のシルバーはお前なんぞ知るかとばかりにヒメリビスケットを口にしているんだが、その様子にも怒っているみたいだ。シルバーと少女の間にいる私やヒビキが逆におろおろと慌ててしまうぐらい、温度差が激しかった。

少女は熱く燃えたぎる火山のようで、シルバーは冷たい氷が浮かぶ深海の海のようだと思えた。

 

 

 

シルバーに向かって指を指す少女は、大きな声で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「私はクリス!私はお前を、決して許しはしないっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






クリスさんはハートゴールドソウルシルバーの女主人公をイメージ。
ただしコトネちゃんがアニポケで出ているので、名前はリメイク前のクリスタルの女主人公からとりました。世界には三人くらい似ている人間がいるらしいので(棒)


そんな女の子がかなり怒っている様子を想像して読んでください。

そしてまだ続く。






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