TALES OF THE ABYSS外伝ーセレニィー   作:(╹◡╹)

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95.芝居

「お待たせしました。これより舞台を開演します!」

 

 礼拝堂に詰めかけた大勢の観客を前に、セレニィを連れてきた男は斯くの如く宣った。

 沸き立つ観衆に向けて丁寧なお辞儀をし壇上から降りた男を、一人の女性が迎える。

 

 化粧っけはないものの穏やかそうな人柄が伝わってくる、三十代中頃の品の良い婦人だ。

 しかし常ならば笑顔を浮かべているだろう表情には、咎めるような色が浮かんでいる。

 

 男がその様子に首を傾げると、彼女は観衆の邪魔をしないようそっと小声で囁いた。

 

「あなた。時間ギリギリに戻ってきたと思ったら、こんなことをして…」

「ん? あはは、まぁいいじゃないかパメラ。こうして劇は始められるんだしね」

 

「それはそうですけど… あの子が可哀想だわ。ほら、固まってるじゃない」

 

 彼女の名前はパメラ。セレニィを連れてきた男… 名はオリバーというが彼の妻である。

 敬虔な信者が数多いダアトにおいても、彼らほどのお人好しはいないと評判の夫婦だ。

 

 事実この劇についてもほとんどボランティアで、捨て値で開演しているのが現状だ。

 なにやらきな臭い噂が耳に入ってくる世の中だが、故にこそ人々は娯楽に救いを求める。

 

 こんなご時勢だからと人々のために劇を開演する二人は、まさしくお人好しであった。

 

「なに。パメラ、君も知っているだろう? 子供向けの簡単な演劇じゃないか」

「そうはいっても… この人数を前にしたら、私だって足が竦んでしまうわ」

 

「もしそうだったとしても、立ってくれているだけで充分さ。相方がいるじゃないか」

「あぁ、そういえば好意で引き受けて下さったモース様役の役者さんは…」

 

「そう! 王都バチカルで演劇を学んだ確かな実力者。彼がフォローしてくれるよ」

 

 オリバーにそうまで自信満々に言われては、パメラとしても納得するしかなかった。

 もとより素人演劇という認知は為されている。多少の失敗は観客も織り込み済みだろう。

 

 巻き込まれてしまった少女には悪いが、演劇が終わった後に精一杯のお詫びをしよう。

 パメラはそう考え引き下がった。開始された劇を止める勇気が出なかったのもある。

 

 彼女の懸念を他所に演劇は順調に進む。といっても、セレニィは固まっているだけだが。

 

「順調に進んでいるみたいですね。モース様役の彼のフォローもありますし…」

「あはは… だから言ったじゃないか。心配し過ぎだよ、パメラは」

 

「でも、いくら劇のためとはいえ強引過ぎます! 後であの子に謝ってくださいね」

「も、もちろんさ… うん。焦ってたとはいえあの子には悪いことをしたよ」

 

「(アニスちゃんよりも小さな女の子に無理をさせてしまうなんて…)まったく」

 

 あの暴動の日以来消息不明となってしまった我が子アニスを想い、胸を痛めてしまう。

 あるいは夫のオリバーが彼女を連れてきたのも、娘の面影を見たからかもしれない。

 

 といって免罪符にはなりはしないが。後でお詫びをする気持ちを一層強めて壇上を見る。

 

 演目は『魔女と大詠師』。

 

 邪悪な魔女セレニィが大詠師モースに悪事を断罪される、捻りのない勧善懲悪モノだ。

 ユリアの導きに護られた大詠師が魔女の企みの全てを暴いて、ついには改心させる。

 

 導師イオンを見事救い出して、国王や皇帝の洗脳をといてハッピーエンド。王道である。

 そんな使い古された王道中の王道であるのだが、大人から子供まで受けに受けている。

 

 暗い噂ばかりが飛び交う憂き世には、こんな物語が求められているのかもしれない。

 そして物語はいよいよクライマックス。悪徳の魔女が断罪されるシーンまでやってきた。

 

 このまま何事も無く終わって欲しい… そんな願いを嘲笑うかのように変化が起きた。

 

「正義、ですか… くふふふふ」

 

 それまで沈黙を保ってきたセレニィ役の少女が、唇を弧の形に歪め笑い出したのだ。

 ざわめく観客など気に留めず、狂気を孕んだ瞳で只々モースを睥睨する幼い容姿の少女。

 

 今までの人形の如き沈黙が嘘のように笑みを浮かべると、彼女はゆっくり口を開いた。

 

 

 

 ――

 

 

 

「正義、正義、正義… なるほど、正義と来ましたか」

 

 楽しいことを聞いたとばかりに繰り返し、セレニィはゆっくり顔を上げる。

 そこにあるのは虫も殺せぬような、小柄で儚げな少女の笑顔。

 

 ……なのに何故だろうか。

 対峙する大詠師モースを演じている役者には、それが肉食獣の舌舐めずりにも思えた。

 

 内心で頭を振りつつ、何をバカな… 彼はそう独りごちた。

 だんまりを決め込んでいた筈の彼女が、何を思ったかこの場面で口を開いただけ。

 

 たかがその程度のことで、役者である自分のすべきことは何も変わらない。

 そう、誇りある役者(プロ)として任された仕事を全うし幕に導く。それのみだ。

 

 そんな矜持と使命感に駆られた彼は、気を取り直してその言葉を紡いだ。

 

「然様、正義である! これは始祖ユリアによって(もたら)された、正義である!」

「ほほう… 始祖ユリアによって」

 

「たとえ貴様が隠れて悪事を為そうとも、音譜帯からユリアが見守っておられる!」

 

 威厳を持たせるよう落ち着いた、しかし大きな声量でそう言い切った。

 そんな彼の堂々とした姿に、観客からは思わず感嘆の声が漏れる。

 

 しかし彼女に悪びれた態度は見られない。

 むしろ始祖ユリアの名前が出た時に、口角が持ち上がったようにすら思えたのだ。

 

 ……一瞬のことであったので、あるいは勘違いだったのかもしれないが。

 顔を俯かせた小柄な彼女の表情は、対面に位置する彼にも容易には読めない。

 

 いわんや遠目より眺めることになる観客たちをや、といった有様である。

 とはいえこれまでの舞台の流れを見るに、勧善懲悪のお約束たる時…

 

 即ち断罪の時が近付いているのは疑いようがない事実でもある。

 そうして彼女は、(彼ら観客たちにとっては)往生際が悪くも更に言葉を紡ぐ。

 

 恐らくは、彼女は罪を逃れるために見苦しい嘘をついたり逆上するのだろう。

 そう観客たちのみならず、役者の男も信じていた。それが概ねの筋書きであるからだ。

 

 だが用意されていたはずのレールは、一人の少女によって壊されようとしていた。

 

「なるほど。隠れた悪事は正義によって暴かれ、今、裁きの時を迎える… と」

「そのとおり。正義の名のもとに悪事は(つまび)らかにされねばならん」

 

「よく理解しました」

 

 モースを演じる役者の言葉に、彼女は満足そうに微笑んだ。

 いよいよ終わりを迎えようとしている。

 

 観客は固唾を呑んでその時を待ち構えた。

 愚かにも世界を破滅へと導こうとした魔女が断罪される、その終わりの時を。

 

 浅ましくも他人のせいにしたり、見苦しくも嘘をつくのが概ね流行りである筋書きか。

 あるいは(とぼ)けるか? はたまた脅迫するか? いやいや泣き落としかもしれぬ。

 

 それぞれ魔女の様々な反応を予想しながらも、その末路は一つと決めつけていた。

 だが彼女は、それら観客たちや役者に至るまでの予想だにしない反応を示した。

 

「あぁ… それはなんて素敵なことなのでしょう。実に、実に素晴らしい!」

 

 悪と断罪されようとしている彼女が、心底嬉しそうに手を合わせたのだ。

 その反応に誰もが言葉を失った。役者の彼も唖然とした表情を見せている。

 

「………」

 

「私は心より… えぇ、心よりの賛同を示しますとも。……モース様?」

「う、うむ」

 

 反応は遅れこそしたが、居住まいを正し頷いた彼の役者魂をこそ褒めるべきであろう。

 彼女の方も気を悪くした様子もなく、弾むような声音で言葉を続ける。

 

「ここに『正義』と『悪』が在る。ならばなるほど、その結末は一つでしょうね」

「あぁ、そのとおりだ」

 

「そしてこの私、セレニィこそが裁かれるべき『悪』である… ということですね」

 

 しかし彼女の側に、見苦しく言い訳をしたり言い逃れをする様子は見られない。

 嬉しそうに、鈴の転がるような声でモースの主張の後押しをする始末。

 

 さては諦めたのか? 彼女を除いたその場の誰もがそう思った。

 無論、役者の彼とて例外ではない。彼もまた、彼女の動きについて思考を巡らせた。

 

 これまでの話の流れから、ようやく舞台が勧善懲悪の演劇と理解したのであろう。

 そこで恐らく、遅まきながらそのアシストをしようとしてくれたのではないか。

 

 悪役が善玉を助けるのは如何なものかとは思うが、素人に言っても仕方ない。

 急なことでやや戸惑いはしたものの、きっと彼女なりの好意から出たものなのだろう。

 

「(よし。だったら幾つか考えていたけど、彼女にも華を持たせる流れで行くかな…)」

 

 別に自分が連れてきたわけではないのだが、素人に無理をさせた申し訳無さもある。

 ならばせめて、改心した魔女がローレライ教団に受け入れられる筋書きで行こう。

 

 彼はそう考えを纏めながら目の前の少女の言葉に乗る形で、演技を続行しようとした。

 

「観念したようだな。しかし、悔い改める気持ちがあるならば」

「ところで」

 

「始祖ユリアはお許しに… む?」

「私の為した『悪事』とは、一体どのようなものでございましょうや?」

 

「……なんだと?」

 

 しかし、静かだがよく通る声によっていきなりその出鼻を挫かれてしまった。

 思わずその言葉を放った人物に向けて、彼は言葉を放った。

 

「それは一体、どういうことだ?」

「どういうこと… と、申されましても。さて、困りましたね」

 

「……観念したのではなかったのか?」

 

 そこには質問に質問で返され、困ったような表情で小首を傾げる少女の姿があった。

 

 予想もしない反応の連続で、ついに観客がざわめきだす。

 そんな周囲の戸惑いも何処吹く風といった風情のまま、悠然と彼女は立ち続ける。

 

 得体の知れないものを見るような瞳で己を見詰める彼に、彼女はへにゃりと微笑んだ。

 そして… さもなんでもないことのように、その言葉を紡いだ。

 

「『悪事は(つまび)らかにされねばならん』」

「……なに?」

 

「そう仰ったのは他ならぬあなた様ではありませんか。……ねぇ、大詠師モース様」

「………」

 

「でしたら、えぇ… 何も難しいことではないでしょう。ですよね?」

 

 反応を返せない彼に向かって、物分りの悪い子に向けるような苦笑いを浮かべる。

 そして彼女は、更に言葉を続けた。

 

「始祖様が見守っておいでなのでしょう? ならば、全てお見通しのはず」

「いや、しかしだね…」

 

「それともアレは嘘だったのでしょうか。となると私の『悪事』についても…」

「う、嘘ではないぞ!? あ、いや…」

 

「それは良かった! ささ、どうぞ… 私なんぞお気になさらずガツンと!」

 

 始祖ユリアに絡めた言葉を嘘かと問われては、引くことなど出来やしない。

 

 ここはローレライ教団の総本山ダアト。敬虔な信者は数知れず。

 そもそもからして、役者の彼とて信者の一人なのだ。

 

 彼は思わず否定してから、台本の表記を恨みつつも腹をくくる事にした。

 彼にも、芸術の最先端たる光の王都バチカルで演劇を学んできたプライドがある。

 

 目の前の素人一人のアドリブにくらい乗ってやる。そう気持ちを奮い立たせた。

 

「良かろう。既に知らぬ者はいないだろうが、敢えて語ってみせようではないか」

「はいはーい! 是非是非お願いしますね? 『悪』に手心なんていけませんよね!」

 

「……う、うむ」

 

 緊張感を削ぐ声音と満面の笑みに迎えられ、ややゲンナリとしつつ彼は語り始めた。

 与太話を抜きにして、セレニィがほぼ間違いなくやったとされる数々の悪事を。

 

 即ち、『暴動を引き起こして、導師イオンをダアトより連れ去ったこと』。

 のみならず『導師イオンを奪還せんとする神託の盾(オラクル)騎士団と矛を交えたこと』。

 かてて加えて『大詠師モースに罪を着せてキムラスカ王国より追放させたこと』。

 

 改めて列挙すると凄いスケールの陰謀だ。役者の彼は一周回って感心してしまった。

 信憑性のない噂話の類も加えれば、質・量ともに更に膨れあがるだろう。

 

 これらをほぼ独力で画策したセレニィなる人物は、化け物か何かなのだろうか?

 人知れずゴクリと喉を鳴らしそうになるのを堪えつつ、目の前の少女の反応を伺う。

 

 彼女は表情を一切崩すことなく頷くと、彼を穏やかに見詰め返しつつ口を開いた。

 

「なるほど… ご説明ありがとうございます。とても良く分かりました」

「理解したか。ならば、この期に及んであれこれ見苦しい言い訳はあるまいな?」

 

「はい。百歩譲って概ねモース様の仰るとおりであるとしても構いませんとも」

 

 肩を竦めて、「一つ一つを指摘したところで水掛け論でしょうしね」と付け加える。

 何かを含むような少女の言い回しに眉をひそめつつ、彼は己の役割をこなそうとする。

 

 これらの数の… しかも自身で事実と認めた『悪事』を前に為す術はないだろう。

 百歩譲って云々は如何にも悪女らしい小さな強がりだろう。そう思って言葉を紡ぐ。

 

 今度こそ幕に向かおう。

 

「では」

「ですが」

 

「………」

 

 役者魂も忘れて、彼も思わず演技抜きの憮然とした表情を浮かべてしまう。

 またも出鼻を挫かれたのだ。不機嫌になるのは致し方ないことだろう。

 

 観客も、何度もお預けを食らってチリチリと不満が燻ってきている。

 あるいは強引にこちらの意のままに進めるべきか? 彼がそう思案したその時だった。

 

 ……少女が決定的な言葉を紡いだのだ。

 

「ですが… それらの何が『悪事』なのでしょうか?」

「なっ!?」

 

「……フフッ」

 

 彼も、居並ぶ観客たちも… その言葉にそれまでの思考など吹き飛んでしまった。

 少女は、絶句して二の句が継げないでいる彼らをチラリと一瞥して妖しく微笑んだ。

 

 ……哀れみをすら含んだような仕草で。

 

 そして両手を後ろに組みながら、彼女… セレニィは壇上をゆっくり歩き始めた。

 今やシンと静まり返ってしまった礼拝堂に、コツコツと彼女の発する靴音が響き渡る。

 

 まるで世間話でもするような何気ない口振りで、彼女は言葉を続ける。

 

「さて、私ども『マルクト』は『キムラスカ』との和平を望んでおりました」

「………」

 

「とはいえ、先の『ケセドニア北部戦』の爪痕が未だ残っているのもまた事実」

 

 返答はもとより期待していないのだろう。セレニィは歩き回りつつ淡々と語り続ける。

 

「いきなり申し出ても突っ撥ねられるでしょうね。そこで仲介役が必要となります」

「それで… イオン様を攫ったというわけか?」

 

「まさか。ちゃんと手順を踏まえてお願いしましたよ… ま、握り潰されましたがね」

「なんだって?」

 

「ご協力いただけるのでしたら、別にモース様でも大歓迎だったのですけどねぇ」

 

 そこで彼女は表情を曇らせる。

 意図的なものだ… 彼の役者としての目がそう看破はするが、狼狽えてしまう。

 

 思わず問いかける。

 

「ど、どういうことだ?」

「教団は中立… されど、和平の働きかけにまで不干渉を貫かれては困ります」

 

「む、むぅ…」

「それではまるで、『戦争を望んでいる』みたいじゃないですか。ねぇ?」

 

「そんなはずは… それは、貴様が。それに、だからといって暴動を起こすなど!」

 

 だからといって、暴動を引き起こして導師を攫うなど許されることではない。

 彼は巨悪に立ち向かうモースの気分になって、精一杯気を奮い起こしそう喝破した。

 

 それに対して、セレニィは『よく出来ました』とでも言うような笑みを浮かべる。

 

「暴動? はて、一体なんのことでしょう」

「……なっ!?」

 

「まさか、『あなた方が引き起こした暴動』まで私のせいに? なんて酷い!」

「まさかも何も先ほど貴様自身が…」

 

「えぇ、認めましたとも。……『イオン様をお連れした』件に関しては、ね」

 

 悪びれもせず、壇上の最前に移動して両手を広げる。

 そしてクスクスと微笑みながら口を開いた。

 

「だって、危険じゃありませんか。暴動が起こっている街に導師様を放置するなんて」

「その暴動は誰のせいで起きたと…」

 

「え? まさか(くだん)の暴徒が全員、私たちマルクト人だったとでも仰るので?」

「……なに?」

 

「百歩譲って『導師様が軟禁されてる』という噂を流したのが我々だとしましょう」

「………」

 

「ですが騒ぎを起こして教会に詰め掛けたのは、あなた方ダアト市民です。ですよね?」

 

 笑顔のままとんでもない発言をする。暴論である。明らかに喧嘩を売っている。

 どこまでも無力な存在ではあるが、こと人を煽ることに関しては天賦の才を持つ。

 

 それがセレニィという人間なのだ。

 

「あの時の私どもの総人数をお教えしましょうか? 僅か百名ちょっとですよ」

「しかし、百名もいれば暴動を煽り続けることも…」

 

「まぁ、そのほとんどは我々の船を動かすための人員だったんですけどね」

「ぐぬっ…」

 

「さて… 教会に詰め掛けた暴徒の方々は、一体どこから湧いて出たのでしょうか?」

 

 暴動の直後に、マルクトからの使者たちが船ごと姿を消しているのは確認されている。

 ギリギリまで暴動を煽り続けていたのならば、そんな迅速な動きはできないだろう。

 

 少女の言葉に、覚えのある観客らは気不味げに顔を逸らしたり目を伏せたりする。

 彼女は、これ以上に楽しいことはないとばかりに満面の笑みを浮かべる。邪悪である。

 

 それらの光景を、愕然とした表情でモース役の男も見守っている。

 

「(してやられた! 彼女はコレを狙っていたのか…)」

 

 そう役者の彼はほぞを噛む。彼女は何故こんなことを、と自問自答するも解は出ない。

 そもそも時計の針は戻らないのだ。ならば彼に出来るのは話題を変えるのが精々だ。

 

「いやしかし、神託の盾騎士団と戦うなどとは度が過ぎている!」

「おや、そうなんですか?」

 

「なんだ、その態度は! 和平のためと言いながら争いを助長し、何を企んでいる!」

 

 とぼけたような態度で小首を傾げる彼女に向かって、彼は強い言葉を投げかける。

 無論、熱の入り過ぎた演技で彼女を傷付ける恐れはある。

 

 しかし、彼は自身の中で『あの子はそんなタマじゃない』と半ば以上確信していた。

 そしてその考えは、程なく間違いではなかったと立証されることになる。

 

 他ならぬ、目の前の少女自身によって。

 

「(……さて、どう出る?)」

 

 音に出さずに小さく唾を飲み込み、少女の反応を待つ。

 彼女は微笑みながら再び両手を後ろに組んで、ゆっくり彼のもとへ歩いてくる。

 

 身を固くする男と、ゆったりとした足取りの少女。二人の姿は対照的だ。

 

「えぇ、全く… 酷いですよね、『いきなり襲いかかってくる』なんて」

 

「? 一体なにを…」

「イオン様をお守りするため止む無く応戦しましたよ。結果は惨憺(さんたん)たるものでしたが」

 

「貴様は何のことを…」

「おや、マルクトから抗議が届いてませんか? 兵士の虐殺と船の拿捕について」

 

「な、なんだって…ッ!?」

 

 これには男も思わず演技の仮面が剥がれて、声を上げてしまう。

 

 その場の全員が息を呑む。またも静まり返った礼拝堂に、無機質な靴音が響き渡る。

 いっそ場違いとも思えるほどのんびりした口調で靴音の主、セレニィが口を開く。

 

「まぁ、それはこちらの主張。場所が違えば、見解の相違とてありましょうが…」

「………」

 

「私どもの和平を求める心に偽りはありません。故に、宣戦布告はせず抗議に留めた」

「……せ、宣戦布告!?」

 

「何をそんなに驚かれることがありましょうか? ……ねぇ、モース様」

 

 思わず叫び声を上げた役者の青年の声に、クスクスと嬉しそうに微笑むセレニィ。

 そして両手を後ろに組んだまま彼と息がかかる距離まで接近し、その顔を見上げる。

 

「それとも… 襲撃で命を落とした四十三名の命は、そこまで軽いと?」

「ッ! 君、は…」

 

「非戦闘員もいました。コックや医者などのね… 真っ先に命を落としたようですが」

 

 先程までと打って変わった低いトーンの声音に、感情の抜け落ちたかのような表情。

 それらを携えて、まばたき一つせずに、モース役を演じている彼を見上げている。

 

 答えることの出来ない彼に向かって、彼女は低く感情を篭もらない声でなおも続ける。

 

「そんなにしたいんですか? ……戦争」

「………」

 

「なら、しますか? 直ちに教団への寄付を差し止め戦争するよう、建白書を奏上して」

「ま、待てっ!」

 

「………」

 

 そのまま徐々に顔を俯かせていくセレニィに向かって、彼は慌てて呼びかける。

 観客は息をするのも忘れて目の前の光景に見入っている。いや、魅入られている。

 

 ………。

 

 その沈黙は数瞬。

 しかし役者の男をはじめ彼女を除くその場の全員にとって、それは永劫の時にも思えた。

 

 そしてその沈黙を破ったのは、やはり彼女… セレニィであった。

 彼女は静かに肩を震わせ、やがて堪え切れないといった風情で顔を上げ声を発した。

 

「なーんちゃって! ……冗談ですよ、冗談」

「……は?」

 

「やだなぁ、私にそんな権限あるわけないじゃないですか。ただの一般人なのに」

「な、な、な…」

 

「あはは、騙されちゃいましたか? ごめんなさい」

 

 そう言って自虐的に表情を見せたのも一瞬のこと。

 すぐに明るい笑顔を取り戻して、再度、口を回転させ始める。

 

「でもモース様もいけないんですよ? アクゼリュスのことを黙っているから」

「……アクゼリュスのこと?」

 

「アクゼリュスが崩落したのはみなさん、ご承知のとおりかと存じます」

「それが一体どうしたというのだ?」

 

預言(スコア)に詠まれていたからなんでしょうけどね。あぁ、この場合は秘預言(クローズドスコア)ですか?」

 

 頬に人差し指を当てながら、空とぼけたような仕草で小首を傾げる。

 そんな彼女… セレニィ役の少女の発した言葉に、一同は息を呑んだ。

 

 それは、つまり…

 

「アクゼリュスの崩落は予定通りだった… 故に住民は見殺しにされた、と」

「そんな… そんなはずはっ!」

 

「なるほど、それなら和平に反対されるのも頷けます。……巻き込まれますものね?」

 

 同情するような苦笑いを浮かべる。

 そう、「仕方ないですよ」「誰だって自分が可愛いですよ」そんな言葉を言外に滲ませ。

 

 役者の彼は、まるで自身が責められているような気分になり言葉を詰まらせる。

 観客の間でも、これが演劇ということも忘れて動揺が広がっている。

 

「そういえばアクゼリュスに人道救助のために人を派遣することはなかった…」

「ホド戦争の折は、先の導師エベノス様が迅速に介入なさったものねぇ…」

 

「ケセドニア北部戦の時だってそうだ。悲しくも全滅の憂き目にあったが教団は…」

「なのに、今回に限って何故…?」

 

「まさか本当に…?」

 

 そこにパン! と、大きな音が響いた。セレニィが柏手(かしわで)を打ち鳴らしたのだ。

 ざわめきを収めた一同を見渡し、笑顔で語りかける。

 

「まさか、モース様に限ってそんなことあるわけないじゃないですか! ねぇ?」

「あ、あぁ…」

 

「“未曾有の繁栄”のためならば、小を切り捨てることも辞さない決断力」

「………」

 

「少しでも被害を抑えんとして立ち回る献身性。実に素晴らしいじゃないですか!」

 

 モースを持ち上げる彼女の口振りに、観客一同揃って互いの顔を見合わせる。

 

 なるほど、言われてみれば確かにそうかもしれない。モース様に限ってそんなことは。

 それもこれも深謀遠慮による動きだったのだ。流石はモース様。モース様万歳。

 

 そんな彼らの胸中など何処吹く風といったふうに、セレニィ役の少女は笑顔で言葉を続ける。

 

「……ですが、笑えますねぇ」

 

 嘲るようなその口調に、場はシンとした沈黙に包まれた。

 声を発するのはただ一人… 天真爛漫そのものの笑みを浮かべているセレニィである。

 

 まぁ、そのお腹の中はお見せできないほどに真っ黒なのであるが。

 

「その行動の結果… マルクトはもとより、キムラスカの国王までもを激怒させ」

「………」

 

「政治顧問の職を解かれ追放。挙句、イオン様をアクゼリュスの崩落に巻き込んだ」

「………」

 

「かくして世界は『平和の象徴』を失い、ダアトは窮地に立たされる… と」

 

 歌うような語り口調。暴論の極みにすぎない。

 

 そもそもが、ダアトの窮地はモース一人によって齎されたものとは言い切れない。

 かてて加えて、彼女の話す内容も荒唐無稽に過ぎるというのが実情だ。

 

 常ならば、演技の熱が入りすぎたのだと一笑に付されて然るべきだろう。

 だが間の悪いことに… ダアトの民は信心深く、そして導師不在の不安に苛まれていた。

 

 ましてここに集う面子は、そんな不安を払拭したいがために演劇見物に訪れたのだ。

 そこに、このような逆に不安を煽るような話を聞かされてしまってはたまらない。

 

 少女の『まるで実際に体験してきたような』リアリティ溢れる語りもそれに拍車をかけた。

 

「そうだ。イオン様はアクゼリュスの崩落に巻き込まれて…」

「幾ら秘預言のためであろうと、イオン様を危険に晒す必要なんてあったのか…」

 

「モース様… 一体何故このようなことを…」

「あぁ、おいたわしやイオン様… ご無事でいらっしゃるだろうか?」

 

「あぁ、私にはモース様のお考えがわからない…」

 

 故に、この扇動家(アジテーター)の言葉を信じてしまった。純朴で信心深いがゆえに。

 

 イオンのことを想い、聴衆は我がことのように嘆いて祈りを捧げ始めた。

 そんな様子をつまらなそうに一瞥し、そっと溜息をつくセレニィ。

 

 しかし、彼女と相対するモース役の彼にしてみればたまったものではない。

 役によって罪悪感を刺激されるばかりか、突き刺すような視線まで増えてくる始末だ。

 

 いよいよもって、四面楚歌の様相を呈してきた。

 

「(あるいはもう敗北を認めるべき『流れ』なのかもしれない。けれど…)」

 

 そう… けれど、彼は『役者』なのだ。それもとびきりプライドの高い。

 

 彼の考えるモースはここで膝を折ってはならない。

 ならば、抗い続けることこそ必定であろう。

 

 それが言いがかりでもヤケクソでも、反撃しなければならない。

 例えどんなに無様で滑稽であろうとも、演じ抜けなかった『役割』に意味はないのだから。

 

 だから砕けそうになる心を束ねて、グッと眼前の『敵』を見据える。

 そして、ふてぶてしい表情で微笑んだ。

 

 そんな彼の変化に気付いてか気付かないでか、セレニィは某ドS直伝の嫌味を続ける。

 

「さて、和平を妨害し王国を追放されイオン様も失い祖国を危険に晒した…」

「………」

 

「モース様… そんなあなたが、まだご自分は『正義』であると言えますか?」

「無論だ」

 

「………」

 

 迷いなきその言葉に、セレニィは僅かに目を見張った。

 確固たる信念を持った鋼メンタルには、口から出任せの空虚な言葉は効き目が悪い。

 

 セレニィ自身、自分の中身の無い適当な言葉の軽さを知っている。

 だからこそ丁寧に丁寧に揺さぶりをかけて、場の空気をも染め上げたのだ。

 

 それなのに何故? ほんの少しの動揺を見せたセレニィに、彼が追撃をかける。

 

「何故ならばセレニィ… 貴様が『魔女』であるからだ!」

「……魔女?」

 

「貴様が皇帝陛下や国王陛下を洗脳し、己の良いように世界を操っているのだ!」

「………」

 

「全てはこの私を排除し、ローレライ教団を窮地に陥れんがために!」

 

 その弾劾に、少女がポカンと口を開けて呆けた表情を見せたのも束の間。

 やがて、その沈黙は破られる。

 

「プッ… ククク。フフッ… フフフ、アハハハハハハハハハハハッ!」

 

 他でもない少女自身の笑い声… 哄笑によって。

 

 モース役の彼自身、半ば以上ヤケになって口走った言葉だ。

 この結果もやむを得ないものと言えた。

 

 それでも退く訳にはいかない。勇ましく声を上げる。

 

「な、何がおかしい!?」

「いえ、失礼… ですが、そうですか。『洗脳』ときましたか… フフッ」

 

「そうだ、それを使い貴様は両国を傀儡にしたのだ。大人しく白状を…」

「いえ、使えませんけどね。そんな便利な魔法」

 

「………」

 

 一刀両断であった。

 

「というか、そもそも『傀儡』ってなんですか? 不敬極まりないですよね」

「い、いやしかしだね…」

 

「『しかし』も『案山子(かかし)』もないですよ。マルクトはまぁ百歩譲っていいとしましょうか」

「う、うん…」

 

「でもキムラスカにそれは不味いですよね? ダアトの宗主国ですよ」

「そ、そういえばそうだったね…」

 

「それを『傀儡にされる程度の王』なんて口にしちゃって… 知りませんよ?」

「いや、そこまでは…」

 

「言ったも同然ですよね? 国家舐めてるんですか?」

 

 彼女はやや砕けた口調で、しかしジト目で機関銃のように言葉を紡ぎ続ける。

 反論が全て封殺され、気勢を削がれた役者の男はやがてガックリ項垂れた。

 

 自分のことは棚に上げつつ相手を一方的に攻める手腕は、流石の一言といえる。

 ……人間的にどうかと思わないでもないが。

 

「す、すみませんでした…」

「まぁ、分かっていただければいいんですよ。……私も少し言い過ぎちゃいましたし」

 

「うん、それは本当に」

「え? 『おかわり』をご希望ってことですか?」

 

「すみませんでした!」

 

 もはや観客が見ていようとお構いなしである。先程までの険は収めている。

 それは、無理やり役を降ろされた彼にとっても同様であった。

 

 互いに素の表情で言葉を交わし合っている。

 慌てて下げられた青年の頭に、ややゲンナリとしながら少女が返答する。

 

「いや、冗談ですから… そんなに怯えないでください。地味に傷つきます」

 

「……あ、うん。ごめんなさい」

「いえ、こちらこそ。それじゃ私はコレで… お陰様で色々とスッキリしました」

 

「あ、その!」

 

 清々しい表情で立ち去ろうとする少女の背中に、男は反射的に声をかけていた。

 立ち止まり振り返りながら小首を傾げる少女の姿に、先程までのオーラの影はない。

 

 そんな彼女の様子に彼は少し安堵し、そして疑問に思っていたことを口に出した。

 

「その… 君は、一体何者なんだい?」

「……は?」

 

「君は… あまりにも事情に詳しすぎる。まるで見てきたかのように…」

「………」

 

「ひょっとして、君は…」

 

 ある種の確信めいた考えを言葉に出そうとした時、少女がニヤリと笑って口を開いた。

 

「……私はセレニィ」

「や、やはり…」

 

「先程も言ったとおり… ただの一般人です。『モース様』もよくご存知でしょう?」

 

 冗談めかした所作で微笑む。

 殊更に作り物めいた表情と仕草で、これが舞台の第二幕であることを強調している。

 

 その雰囲気に呑まれそうになりながらも、彼は口を開く。

 

「! し、しかし… 君が為したことは」

「本当ですよ」

 

 一拍区り、芝居がかった仕草で彼女は『セレニィ』という存在を謳い上げる。

 曖昧な微笑を浮かべながら。

 

「何も特別な存在などではありません。……誰もがセレニィに成り得るのです」

「誰もが…」

 

「えぇ。死霊使い(ネクロマンサー)のような知恵もなければ、モース様のような指導力もない」

死霊使い(ネクロマンサー)… マルクトの、あの…」

 

「尊き方々のような(くらい)もなければ、イオン様のようなカリスマもない」

「………」

 

「どこにでもいて、誰でもない… そんな無力なただの『石ころ』。それが(セレニィ)です」

 

 そう言い切って控えめに微笑む。

 

「特別な誰かである必然性がない以上、誰もがセレニィに成り得ます」

「誰もが…」

 

「第二第三のセレニィは、ひょっとしたらあなた方の中から出るかもしれませんね?」

 

 クスクスクス… と微笑んで、彼女は今度こそ舞台から降りた。

 それを止められる者はいなかった。

 

 誰もが彼女の残した言葉を反芻していたのだ。

 そう… 『誰もがセレニィに成り得る』という言葉を。

 

 セレニィが齎してきたとされる数々の災厄は、これまで預言(スコア)には詠まれなかった。

 もし『何処にでもいて誰でもない』という彼女の言葉が真実だったら?

 

 導師が不在であることに加え、各国との関係も今や危ういものになっている。

 そんな現実を否応なく突き付けられたのだ。

 

 預言(スコア)を遵守してきた敬虔な信者たちにとって、それは未知の世界と言える。

 信じるべき預言(スコア)はもはや絶対のものではないかもしれない。……ならば、どうする?

 

 彼らは一人の少女の適当な弁論により、かつてない岐路に立たされるのであった。

 

 

 

 ――

 

 

 

 礼拝堂を後にしたセレニィは、大きく息を吐いた。

 

「ふぅ… ついカッとなってやっちゃいましたけど、なんとか逃げ切りましたか」

 

 額には冷や汗が一筋。

 

 苛々がピークに達したせいとはいえ、無関係な人に八つ当たりをしてしまった。

 改めて自分の性格の悪さを自覚し、ちょっぴり自己嫌悪に陥りそうになる。

 

 とはいえ、冷や汗の原因はそればかりではない。

 

「(モースさんの排除… 企てました。教団の破滅… あわよくば狙ってました)」

 

 あの時のことを思い出すと、改めてどっと汗が噴き出してくる。

 アレが口から出任せなのかなんらかの確信があったのか… 神ならぬ身には測れぬこと。

 

 怒りの後押しがあったとはいえ、場の空気を完全に整えた自分へのカウンター一閃。

 モースの排除は絶対条件であったし、あわよくば教団の力を削げればとも思っていた。

 

 そして各国の要人を『洗脳』はしていないが、『誘導』したのは紛れも無い事実。

 

「アレがプロの役者の勘、というものなんですかね? ……はぁ、おっかない」

 

 つまるところ、彼の指摘は大凡正解ではあったのだ。説得力に欠けていただけで。

 動揺を表情に出すことなく、笑い飛ばせていただろうか? ……出来ていたと思いたい。

 

 やはり感情に身を任せるとろくなことがない。調子に乗るのも程々にしないと。

 未だうるさいくらいに動悸を響かせる心臓を服の上から抑えて、そっと溜息を吐く。

 

 しかし、続いて不敵な笑みを浮かべた。

 

「フッ… 手強い相手でしたが、見事逃げ切りましたよ」

 

 最後の最後の追撃も、なんとか煙に巻いて曖昧な文句でふわっと誤魔化した。

 

 ダアトからの仕打ちに苛立ってたのも遠い昔のこと。

 今は心もスッキリ爽やかに晴れ渡っている。

 

 やはりこまめなガス抜きは健康のための必須項目だろう。是非取り入れていきたい。

 ……問題は仲間と旅をしていると、加速度的にストレスが溜まりそうな点だが。

 

「ま、なんとかなるでしょう。うん! がんばろう!」

「あー… ちょっと、そこの君。少しだけ、いいだろうか?」

 

「……あ、はい?」

 

 未来の展望を胸に秘め、一つ気合を入れ直したところで背後から声を掛けられた。

 

 振り返ったセレニィの瞳に映ったのは、数名の神託の盾騎士団の姿。

 いずれも屈強な男性である。

 

 思わず硬直するセレニィに、恐らくリーダー格であろう壮年の男性が語りかけてくる。

 

「我々は神託の盾(オラクル)騎士団だ。大礼拝堂に『セレニィ』が出たと聞いて出動した」

「……アッハイ。御役目、お疲れ様です」

 

「疑うわけではないが、少しだけ詰め所で話を聞かせていただけないだろうか?」

 

 穏やかな口調ではあるものの、その瞳は拒否を許さぬようにセレニィには見えた。

 かくしてセレニィは、神託の盾(オラクル)騎士団の詰め所へと連行されることになった。

 

「私、悪くないもん!」

 

 セレニィは泣いた。

 悲しいかな、この世に邪悪の栄えたためしなし。因果応報。諸行無常。





【挿絵表示】


無月緋乃さん(pixiv id=1277419)からのいただきものイラストです。
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