イナズマイレブン~クロスライジング~   作:shoogel

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じいちゃんの裏ノート!

「じいちゃんのもう一つのノートを手に入れるぞ!!」

 

「「「おおおおっ!!」」」

 

イプシロン戦を終えた私たち。

現在キャラバンで移動中だが、キャラバンの中ではそんな歓声が広がっていた。

 

 

 

 

 

場所は変わって……。

 

カッ…コン…

 

「蠱毒という毒を知っていますか?」

 

場には一時沈黙が流れる。

 

「いえ。無学ですので一向に」

 

「中国の古い言い伝えにある毒です。それを作るためには、毒虫を集めて壺の中に入れるのです。毒虫は互いに争い合い最期には最強の一匹だけが生き残ります。蠱毒はこれを使って作られるのです」

 

「つまり極限の中から最高の種を選ぶ訳ですか」

 

「そうです。それこそが極限の奇跡に必要なことなのです」

 

カッ…コン…

 

 

 

 

 

「デザーム。無様だね」

 

場が凍てつくような冷たい言葉がデザームに放たれる。

 

「わかっております…」

 

「雷門イレブンと互角の試合だったそうだな」

 

その凍てついた場を再び燃やすような言葉がデザームに声を掛ける。

 

「申し訳ありません。我らエイリア学園にとって同点は敗北と同じ」

 

「楽しかったかい?円堂達と戦って」

 

俺はその円堂という言葉に反応して顔を上げる。

 

「グランあんたは黙っててくれ」

 

「そうだよ。いくら君でも」

 

そんな言葉がバーンとガゼルから放たれる。

 

「ふん…。あいつと戦って楽しくない訳がないだろう」

 

俺も思わずそう答える。

直後バーンとガゼルは此方を睨む。

 

「気に障ったなら謝るさ」

 

ガゼルは何か言いたげではあったがデザームにもう一度視線を向ける。

 

「デザーム。後のことは我々に任せておきたまえ」

 

しかしデザームもガゼルに話す。

 

「…しかし私たちは持てる力の全てを出した訳ではありません」

 

「わかってるさ。お前の実力がそんなものじゃないってことくらいな」

 

そう言って俺はデザームに声を掛け場は解散した。

 

 

 

 

「お疲れ様エクレール!」

 

会議が終わった俺にシアリアが駆け寄る。

 

「ああ」

 

ドックン………

 

(真紅か?)

 

(ああ。俺と変わってくれ)

 

スゥ……‥…

 

「…城ヶ崎」

 

「えっ…、雷藤…くん…?」

 

俺は入れ替わるとそうやって声を掛けた。

城ヶ崎は驚いたような、懐かしいものを見るような表情のまま動けない。

 

「約束果たすよ」

 

「えっ…?」

 

「ケーキ食いにデート行くんだろ?」

 

その言葉に城ヶ崎は目を輝かせ頷く。

 

「…うん…!うん…!行く!行くよ…!」

 

そんな城ヶ崎から目から雫が溢れた。

 

「あ…、あれ…?何でだろう…、嬉し…泣きかな…?」

 

俺は何故気付いてあげれなかったのだろう。

この間の件で記憶に矛盾が産まれ様々なことが俺の脳裏にふつふつと甦った。

俺は子供の頃に会っていない。会っていないけど会っているんだ。

何故もっと早く。俺は誰よりもこいつの力になってあげないといけない…。

 

「俺がお前の力になる…」

 

そう言って俺は城ヶ崎を優しく包み込む。

 

「そんなに優しくされると…、う…うわあああああ!!」

 

俺の胸で泣くか弱い少女。

 

何故こういう事態になっているのか俺にはまだわからない。

だがこれだけはわかる。

 

(…まさかそんなことが……)

 

(そうかリンクしているから伝わったのか)

 

(…ああ)

 

俺はもう一つのこの身体に宿る魂と会話する。

 

(…俺も力を貸そう。例えそれで俺が消えようとも………)

 

俺はその言葉に胸が痛む。

そして俺はこの言葉を口に出した。

 

「…ありがとう…父さん」

 

そう言って俺は城ヶ崎の手を握る。

 

「ほらデート行くんだろ?そんなんじゃ美人が台無しだぜ?」

 

そうニカッと笑い城ヶ崎に声を掛ける。

泣きじゃくった顔で笑ったこの顔は凄く身近のもので大切な女性そのものだった。

 

一通り泣き終えて俺にくっつく城ヶ崎。

俺は決心する。

 

「俺はこいつのためなら例え雷門でさえ倒す…!!」

 

 

 

 

 

 

ガタン…ガタン…ガタン…

 

私は眠りから目を覚ますとそこには懐かしい感じの街が姿を見せていた。

 

「そろそろ着くぞ〜、陽花戸中だ」

 

私たちが向かっていたのは、九州福岡県の陽花中。

私たちがキャラバンから降りると校長らしき人が円堂くんに握手する。

 

「君が円堂大介の孫かぁ!よく来たね!」

 

「はい!」

 

握手を交わす2人に夏未ちゃんが近づく。

 

「お久しぶりです叔父様!」

 

「おおっ…!総一郎くんは元気かね?」

 

「えっ?」

 

不思議そうに夏未ちゃんの方を見る円堂くん。

 

「叔父様とは小さい頃からの知り合いなの」

 

「ああ。総一郎くんとは歳は離れておるがブルボン大学での先輩後輩たい。ヨーロッパはよかよ〜。なんと言ってもサッカーの本場やけん。君もいっぺんは行くべきたい」

 

「はい!」

 

「でもどうして叔父様のところに円堂大介さんのノートが?」

 

そう言って夏未ちゃんは校長先生に尋ねる。

 

「わしゃ大介の大親友ばい!」

 

「「ええっ!?」」

 

「見らんねこの陽花戸中を。大介とワシの母校たい」

 

「え!?じいちゃんって雷門中じゃ無かったんですか!?」

 

「生まれも育ちも福岡たい。中学ん時に転校したっちゃけん。こっから大介のサッカー人生は始まったたい」

 

話を聞いた円堂はグラウンドを眺める。

 

「ここから…」

 

 

 

 

円堂はそのあと夏未と監督の3人で校長室へとお邪魔していた。

 

「聞かせてくださいじいちゃんの話!」

 

「よかよか。大介は情熱がスパークするサッカーバカやったたい。寝ても覚めてもサッカーのことしか考えんかったとよ」

 

話では2人で山で対決をしたことやら。猪狩りをしたことやら。

しかも校長室に掛かってる猪は円堂大介が狩った猪だという。

 

「キーパーの練習はしたんですか!?」

 

「ああ。木にロープでタイヤを結んでな」

 

「ええっ!?…俺おんなじことやってました…」

 

「そうかぁ…流石大介の孫たい」

 

監督もそんな会話に加わる。

 

「ところで円堂大介のノートと言うのは?」

 

「ああ。裏ノートのことたいね?」

 

「「「裏ノート?」」」

 

「表のノートには書けんことばっか書いてあるおそろしかノートばい。あれは大介が死ぬちょこっと前のことやった。大介が突然私ば訪ねてきて一冊のノートば託したとよ。…もし俺に何かあったら処分してくれ。…あげんことに」

 

そう思い出すように語る校長からは一筋の涙が落ちる。

 

「大介…。空の向こうでもサッカーばしよるとか?お前の頼みだったが捨てることは出来んかった…。いつか受け継ぐべきものが現れるだろうってなぁ」

 

そう言って校長は円堂を見つめる。

円堂はその裏ノートに手を付け、ページを開く。

 

「うわ、すげぇ!こ、こんなすげぇ技じいちゃん出来たんだ!」

 

「いいや、出来んかった」

 

「…え?」

 

「妄想はよかばってんスパークするサッカーバカの大介でも出来んかった不可能な技が書かれとるたい。それ故、究極奥義って呼ばれとるばい」

 

「究極奥義!?」

 

その言葉を聞いた円堂はその書かれた技に目をやる。

そして目を輝かせる。

 

「じいちゃん俺やってみせる!究極奥義絶対ものにしてやる!!」

 

「…で、どんな技が書いてあるの?」

 

夏未はそう言い円堂が持っているノートに目をやる。

 

「例えばこれ!正義の鉄拳。究極のパンチ技!」

 

「正義の鉄拳…?」

 

「パッと開かずグッと握ってダン!ギューン!ドカン!」

 

「…え、円堂くんお爺さんって…」

 

と少し監督も困惑したように呟く。

 

「流石大介の爆発するサッカーバカの文章たい…。お前らしかばい…大介…」

 

そう言って校長先生は目頭を押さえる。

 

「すげぇんだ!他にも色々あるんだ究極奥義が!…ん?」

 

「どうしたの?」

 

何かに気付いたような円堂に夏未は声を掛ける。

 

「ここに究極奥義は未完成って…」

 

「未完成…。やっぱり完成させられなかったにね…」

 

「じいちゃんが諦める訳ない…!絶対に完成出来たはずなんだ!あとは俺が受け継いでみせる!!」

 

そんな円堂を見て校長は話す。

 

「丁度よか機会たい。うちのサッカー部を紹介するばい」

 

そうして円堂達はグラウンドに赴くのだった。

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