あの時彼は必死になって戦い、確実に実力は上であった相手を倒してしまった。
木の葉の里では綱手様が火影となり里を統治し、3代目のあとをついでいた。
私は綱手様のそばにいる傍らで、彼のことをいつも気にかけるようになっていた。
そして今もなお隣に立ち彼を眺め続けている。
いつも頑張り続ける彼を。いつも傷だらけの彼を。いつも笑顔だった彼を。
木の葉に来て間もない頃。その日は医療現場の視察を行うことになっていた。
綱手様と共に木の葉病院に訪れていた。そして患者を診察しているところ。手術の風景。入院患者への対応の仕方。リハビリのやり方など。他にもさまざまなところを観察してまわっていた。
ガシャァン
そのとき1つの病室から聞こえた音。それは何かが落ちる音だった。
その音を聞きつけた私は一目散に走り出した。その音の聞こえた方向に覚えがあったから。
「シズネ!どうした!?」
後ろから聞こえる綱手様の言葉にも耳を貸すことはなかった。ただ一目散に走った。
ひとつの病室のドアを開けると一番奥のベッドでのどを押さえもだえ苦しむ彼の姿。
「ナルトくん!どうしたんですか、ナルトくん!?」
私の問いかけに彼は応じない。彼は病室のベッドに取り付けられているテーブルを蹴り飛ばし、なおももだえ続けている。ベッドの下を見ると散らばった食事。それはまだ一口か二口しか食べてなかったのかもしれない。ほとんどがこぼれているであろう量のものが散乱していた。
「これは毒!?ナルトくん、少し待ってください。すぐに治療しますから」
彼の上半身の衣服を破り心臓の鼓動を聞くと異常なほどの早さで鼓動していた。そして身体の痙攣が始まる。
そのとき部屋に入ってきた綱手様の声が聞こえる。
「シズネ!何があった!?」
私は手にチャクラを集めながら言う。彼の身体に手を当てチャクラを流し込み、毒素を摘出しながら。
「ナルトくんの食事に毒が盛られていたようです。即効性の毒のようなので今から毒素の摘出を行います!」
そして彼の胸に当てていた手のほうに少しの重みを感じる。身体に回っていた毒素がそこに集められているのである。
「綱手様、お願いできますか?」
「あぁ、少し手を浮かせろ」
私の問いかけに綱手様はすぐさま反応し右手に鋭いチャクラを形成すると彼の胸の上に少しきり傷を作る。その傷口から赤いちと共に紫色のどろりとした塊が出てくる。それを綱手様はチャクラで包み込み、ポーチから出した瓶に入れた。
私はそのままナルトくんの傷口を手当する。傷が消えナルトくんの心臓の音を聞くと正常な状態に戻っていた。
脈拍、呼吸もしっかりと整い、ほっと一息ついた。
「良くここだと気づいたな、シズネ。いきなり走り出したから驚いたよ」
綱手様は私の肩をぽんとたたいて私をほめてくれる。
「いえ、昨日お見舞いに来たときにこの病室に通されたんですが、この近くの病室には誰もいないんです。多分今もナルトくんのことを迫害している人たちは消えてないんでしょう。自来也様から聞いてますが本当にこんなことしてるなんて。信じられません。医療現場で人の命を奪おうとするなんて」
私は憤りをあらわにする。命がけで綱手様を守り、新しい火影として連れてきたナルトくん。聞いた話だと木の葉崩しのときにも1人の人柱力を倒し里の平和を守ることにも貢献したという。そして過去には生まれながらに里の犠牲になり、その身に九尾の狐を封印することで里を守った張本人である。
そんな人間に対してすることでは到底ありえない。
「私このことについて病院側に申し立てをします。非人道的すぎます!」
勢い勇み歩き出そうとしたとき服を掴まれ足が止まる。
振り返るとベッドから手を伸ばした彼が私の服を掴み見上げている。
「シズネねぇちゃん。綱手のばぁちゃん。たすけてくれてありがと。でもいいんだ。里の人は俺が化け物だからやってるだけだから。本当は皆優しくて、皆良い人たちなんだと思うから。だからいいんだ。シズネねぇちゃん」
そういう彼は寂しい笑顔を浮かべていた。何で彼はこんなに優しいのだろう。何で彼はこんなにも強いんだろう。何で彼は…こんなにも輝いているんだろう。
彼の頭を抱き寄せた。優しく包み込むように。
「わかりました。でもこんなところに君をおいておくわけには行きません。あなたを連れて帰ります」
私の言葉に綱手様が反応を示す。
「シズネ、私のほうでナルトのことは手配しておいてやる。お前は今すぐ部屋の準備をしておけ。借りた家の一室が丸々開いているはずだ。そこへナルトを連れて行っておけ」
綱手様は部屋を出て行く。その足音はいつも聞こえないはずの音。そしてドアを閉めたときの表情は怒っているときのそれと同じだった。
「俺ってば今からどうすればいいんだってばよ?」
私の腕の中で不安そうに彼は問いかけてくる。今までにも何度もこういったことや他にもたくさんの迫害を受け続けているのだろう。彼の身体はあの時と違い震えていた。
「大丈夫です。私と綱手様の家でしっかり看病してあげまあす。それにここにいるよりは絶対に居心地良くしてあげますから」
まだ毒が抜けてすぐのため動くことのできない彼を背中に背負い、彼のリュックサックをもち部屋を出て行く。
彼は落ち着かないのかもぞもぞとしている。そして病院の1階にたどり着き出ようとしていると後ろからひそひそと声が聞こえる。悪意の混じった言葉が混じっているのに気づいたが彼が私の服をぎゅっと掴み私に小声で伝えてくる。
「大丈夫だから。早く行こう」
私は唇をかみ締めその場から離れる。こんな腐った里を綱手様が、私が、ナルトくんが守る必要があるのかという疑問を持ちながら。
家にたどり着き彼をソファに寝かせて使っていない部屋に布団を敷いた。彼を連れて行こうと部屋に戻ると彼は寝息を立てていた。
よく見ると彼の目のしたにはクマができている。多分帰ってきてすぐ入院したのだが、それから3日間。多分彼は一睡もしていないのかもしれない。寝たら命の危険があるかもしれないから。
寝息を立てる彼の頭を優しくなでる。そして彼の身体をゆっくりと抱えあげて部屋に連れて行った。
かけ布団をかけてやり、部屋のドアをゆっくりと閉める。そして私は書置きを残してその横におにぎりを三つを握りお皿の上にのせておいた。
家を出るとそこには銀髪の上忍、はたけカカシさんがいた。
彼は私に近づいてくると頭を下げる。
「俺の部下を救ってくれてありがとうございます。あいつは俺達の大切な仲間だ。失わずに済んで本当に良かった」
彼は頭を下げたまま言う。彼の言葉はナルトくんを本当に心配しているのがわかった。
彼が頭を上げたときの表情は優しさと怒りがにじんでいた。
「いえ、私も助けられて良かったです。綱手様から聞いたんですよね?とりあえずもう心配はないと思いますがこれからの治療はこちらでやろうと思っています。あの病院はもう信用なりませんので。あと犯人は絶対に見つけます。ナルトくんはいいといいましたが、これは問題です。許すことはできません」
私は告げるとカカシさんの隣を通り過ぎる。彼の隣を通り過ぎてから2歩。彼の言葉に足が止まる。
「もう犯人は見つかりました。綱手様が先ほど毒物を混入させた医療忍者のくのいちを連行していきました。多分もうその人は牢屋に入れられているか、もしくは拷問を受けているでしょう。そしてこれは里のものへの忠告の意味もあると思います。ナルトを取り巻く環境はこれまで何があってもほとんど変わることがなかった。今なお里のほとんどの人がナルトのことを認めてすらいない。その現状への綱手様なりの忠告でもあるんだと思いますよ」
彼の言葉が終わると止めていた足を動かし始める。先ほどよりも早く。歩くのではなく走って綱手様のところへいくために。
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「失礼します」
執務室に入ると綱手様はお茶を入れているところだった。
「シズネか。ご苦労だったな。ナルトはどうしてる?」
綱手様は彼のことを気にかけている。自分の大切な首飾りを託すほどに。そして彼が火影になるということを応援し信じている。
そんな彼の様子を綱手様は心配そうに聞いてくる。
「今はしっかり眠っています。多分最近寝ていなかったのかもしれません。それで綱手様。カカシさんから聞きましたが犯人のほうは?」
私は綱手様に近づきながらたずねると綱手様は椅子に座りお茶をすすりながら答える。
「あのくのいちにはチャクラを練れなくする術をかけて牢屋に入れてある。やつは12年前のあの日幼いわが子と夫、それに弟をなくしたそうだ。それに対しての復讐だとわめいていたがな」
その言葉にあきれてしまう。悪いのはナルトくんではなく九尾の狐である。ナルトくんは里のために犠牲になったに過ぎないのだから。
「そんな顔をするなシズネ。お前の言いたいことは良くわかる。ナルトは何も悪くない。悪いのは里の大人たちだ。事実を知ろうともせず自分達のゆがんだ考えをまともと考え生きているのだ。そもそもなぜ事実を里の上層部が隠したがるのかもわからんがな」
そう。綱手様が赴任し他その日に上層部から来た書状にはナルトくんの真実を里に公表することを禁ずるとかかれていた。里の忍びの中でもほんの20人ほどしか知らぬ真実。
それは全て口止めされ、本当のことを知らない大人たちの暴走はこの12年で加速する一方だったのだろう。
「そうですね。でもこれからは私がナルトくんを守りますよ。彼が私より強くなるまで。彼が里の皆に認めてもらえるまで」
私は決意した。彼の夢を守るために。綱手様の命を守ってくれた。私の命を守ってくれた彼のことを守るために。
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その日は仕事を早めに切り上げて2人で家に帰る事にした。
買い物を済ませ家に入ると暗い部屋の窓の横に座り月を眺める彼の姿があった。
「ただいま、ナルト。電気くらいつけたらどうだい。暗いところにいる必要ないだろう」
綱手様の言葉にナルトくんは振り返りこう言ったのだ。
「おかえり、灯りをつけなくても月の明かりってすごく綺麗で眩しいんだ。だから俺ってば月の明かりが好きなんだ」
そしてまた振り返り月を眺めるナルトくん。
部屋に電気をつけナルト君の隣に座る。彼は私を見上げて囁いた。
「おかえりなさい。シズネねぇちゃん」
私は笑顔で返す。優しい笑顔を向けてくれる彼に対して、こちらも明るい笑顔を見せて。
「ただいま、ナルトくん」
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彼はテーブルの上のおにぎりを残すことなく食べていた。だがそれは何時間も前のことだろう。
私はエプロンをつけキッチンに立つ。
「ナルトくんは好きな料理はありますか?」
だいたい何を言われても作れるように買ってきてあるので尋ねるとナルトくんは笑顔をより一層輝かせながら答える。
「じゃぁさ、じゃぉさ!俺ってばお肉がいいってばよ!」
その言葉に私が了承の意を返すと、ナルトくんは嬉しそうに走り寄ってきて手伝いを申し出てくれたが、今日は私が作ってあげたかったため断る。
「ナルトくんは今日は座っててください。君の歓迎会なんですからね!私が腕によりをかけて作りますから楽しみに待っててください!あと、綱手様が飲みすぎないように見張っててくれますか?」
私の言葉にナルトくんは頷くとテーブルで既にビールを飲んでいる綱手様の前に座り話しかけていた。
作りながらキッチン越しに2人を見ていると親子のように仲良く見え、少し嫉妬してしまった。
「料理できましたよー、運ぶの手伝ってくださーい!」
私の言葉に綱手様がが立ち上がりこちらに来る
「さすがはシズネだ。早く運んで食べようじゃないか!シズネ、ナルトの飲み物を出してやってくれ」
綱手様の言葉に返事を返し冷蔵庫を開ける。そのとき後ろから歓声が聞こえる。
「うわぁうまそうだってばよー!シズネねぇちゃん!早く食べよー!」
嬉しそうな声を聞き私も嬉しくなってしまう。私はお茶、オレンジジュース、りんごジュースとグラスを2つに小皿をいくつかのせたお盆を持ってテーブルに着く。
グラスを私とナルトくんの前に起き、小皿をテーブルの中央に置いてナルトくんに問いかける。
「何を飲みますか?ナルトくん」
私の持つお盆の上から彼は悩みながらもオレンジジュースをとる。
「これにするってばよ!ありがと、シズネねぇちゃん!」
ナルトくんは栓を開けるとグラスにジュースを注ぐ。私も自分のグラスにお茶を注いで準備は万端。
「準備もいいようだし食べようか。かんぱい!」
「「かんぱい(だってばよ)」」
綱手様はグラスにお酒を注ぎ足し乾杯の音頭をとる。それに私たちも応じ、グラスの中身を喉に流し込む。
「さぁ、遠慮なく食べていいですよ、ナルトくん」
テーブルに並べられたたくさんの料理をナルトくんは小皿にたくさん取り分けていた。
「そんなに急いで取らなくても取ったりしないからゆっくり食べな。ナルト」
綱手様の言葉に彼は返事をすると料理に口をつける。
口いっぱいに頬張りそれを飲み込むと彼はこちらを見つめ笑いながら言う。
「シズネねぇちゃん、これうまいってばよ!」
「ありがと、いっぱいあるからたくさん食べてね」
そういうと他の料理もうまい、おいしいと言いながらどんどん食べて行ってくれる。
私は綱手様と笑顔を交わすと料理を食べ始める。うん、我ながら美味しくできている。
「シズネ、お前のめしはうまいなぁ、さすがはシズネらぁー」
料理を食べ酒を飲み上機嫌な綱手様は私の料理を食べいつも以上に褒めてくる。少し酔っ払い始めているのかもしれない。
「ありがとうございます、綱手様。でも明日も仕事あるんですから飲みすぎちゃダメですよ?」
「何言っへる!今日はナルトの歓迎会らぞぉ!飲まなきゃらめなんらぞぉ!」
私の言葉に若干呂律が回らなくなってきている綱手様が反論する。そこに助け舟が入った。
「ばぁちゃん、飲みすぎて体壊しちゃダメだってばよ。ずっと元気にいてくれる方が俺も嬉しいからさ」
ナルトくんの言葉に綱手様はむくりと立ち上がり机を避けて回りナルトくんの肩を掴み抱え上げ抱きしめる。
「ナルトォ、お前はホンロにいい子らなぁ、なれれやるろー」
綱手様はナルトくんの頭を抱きしめながらグリグリと顔を抱き寄せる。
ナルトくんは綱手様の胸で窒息しかけているのか腕をバタバタとして離れようとしているが、酔って力加減ができない綱手様からは逃れられない。
「綱手様!ナルトくん死んじゃいますよ!離してください」
私は綱手様の腕を強引にはがそうとするがビクともしない。しょうがない。そう、これはしょうがないことです。
「ごめんなさい!」
私は棚から超強力睡眠スプレー(護身用)を出し綱手様になって吹きかける。
すると先ほどまでの馬鹿力が嘘のように力が抜けナルトくんを離し座り込みながら眠りについたのだ。
恐るべしスプレー。
解放されたナルトくんを見ると目を回していたので布団に連れて行き寝かせる。残った料理はまた明日にでも食べようとラップをし冷蔵庫に入れた。
綱手様は自業自得なので布団だけかけてあげることにした。風邪を引かれては困るからである。
私も疲れがたまっていたのかソファに座ると知らぬ間に眠りに落ちてしまっていた。
次の日残った料理を温めてナルトくんと食べている頃に綱手様が起きてくる。
綱手様はご飯の代わりに牛乳を飲みほし私に告げる。
「シズネ、今日はアカデミーの視察だ。準備できたら執務室に来るように。ナルトはまだ今日は安静にしていろ。治りが早いからといって油断してると怪我が増える。今日はここで大人しくしてるように。飯時には帰ってくるからな。昼飯は冷蔵庫の中にあるもので済ませるようにな」
「はい、わかりました綱手様!」
「わかったってばよ」
私たちの返事を聞くと綱手様は部屋を出た。
私は片付けをしようとしたのだがナルトくんがやるというので任せて家を出る。
「ナルトくん、冷蔵庫にお昼ご飯ように焼きそばを作ってますから温めて食べてください。晩ご飯には帰りますから待っててくださいね!」
私の言葉に彼は頷き見送ってくれた。
次の日には彼は完全に回復していたが、何かあったときのためにとたまに一緒にご飯を食べる約束をして家に帰した。
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それから1年以上の間、彼は週に2回はこちらの家でご飯を食べるようになっていた。
今日は私が任務で里外に出るため、綱手様と食べているのだろうか。
任務が終わり里に帰る途中の道で事件は起こる。
里まであと2〜3kmといったところでのこと。
「待ち伏せか!出てこい」
隊長の上忍の声にでてきたのは木の葉の額当てをし顔を隠した集団。ざっと見積もって30はいるだろう。
「あなた方は何者ですか!用件はなんです!?」
私の声と同時に先ほどまで後ろにいたはずの中忍2人が一斉に隊長に襲いかかり背中から心臓を串刺しにしていた。
「あぁ、隊長!!」
私はかける。隊長の元へ。両手にチャクラを集めチャクラのメスを作り上げるとその斬撃で中忍2人の首を飛ばす。
そして隊長から刀を抜くもその時にはすでに隊長は息耐えていた。
「あなたたちが何者かは知りません。ですが引くわけにはいかない」
私は一粒の丸薬を飲む。綱手様にもしもの時にと渡されていた特製の兵糧丸。かなりの副作用があるらしく、これを服用するとチャクラが跳ね上がる代わりに1時間後にはチャクラが切れてしまい動けなくなってしまうというもの。どが今はそんなことを気にしている時間はなかった。
「さぁ、いきますよ!」
私は敵の真ん中に飛び込みチャクラのメスを振るう。敵の腕の筋肉を裁断し、敵の頸動脈の毛細位血管をズタズタにする。また襲い来る敵の攻撃をかわしながら連撃を叩き込む。だが人数差がありすぎ、次第に傷が増えてくる。かなりの打撃をもらっており体のいたるところが痛い。だが生き残るためには戦うしかなかった。
ドゴォッ
脳が揺れる。下からの顎への蹴りが炸裂し体が浮いた瞬間腹部への蹴りで飛ばされる。そのまま地面に叩きつけられ起き上がろうとした時には囲まれていた。
敵の目は狂気に満ちており、何かをつぶやいている。耳を澄まして聞いてみる。
『うずまきナルトをかばうやつは死ね』『あいつの仲間は皆殺し』『俺たちが正しい』『こいつは狐に魅入られている』『里を守るための犠牲だ』『俺たちの平和な未来のために』
彼らはナルトくんを迫害している集団のようだった。彼の中の九尾の狐が憎いのだろうがその矛先はナルトくんに向いていたのだ。
「ナルトくんは…悪く…ないじゃない」
私はフラフラになりながら顔を上げる。
「あの子は…生まれなが…らに、体に九尾を封印され…里の…平和のために…犠牲にされた子。あの子がいなければ…里は…壊滅してたかもしれないんですよ??それなのに…それなのに!!」
叫び越えを上げた瞬間に周りの忍たちは刀を振り上げ私に向けて刀を振り下ろした。
死を覚悟し目を閉じるも一向に刀は私に降りてこない。
目を開けると私の体は暖かいチャクラに包まれていた。そして目の前にはナルトくんがいた。
背中に無数の刃を受けながらも血の一滴も流さずに私に笑顔を向けていた。
「大丈夫?シズネのねぇちゃん。遅くなってごめん。瞬身の術で探し回ってたら遅くなっちまった。あとは俺に任せて」
そういうと私に背中を向けて叫ぶ。
「お前ら、俺にだけなら許してやったがもうゆるさねぇ!お前らの一族ごと全部ぶっ殺してやる!!未来なんて残さねぇ!テメェラ生かしちゃおかねぇ!!」
ナルトくんは叫ぶ。その叫びは森を震撼させるほどの威圧感であった。
私を囲んでいた忍たちが一斉に逃げ出すが全て赤いチャクラの腕に捕まえられる。
こんな姿のナルトくん初めてみる。九尾の力、コントロールできてる…
この時私は意識を手放してしまう。
出血が多くチャクラが切れてしまったためである。
***************
「にがさねぇよ。俺の大切なもんに傷つけたんだ。テメェラ全員今からぶち殺す。それとお前らの家族全員ぶち殺す。子供も大人も関係ねぇ!全員血祭りにあげてやる。地獄に落としてやるってばよー!!」
ナルトは叫ぶと1人ずつ自分に近づけ顔から下に連打を加える。その一撃一撃が重く鋭い。腹に拳がめり込み腕が貫通する。顔はもはや誰も原型をとどめていない。
ナルトはすべての死体を1か所に集めると印を結び術を発動する。
「火遁・大焔火の術!」
ナルトの手のひらから炎が出るとそれは一気に膨れ上がり死体を包む。
そしてその死体が一瞬で燃やされ火は勝手に消える。
それを見届けるとナルトはシズネを連れて走り木の葉へ向かい綱手にシズネを任せ夜の里の家を訪ねて回ったという。
***************
「ここは…?」
意識を取り戻し起き上がろうとすると少し体が痛む。私は病室にいた。
椅子に座っている綱手様に声をかける。
「綱手様、綱手様」
私の声に反応したのか目をさます綱手様。私が起きているのを見ると安心したように笑顔を見せてくれた。
「よかった。気がついたかい。任務の時に襲われたそうだね。探しに出たナルトが見つけて連れてきてくれたんだよ」
その言葉にナルトくんがいないのに気づく。
「あの…ナルトくんは?」
私の問いに表情を暗くしながらも綱手様は話してくれた。その話に私は驚きが隠せない。
「あいつは昨日の夜中に里の人間の半分以上を皆殺しにした。そして今日の朝私の前に現れ抜け忍になると告げて里を去っていった。それとシズネ。ナルトからの伝言だ。今日の夜0時ちょうど、木の葉の門から200m先の桜の木下で待ってる。一緒に来てくれるならそこに来て欲しいと。いなかったら諦めて1人でどこか遠くの国に行くと言っていた」
綱手様は私の手を握り諭すように言葉をかけてくれる。
「シズネ、お前の好きにしたらいい。今から8時間はある。ゆっくり考えて答えを出せ。お前が決めたことなら私は何も言わない。ナルトと共に生きたいなら構わない。お前の人生だ。後悔しないほうを選べ」
綱手様はそれだけ言うと部屋から出て行った。
私は考える。長い時間ベッドの中で。
1時間、また1時間と時間は過ぎていく。時計の針は止まらない。ナルトくんが待つといった時間まであと30分。私はベッドから立ち上がる。入院着を脱ぎ、任務服に袖を通し窓から部屋を出た。
病院の屋上から綱手様が見下ろしていることにも気づかずに。
門を抜け走る。すぐそこに彼がいるのが見える。
「ナルトくん!」
私の声に閉じていた目を開けこちらを見る。
「シズネねぇちゃん」
彼は嬉しそうな、悲しそうな微妙な表情を見せる。優しい彼は多分私を抜け忍にするのをためらっているのかもしれない。
でもね、ナルトくん。これは私の意志。そんな顔させるためにここに来たんじゃない。
「ナルトくん、私を連れて行ってくれますか?1回りも年が違う私を連れて行くのは嫌ですか?」
彼の顔を覗き込みながら聞くと彼は首を横に振る。
「いいの?シズネねぇちゃん。木の葉の忍に追われることになるよ?」
やっぱり優しい。彼は自分のことは二の次で、いつも人のことばかり気にしているのだった。
「ええ、私はナルトくんがいないと寂しくて死んじゃいます。だから一緒に連れて行ってください」
私の言葉に頷くと笑顔を見せる。さっきまでとは違う笑顔に私も笑顔を見せた。
「じゃぁナルトくん。今日は私怪我人なんで担いで行ってください。目指すは海が見えるところです!」
私の言葉にふふっと笑うと私を抱え上げる。いわゆるお姫様だっこの形で。
「わかったってばよ!飛ばすからしっかりつかまっててくれよな!」
ナルトくんの首に腕を回ししっかりとしがみつく。
彼はジャンプするかのように一歩を踏み出す。
私をかかえて。
月の明かりに輝くナルトくん。そんな彼に私は笑いかける。
「ナルトくん、愛してます」
「俺もだってばよ、シズネねぇちゃん」
2人の旅は始まったばかり。
ナルシズはこれからどうなっちゃうんでしょうね。
どこかの里に落ち着くわけにもいかないので旅を続けるのかな?笑
書きておいて無責任だけど抜け忍ってどうやって生活するんだろ?わかんないなー笑
まぁこの2人はどんな障害にも負けない強さを持った2人だと思うので、気が向けば続編書きたいとおもう。