「円堂ここにそのヒロトって奴が来るのか?」
「ああ、その約束だ。」
円堂くんと風丸くんがそんな会話をしている。
陽花戸中学校グラウンド。
私達、雷門イレブンと立向居くんを含むメンバーは
円堂くんが会う約束をしたというヒロトという人物と会うことになっている。
「ヒロトって名前聞き覚えあるな…。」
「天空橋、どうした?」
「ううん、なんでもないの。」
黒薔薇くんが心配したように私に声を掛けてくれる。
杞憂だと私は首をふるふると横に振り
黒薔薇くんに笑いかける。
「そもそもヒロトって奴はどんな奴なんだぁ?」
アツヤくんも少し退屈そうな感じに欠伸しながら
円堂くんに問いかける。
「ヒロトは…」
円堂くんが答えようとした時、突如として黒いモヤが立ち込める。
「こ、これは…!?エイリア学園!?」
風丸くんがそう叫ぶと、より一層モヤが濃ゆくなる。
「こんな所にまでイプシロンが来るのか!!」
染岡くんの言葉に私たちは構えた。
しかし、そこに現れた人物たちは予想外の人物であった。
「我らはエイリア学園マスターランク…、ザ・ジェネシス。」
そこに現れたのは新たなエイリア学園。
そして視界に映ったのは真実と信じ難い光景だった。
ザッ…ザッ…ザッ…
砂煙をあげ後ろから歩いてくる人物。
見間違えるはずがない。
この私が…見間違えるはずが…ないっ……!!
「お、おにぃ…ちゃん…?」
私の言葉にチーム全員が耳を疑う。
私が黒いモヤの方を指差す。
徐々に晴れていく黒いモヤ。
先頭に3人が立っている。
赤髪の少年、青髪の少女。
そして…紫髪の少年…。
そしてその紫髪の少年が話す。
「俺たちはファーストランク、お前達にわかりやすく言うとイプシロンより遥かに強いチーム。マスターランクのザ・ジェネシスだ。
「さあ、やろうよ円堂くん。」
赤髪の少年が円堂くんに声を掛ける。
私は後退りしながら、震えた声を出す。
「そんな…そんなのってないよ……。」
震える私を後ろから黒薔薇くんが支える。
「雷藤っ!無事だったんだな!!良かった!お前が来るのを待ってたんだぜ!!」
円堂くんが半信半疑の状態で近付き、お兄ちゃんに手を近付ける。
ぱしんっ
「えっ…?」
お兄ちゃんは円堂くんの手を払う。
「すまないな円堂。俺はエイリア学園マスターランク、ザ・ジェネシス…エクレールだ。」
「じょ、冗談はよしてくれよ雷藤っ…!ヒロトも一緒にサプライズしてくれたのか!?」
まるで現実逃避するようにヒロトくんに顔を向ける円堂くん。
ヒロトくんから向けられていた視線は冷たいものだった。
「俺の名前はグラン。ジェネシスのキャプテンだ。さあ始めようよ円堂くん。君の大好きなサッカーの時間だ。」
嘘だ…嘘だっ…!
「お兄ちゃんっっ!!!!」
その叫びにお兄ちゃんはピクッと反応する。
私の目から涙が溢れる。
「会えたのに…やっと会えたのにっ!なんで…なんでなの!?」
お兄ちゃんはその私の表情と言葉に、少し罪悪感を覚えたような表情を一瞬浮かべたが、すぐに不敵に笑う。
「お前達との甘っちょろいサッカーには飽き飽きしてたんだよ。」
「なにっ!?」
そういうと、お兄ちゃんは手を上にかざすと手の上に黒いサッカーボールが現れる。
「俺はレベルの高いサッカーを求めている。お前達はどうだ?エイリア学園と戦った時、何も出来ていなかった。対応出来ていたのは俺と鬼道や豪炎寺、黒薔薇くらいのものだった。レベルが違い過ぎるんだよ。」
「それは違うぞ雷藤!!」
風丸くんがお兄ちゃんの言葉を遮る。
「お前はそんなこと言う奴じゃない!!俺たちだってあの頃より更に強くなったんだ!!」
「違う仲間を入れて、そう勘違いしているだけじゃないのか?」
俺の言葉に風丸くんは言葉に詰まる。
「風丸。お前は俺らと同じ初期メンバーだ。だからこそ強く感じるはずだ。果たして今は雷門イレブンなのか…と。風丸お前だってスタメンが危うくなっている立場。危機感で危うい感情が感じられるぞ。」
「そうだったのか…風丸。」
円堂くんが風丸くんに不安そうな表情を向ける。
「力が欲しいと思って何が悪いっ!!」
その力強い言葉が響き渡る。
「それがお前の危うさだ。お前は強いんだ、変わるな風丸。」
お兄ちゃんのその言葉に風丸くんが戸惑う。
そして私にお兄ちゃんが目を向ける。
「俺はお前達の敵だ。お前達が持っている最高の力でぶつかってこい。」
「お兄ちゃん…」
そしてお兄ちゃんは鬼道くんに視線を移す。
「鬼道!」
「…なんだ?」
突然の名指しの呼び掛けに鬼道くんは言葉を選びながら応える。
「いい試合にしよう。」
そう言うとジェネシスはアップを始める。
鬼道くんは今の意味深な言葉を噛み締めるように
ジェネシスを方を見つめる。
「サービスが過ぎるぞエクレール。」
「悪いグラン。」
俺はそう言うとベンチに腰を掛ける。
さっきから向こうの視線が痛い。
「悪役ってものも気持ちが良いもんじゃないな。」
「そこまでしてあいつらの力が必要か?」
ウルビダがそう俺に問いかける。
「…ああ。必ず必要になる。断言できる。」
「うん、そうだね。きっと必要…。」
俺の背後から少女が現れる。
「シアリア。」
「あの敵を倒すには必ず。」
俺らはその言葉に頷き。
俺は仲間の顔を見て言い聞かせるように話す。
「敵は未来だ。」
俺はそう言って拳を握り、グラウンドへと向かった。