私はただのマサラ人です!   作:若葉ノ茶

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かつて、平和に暮らしたいと願っていたはずの妹は旅に出た。


カントー地方の旅路~幼馴染トリオは新人トレーナー~
プロローグ~マサラ人の妹は旅に出た~


 

 

 

 

 

 

マサラタウンにはいろんなポケモンたちが生息する。それは誰もが遭遇するポッポだったり、コラッタだったり…そしてとても貴重だと言われている存在の伝説のポケモンだったりと様々だ。伝説であるポケモンたちはオーキド博士やケンジさんに姿を見せることはめったにない。それでも一目見ることさえ一生に一度あるかないかと言われるポケモンがたくさんいるこの森はとてもすごいと博士達はよく言っている。

凄いと思う博士たちがいる一方で、私としては毎回毎回やって来るポケモンたちに暇なのかと言いたいこともあった。

私に会うぐらいなら研究したいというオーキド博士たちに会ったらどうなのか…。それにこのマサラタウンには現在いない兄にも会いに行っているようで、いつも通り暴れているという話を聞くと少しだけ複雑な気持ちになる。

 

 

 

だがそれよりも、オーキド博士は滅多に会うことができない彼らに不満を抱くことなく…そして、伝説のポケモンたちが研究所にやって来ることを世間に何も言わないし伝えようともしなかった。そこが凄いと私は思う。四年前にマサラタウンを出た時に感じたのは、トレーナー達は伝説を見たという情報を心底羨ましがったり、自慢したりするのが多いと思ったからだ。だからこそ、ポケモン博士と世界で有名なオーキド博士が何もしないことに私は一番驚いた。

 

 

まあ、それでも実際伝説のことを言ってしまったらポケモンたちが怒って襲撃するか、逃げてしまうか…いや、どっちも行う可能性はあるかもしれないから止めて正解だとは思うけれど…。

 

 

でも、オーキド博士が兄に助けを求めたらポケモンたちを止めることはするかもしれないが、それでもやはり言った方が悪いとばかりに兄の相棒であるピカチュウから電撃ぐらいはもらうかもしれない。

 

 

妹の私としてはあまり見たくない光景だ。

 

 

 

 

「ヒナちゃん。本当にこの帽子でいいの?」

「うん。お兄ちゃんが初めて旅に出た時の帽子だから使いたいんだ」

 

 

 

「そう…分かったわ」

 

 

 

でも今はそんな想像でしかない考えを持たずに旅に出ようかと思う。

 

 

 

何年も前から決めていた決意。私はまだ兄のようになれるのかどうかさえ分からないし、これからもっともっと強くなるのかどうかも分からないけれど、それでも旅をしたいという気持ちは強かった。

 

 

 

少しだけ重たいリュックを背負い、師匠から貰った波動の石をはめ込んだリストバンドを着け、走りやすい服を着て部屋から出る。

――――――そして、母から貰った兄の帽子をかぶり、玄関の扉を開けた。

 

 

 

扉を開けた瞬間、外から入ってきた空気が私の髪を撫でるかのように風となって動く。その風を一身に受けて思わず目を細めた。春の暖かさのような風がまるで始まりの合図とでも言うかのように心地良いと感じたのだ。

 

もしかしたら兄もこんな気分で旅に出たのかなと思えたぐらいには、とても気持ち良い風。

 

 

懐にある2つのボールがゆらゆらと揺らめく。それはまるで私が楽しいという感情を感じ取り、同じ気持ちだよと伝えているようにも思え、小さく笑ってしまったほどだ。

 

 

 

私は今まで住んでいた家に…そして母やバリヤードの方を振り向き、帽子を深くかぶり直してから声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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