イナズマイレブン~クロスライジング~   作:shoogel

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城ヶ崎 亜利沙

俺はあいつらがここから出て行くのを確認してから、城ヶ崎とナニワランドでデートを実行することにした。

 

「お待たせ!!」

 

「ああ。行こうか?」

 

城ヶ崎が俺の手を握る。

俺もその手を握り返す。

 

「…えへへ!」

 

弾けるような笑顔に俺も笑顔で返す。

 

「ねぇねぇ!タピオカ飲みたい!」

 

「結構並んでるぜ?」

 

「…ううん、いいの!一緒に居れる時間が嬉しいからっ…!!」

 

「そっか…、じゃあ並ぼうか」

 

時間の限り付き合おう…。

その後もアトラクションなど周りたいと大はしゃぎだ。

 

「次!次!あ、観覧車乗ろうよ!昔みたいにっ!…あっ………」

 

そう言ったあと城ヶ崎は少し落ち込んだ仕草をする。

 

「…大丈夫だ。新しく思い出を作ろう」

 

「うんっ…」

 

俺らは観覧車に乗り込み席に座る。

城ヶ崎は正面ではなく俺の横に座り、肩に頭を預ける。

 

「やっぱり凄いね…。私をやっぱり見つけてくれた…」

 

俺はそっと頭を撫でる。

 

「ああ。時間が掛かってすまなかったな…」

 

「ううん、やっぱり変わらないなぁ…」

 

そんな風に語る城ヶ崎。

 

「昔ね、本当に昔…。私がかくれんぼしてて、絶対見つからないように軽トラに隠れたことがあったの…。その日は寒くて後ろの荷台の布に包まってて…ついつい寝ちゃったの。で、目を覚ましたら知らない建物の前でびっくりしちゃって…、どうもお日さま園に来てた資材の業者だったみたいで私、暗い中で泣いてたの。でね、私気付いたらずっと呟いてた言葉があってね…」

 

「ああ。なんとなく予想はつくな」

 

「ふふっ、それもバレてるか…。ずっと怖くて震えていた時、道に灯りが見えたの。大人の人かと思ったら私と同じくらいの男の子で、裸足で走って来たんだよ?おかしいでしょ?」

 

「ふ…、さぞかしバカなんだろうな…」

 

「ふふっ…、そんなおバカさんだけど、私にはとってもカッコいいヒーローに見えてすっごく大好きだった」

 

「…だった?」

 

俺は彼女の顔を覗き込む。

瞳からは涙がとめどなく溢れていた。

 

「…何度も何度も………。私は……私は…………。うっ…ううっ……ひっく……」

 

俺は咄嗟にこう語り掛ける。

 

「頑張って来たんだな…」

 

「そうやってすぐ…甘やかすんだからっ……!」

 

俺はこいつの正体に気付いている。

おそらく彼女も俺に正体がバレていることは理解しているだろう。

 

「あり得ないけどあり得ることなんだな…」

 

「…うん」

 

観覧車が一番上に登る。

 

「さっきのかくれんぼの件。相当昔のことのように語ったな。…何がそこまでお前を動かしてるんだ?」

 

「それは……………」

 

 

 

俺は全てを聞いた。

その上で彼女がどれだけ苦しんできたのかも。

ああ。本当に世界は残酷だ。

 

「……………」

 

「嘘だと思う…?」

 

「いや、嘘だと思いたいが正解だ」

 

俺はあることを考える。

 

「俺がエイリア学園を操れたら…?いや、お日さま園の父さんやヒロト達みんなに協力を仰げたら…?」

 

「そんなことって出来るの…?」

 

「毒には毒をって言うだろ…?」

 

そう言っている間に下に着く。

 

「あ、もう3周追加で!」

 

そう言いスタッフに賃金を渡す。

 

「お行儀悪いよ?」

 

「しょうがねぇだろ、俺は珍しく頭使ってるんだ」

 

「…もう。ふふっ、ずっとこの観覧車貸し切ってるみたいで良いけどねっ!」

 

「これから俺はお前の空いた心の穴を塞ぐ為にやるだけさ」

 

「も、もう!この女ったらし!!」

 

真剣に言ったのに怒られてしまった。

女っておっかねぇ…。

 

「お父さんも宿ってるんだよね…?」

 

「ん、そう言えば初めから気付いてるような感じだったよな」

 

(それは俺も思っていたが…)

 

「つまりはさっき話した会話の一部にそう言うのが含まれてたって話だよ」

 

(そう言うことか…)

 

俺はこのか弱い少女を抱き寄せる。

 

「ふぇ!?」

 

「俺はお前の味方だからな?」

 

「…うん。…うん、ありがとう…!」

 

 

 

観覧車から降りた俺たち。

ソフトクリーム買ってくるよと走り出した彼女に手を振る。

 

(真紅…。お前はどうする?いやどうしたい?)

 

「俺は…まずお日さま園の父さん達に話してみたい。どんな結末になるかわからないけどな」

 

(そうか…、吉良さんに俺たちの声を届けるしかないな)

 

「ああ。俺たちからまず明日を切り開くんだ!」

 

そんな時、戻ってきた彼女からソフトクリームが手渡される。

 

「じゃじゃーん!4色ソフトだって!バニラに抹茶にチョコにストロベリー!うまそっ!」

 

あむっ!と頬張る姿に俺は思わず微笑む。

 

「この笑顔これ以上失わせない…」

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