ナルカプ妄想物語   作:落ち葉崩し

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私たち7班が全員中忍になってから3ヶ月。

サスケくんが死んだという報告を聞いたのはとある雨の日の午後。

サスケくんを含む小隊が奇妙な忍術を使う忍の集団に襲われたそうだ。

小隊は全滅し、その中でも血継限界の持ち主であるサスケくんの死体が帰ってくることはなかった。

そしてその後追悼の式典が行われることになる。






サクラ〜同じ傷を持つ2人〜

「ナルト、サクラ、最後の別れを」

 

綱手様の言葉に私たち2人はサスケくんの墓の前に立ちその手に持つ花を手向ける。

 

ナルトは私の目を見つめるとうなずき私より先に口を開いた。その時のナルトの目は悲しみと怒りが混同していた。

 

「サスケ、お前が俺より先に死ぬなんて信じられねぇ。お前は俺より強くてさ、いつも俺の前を走ってた。そしてお前は俺の目標だった。でももうお前が死んじまった…俺ってばさ、お前のこと本当の兄弟みたいだ思っててさ、また俺ってば一人ぼっちになっちまうのかな…サスケ…なんで死んじまったんだよぉ!!」

 

ナルトはサスケくんの墓に手をつき涙を流す。雨で涙が流れているかなんてわかるはずがないのに確かにナルトの目からは涙が流れているのがわかった。

 

「俺、お前に負けねぇくらいの凄い忍になるからよ、だからサスケ。お前は空の上から俺たちを見守ってくれ。俺が火影になった時…お前に隣を歩いて欲しかった」

 

 

そこまで言うとナルトは手を合わせ大きく頭を下げつぶやく。

 

「さようなら…サスケ」

 

ナルトは一歩下がると私の背中をそっと押してくれた。

私の目からはもう涙が止まらないくらい流れていたから。ナルトの優しさが私の瞳から流れる涙を止めてくれた。

 

「サスケくん、私はいつも2人に引っ張られていたね。いつも私のことを守ってくれてて、いつも私のこと信じてくれてた。嬉しかったんだ。サスケくんとナルトが私を必要としてくれていたのが。でもサスケくんにもう会うことはできないんだね。悲しいし寂しい。でも私は前に進むわ。サスケくんに笑われないように、サスケくんにウザいって言われないように。私は強くなるよ。だから安心してて。今まで楽しかった。ありがとう、サスケくん。さようなら」

 

サスケくんのお墓の前で手を合わせ一礼してナルトの隣に下がる。私の目にはさっきまでなかったはずの涙がとめどなく溢れ出ていた。顔をぐちゃぐちゃにして嗚咽を漏らす。

 

ふわっ

 

頭に当たった柔らかい感触。ナルトの手が私の頭に優しく添えられる。その手は温かく、それでいて力強い。その手は私の頭を抱き寄せナルトの胸におさまった。

 

「サクラちゃん、泣いちゃ…ダメだってばよ…サスケに笑われちまう」

 

ナルトの声は震えていた。表情を見なくてもわかる。ナルトも泣いていた。

 

「泣いてなんか…ない。わよ。ナルトこそ泣いてんじゃ…ないわよ」

 

私は強がりナルトに言う。私もナルトの背中に腕を回し涙を隠すように胸に顔を埋め隠す。

ナルトの顔が私の頭に触れ、ナルトの涙が私の頭に触れたような気がしたがこれ以上私たちは声を出さずにサスケくんの死を悼んだ。

 

その日私とナルトは2人雨に濡れながらサスケくんの墓の前で座っていた。傘もささず濡れた服を着替えることもなく、また会話をすることもなく座っていた。

 

多分私たちはサスケくんの死を受け入れるための時間を共に過ごしていたのだ。

 

雨が止み夜の闇の中私たちは立ち上がる。空を見上げ雲に隠れていた月が姿を見せた。その月を見上げ2人で誓った。

 

「俺ってば絶対火影になる。そんでもってこの世界から争いがなくなるよう努力する!」

 

「私は最高の医療忍者になるわ!どんな怪我も病気も治せるような医療忍者になる!」

 

2人で月に向かい手を掲げる。拳を作りその拳を合わせると2人で見合い笑った。

 

その日から私たちの修行は苛烈を極めることになる。

 

 

3年後

 

「サクラ!そこじゃない。力の入れ方を間違えるな!」

 

 

「ハイ!」

 

綱手様の元で毎日毎日修行の日々を過ごす私。今は切断されたものを血管から全てチャクラでくっつけるという技術。その技術の習得は未だに綱手様とシズネさんしか成功していないというものなのだ。

 

チャクラコントロールは繊細を極め、少しでもズレると違う血管同士がくっついてしまい怪我が治るどころか悪化させてしまう可能性すらある。

 

そんな技術の習得に日々尽力しているのだがこれがまた本当に難しく、毎日自分のチャクラが尽きるまでしても一度も完璧に成功したことはなかった。

 

だが少しずつだがコツをつかんできており完成度は40%くらいにはなってきているだろう。

 

この技術の習得ができればたとえ仲間の腕や足が千切れてもすぐに治療し、次の日には拳を握る、印を結ぶくらいまではできるようになるという。

 

綱手様に弟子入りしてからすでに5年以上、白毫の術を習得し、チャクラコントロールは以前の比ではないくらいまでになっていたが、この技術の習得はレベルが違いシズネさんも習得するのに5年ほどかかったという。私はシズネさんに成長が早いと褒められており、3年くらいでできるようになると言われたのだがすでにこの技術を学び始めてから2年が経っていた。少しの焦りはあったが少しずつだが本当に自分のレベルが上がってきていることも実感していたので目標を見失うことはなかった。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

汗が滴り落ち地面に膝をつく。今日もチャクラの限界まで修行に専念し、ついに力尽きてしまった。流れる汗を拭うこともできずに地面に背中をつけた。

 

「よし、今日はここまでだな。サクラ、今日はいいところまで行っていた。今で5割って所だな。だがここからは本当に精神力と集中力の問題だ。お前がそれをしっかりできるようになればここからはすぐだ。だが実戦では本当に生身の人間の身体に施すものだ。今の擬体と違い時間をかけると助からない可能性も出てくる。極限の状態でそれをこなせなければ意味がないのだ。そのためにはやはり修行が必要だ。これからも時間がある限りこの技術を磨いていくぞ。6代目には報告しておく。シズネはサクラを送って帰ってやれ」

 

綱手様の言葉にシズネさんは私に肩を貸して立ち上がらせてくれた。

 

「ありがとうございます、シズネさん。綱手様、今日もありがとうございました」

 

一礼するとフラフラする体をシズネさんに支えられながら綱手様の持つ医療忍者研修所を後にする。

 

街中を歩いているといのとシカマルが道を曲がって2人で歩いて来る。いのは私に気付くと私に走り寄ってくる。シカマルはその後ろをゆっくりとマイペースに歩いてきた。

 

「サクラ〜、今日もヘトヘトみたいね」

 

いのが笑顔で私の顔を覗き込みながら私の額の汗をハンカチで拭いてくれる。

 

「ありがと、いの。あんたは今日も元気そうね」

 

私は笑顔を作るといのに話しかけるがもう声を出すのもきついくらい疲れているので本当は早く帰りたいのだが。

 

「そりゃそうよ、今日は久しぶりのシカマルとのデートよ!元気が出ないわけないじゃない!」

 

後ろから歩いてきたシカマルの腕に抱きつき体を寄せる。

 

「いの、やめろっての。あちぃ」

 

文句を言いながらもシカマルはいのの腕を払いのけるでもなくなすがままになっていた。

 

「シカマルもお疲れ様。デートお邪魔しちゃダメだから行きましょうか、シズネさん」

 

シカマルの方に目を向け告げた後にシズネさんを促すとシズネさんは2人に挨拶をし歩き始める。

 

私もそれに引っ張られるように歩き出すと後ろから声が届く。

 

「あんた、あんま無茶しちゃダメよ!今度一緒に甘栗甘行くわよ!」

 

後ろで手を振りながら叫ぶいのに私は振り返らずに手を振り返しながら歩いて行った。

 

「そういえばサクラ、さっき綱手様から聞いたんだけど来週ナルトが久々に帰ってくるそうよ。自来也様と任務に出で成功したそうですよ」

 

その言葉に私は疲れが一気に吹き飛んだような気がした。

 

「本当ですか!?あいつってば手紙の一つもよこさないんだから本当心配してたんですよ!でもよかった。無事だったみたいで」

 

シズネさんの手から離れ立ち声を大きくする。ナルトは私と同じく3忍の1人自来也様に弟子入りし、かなりの強さになっているそうだ。

 

次期上忍選定試験に推薦されることは確実と言われているのが今現在3人いた。その1人がナルトである。ナルトは私よりも一足先に特別上忍になっており、次回の選定試験で上忍になることが確実とされている。

2人目はシカマル。彼は中忍の期間が長く、今手間は里の中枢を担う1人になりつつあるため確実だろう。もう1人がネジさん。彼は本当は前回の選定試験で合格するはずだったのだが試験前の任務に失敗しそれを辞退したのだった。

 

そしてナルトはその選定試験のために何度もAランク任務についていたのだった。

 

その度に大した怪我もなく帰ってくるナルトに私は毎回任務成功祝いとしてご飯をご馳走することにしていたのだった。

 

私は先ほどまで死にそうにしていたのが嘘のように体が軽くなりナルトの好きな料理の味付けをどうするか考えていた。

 

「よかったですね、サクラ。来週には木の葉につくそうですからその時はしっかり迎えてあげましょうね。それと次回の上忍選定試験の日までは里の近くで修行するはずですからナルト君に負けないようサクラも頑張りましょうね」

 

「はい!」

 

優しい微笑みを浮かべながら言うシズネさんの顔を見つめ私も柔らかい笑みを浮かべながら頷く。

 

早く帰ってきなさい、ナルト。あんたの好きな食べ物全部作ってやるんだからね!

 

 

 

それからの1週間修行への実の入りが違った。普段よりももっとやる気にあふれており、集中力、精神力ともに高くなっているのか、初めて最終段階手前の毛細血管まで到達したのだった。

 

綱手様は私の急激な成長に驚きシズネさんは何か悟ったような目線を私に向けていたが私は素知らぬ顔で修行を続けていた。

 

ナルトが帰ってくる当日。今日は修行が休みということだったのだが6代目火影であるカカシ先生からの呼び出しで火影邸に向かった。

 

「失礼します、火影様。何かご用ですか?」

 

以前はカカシ先生と呼んでいたがこの部屋の中だけでは私たちも火影様と呼ぶことにしていた。カカシ先生は気にしなくていいと言っていたがこれはやはり礼儀として今はそうすることにしていた。

 

「いやね、ナルトが今日帰ってくるのは知ってると思うんだけどね。今から急遽サクラに任務に行ってもらいたい

んだ。場所は砂隠れの里。昨日砂隠れの里で大規模な崩落がありけが人がかなり出てしまっているとのことだ。綱手様とシズネさんには了承を得ている。2人はすでに準備をしてくれているのだけどサクラにもお願いしたい。あちらでは医療忍者が足りず困っているそうなんだ。同盟国として見捨てるわけにはいかないんだ。頼む」

 

カカシ先生の言葉に一瞬ナルトのことが頭をよぎるが、それでも今は考えている余裕はない。綱手様とシズネさんが行くのに私が断るわけにはいかなかった。

 

私はうなずき返事を返す。私の目に迷いはなかった。

 

「わかりました。すぐ向かいます。出発は?」

 

「1時間後木の葉の門の前で集合となっている」

 

その言葉に頷くと私は部屋を出る。そして走り部屋に戻ると準備を始める。

 

兵糧丸や簡易医療キット。また非常食や水など、リュックに詰め背負い走る。綱手様たちとの集合場所である門に急いだ。

 

門に着くと綱手様もシズネさんも到着していた。

 

「お待たせしました!」

 

「いや、急な任務だから仕方ない。準備はいいね?」

 

私もシズネさんもはい!と返事をすると綱手様は走りだした。私たちも綱手様の後を追うように走りだした。

 

半日も走った頃には日も暮れており夜が近づいていたが急いだために砂隠れの里にもうついてしまった。

 

風影である我愛羅に挨拶もほどほどに済ませ救護所に向かうとそこには我愛羅が作ったであろう大きな砂でできた建屋があった。中に入ると大量の怪我人が横たわっていたり座っていたりと様々だった。

 

「綱手様、シズネ様、お久しぶりです。救援いただきありがとうございます。サクラも来てくれて本当にありがとう、助かる。奥の方が重症の患者になります。赤いテープを腕に巻いたものは治療が施してありますのでできれば奥の方のものから治療して行っていただけますか?」

 

入り口を入ってすぐのところでテマリさんが私たちに挨拶もそこそこに願い出てくる。

 

「うむ、分かった。シズネ、サクラ!私は左奥、シズネは右奥、サクラは真ん中の奥から当たっていくよ。サクラ、無理な時はすぐに呼べ。私たちのどちらかがサポートに行く」

 

「「はい!」」

 

綱手様の合図とともに真剣な表情になり集中する私たち2人。そしてリュックサックを下ろし簡易応急キットを大量に取り出しテマリさんに渡した。

 

「これは?」

 

「簡易応急キットです。できるだけ軽症の方はこれでお互いの傷に手当を施してください。使い方の説明書きは入ってますので。合計で300人分以上はありますので!」

 

サクラのリュックサックから出されたものをテマリは受け取り頭を下げる。

 

「私たちもそれは持ってきているからな。これも使え」

 

綱手様もシズネさんもリュックサックを下ろし中から私が持ってきた分と同じくらいの簡易応急キットを取り出した。

 

それをテマリさんは丁重に受け取ると近くにいた下忍達に配るように指示を出した。

 

それと同時に私たちも動き出す。1人でも多くの人を救うために。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「ふぅ…これでいちおう全部か」

 

到着してから1日半が経過していた。休みながらの作業になったが一応すべての人の治療が完了した。大災害とも言える崩落があったにも関わらず死者は一桁で済んでおり、重症人もなんとか回復させることに成功した。綱手様とシズネさんは私の隣に歩いてくると両肩に手を置いて頷いた。

 

私は2人の顔を見返ししっかりと頷く。

 

「シズネ、サクラ、よくやったな。手助けしてやる場面も出ないくらいにはしっかりやっていた。あとは薬の調合なんかを砂の医療班のところで手伝わなければな。行けるか?」

 

「はい、綱手様もお疲れ様です。私は大丈夫です。お供します」

 

シズネさんが笑顔で答える。疲れてはいるが自分も医療忍者として返事を返した。

 

「はい、綱手様。綱手様もお疲れ様でした!私もお手伝いします」

 

私たちの答えに綱手様は満足げにうなずき歩き出す。私たち2人もそれに続いて歩き出した。

 

 

建屋から出る手前でテマリさんが私たちを見つけ走り寄ってくる。私たちの前で止まると深く一礼した。

 

「あなた達のおかげで仲間が助かりました。有難うございます。今からどちらに行かれる予定ですか?」

 

「医療班のところで薬の調合なんかを手伝おうと思ってね。案内してもらえないかい?」

 

「そんなことまで手伝っていただけるとは。ありがたいですが3人ともお体の方は大丈夫ですか?昨日到着してから少し休憩をしながらとはいえ1日半ずっと治療をしていただいたのに」

 

綱手様の言葉に申し訳なさそうに問いかけるテマリさんに綱手様は豪快に笑いテマリの頭に手を添える。

 

「ははは、大丈夫さ。お前のほうが寝てないんだろう?風影もかなり疲れているようだったしな。カンクロウも昨日の夜に会ったが疲れが抜けていない感じだった。お前達が倒れては元も子もないぞ。休息はしっかり取れよ?」

 

優しい笑顔で告げる綱手様。母親のような優しい手の温もりにテマリさんの顔がほころび少し笑顔を見せる。張り詰めていたものが少し溶けたかのように。

 

「ありがとうございます。ではこちらにお願いします」

 

先程までと違い柔らかい表情のテマリさんに案内された場所で私たち3人は薬の調合をする。

 

材料は限られているため無駄にはできない。3人で手分けして順番に混ぜるものを砕き、煎じ、溶かしていく。

 

主に塗り薬と貼り薬、そして飲み薬を中心に作っていく中で砂の医療忍者の人たちがこちらに集まってくる。

 

私たちの作り方を見て学んでいるところもあるのだろう。テマリさんも私たちの動きに目を奪われていたと後から教えてくれた。

 

 

できた薬を1回分ずつに分ける。飲み薬は丸薬に。貼り薬はシップのようにしてある。塗り薬は液体で瓶に詰めてあり1回分の量がマジックで瓶に書かれている。それをできたものからどんどん効能ごとに分けて置く。持ってきた材料をすべて使い切り、砂の里の在庫にある材料の分もほとんどを薬にし終えた頃には砂の里に来てから3日が経っていた。

 

そしてその日私たちは風影邸に招待されることとなる。3日間は詰所の方に篭りきりであったため、大きな風呂や栄養価の高い料理が用意された。

 

「あなた達のおかげでたくさんの命を救うことができた。感謝している。ありがとう」

 

椅子から立ち上がり我愛羅くんが頭を下げる。風影として自分の里を守ってくれた恩人への言葉に綱手様が答える。

 

「いや、我々木の葉も砂には助けられてきている。お互い様というやつだ。これからも同盟国として仲良くしていきたいと考えているよ。風影」

元火影という立場上普段里から出ることのない綱手様が出てくるという事態にまで来ていたのだから今回の件砂の里ではかなりの大問題だったのだろう。

 

もとより医療忍者の少ない砂の里ではこれだけの規模の災害に対応しきれなかったのだろう。その時に真っ先に手を差し伸べたのが元火影。

 

我愛羅くんは風影として、砂の忍として本当に感謝しているようだった。

 

「だが今回の件は本当に助かったのだ。礼を言うのは当然のこと。受け取ってくれ」

 

我愛羅くんの言葉に私たちはうなずき笑顔を見せた。

 

「堅苦しい話はここまで。さぁ、食事にしましょう」

 

テマリの言葉で皆手を合わせ挨拶を済ませると食事を始める。

 

温かいご飯を食べるのも3日ぶりで美味しく感じた。

みんなで食べるご飯は本当に美味しい。

ご飯を食べ終えるとそのまま部屋に通され久々の睡眠をとることになったのだった。

 

 

「シズネ、サクラ、明日の朝起きたら木の葉に帰るよ。砂の里はもう大丈夫だ。あとは彼らに任せよう」

 

そういうと綱手様はベッドに体を預けていた。

 

「はい、わかりました。サクラ、私たちも寝ましょう」

「はい!それじゃぁおやすみなさい」

 

 

2人に挨拶をし、ベッドに体を預け久々の睡眠。すぐに眠気に誘われ意識を手放した。

 

 

 

ドドドドドーン!!

 

 

ものすごい音に私たちは飛び起きる。

 

「何事だ!?」

 

綱手様が窓の外を見渡すと風影の執務室がある建物が炎に包まれていた。

 

「あれは!?綱手様!」

 

私の声に綱手様は即座に反応する。

 

「シズネ、サクラ、奇襲攻撃にあっている可能性が高い。おそらくどこかの抜け忍達だ。気を引き締めろ!」

 

そのことばにうなずくと私たちは駆け出した。敵の殲滅のために。

 

 

 

燃え広がる炎の中から5人の忍が歩きでてくる。見た目は普通の5人だが目は狂気に染まっていた。

 

その5人は散らばり走りながら砂の忍を1撃で倒していく。

 

私たちの前に1人の忍が立つ。

 

「お前らは木の葉の忍だな。お前達に用はない。この場から消えろ」

 

その言葉に綱手様は鼻で笑う。

 

「何言ってんだい?砂は木の葉の同盟国。ここで退くわけには行かないよ」

 

その言葉に男は声色を変える。

 

「そうか、じゃぁあんた達にもあの時の奴らと同じように死んでもらうか。宗介!薺!手を貸せ!」

 

2人の忍が降り立った。3人で並び会話をしている。私たちも臨戦態勢を整え敵に立ち向かった。

 

「宗介、お前はあの黒髪、薺、お前は金髪。俺はあのピンクだ」

 

「「はっ」」

 

返事と共に3人は私たちに攻撃を仕掛けてくる。

 

キィン、キィン

 

クナイをクナイで受け止めると右足での蹴りを躱した。相手は体術を得意としているようでその動きはかなり洗練されていたが私もそれなりに綱手様に修行をつけてもらっているのだ。この程度なら問題ない!

 

 

「はぁぁ!」

 

相手の右拳を躱して体の内側に入る。チャクラを集めた左拳を深く踏み込みながら放つとそれは腹部にめり込む。

 

どぐしゃぁ

 

「ぐうぁぉ」

 

攻撃の勢いに負けてぶっ飛んだ男はなんとか受け身を取り体制を整えていた。

 

「ふふふ、、なかなかやる。侮っていたよ。君のこと。弱そうに見えるけど結構やるんだな。じゃぁそんな君にいいもの見せてやるよ。以前木の葉の忍から奪ったものだ、写輪眼!!」

 

ドクン!

 

 

その目は…サスケくんの…?

 

その瞬間体に鈍痛が走る。

 

 

えっ…?

 

私は悲鳴をあげることもできずに吹き飛ばされる。

 

「ぐぅっ」

 

木に激突しうめき声を上げた。腹部からくる痛みに息ができない。

 

「見たことあるか?写輪眼。うちはの生き残りのガキから奪ってやったんだよ。あんな雑魚がうちは一族とは笑わせてくれる。俺のほうが有効活用できるぜ?」

 

男は下卑た笑いを見せながら印を結び右手に紫の炎を出した。その炎は形を変え私を襲う。

 

「火遁・紫焔龍!」

 

その炎は龍のような形になり周りのものを燃やし大きくなりながら近づいてくる。私はすかさず地面を殴りつけ自分の前に壁を作る。

 

じゅぁぁぁ

 

炎が岩の壁を溶かしながら私に向かってくる。少しずつ岩が溶けていくのがわかるがまだ息が整っておらず逃げることがままならない。

 

目の前の岩が紅くなりそこから紫の炎が漏れ出す。

その瞬間私の体は風に乗せられていた。ふわりと浮かんだ体を受け止めてくれたのはテマリさんだった。

 

「大丈夫か?サクラ。巻き込んで済まない」

 

テマリさんが私をかかえ立ち発する声に私は頷く。

 

「綱手様とシズネさんのところにはすでに援軍が行っている。そして我愛羅とカンクロウも他の忍と戦っている。私はお前を助けに来た」

 

その言葉の後横に私を下ろすとテマリさんは下にいた男に叫ぶ。

 

「お前は指名手配中の霧隠れの抜け忍白杜だな?その目はうちはサスケから奪った写輪眼か?他の奴らもあるはずのない血継限界を持っていたからすぐお前達の集団だとわかったよ。だがここで暴れさせるわけには行かないんだ!ひいてもらうぞ!」

 

 

その言葉に男は興奮気味に話し始める。

 

 

「はっはぁ!風影の身内まで出てきやがったか!だが俺たちの計画の邪魔はさせねえ!5大隠れ里の全てを壊す。俺たちを認めなかったお前達など滅ぼしてくれるわ!」

 

その言葉の後に男は印を結ぶと私たちに攻撃を仕掛けてくる。

 

「火遁・火龍の顎門!」

 

ものすごい速さの龍が私たちめがけて飛んでくる。

 

「風遁・乱気流!」

 

私は横とびで避けるがテマリさんは飛び上がると扇子を3度振る。その風が龍に襲いかかるが龍は風を受け巨大化する。

 

「なに!?」

 

「ばぁか!そんな風でこの龍が止められるかー!!」

 

その炎の龍はテマリさんをその顎門で噛み砕かんと襲いかかる。

 

「テマリさん!!」

 

私の叫び声と同時にテマリさんがいたはずのところには別の忍がいた。

 

「やらせねぇー!」

 

ナルトが叫ぶ。テマリさんは地面にいる大きなカエルの上にいた。

 

「風遁・螺旋手裏剣!!」

 

ナルトは右手で大きなチャクラの手裏剣を放つ。

その手裏剣は龍を真っ二つに切り裂き術者に襲いかかる。

 

「なにぃ!!」

 

驚きその手裏剣を躱した男だったがその先にはすでにナルトが飛びついていた、

 

「その写輪眼、返してもらうってばよーー!」

 

ナルトの右手にはすでに螺旋丸があった。

 

「仲間を殺し、仲間を傷つけたお前はゆるさねぇ!」

 

ナルトの叫びと共に男の断末魔が聞こえた。その声と共に地面にめり込む男の体の上で仁王立ちするナルト。その姿に私は安心感さえ覚えた。

 

「サクラちゃん、ちょっとだけ頼む」

 

私を呼ぶ声に私はナルトに駆け寄った。

 

またナルトに助けられた。いつもナルトは私を助けてくれる。

それが嬉しい。ナルトが私のことを助けてくれることが。

 

ありがとう。

 

心の中でつぶやきながらナルトの隣に向かった。

 

「ありがと、ナルト。助かったわ」

 

私が笑顔を見せるとナルトも笑顔を見せる。少し大人っぽくなった笑顔で。私はそれに見惚れてしまう。

 

「サクラちゃんが砂の里に向かってから帰ってくるのが遅いから気になって走ってきたってばよ。でも無事でよかった。でもまずはこっち。こいつの写輪眼を眼底ごと抜き取ってくれ。保存して里に持ち帰るために」

 

ナルトのセリフに頷き男の眼を傷つけることなくえぐりとる。

 

その眼球を保存用のケースにしまいナルトは手を合わせ少し目を閉じた。

 

「サスケ、お前の仇。とったってばよ」

 

そう呟くとナルトはそのケースを私に渡して告げる。

 

 

「サクラちゃんはそれを守ってて。我愛羅の姉ちゃんと一緒に!俺ってばバァちゃん達の方も手助けしてくる!」

 

そういい走り出したナルトに私はなにも言葉をかけずただ微笑みかけただけだった。

 

ナルトが到着してから1時間も経たずに敵を全滅させることができたわ怪我人は出たが死者が出ることもなく砂の里の危機を救うことに成功した。

 

崩落も彼らの仕業だったようで、1人生け捕りにした忍の薺に尋問をかけてわかったことであった。

 

そして我愛羅くんはナルトや私たちに再度礼を言っていたがナルトは当然のことをしただけと告げると笑顔で我愛羅くんと握手をしていた。

 

里に帰り火影であるカカシ先生に全て報告を済ませた後、私とナルトは2人火影執務室に残った。

 

「で?話ってなに?」

カカシ先生は先程までと違い堅苦しい雰囲気は消えていた。以前のカカシ先生と同じ柔らかい空気を出していた。

 

ナルトが保存箱の眼球を見せながら言う。

 

「サスケの写輪眼を取り返したんだ。今回の抜け忍達は各隠れ里の血継限界を持っていたから死体はその奪った血継限界の元の里に返されることになってる。そしてこのサスケの眼。これを俺の眼に移植する許可が欲しいんだ」

 

ナルトの言葉に私は驚く。写輪眼を私たちのものにするという事はうちは一族の力をナルトが手にするということ。

それは里の上層部などから反発が来ると思ったがカカシ先生の言葉は予想外のものだった。

 

「そうだね。取り返したのはナルトだ、好きにしたらいいよ」

 

「カカシ先生!ホントにいいんですか!?上層部になんて言われるか!!」

 

カカシ先生は私の反論に諭すように答えをくれた。

 

「サスケは多分他の人に移植するくらいならナルトに移植してほしいと思うはずだ。それにナルトなら使い方を誤ったりはしない。こいつは火影になる男だからね」

 

カカシ先生の言葉に私は何も言葉が出てこない。サスケくんなら絶対にナルトにあげると思うから。

 

「ありがとう、カカシ先生。バァちゃん達にお願いしてあるから行ってくる」

 

一礼し部屋を出るナルトを私は追いかける。

 

カカシ先生の表情は優しく、少し嬉しそうだった。

 

ナルトが綱手様にお願いし、私を除く3人で手術室に入っていった。

 

1時間後にストレッチャーに乗せられ出てきたナルトの目には包帯が巻いてあった。私はその姿を見てナルトの目にサスケくんの力があるんだということを実感した。

 

「ナルト…具合どう?」

 

「大丈夫、問題ないってばよ!」

 

ナルトの手を掴んだ私の手を優しく握り返してナルトはつぶやいた。

 

病室のベッドに移しストレッチャーを片付けてから部屋に戻るとナルトは壁にもたれかかり座っていた。そして唐突に口を開いた。

 

「サスケは死んだけどサスケの意思は俺の心の中で生きてる。俺が火影になった世界をあいつの目に見せてやれる。幸せな世界をあいつに見せてやりたいんだ」

 

口元に笑みを浮かべながらナルトはつづける。

 

「サクラちゃん、俺ずっとサクラちゃんのことが好きだよ。今までも、これからも。だから俺の隣で笑ってて。俺ってばそれをずっと隣で見ていたいんだ。この眼で」

 

ナルトの手を握る。さっきよりも強く。涙が流れる。同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて。

 

「サクラちゃん、泣かないで、笑ってて?」

 

「な、泣いてなんかないわよ、ナルトの勘違いよ!」

 

泣いてることがナルトにばれているのが恥ずかしくて強がってしまう。かわいくない私。でも…

 

「私も、ナルトが好き。隣を歩けるように頑張るから。もし私が立ち止まってもしっかり手を引いて。絶対離さないで」

 

私はそういうとナルトの唇に触れるだけのキスをした。ナルトは赤くなっていた。私は赤くなっているのがわからないのをいいことにナルトをからかった。

 

「あれ?ナルト〜?顔真っ赤よ?大丈夫?風邪?」

 

「なんでもないってばよ。サクラちゃん」

 

赤い顔のまま返してくるナルト。そんなナルトにもう一度キスをしてから手を離す。

 

「また明日くるから。待ってなさいよね」

 

私のつぶやきにナルトは大きく頷いた。その姿を見て私は踵を返し歩き始めた。

 

「サクラちゃん、大好き」

 

後ろから聞こえる声に振り返らずに告げた。それはナルトへの本心。

 

「私も。ナルトが世界で一番好きよ」

 

部屋を出た時私の顔は熱く紅かった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

そして5年が経ちナルトは火影になった。

 

写輪眼を持ち、人柱力と和解し、本当の力を発揮できるようになったナルトは第4次忍界大戦を砂隠れの長である我愛羅とともに同盟国として他国と渡り合い戦いを収めることに成功した。その功績により火影として任命されたのだ。

 

第4次忍界大戦ではたくさんの人間が死に、仲間も何人も失った。だがその犠牲のもとで争いがなくなり、平和な世界を作ることにもなったのだ。

 

ナルトは忘れない。仲間の死を。犠牲を。

私は忘れない。救えなかった命を。

 

そして今日はサスケくんの誕生日。お墓の前で2人並び手をあわせる。

 

少しの沈黙の後私たちは手を取り報告をする。

 

「誕生日おめでとう、サスケ。時間かかっちまったけど俺とサクラちゃん、結婚することにしたんだ。今日はその報告に来たんだ」

 

ナルトは私の方をちらりと見てから話を続ける。

 

「火影になって半年。お前の眼には今どんな世界が見えてるんだ?俺と同じ幸せな世界が見えてるか?お前の眼でこれからもっといい世界を見せてやる。だから楽しみにしてろよな!」

 

そういうとナルトはにかっと笑い墓に花を手向けた。

 

「サスケくん、いつまでもサスケくんは私たちの仲間よ。だから忘れないで。私もナルトもサスケくんが大好きだってことを。離れててもずっと一緒よ。誕生日おめでとう」

 

私は左手に持っていたサスケくんの好物を詰めた入れ物を墓に供える。サスケくんへの誕生日プレゼントだ。

 

「じゃぁサスケ、また来るからな」

 

「サスケくん、また来るわね」

 

振り返り歩き始めた時風が吹いた。その風の中から声が聞こえた気がした。サスケくんの声が。

 

『おめでとう、2人とも』

 

振り返ってもそこには誰もいない。ナルトにも聞こえたみたいで私たちは見つめあい笑った。

 

「「ありがとう、サスケ(くん)」」

 

私たちはまた、歩き出した。

 

 

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