「みんなー!見えて来たぞ稲妻町だ!」
古株さんの声に車内が湧く。
「戻って来たなぁ!」
「ああ!」
「久し振りに戻って来たっス〜!」
「なんか懐かしい感じでやんす〜!」
そんなみんなの反応に塔子ちゃん。
「なになに?みんな感動しちゃって?」
そんな塔子ちゃんに私は話しかける。
「あの鉄塔見える?あれが稲妻町のシンボルなんだよ〜」
「へぇ〜」
円堂くんも鉄塔を見ながら声を出す。
「次のイプシロンの試合まで1週間だ!みんな!バッチリ調整してレベルアップしていこうぜ!」
そんな中、アツヤくんは染岡くんの方に顔を向けていた。
「ぐ…くっ…!」
そんなアツヤくんに気付いた染岡くんも心配させまいとアツヤくんに声をかける。
「へへ…っ、こんな怪我2、3日で治る…!試合までには余裕で復活だぜ…!」
「…ああ、そうでなきゃ俺が雷門のエースの座奪っちまうからな…!」
「へっ…!」
口ではそう言うアツヤくんだがやはり心配そうに見える。
しばらくキャラバンで進んだ所、円堂くんが古株さんに声をかける。
「古株さん!車止めてください!」
円堂くんがキャラバンを降りる。
キャラバンが止まった場所は河川敷だった。
「ナイトメア…レインV2ゥッ!!」
「シュートポケットV2!!」
そんな光景を見た円堂くん。
「今のシュートすげぇ!ん?でもあのシュート何処かで見たような…?」
黒薔薇くんも遅れてキャラバンから出て来て少し嬉しそうに呟く。
「ふっ、あいつこんなところで…」
そのシュートを放った人は雷門のジャージを着ている。
「あいつ、雷門のジャージ着てるけど誰だ?」
風丸くんもそう言いながら、河川敷のグラウンドに円堂くん達の後を追う。
「杉森ー!」
「おう円堂!」
「久し振りだなぁ!」
「戻って来たのか!」
円堂くんが声を掛けたのは杉森という御影専農でキャプテンだった選手だ。
あの頃とは違い楽しそうにプレイしているのが私にも伝わってくる。
「みんなで今から雷門中に戻る所なんだ!」
「そうか!」
そこに居る2人に面識が無い吹雪くんは鬼道くんに尋ねる。
「あの2人は?」
「1人は御影専農のキャプテン杉森威。フットボールフロンティアの地区予選で雷門と対戦した」
「うっしし、変な頭〜!」
杉森さんを見た木暮くんは笑いながら杉森さんを見てる。
「隣のシュートを打ってた方は?」
塔子ちゃんが私に尋ねる。
「ん〜、シュートは見たことあるような気がするけど…」
黒薔薇くんが前に出てその選手に声を掛ける。
「久し振りだな川東!」
「ああ。久し振りだな黒薔薇。そして円堂」
「ああー!」
挨拶をされた円堂くんは思い出したように話す。
「見たことあるシュートだと思ったら黒薔薇と同じナイトメアの!!」
私も円堂くんの声で思い出した。
ナイトメア。
世宇子中との決勝戦後戦ったチーム。
黒薔薇くん率いるチームで川東くんは3人居たFWの1人だ。
「でもなんで雷門のジャージ着てるんだ?」
円堂くんはそう川東くんに質問する。
「実はな雷門中に転校したんだが…。学校壊されていたからな手続きだけ済んでる状態なんだ」
「学校壊されてるからしょうがないもんね…」
私の言葉に川東くんも頷く。
「俺は強い奴が好きだ。だから雷門に来たんだがな、お前たちはもう旅立っていた」
「だから俺がスカウトしたんだ」
「スカウト?」
杉森さんの言葉に風丸くんが首を傾げる。
「エイリア学園のバックアップチームだ。実はお前たちがエイリア学園と戦ってると聞いてじっとしていられなくなってな…!強い奴を集めているところなんだ!」
「そうだったのか…!」
「日本一になったお前たちでも何度も挑戦しなければ倒せなかった相手なんだろう?噂では次の敵はさらに強いと言うじゃ無いか。…だからな俺たちがこうしてバックに控えてるんだと思って、お前たちには安心して戦って欲しいんだ!」
そんな杉森さんの言葉に心を打たれたのか涙を浮かべる円堂くん。
鼻水をすすりながら円堂くんが話す。
「ズズッ…、じゃあお前も?」
円堂くんは川東くんに尋ねる。
「ああ、だが今の俺の実力じゃあいつらには勝てない。俺が満足いく成果を得られた時にチームに合流させてくれ!」
「勿論だ川東!」
円堂くんは川東くんに力強く返答をする。
「応援しているぞ円堂!絶対負けるなよ!」
「ああ…ありがとう!ありがとう杉森!」
言葉を交わした2人は握手を交わすのだった。
それからキャラバンを走らせて遂に雷門中へと到着した。
「…パパ!」
「おかえり夏未…。今、新しい校舎を建てているところなんだ」
夏未さんは嬉しそうに理事長に駆け寄る。
夏未さんは建て直している校舎を見ながら話す。
「この学校が元に戻るまでに戦いが終わると良いのだけど…」
キャラバンから出た私たちを理事長が出迎える。
「諸君!よく戻って来てくれた!夏未から報告は受けたが真帝国学園には正直驚いたよ。苦しい戦いが続くが君たちならば必ず成し遂げられる!頑張ってくれ…!」
成長したみんなを見ながら少し間を開けて理事長が話す。
「…とはいえ休みも大切だ!短い時間だが疲れた身体を休めてくれたまえ!」
その後私たちは自由時間ということで時間を設けられた。
円堂くんは鉄塔へ。木暮くんは春奈ちゃんとイナビカリ修練場へ。
私はみんなのお見舞いで病院へ行った。
でも、私より先に円堂くんお見舞いに来てたみたい。
やっぱり仲間思いのいいキャプテンだなぁ…。
みんな体調はだいぶ良くなったみたい!
むしろすっごい元気で早く復帰してエイリア学園と戦いたいって!
「やっぱり仲間っていいよね…!」
私はお見舞い帰りで河川敷の水辺を散歩していた。
半田くんも言ってたなぁ。
「仲間の元気は俺の元気!だからあと1週間もっと強くなって見せる!」って円堂くんが言って出て行ったって。
「ふふっ…!」
円堂くんが言った言葉に少し吹き出してしまう。
「仲間の元気は俺の元気…か…、お兄ちゃんも言いそうだな…」
円堂くんの言葉で口元が緩んだが、お兄ちゃんのことを考えると胸が痛くなる。
「…お兄ちゃん」
水辺を眺めながら、ふと思う。
「私を助けてくれたエイリアの人って誰だろう…」
少し時間は戻り真帝国学園戦後。
「いいか円堂。天空橋には絶対に言うな」
黒薔薇は円堂に話す。
「でも!もしかしたら雷藤かもしれないんだぞ!!」
「お前の気持ちも痛いほどわかる!」
「ならっ!」
黒薔薇は円堂の肩を握り話す。
「あいつは…天空橋は雷藤のことが本当に大好きで心配なんだ!もし、俺らが雷藤かも知れないと話せばあいつは1人でもエイリアに向かうかもしれない!そんな危険な真似…絶対にさせたくないんだ…!」
「黒薔薇…」
「円堂。あいつの正体は正確には俺らにもわからないが…、少なくともみんなの前ではこの話は伏せよう。俺ら2人の秘密だ」
「…ああ。わかったよ…」
「考えても仕方ないか…!あれ?グラウンドの方誰か居る?」
私がグラウンドに向かうとそこには練習に励む雷門中のメンバーがいた。
「よし一之瀬パスを回せ!」
「塔子!」
「栗松!」
「壁山!」
私もそんなみんなのもとに駆け出す。
「ふふっ、待って!私も加わるよー!」
仲間っていいな…!