私はただのマサラ人です!   作:若葉ノ茶

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合縁奇縁






第七話~ハナダシティにて現れた~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁっと…着いたァ!!」

『ナッゾォ!』

 

 

 

おつきみやまの頂上にてピッピ達が一緒に遊ぼうよと言うとても魅力的な誘いを断り、ジムバッチ集めのために歩き続けたヒナ。

ナゾノクサがボールから外に出たいと言うためずっとだっこして歩いていたためか少々疲れてはいたが、それでもおつきみやまから下山してハナダシティの近くまでやって来ることができたのだ。ヒナの気分としてはある意味もうハナダシティに到着しているようなもの。

 

だが、ヒナたちの歩みを止める者たちがいた。

 

 

 

「ハッハァ!ここは名物ゴールデンボールブリッジ…はハナダジムのカスミさんの苦情で止めて急遽できた別名【おつきみやまの七人抜き】!!お前達にも挑戦してもらうぞ!」

 

「え、強制ですか…?」

『ナゾォ…?』

「当たり前だろう!そうでなければハナダジムに挑戦することは不可能!もう一度おつきみやまに戻るんだな!ハッハッハ!!!」

「はぁ…」

『ナゾ?』

 

 

テンション高く叫ぶ青年にヒナはため息をついて面倒そうに7人のトレーナーである彼らを見た。ゴールデンボールブリッジなんて名物があったのかさえヒナは知らないし、カスミから聞いたことがないためなんか妙だなと辛気臭そうに見ていたのだ。いきなりできたと言うのならばわかるが、それでも名物と彼らが言うため、嘘でなければ少々おかしいとヒナは考える。そんなヒナに抱きしめられているナゾノクサは彼女の顔を見上げてから身体を少々傾けて可愛らしく鳴き声を上げたのだった。

そしてヒナが何を考えているか知らない彼らはただただ早くバトルするのかしないのか決めろ!と叫んでいて、バトルをしなければ通すつもりはないのだなと分かり、仕方なく懐からボールを手に取った。

 

 

『ナゾ?』

「ナゾノクサはここで見ててね?…よし行くよ、ピチュー!」

『ピッチュゥ!』

 

 

 

ボールからピチューを出して電撃を軽く放ちながらも好戦的に彼らを見ることにより、試合開始の合図となった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「おめでとー!!」

「おめでとう!見事僕たち7人に打ち勝つことができたね!」

「はぁ…」

『ナゾッ!』

『ピチュゥ…』

 

 

 

彼らのポケモンを7人連続で相手したピチューが疲れもしないような声を出して苦笑する。ぶっちゃけ楽勝すぎでしょとピチューが思わず言いたくなるほど、彼らのポケモンは育ちきっていなかった。

しかもピチューはただ10まんボルトを行っただけで彼らのポケモンたちは倒れていったのだ。まるで倒れるのが当たり前だとでもいうかのような対応にヒナはますます疑わしい目で彼らを見て、そしてピチューはナゾノクサが何か問題を起こさないように守りつつ、ヒナたちの会話を聞いている。ナゾノクサは何もわからないようでまだ身体を傾けていた。ただ不穏な空気というのは親でもあるヒナから感じ取っているのか、少々居心地悪そうにしている。

 

何かトラブルが起きる前に退散した方が良いかもしれないと、ヒナは作り笑顔で彼らを見てから言った。

 

 

 

「あの…もうハナダシティへ行っても良いですか?ちゃんと約束通り7人抜きしましたし…」

 

「うんそうだね!でもその前に君のポケモンは全て置いていってもらおうか」

「抵抗すればどうなるか分からないぞ?」

「ナゾノクサはいらなくねえか?弱そうだ…」

「いや、ピチューがあそこまで強かったんだ。見た目だけで判断しない方が良い」

「おいまだボール持ってんじゃねえのか早く出せ!」

 

 

「嫌です」

『ピッチュゥ!』

『ナゾ…?』

 

 

彼らの手がヒナに伸びる前に、ピチューの電撃が降り注ぐ。だが彼らも結構やるようで、ピチューの電撃が身体に当たる前にカラカラが電撃を吸い取っていた。

恐らくひらいしんの特性を持っているのだろうとヒナは判断して、ピチューを見る。ピチューも電撃は効かないと理解したのか、小さな尻尾にあるまじき威力で地面に叩きつけ威嚇し始めた。

 

 

そして、やっぱり悪党だったのかとため息とつきながらも、襲ってきたからには捕まえてジュンサーさんに渡さないといけないと考え、すぐに思考をハナダシティに着くことから切り替える。

 

襲いかかってきた青年たちはピチューの強さをバトルを通じて分かったからか、不敵な笑みを浮かべてヒナを見ていた。

 

 

「ハッ!お前みたいなチビに何ができるっていうんだ?」

「帽子は古いが…その新品のリュックといいシューズといい……やっぱまだ新米トレーナーなんだろ?そのポケモンは親から譲り受けたのか?」

「ママのポケモン貰っちゃったんだー良いでしょーってか」

「ギャハハハそんな感じなんじゃねえの!」

「ほらほら早く渡した方が良いぜ?俺たちは組織で活動中なんだからな」

 

 

「組織?組織ってことはギンガ団とかプラズマ団とかそういう悪党の集まり?」

 

 

 

気色の悪い彼らから気になる言葉を聞いてヒナは思わず聞いていた。組織という言葉には4年前活動していたのを見た彼らのことを思い出したからだ。もっとも、4年前に活動していた組織は全て兄であるサトシの手によってその組織の在り方をを変えたか、叩き潰されたかのどちらかなのだが…。まさか今になって悪の組織とやらが再びできるとは想像しにくい。特にポケモンに対して乱雑に扱う悪を嫌う兄がいる限り。

だが彼らは【組織】という言葉を使ったのだ。それがヒナは気になっていた。

 

ヒナが聞いた言葉に、青年たちは悪どい笑みを浮かべて口を開いて言う。

 

 

「お?何だ知ってんのか?ハッハァ!俺たちはその中で最も悪に近い存在ロケット団の集団さァ!」

「ロケット団って…あれは悪党の集まりじゃないわ。ちゃんと国際警察やポケモンレンジャーに協力している立派な組織よ!」

「ギャハハハそんなの知るかよ!」

「そうそう!無駄なおしゃべりはここまでにして…さっさと終わらせようぜ」

 

 

 

7人のトレーナー達が7人抜きでは使わなかったポケモンを一斉に出して攻撃しようとしてくる。それを見てヒナは懐にあるボールを手にして投げようとした―――――――。

 

そんな時だった。雷鳴が地面に向かって降り注ぎ、襲いかかってくるポケモンたちの行動を停止させてしまうような轟音が響き渡るまでは。

その雷鳴を、ヒナは知っていた。一歩一歩まるで地獄の門が開くかのようにこちらに向かって近づく足音の気配を、ヒナは知っていた。

 

 

「まさか…」

『ピ…チュゥ…』

『ナゾォ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 な に や っ て ん だ ? 」

『 ピ ィ カ ッ チ ュ ゥ ? 』

 

 

 

 

「「「「「「「フボォォオッ!!!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

とたんに聞こえてきたのは、青年たちの痛そうな悲鳴と打撃音。彼らのポケモン達が雷鳴によって驚いていたが、すぐに乱入してきた人間とポケモンを見て警戒していた。

その警戒はすぐ無駄になるのだとヒナは知ってはいたのだが。

 

 

 

「お兄ちゃん何やってるの!?というか何でハナダシティの近くにいるの!?」

『ピチュゥ!?』

『ナゾ?』

 

 

「お兄ちゃんにもいろいろあるんだぜヒナ…とりあえず、いろいろ聞きたいことあるからてめえら覚悟しろ」

『ピィカァ』

 

 

「このチビのお兄さんってことか?」

「グッいきなり殴りかかりやがってふざけんじゃねえぞ!」

「おいお兄さんに世の中の悪ってもんを教えてやろうぜ!」

「ギャハハハ!それ良い案だな!チビのポケモンとあいつのポケモンで一石二鳥ってな!」

「安心しろよおにーさん?アンタのピカチュウはうまく使ってやるからさァ?」

「殴られた分もおかえししねえとな!!」

「チビ痛めつけるだけじゃ済まさねえぜハッハァ!」

 

 

 

 

 

「ああ゛?てめえら今なんつった?」

『ピィカ?』

 

 

 

 

あ、これ死んだ。

 

 

 

若干苛ついていた兄とピカチュウの様子が一変して、いまかなりブチギレてますとでもいうかのような表情になる。青筋を浮かべた額に、思わず土下座したくなるような凄みの効いたとても低い声。そして極めつけはピカチュウの強い電撃。

ヒナとピチューは思わず真顔になってこれから行うであろう兄とピカチュウの所行を見ないようナゾノクサの視界を覆うことに専念したのだった。

彼らが無事であるよう祈ったところでどうにもならないと知ってはいたからだ。

 

 

 

 

―――――――とりあえず、合掌。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

ハナダシティの行く途中にある小さな道。そこには異様な集団がいた。

顔のパーツである目や口がまるで埋め込まれているかのように肌が赤く張り上げられ、頭をアフロのようにじりじりに焦がして泣きはらし正座する7人の青年たち。そしてその傍らにはポケモンたちが寄せ合って怯え震えているのも見える。

そんな彼らが見ているのは両腕を組み仁王立ちして笑う青年とピカチュウ。そしてその斜め後ろには顔を引き攣らせてナゾノクサに見せないようにしている少女とピチューの姿。

 

もしもここに何も知らない通行人が来たのなら、ピカチュウを肩に乗せている青年が加害者なのだと断言できるほどかなり可哀想な光景ができあがっていたのだった。

 

 

 

 

「す…ずびばぜん…グズっ…」

「ちょ、調子になってまじだぁ」

「おにいざんがまざかポケモンマズダーだなんでじらなくて…」

「グズ…妹さんとお兄さんに危害をぐわえるようなごどじでずいまぜん」

「俺達だだのバイドで組織でば下っ端の下っ端なんでず…」

「もう悪さばしまぜん…」

「ごべんざさい…」

 

 

「感情が足りねえ、もう一回」

『ピィカ』

 

 

「お兄ちゃんこれ以上は駄目っ!!!」

『ピッチュゥ!』

 

『ナゾ!ナ…ナゾ?』

 

 

 

 

 

ヒナとピチューの悲痛な声を真似して叫ぶナゾノクサは、何が起きたのか現状を理解せずヒナに抱きしめられつつも…ただ身体を傾けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




To be continued.





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