雷門の試練
「せりゃぁぁぁ!」
日の暮れた鉄塔広場に少年の声が響く。
少年は頭にオレンジのバンダナをはめて、
木にぶら下げた、タイヤで一人特訓をしていた。
「やっぱりここにいたのか、円堂」
俺は少年に呆れながら喋った。
「雷藤!お前も来たのか!」
そう、俺の親友といっても過言じゃない円堂守が言った。
俺の名前は、雷藤 真紅(らいどう しんく)
雷門サッカー部所属の中学二年だ。
「明日は大事な試合だぞ、その辺にしとけ」
すると、円堂は
「ああ!わかってるけど、どんなシュートを打ってくるのか、想像しただけで、ワクワクが止まらないんだ!」
その言葉を聞いて、俺は呟いた。
「やっぱりお前は、根っからのサッカーバカだな」
俺は笑いつつ、円堂のもとに駆け寄った。
大事な試合というのは、明日うちの雷門中に中学最強の帝国学園がサッカーの練習試合に来る。
しかも、もし負けてしまったら廃部というオマケ付きだ。
「円堂出来たか?例のあの技は?」
すると、円堂は
「うーん、感じはわかるんだけど、何か足りないんだよな…」
と真剣そうな顔で嘆く。
その後、俺達は軽く体を動かした後、明日に備え二人とも家に帰るのだった。
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翌日……
「やばいっス、緊張してきたっス…」
と体を縮こませ、震えているのは
うちのDFの壁山 塀吾郎だ。
名前は人を表すと言うのは、まさにこの事だと
言わんばかりの巨体である。性格に難ありだが…。
すると、背番号10を着たメガネをはめた
特に特徴のない男、目金欠流が言った。
「まだ帝国の人たちは来ないんですか?ふふっ、さてはこの僕を恐れて逃げ出しましたね!」
その言葉を聞き、それはあり得ないなと思っていると
突如、空気が変わった。
巨大な黒い乗り物が現れ、赤いカーペットが広がり横にはサッカーボールを踏んだ、軍隊のような人が並ぶ。
すると、先頭に赤いマントを纏い、不気味なゴーグルを
掛けている男が現れ、次々帝国メンバーが出てくる。
黒い乗り物を見ると黒い服を着た男が見下ろして
不気味な笑みを浮かべている。
そして、帝国メンバーはグラウンドに広がると、
ウォーミングアップを始めたようだった。
雷門中のFWの一人の染岡竜吾が少し苛立っていた。
「何だよ、あいつらうちに挨拶もなく、俺達のグラウンドを使いやがって…」
怒りが隠せてない染岡が呟やくと、
「それは失礼したな、初めてのグラウンドで少し慣れるために、ウォーミングアップをさせて貰ったが、挨拶がまだだった」
そうマントの男が言い残すと
眼帯をはめた男からボールを貰い、高々と蹴り上げた。
すると、マントの男は空中に飛び上がり、ボールを
円堂目掛けて、シュートを放った。
あまりの速さに、俺は何が起こったかわからなかった。
円堂が両手で何とか抑えたが、円堂のグローブからは微かに焼き焦げた匂いが漂っていた。
「ぐっ……」と円堂は手を押さえ、威力の凄まじさを
物語っている。
「ほう、俺のシュートを防いだか…、この試合せいぜい、三分は保ってくれ」
と言い残すと、マントの男は選手を集め、
グラウンドに並んだ。
負けるわけにはいかない、この試合絶対勝つ!
俺は強い意志を抱き、グラウンドに並んだ。
雷藤「絶対勝つぞ円堂!!」
円堂「ああ!!」