私はただのマサラ人です!   作:若葉ノ茶

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「…この先、ヤマブキシティは通行止めです。申し訳ありませんがあちらの道を使い、迂回してからお進みくださいませ」




「そうですか。なら私たちはあちらの道を進みましょうかね」
「…あいつの指定した道じゃなくていいのか?」
「おや、観察不足ですねぇ…あんなの道じゃありませんよ」
「へぇ?」
「ふふ…さあ、我々は彼らの描く脚本を楽しむ観客となりましょうか」
「あー…酷かったら酷評してやるレベルの観客か?」
「その時は私が脚本を書きますよ…まあ」



「…この先、ヤマブキシティは通行止めです。申し訳ありませんがあちらの道を使い、迂回してからお進みくださいませ」




「…壊れた機械ほど不快なものはないですがね」
「ならアンタが治したら?」
「魅力的なモノだったら即行でやっていたでしょうね…きっと」
「ふーん?」



「さあ、行きますよ、クロ」
「へいへい。あんたについていきますよ…地獄の果てまでな」






「…この先、ヤマブキシティは通行止めです。申し訳ありませんがあちらの道を使い、迂回してからお進みくださいませ…この先、ヤマブキシティは通行止めです。申し訳ありませんがあちらの道を使い、迂回してからお進みくださいませ…この先、ヤマブキシティは通行止めです。申し訳ありませんがあちらの道を使い、迂回してからお進みくださいませ」





「本当に…気味の悪い、可哀想なモノだ」












第三十五話~謎は謎を呼ぶ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから俺とセレナは山を降りる」

「は、はい」

「だからクリス、お前は一人で修行をしていろ」

「はい!……はい?」

 

 

クリスが首を傾けたことにニヤリと口角を上げた。それなりに驚かせるであろう計画は成功したと思えたからだ。

 

チコリータやプリンを両端に座らせ、クリス自身は正座した状態の前に仁王立ちするサトシ。

彼は一つのナイフを彼女の目前にある地面に突き刺した。

 

 

「…これからシロガネ山の下降まで一緒に向かう。その後クリスはこのナイフ一本で【ここ】まで帰ってこい」

「え、待ってください。もしかして一人でやらないと駄目なんですか!?」

「そうだ。ポケモンの力を借りずに一人でここまで帰ってこい。そしてチコリータにプリン、お前達はフシギダネ達と特訓な」

『チコォ!』

『プリィ』

 

 

 

「無茶ですよ師匠!だってこのシロガネ山にポケモンなしで登るだなんて…」

 

 

いくらなんでも無謀だとクリスはぼやく。シロガネ山のポケモンは山の過酷さゆえに力が強く、保護区として人が滅多に来ることの出来ない様々な難所が待ち受ける。

 

ポケモンの絆がなければ出来ないことを、ナイフだけで成功させろと言うサトシの言葉は無謀そのものだとクリスは考えていた。

 

 

 

「じゃあやめるか?」

「っ…それは」

「お前に足りないのはポケモンの絆だけじゃない。その事を学ぶためにこの修行をやろうと思ったんだが…やりたくないならここで何もせず待つしかないな」

「……」

「やる気がないなら旅に戻るという手もあるが。俺としてはここまで頑張ってきたんだから最後まで頑張ってほしいと思ってるぜ」

 

 

ふぅ…と、わざとらしくため息をつくサトシにクリスの頬が引きつる。

もちろんチコリータやプリンも立ち上がって『大丈夫っすよ!クリスなら出来る!』や『ここで気合いを見せなきゃ女として廃るわよぉ!』と、応援を見せた。

 

 

「…その修行は、私にとって必要……なんですよね?」

「そうだな。強くなりたいなら必要なことだ」

 

「…ってやる」

「なんだ?」

 

 

「やってやりますよ!!そしてシルバーよりも強くなる!あの野郎をボコボコにするまで私は諦めない!」

『チッコ!』

『プリィ!』

 

 

 

拳を振り上げ、高らかに叫ぶクリス達。

その表情に満足げなサトシは、後ろで見物していたゼニガメを呼び寄せ、共にニヤリと悪どい笑みを浮かべる。

ゼニガメがサングラスをかけて笑っているから、犯罪者のようにも見える笑みだろう。

 

 

 

「もしも俺よりも先にゴールしたなら、一つだけ褒美をやるよ」

『ゼニィ』

「褒美を…?」

 

 

「ま、それは帰ってからのお楽しみだな!クリスが俺より先に帰れる保証もねえことだし」

『ゼェニ』

「むっ…絶対に帰ってやる!」

『チコリ!』

『プリ!』

 

 

 

 

頬を膨らませたクリスに内心で笑いながらも、サトシは外へ行く準備を始める。

 

 

 

「…サトシ」

「おう」

 

「ねえ…この子も連れてく?」

 

 

 

「あぶぁ~」

『…ニャ』

 

 

 

近づいてきたセレナの傍には、二つの小さな生き物がいた。一つはセレナの肩に乗っている黒猫のような姿をしたポケモン。そしてもう一つはセレナが愛しそうに抱く赤ん坊。

 

その赤ん坊の頬を触り、笑いかけたサトシは首を横に振った。

 

 

 

 

 

「帰ってくるまでの間だけ母さんに預かってもらおう…留守番できるよな?」

「あぅぅ」

『ニゥ』

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ヤマブキシティは山吹色に染まる大都会っていうの知ってたか?」

「そうなの?…私は山吹色っていうより、キラキラと夜景が綺麗で光り輝く大都会って印象があったわ」

「ま、確かに光り輝いてはいるな」

「ええ、でも…ミアレと似た感じ…なのかな?」

「シトロンの作ったタワーには負けると思うぜ」

「ふふっ…そうね」

 

『ピカピカァァ』

 

 

 

二人と一匹がいる場所はヤマブキシティの中心地にあるシルフカンパニー本社の入り口近くの路地。

その端っこにて、周りの人の様子を確認しながらセレナと会話をするサトシの様子にピカチュウは居心地悪く肩から降りて地面で伸びをしていた。

 

 

 

 

「…夜景といえばミアレタワーが一番…なのか?」

「あれは人の手によって作られているから…自然なら、ホウエン地方が一番かな」

「ああ。確かに…前に千年彗星が流れたときもあったんだが、星の量が半端なくて実際に落ちてきそうだったぞ」

「へぇ…じゃあ絶対に見なきゃ後悔するレベルの景色よね。サトシと一緒に見てみたかったな」

「じゃ、来世に期待だな」

「…その時は、一緒に見てくれる?」

「夜更かししないならな」

「もちろんよ!」

 

 

 

『ピィカピカァ』

 

 

 

猫のように両手で顔を洗ったピカチュウは、ピクリと尻尾を動かし、サトシの肩に乗った。

ピカチュウの重さが肩に加わった後、反射的にサトシがシルフカンパニーの入り口から入ろうとする男を見た。

 

奴の手には銀色に輝くアタッシュケースがあるのも確認。

 

 

 

 

「…さて」

 

 

 

先程とは違ってピリピリとした緊張感のある空気が二人と一匹にまとわりつく。

 

サトシが帽子を目深にかぶり、ピカチュウの頭を撫でた。

 

 

 

 

 

「…準備はいいか?」

「もちろんよ。旦那様」

 

 

 

アタッシュケースを持つ男の後を追うように、サトシとセレナ、そしてピカチュウはシルフカンパニーの中へ入って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「…ナゾノクサ、とりあえず飛び蹴り」

『ナッゾォ!』

 

『キュゥゥ!!?』

 

 

 

全力で飛び蹴りをかましたナゾノクサに、またあちらも全力で避けている。

 

そして、『何をする!?』とばかりにこちらを涙目で睨みつけ、通常よりもはるかに身体の小さなポケモンにため息をつくヒナ。

涙目で睨みつけても可愛いだけで怖くなんてない。これを見た親ポケモンには怖いけど、きっと大丈夫なはずだとヒナは若干の楽観視をしていた。

 

まあ、ナゾノクサの飛び蹴りが当たってしまったとしても、ダメージはほぼないだろうからという予想も入ってはいる。

普通ならそんな行動はしないが、若干の戸惑いと混乱があったから仕方ないことだ。

 

 

 

 

「君、一体どうやってボールに入ったのよ…」

『キュゥゥ?』

 

 

 

ヒナの身体で抱きしめたらすっぽりと覆い隠せそうなサイズの小さなポケモン。

図鑑で確認しても、やはり通常よりもあり得ないサイズのポケモン。

 

 

 

 

――本当に、どういうことなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルギアが手持ちなんて何があってもおかしくないと思うの…」

 

 

 

 

 

 

そんな言葉を呟いた瞬間、ここよりも遠くにある何処かの島の通常サイズなルギアが小さなくしゃみを放ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 











フラグを立てまくりですが、まだ解明はされませんよー。


現在進むべきプロローグは5つ。そのなかで4つは終わってます。

プロローグが終わるのはもう少しだけ先です。




そのあとは一気に進みますたぶん。


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