ナルカプ妄想物語   作:落ち葉崩し

1 / 4
気がつけば追いかけていた

あの金色の髪の毛を

あの優しくあたたかい光を

でも彼は冷たい闇の底にいた


いの〜金色の髪を追いかけて〜

山中いのは休みになると火影岩の上に出かけるのが最近の習慣になっていた。

 

任務で忙しい中、休みになると欠かさず行くようになっていた。そこにはよく金色の髪の少年がいたから。

 

彼女はサスケが好きなはずだった。なのに気がつけばサスケではなく金色の彼のことを考えるようになっていた。

 

いつからだろう、こんな気持ちになったのは。

 

そう、あれはあの時からだった。

 

・・・・・・・・・・・・

 

任務が終わり報告に行くというアスマ先生と門で別れ、用事があるというシカマルとチョウジを見送った後、雨が降りしきる町を小走りで家に向かっていた時だった。

 

ちいさな路地で聞こえる騒音。覗いてみると誰かが叫び何かを殴るのが見えた。

 

私はたまらず叫ぶ。

 

「あんた、何やってんのよ!そんなとこで!」

 

私の声を聞いた大人たちは振り返ると私を視界に入れた。

 

「あぁ、なんだお前、邪魔すんな!」

 

一人の男が食ってかかってくるが臆すことなく文句を言ういの。

 

「はぁ、1人を相手によってたかって暴力振るうようなやつが何偉そうなこと言ってんのよ!」

 

いのの言葉に逆上した男が吠える。

 

「言わせておけば!」

 

「待て、やめておけ!そいつ山中上忍の娘だ!」

1人が私に気づいて声を上げる。

その声を皮切りにみんな私の横を通り過ぎ去っていく。

 

私は倒れている人に声をかけるため近づくとそこにいたのは金色の彼だった。

 

いつから殴られ続けていたんだろうか顔はいろんなところが切れ、アザもたくさんある。服をめくると痛々しいまでのアザが数え切れないほどあった。

 

私は困惑しながら彼に声をかける。

 

「ナルト!大丈夫!?なんであんたがこんな目にあってるの?傷だらけよ??」

 

彼は少しだけ反応を見せると話しかけてきた。

 

「いの、怪我とかない?あいつらに何かされなかったか?」

 

なんであんたが私の心配なんかしてんのよ?あんたの方が傷だらけなのに。

 

そんなことを心の中で考えながらナルトを背負うために立ち上がらせようとした。

 

「私は大丈夫だから。少しだけ我慢して、病院に連れて行くから」

 

そう声をかけると彼は私のふくをつかみ首を振る。

 

「病院はダメ。誰も俺のことなんか治療してくれないから」

 

その言葉に耳を疑う。

 

どんな人でもお金を払えば治療を施すのが病院のはずだった。いのが知る限り怪我をした時、風邪をひいた時いつでも病院に行けば治療をしてもらえた。

 

考えていると彼は私に痛々しい笑顔を見せる。

 

「だからさ、悪いんだけど家まで送ってもらってもいいか?あと、できれば綱手のバァちゃんに知らせておいて」

 

そう言うとナルトは意識を手放した。

 

私はそのナルトを抱えてから考える。

 

『あれ?私ナルトの家知らなくない??』

 

困ったいのはナルトを抱えたまま立ちすくむ。

 

だが傷だらけのナルトを雨に晒させ続けるわけにはいかない。考えた末に綱手のところに連れて行くことにした。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「失礼します!綱手様!ナルトが、ナルトが!」

 

私はノックもすることなく執務室に飛び入る。

 

「なんだ騒々しい、ナルトがどうした??」

 

綱手様は椅子ごと体をこちらに向けると目を見開く。

 

「ナルト!これはまさかまた!」

 

また?どういうこと?

 

「綱手様?またってどういうことですか??」

 

私は綱手様に質問するもその答えは返ってこなかった。

 

「話は後だ!シズネ、治療を開始するよ!いのは雨に濡れたままでは風邪を引く。一度帰って温まり、着替えてからまた来なさい。事情を説明するから」

 

そう言うと2人はナルトを抱えて部屋を出る。

 

私は言われた通りに家に帰りシャワーを浴びる。

 

なんでナルトがあんなに無抵抗で殴られていたのか?

 

なんで病院では治療をしてもらえないのか?

 

なんでナルトはあの時笑ったのか?

 

様々なことが頭をめぐったが答えは出なかった。

 

 

そして着替えて傘をさし火影執務室に戻っていく際に起きたナルトと一緒に食べようと、甘栗甘で団子を買って行った。

 

 

「失礼します。」

 

今度はちゃんとノックして静かに入室した。

 

火影様は椅子に座り、部屋の隅のソファーには包帯を頭に巻いて腕も足も包帯でぐるぐる巻きにされたナルトがいた。

 

 

「綱手様、ナルトの容体は??」

 

綱手に尋ねると笑顔で返ってくる。

 

「お前がすぐにここに連れてきてくれたおかげで、ナルトの傷はすぐに治ったよ。今は疲れたのか寝ちゃってるけどね」

 

綱手の安堵したような表情を見て私もホッと一息ついた。

 

「綱手様、なんでナルトがあんな目にあってるんですか?それに今日が初めてじゃないんですよね?」

 

私の問いに綱手様は頷くと話し始める。

 

「ナルトがああして暴力を振るわれ始めたのは以前聞いたところ3歳になった頃かららしい。猿飛先生が出来るだけナルトを守ってはいたけれど、隙を見て暴力を振るわれていたようだ。そして最近は猿飛先生がなくなり、私が対処していたんだがやはりたまにああして暴力を振るわれている」

 

綱手様はくやしそうに唇を噛み締めて机を叩いた。

私は疑問を口にする。

 

「ナルトがそんな小さい頃から!?理由は?理由はなんなんですか??」

 

その質問に綱手は目を細め私を睨み聞く。

 

「いの、お前はこれを聞いてどうしたい?理由があり、ナルトが悪いと判断した場合お前はどうする?」

 

鋭い言葉に対して私はすぐさま反論する。

 

「理由があってもなくても関係ない!ナルトがそんな小さい頃から暴力を振るわれていい理由になんてならない!それにナルトは私に言ったわ!病院じゃ何も治療してくれないって。だから綱手様に言うようにって頼まれた。そんなナルトを私は責めることなんてできません!」

 

感情が高ぶり涙が溢れる。ナルトがそんな目にあってきたのに気づかなかった自分が悔しくて悔しくて仕方ない。

 

その言葉を聞いた綱手様は覚悟を決めたように話し始めた。

 

「12年前の10月10日、木の葉の里を九尾の化狐が襲ったのは知っているか?」

 

私は頷くが頭にはてなが浮かぶ。

 

「その化け狐を退治する際にたくさんの犠牲が出たことも知っているだろう。そしてその狐は殺されたのではなく封印されたのだ。2人の英雄によって」

 

?その話は聞いたことがあるがその話が何に関係しているの?と疑問を覚えていると、綱手様は衝撃的な言葉を発した。

 

「その2人はナルトの両親で、4代目火影である波風ミナト、そしてその妻でありナルトの母であったうずまきクシナ。そしてその封印の器となったのが当時まだ生まれたばかりだった赤ん坊の『うずまきナルト』だ」

 

ハッと息を呑む。まさに衝撃的だった。だがこれがナルトが暴力を振るわれるのと何の関係があるのか。

 

「普通ならナルトは里を救った英雄と扱われてもおかしくはなかった。だが里の奴らはやつを人としてではなく、里を壊滅させた化け狐として見た。あいつが4代目やクシナの子だということも知らず、生まれ落ちてすぐに犠牲にされたとも知らず!里を壊した狐に仕返しでもするかのように幼いナルトに暴力を尽くしてきたのさ」

 

その言葉にいのの怒りは爆発した。

 

「何よそれ!ナルトは何も悪くないじゃない!むしろ被害者よ!知らないうちに里を守り、里のために犠牲になったナルトがそんな目に合うなんて!許せない!」

 

私は泣き叫ぶ。ナルトに今まで暴力をふるった人間を許せなかった。

 

「落ち着け、いの。私も同じ気持ちだが、暴力をふるったやつを聞いてもナルトはいつもはぐらかすんだ。まるでそいつらを守っているようにな。だからナルトが望まないなら私たちはただできるだけナルトのそばにいて、ナルトを守ってやればいい。いの、お前はこの話を聞いてもナルトのそばにいてやれるか?」

 

綱手の言葉に首を縦に振り眠っているナルトに近寄り頰に手を添える。

 

まだ成長しきっていない自分と同い年の彼。彼が今までどんなに辛い目にあってきたのか。どんなに苦しんできたのかはわからなかったが私の目から涙が溢れポタリとこぼれ落ちた。

 

 

それがナルトの顔にあたり、目をさますと彼は痛むであろう右手で私の涙を掬いこう言った。

 

「いの?なんで泣いてるの?痛い??」

 

その言葉に泣きながら笑顔を作り私は応える。

 

「痛くないわ、あんたがそばにいるのがなんとなく嬉しいだけ」

 

そういうとナルトは少し笑顔になった。

そして私に言ったの。

 

「いのが笑ってくれた方が、俺も嬉しいってばよ」

 

だから笑った。ナルトに心の底からの笑顔で笑った。

 

起き上がったナルトと一緒に買ってきた団子を食べて、その日はナルトの家まで一緒に帰り、私は1人家に帰った。

 

・・・・・・・・・・・・

 

あれから3日後。7班との合同任務。2人1組での猫10匹の捜索だった。いつもなら私とサクラはサスケくんの取り合いをするところだが今日は違った。

 

「ナルト、一緒に行きましょう」

 

ナルトの手を引き走り出す。ナルトは呆気に取られたがすぐに笑顔になり一緒に走り出した。

 

「いの、サスケと一緒じゃなくていいのか?いっつもサクラちゃんと取り合いしてるのに」

 

猫を探しながらナルトが声をかけてくる。

 

「別にいいの!今日から合同任務の時はあんたとやるって決めたんだから!」

 

そう告げて笑うとナルトも笑った。金色の髪と同じくらいに明るく温かい笑顔で。

 

「ありがとう、いの!」

 

そう言うと歩き出す。嬉しそうに肩と頭を揺らしながら私の前を歩いていく。その姿に一瞬目を奪われ、ナルトを見つめた。

 

 

そして猫を全て集め終わると、依頼人からお弁当の差し入れがあり、みんなで食べることになった。円になりみんなで食事を取っている時に私はナルトの隣を陣取り話しかける。

 

「ねぇ、あんた休みの日とかどうしてるの?」

 

なんとなく聞いたその答えにナルトは考えたのちに答える。

 

「火影岩の上でゆっくり過ごしてるかなー、朝起きたら走ってそこまで行ってさ、一日中昼寝したり、修行したり、本を読んだりしてさ、それで夕焼けを見た後に帰るんだ!

雨の日は大抵家にこもってるけどな!」

 

ナルトは弁当をかきこみ、お茶を飲む。

 

『火影岩か、確かにあそこは遠いから人も来ないし、景色もいいわね。あの場所が好きなのかな?』

 

そんなことを考えながら弁当を食べていく。

 

そこからは他愛もない話をして、みんながご飯を食べ終わるとそのまま解散となり、家路に着いた。

 

そして次の休みには火影岩に行ってみようと考えていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

そして次の休みの日、朝から多めのお弁当を作っていた。

 

パパが起きてきて声をかけてきた。

 

「おはよう、いのちゃん。どこかお出かけかい?今日は休みだろう?」

 

その言葉に振り向いて答える。

 

「天気もいいから火影岩まで行ってみようかなぁって、普段あんまり行かないからね!」

 

怪しまれないように答える私。パパは笑顔で言う。

 

「そうか、気をつけて行ってらっしゃい!私は今から任務があるからもう出かけるよ!ママは店にいると思うから出かける時に一応言っておくんだよ!」

 

そう言うとパパは出て行った。

 

「はーい、パパ!いってらっしゃーい!」

 

そしてお弁当作りを再開する。ナルトの好物聞いておいたらよかったな。

 

そんなことを考えながら、美味しそうに食べるナルトを想像して、笑顔を浮かべながら弁当を完成させた。

 

 

 

11時30分頃、火影岩に到着すると、3代目の頭の上あたりで、ナルトが寝転んでいる。お腹の上にはちいさな鳥がとまっているが、眠っているナルトは気が付いていないようだ。それにその小鳥も眠っているのか微動だにしない。

 

そんなナルトを見て微笑み、近くにシートを敷き、ご飯を食べられるように準備をした後、ナルトを見ていた。安らかに、気持ちよさそうに眠るナルト。その横顔はあどけなく、私とそんなに年が変わらないことを実感する。

 

 

時計を確認すると12時を過ぎてから10分ほどたっていた。

 

そんなに無意識のうちにナルトを長時間眺めていたのか私。心の中でツッコミをいれ、そろそろお腹もすいてきたため、ナルトを起こした。

 

 

「ナルト、起きなさい」

 

ナルトを揺すると鳥も起きたのか、パタパタと羽を動かし飛んでいく。それにつられてかナルトも目を覚ました。

 

「ん、いの?おはよう」

 

フニャっとしただらしない顔のまま私に挨拶をするナルト。その顔を見てふふっと笑ってしまった。

 

「おはよう、ナルト!お弁当作ってきたの、もしよかったら一緒に食べましょ?」

 

私の誘いにナルトは眠そうに目をこすると辺りを見渡す。頭がまだ追いついていないようだった。

 

「ナルト?しゃんとしなさい!お弁当作ってきたけど食べないの?」いのの声にナルトが急に頭が覚醒したのかお弁当を見つめたあと私に向き直った。

 

「いの、これお弁当、俺が食べていいの!?」

 

その言葉に頷き笑顔で答えてあげた。

 

「ナルトと食べようと思って作ってきたのよ!一緒に食べましょう」

 

ナルトと一緒にシートに上がり、持ってきたお弁当を広げ、紙皿とお箸をナルトに手渡した。

 

ナルトは目を輝かせて私に言った。

 

「これぜんぶいのが作ったのか!?すげぇ、うまそうだってばよ!食べていい?食べていい?」

 

あまりに無邪気な笑顔に笑みをこぼし頷いたらナルトはお箸を弁当に伸ばしお皿にいっぱいの料理を取り食べ始めた。

 

「いっただきまーす!」

 

私はそれを見ながら紙コップにお茶をつぎ、ナルトの横に置いてから食べ始めた。

 

ナルトはうまい、美味しいを連呼しながら嬉しそうに食べてくれた。嬉しくなった私はナルトの前で笑いながら自分の作ったお弁当に箸を伸ばし食べ始めると自分のことながら確かに美味しくかんじた。

 

ナルトの笑顔を見るとなんだか胸がいっぱいになり、いつもより食べられなかったけれどナルトは残さず全部平らげてくれた。

 

そしてお昼ご飯を食べ終わるとナルトは笑顔で手を合わせる。

 

「ごちそうさまでした!いの、ありがとな!」

 

そう言って笑うナルトの笑顔は輝いていて、なぜか胸が暑くなるのを感じた。

 

「ねぇナルト、これからどうするの?修行?日向ぼっこ?」

 

私の問いに悩んで見せると、言葉を濁す。

 

「んーんとね、考えてなかったから悩むってばよ」

 

その言葉に私は悪巧みをした子供のように笑う。

 

「ねぇ、ナルト。一緒に昼寝しましょ?いいでしょ?」

 

そう言うとナルトに首を傾げてみせる。

 

ナルトは笑顔で頷くと、シートの上で横になる。

 

そんなナルトの隣で私も横のになりナルトの方を向く。

 

ナルトは上を向いたまま目を閉じる。

 

私は心地いい風に揺れる金色の髪を見つめながら、暖かい日差しに照らされいつの間にか眠りに落ちていた。

 

 

 

気がつくと私は周りを見渡す。

 

そしてナルトを探すとナルトは顔岩の上で腕を組み里を見下ろしていた。その後ろに立ちナルト越しに眺める里はなぜか綺麗なはずなのに、汚れて見えた。ナルトを傷つける里、そんな思いがよぎった。

 

私に気付いたナルトが声をかけてくる。

 

「おはよ、いの」

 

私もおはようと返す。するとナルトは私の顔をじっと見て聞いてくる。

 

「いのは里が好き?」

 

どきっとした。そして即答できなかった。ナルトを傷つける里のことを私は好きなのかわからなかった。

 

「俺は里が大好きなんだ。だからさ、みんなが認めてくれるように頑張って頑張って、いつかは火影になってみんなを守れるようになりたいんだ。だから、今俺が里のみんなに好かれていなくてもいいんだ。それでも俺は里のみんなが大好きだからさ」

 

そういうナルトは私に近づき目元を触った。

また気づかないうちに泣いていたようだ。

涙をぬぐってくれたなるとは私の顔を覗き込み笑う。

 

「ありがとう、いの」

 

ナルトが私にありがとうを告げる。何度も何度も。私が考えていたことがわかったかのように何度も繰り返しありがとうと。

 

私は首を振りナルトに言った。

 

「ごめんなさい、今まで気づいてあげられなくてごめんなさい」

 

ナルトにすがりつき泣きながら言う私の肩をだきナルトは言う。

 

「いのが俺に優しくしてくれる。それだけで俺は幸せだってばよ。だから泣かないで?笑ってて」

 

そういうとナルトは私から離れ笑顔を見せる。

 

私はまたぎこちない笑顔を見せる。涙で滲む目にはナルトの笑顔が眩しくて、なぜか私は顔を背けた。

 

それに気づいたナルトは私の視界に入ろうとする。私はそれに気づきまた顔をそらす。その繰り返しをしていると、知らないうちに涙はやみ、笑顔があふれているのであった。

 

その日ナルトといっしょに一楽へ行くと、おじさんは喜んでくれた。そして私たち二人にサービスで卵とチャーシューをつけてくれた。

 

おじさんはナルトが綱手、シズネ、サクラ以外の女の子を連れてきたことがないということを教えてくれた。

 

ナルトは照れているのか赤くなりながらおじさんを諌めるが、おじさんは全く気にしていないのか私に私の知らないナルトをいっぱい教えてくれた。

 

私はそれを聞きながらラーメンを食べ、ナルトをからかった。ナルトは時折おじさんと私に怒ったようなふりをして言葉を発していたが、どことなく楽しそうにしていた。

 

そしてまた私はナルトを家まで送り、家路につく。

普通なら逆なのだろうが、もしナルトがひとりになったところを狙って暴力を振るうやつがいるかもしれない。そう思うと私は送ってもらうことができず、ナルトを送ることにしたのだった。

 

家に帰るとパパが椅子に座ったまま本を読んでおり、ママは台所で洗い物をしていた。

 

 

ただいまと告げ自分の部屋に戻ろうとした時にパパから呼び止められた。

 

「いのちゃん、ちょっといいかな?」

 

その言葉に私はパパの前に腰を下ろした。

 

「いのちゃん、綱手様から聞いたよ?ナルトを助けたんだってね。そしてナルトの真実を聞いたとも」

 

その言葉に頷いた私は不安にかられた。ナルトにもう会いに行ってはいけないと言われたら。もしもパパがナルトを嫌いだったら。私はどうしたらいいのかと考えていた。

 

「いのちゃん、私はいのちゃんのしたことは間違っていないと思う。だからいのちゃん、いのちゃんは自分が正しいと思った道を信じていきなさい。そして何かあったらいつでも相談してきなさい。私はいのちゃんの味方だからね?もちろんママもね」

 

そう言うと後ろを見上げたパパに釣られて私も振り返り見上げると、私を温かい目で見つめるママの姿。そして目があい微笑むと、また振り返り家事をしに戻っていった。

 

「いのちゃん、ナルトはね。この里を救うために死んでいった4代目様の想いを受け止めて、今を精一杯生きているんだ。だからいのちゃんも負けないように頑張りなさい、応援してるからね」

 

そう言うと私の頭を優しく撫でてくれた。その手は大きくて少し堅いけれど優しいものだった。

 

・・・・・・・・・・・・

 

そしてそれから1ヶ月、私は休みがあると火影岩に向かうようになった。

 

会える日もあれば、あっちの任務で会えない日もある。またこっちの任務がある日にあっちが休みの時には会えなかったりと休みが重なり合うことがあったりなかったりで、結局会えたのは1ヶ月で5回ほど。そしてお弁当を作っていっていた時に会えなかった時は綱手様やシズネさんと一緒に食べるためにアカデミーに行くこともあった。

 

 

今日もまた火影岩に行くと、ほおを腫らし頭に包帯を巻いたナルトがいつものように寝転がっている。

 

痛々しい姿を見るのはこれで2回目になるが、やはり目をつぶりたくなる。そしてナルトに暴力をふるったやつがにくくてしょうがないが、ナルトが悲しむようなことはしない。ナルトが望まないことはしないのだ。

 

そしていつものようにお弁当の準備をしてナルトを起こす。

 

「ほらナルト、起きなさい。今日もこの私がお弁当を作ってきたわよ」

 

そう言うとナルトは目をこすりながら起き上がり私を見るとへらっと笑う。

 

「おはよ、いの。今日もありがとう!」

 

そう言うとまだ意識が覚醒してないのか、私にもたれかかってきて動かない。

 

私は急なことに若干焦るが、よくよく考えたら嫌ではなく、むしろ嬉しく感じてしまっていた。全く遺憾ではあったが、受け入れる。

 

そして隣でぼーっとするナルトの頭に自分の頭を乗せてみる。すると恥ずかしさが一気にこみ上げてきたが幸せな気持ちもあり動けずにいるとふっと体が軽くなり、体重を支えきれずコテンと倒れてしまう。だがそこは柔らかく、目を開けるとナルトの顔が上に見える。

 

そう、膝枕状態だった。

私はパッド起き上がるとナルトに言う

 

「ち、ちがうの、今のは体を支えられなくて」

 

言い訳をする私を見てナルトは優しく笑う。

 

「別に嫌じゃなかったってばよ!」

 

そう言って私を撫でる彼。私は顔が熱くなるのを感じた。

私ばっかりドキドキしてるようで何か悔しくなる。

 

少し膨れて見せるとナルトは私の頬を両側から抑える。

 

ぷぅと空気が抜ける音がするとナルトは言った

 

「そんな顔してないで笑って?いのの笑顔、俺は好きだからさ」

 

その言葉は反則だと、私は思う。そんなことを言われて嬉しくない女の子はいない。それに笑顔にならない女の子はいないと思う。

 

いのは顔を紅く染めながら、微笑むのであった。

 

そしていつものように他愛もない会話をし、2人は楽しい時間を過ごした。

そしていつものように2人で帰り、いつもと同じ時間を過ごしていた。

 

だがその次の日、ナルトが綱手の管轄する部屋に緊急入院したという知らせが入る。

 

いのは全速力で走った。ナルトの元へ。

 

病室に入ると、今までにないくらいにボロボロのナルト。

その隣に座るカカシ先生とサクラ、そしてサスケくん。

 

カカシ先生は怒りを目に宿しており、サスケも肩を震わせ拳を握り締める。サクラはベッドに眠るナルトの足元に頭を埋めて泣いていた。

 

私は呆然と立っていた。目の前の光景が信じられなかった。

 

後ろから誰かが両肩に手を置く。

振り返ると綱手が立っていた。

 

「今朝早く、任務で門に集合するはずのナルトが来なかった。それで3人で探しに行くと川の浅瀬で半分体が使った状態で血まみれのまま倒れていたらしい。サスケが発見してすぐに私のところに連れてきた。意識はまだ戻っていないが、命に別状はないだろう」

 

そう告げられてぺたんと地面に座り込む。

 

よかった、ナルトが死ななくて。よかった、私を置いていかないでくれて。その気持ちが瞳から溢れだす。

 

そのまま立ち上がりナルトの顔を覗き込む。

涙がナルトの顔に落ちる。私はナルトに話しかける。

 

「起きてよ、ナルト、はやく…起きてよ…お願いだから」

 

シーツを握りしめ、話しかける。ナルトの顔はもう涙でほとんど見えなかった。

 

 

そしてみんなが帰った後も私は1人ナルトの隣に座っていた。ただナルトの近くでナルトが起きるのをじっと待つことしかできないもどかしさがあった。

 

シカマルやチョウジ、ヒナタ達の班も、リーさんたちの班のみんなも来てくれた。

 

皆憤りを感じているらしくナルトの痛々しい姿を見ると歯をかみしめて我慢しているようだった。

 

ほら、あんたにはこんなにいい友達が、仲間が居るのよ。だから早く起きなさい。

 

ナルトの隣でじっと待った。時間も忘れて座っていた。そして座ったまま、眠ってしまっていた。

 

目がさめると右手に暖かな感触があった。

右手を見るとベッドの上にあり、その手をナルトが握ったまま眠っていた。

 

私は呼びかける。ナルト、ナルトって。

 

その声に反応したのかはわからない。

でもナルトは少し目を開けてこちらを見つめて本当にちいさな、ちいさな声で囁いた。

 

「いの、おはよう、ありがとう」

 

って、私は泣くのを我慢して笑顔を見せる。

するとナルトも嬉しそうに笑ってくれた。

 

やっぱりあんたには笑顔が1番似合ってるわ。その笑顔を私は守りたい。

 

そう決心した瞬間だった。

 

そして回診に綱手様が来るまで2人は手をつないでいた。

 

回診が終わり、面会時間終了となる。

 

ナルトの手を離すと寂しそうな顔をする。

その表情を見ると嬉しくなってしまう自分がいた。

 

「また明日来るから、ね?」

そういうとナルトは笑顔で見送ってくれた。

そして私は綱手様のところへ向かう。

 

「失礼します」

 

私が入るとシズネさんが通してくれた。

 

「どうした?いの?」

 

綱手様の問いに思い切り頭を下げてお願いする。

 

「お願いします、私に医療忍術を教えてください。ナルトを治してくれる医者がいないなら、私がナルトを治せるようになりたいんです。お願いします!」

 

そう言うと綱手様は腕を組み考える。

 

「私は厳しいよ?今の言葉、取り下げるのは今だけだ。弟子入りしたら諦めるなんてさせないぞ?」

 

綱手様の目を見つめたまま頷くと、笑顔が返ってくる。

 

「わかった、では明日から修行を始めよう。いのいちにも伝えておくように」

 

そう言うとまた仕事に戻る綱手様。

それに一礼をし出て行く。

 

そして帰り道、中央の広場を通りかかると人混みが見えた。

 

近寄るとカカシ先生が暴れていた。それを止めるのはアスマ先生と紅先生。そして傍には顔から血を流し怯えるように体を震わす中忍らしき人。そしてさらに暴れまわるサスケくんをガイ先生が取り押さえていた。そしてその周りには倒れている人もちらほらいた。

 

私は駆け寄ると事情を聞く。

 

みんなでご飯を食べていた時に昨日ナルトに暴行を加えたという声が聞こえる。そいつらは楽しげに話し、まだ生きているという話を聞き今からとどめを刺しに行くと話していたらしい。

 

そこにカカシ先生とサスケくんが飛び込み、怒りに任せて暴れまわったそうだ。そして騒ぎを聞きつけたのか、綱手様にシズネさん、そして暗部の人達が来て、倒れていた人たち、そしてカカシ先生とサスケくんが連れて行かれた。

 

私も行こうとしたが綱手様に止められ家に帰される。

 

そして家に帰り、パパとママに綱手様の弟子になり医療忍術を学ぶこと、ナルトを助けたいことを話すと、2人は立派になったと喜んでくれた。そして2人は私を応援してくれた。

 

その時私は誓った。ナルトの隣に立てる忍になることを。

 

次の日、ついに綱手様が動いた。今までナルトを苦しめてきた大人達への制裁を決めたのだった。

そして里の民へと12年前の真実を告げる。

 

里の民の反応は様々だったが、これでナルトへの対応は少しはマシになるだろう。

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

そして月日が流れ1年後、2人は中忍になっていた。

 

今までより時間もなく、ナルトは自来也様に、私は綱手様に弟子入りし、修行の日々を送っていた。ナルトは自来也様について諸国を旅しながらの修行であったため、ここ半年は会えていない。だがたまに届くナルトからの手紙が私を励ましてくれる。

 

 

 

その日綱手様との修行が終わり、今日は一緒にご飯を食べることになった。

 

 

シズネさんも一緒に3人で歩いていると、見慣れた金色が目に入る。

 

その金色の彼はこちらに碧眼の眼差しを向けると笑顔で走ってくる。私も駆け寄り抱きつくと彼はきつく抱きしめ返してくれる。

 

街の繁華街の中心ということも忘れ私たちは抱きしめあった。

 

そして彼の唇にキスを一つおとして囁く。

 

そのささやきに彼も小さくささやき返してくれた。

 

「おかえり、ナルト、大好き」

 

「ただいま、いの。俺も大好き」

 

そして2人はもう一度触れるだけのキスをした。

 

 

fin.




いやぁ、ナルいのはやはり少し甘いくらいがちょうどいいと思うんですよね!

いののストレートな愛にナルトはやられたんでしょうね!

それでは僕の妄想に付き合って頂きありがとうございます。

次回はテンテンが主役ですのでこうご期待ください!

10/8 落ち葉崩し
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。