Medal of Honor Silver Star   作:機甲の拳を突き上げる

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投稿が遅くなって申し訳ありませんでした・・・


9話 バリアス砂漠 前篇

とある森の中、あたりは暗闇が覆い、空には宝石を敷き詰めたかのように星が輝いている。

 

その森の中で光を発し、人の声が聞こえてくる。その場所では焚き火やランプの光が漏れており、近くには戦車に車と乗り物があり、その傍では様々な服を着た兵士がいた。

 

集団による迷彩効果を起こすACUや砂漠地帯などで迷彩効果を発揮する3CなどのBDU(バトル・ドレス・ユニフォーム)、青い戦闘服、黒の戦闘服とここの集団だけで様々な服を着ていた。

 

その一角は他の所と雰囲気が違っていた。そこには机に地図を広げ、無線機などの資材が置かれており、その場には独立遊撃隊(アメリカ軍)に第7小隊と各部隊の隊長格と数人のメンバーがいた。

 

「情報によると帝国兵はバリアス砂漠東部に陣取っているとのことだ、俺達はここの遺跡を経由していくルートをいく」

 

地図に小石を置きながら進行ルートの説明をしているマザーはそのまま説明を続ける

 

「なんでも遺跡に出入りする帝国兵を確認したとのころだ。奴さんらが何を狙っているのかはしらんが、この遺跡に何かあることは間違いない。本隊が東側から戦闘をしかけ注意をそらす間に俺達は遺跡の探索だ。何か質問は?」

 

一通りの説明を終えると質問が無いかを聞く。すると

 

「部隊の配置はどうする予定ですか?」

 

口を開いたのは黒い戦闘服を着て肩にはNo.7と書かれていた

 

「遺跡周辺の敵を排除した後に、遺跡を第7小隊からの調査メンバーを送る。デルタは調査メンバーの護衛。他は周辺の警戒だ」

 

No.7が頷くと、マザーは他に質問が無いか聞く

 

「遺跡側にいる部隊の規模はどのくらいだ?」

 

その質問をしたのはダスティーだ

 

「敵の規模は精々2個小隊程度だと予想される。こちらの戦力なら撃破は容易いだろう」

 

そう言い、他に質問する気配が無いのを感じると

 

「なら、以上だ。だが、まだ話はある」

 

マザーは地図のある場所を指さした。そこは目的地である遺跡がある場所だった

 

「奴さんらが何故戦略的価値の低いここに出向いたのかが不明だ。資料を見たがここは古代ヴァルキュリア人の遺跡だそうだ」

 

マザーは手に持っていた資料をNo.7の方に机の上を滑らすように投げる。それを受け取ったNo.7は中身を見る

 

「こんなのに何の興味があるかしらんが、帝国の高官でもさらに高い奴がこの遺跡に向かっているとのことだ」

 

資料を見ているNo.7に今ある情報を説明する。資料を見終えたNo.7が顔を上げるのを見て

 

「率直にお前の意見を聞きたい。ネームレスなんざのクセの多い連中を率いているお前から見てこの場所に何があると思う?」

 

No.7……彼の名はクルト・アーヴィング。なぜ彼等ネームレスと呼ばれる部隊がいるのかと言うと、話は基地出発まで話をさかのぼる

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

マザーはバーロット大尉がいる司令部まで来ていた。バーロットの手にはある資料を手にしていた

 

「……中尉、この資料をどこで?」

 

バーロットの声はいつもの凛とした声だが、その声の中には威圧が含まれていた

 

「此方で独自に……としか申せません」

 

その威圧をモノともしない様子で答えた。彼らはただ黙って命令を受けて戦場に向かっているわけではない。最終目的は本国であるアメリカ合衆国への帰還である。ガリアだけに帰還方法を任せる筈もなく、自分達でも帰還する方法の情報を集めていた。幸いに情報収集能力を持っている人間は少なくなく、帝国を圧倒する強さ、死傷者の増加を防ぎ、短時間で戦線を押し上げているという異常な戦果を上げ、それの報酬は莫大な物であった。その報酬の中にはガリア(こっち)に引き込む意図があるだろうが、そんなことをマザー達は既に予想しているが口に出して言ってこない分無視していた。

 

その資金から金を握らせ情報を聞き出したり、()()()()()()をおこない情報を()()して貰ったりしていた。その情報の中であったのがネームレスの情報である。

 

ネームレス……正式名所は422部隊と言う名で、ガリアにおける懲罰部隊である。軍規違反者や刑事犯および個人的な事情により自ら志願した者で構成される。だが、本来は特殊技能を持つ隊員や後方撹乱、破壊工作、諜報、人質救出などの危険度が高い任務をこなす特殊部隊であった。そのため素性を隠すように全員名前を剥奪され番号で呼称される他、戦闘服は黒を基調としたものとなっている。

マザーはその部隊に目を付けたのだ、今回の作戦は何か嫌な予感がする……そんな胸騒ぎがするマザーは少しでも戦力を確保しようと考えていた所、諜報系統を担当していたダスティーに相談した所、ネームレスへとたどり着いたのだ。

 

「……これがどういう意味かわかっているのか?」

 

バーロットは更に威圧を強めた声で聞いた。これは正規軍の中でも幹部以上の者しかしらない情報であり、無論義勇軍の傭兵部隊が知っている筈のない情報である。なぜなら彼等ネームレス部隊の活動記録、参戦記録、その他の軍の記録は一切記録されていないからだ。バーロットも先の戦争で共同戦線を張った所以でネームレス部隊の存在をしているのだから、内心驚きと内部情報を何処まで知っているのかと言う懸念を抱いていた

 

「我々は我々にできいることをしているにすぎません。自分達で情報を掻き集めるは至極当然のことでは?」

 

マザーは堂々とした佇まいで答えた。独自に行動することを許さており、義勇軍で、しかも傭兵と言うことで情報部からの情報は中々伝わってこない。恐らくダモンが邪魔しているだろうが、マザー達は独自の情報網を形成している。そのことは叩き上げで今の椅子に座っているバーロットも承知しているであろう

 

マザーの様子からこれ以上口を割ることができないと思ったのか、バーロットは溜息をついた

 

「……それで、この部隊をどうしたいのかしら?」

 

資料を机の上に置き、肘を付いて手を組み尋ねる

 

「この部隊をお借りしたい」

 

概ね予想通りの返答にバーロットは再び溜息を吐いた。ネームレスは一応正規軍扱いであり、こちらは義勇軍、いわば指揮系統が違うのだ。正規軍の応援要請はダモンの耳にも入るだろうし、それを妨害してくるであろうと考えると中々骨の折れるであろう

 

「理由はなに?」

 

この部隊を借りると言うのだからそれ相応の理由がなければならない、その理由を聞くと

 

「今回の作戦にて向かうバリアス砂漠、そこでの有事の際の対処が理由です」

 

その返答にバーロットは唖然とした。この作戦は戦略的価値の低い所にいる帝国軍が何をしているかを調べにいく、その場所には帝国が求めているラグナイト鉱山は無く、もし帝国軍が新たにラグナイト鉱山を見つけているのであれば奪われる前にそれを確保するのが今回の任務であった。

 

「そこに駐留しているのは精々2個小隊程度。第7小隊と独立遊撃隊の両隊が行くのに、そこへネームレスをも参戦となると過剰戦力もいい所よ」

 

とバーレットが思ったことを言う。情報部が仕入れた情報にそう書かれているのだ

 

「情報部からの情報を疑っている訳ではありません。ですが、帝国軍の高官がわざわざ砂漠まで足を運ぶでしょうか?」

 

情報の中にあったのは部隊の規模だけではなかった。僅かにだが、帝国軍高官がバリアス砂漠に向かっているとの情報もあったのだ。誰が向かっているかは分からないが、軍の高官が向かっているという事実にバーロットはマザーの言いたいことに気付いた

 

「ラグナイト鉱山ではなく別の何かを狙っている……ということ?」

 

それにマザーは頷いた

 

「奴らが何を狙っているのかは分かりませんが、あそこには何かがある。そう思えてならないのです。もしもの時にその何かがあって対処が遅れたら中隊全体に被害が及ぶ可能性があります」

 

だからネームレスを貸して欲しい。その意味を理解したバーロットは少し考えた後に

 

「……分かった、こちらで何とかしよう」

 

その言葉にマザーは表情には出さなかったがほっと胸をなでおろした

 

「何もないことを祈るけど……もしもの時は頼むわね」

 

その言葉に敬礼で了解の旨を表した

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

そのやりとりがあり、今にいたっていた

 

クルトは顎に手を当て、遺跡の場所を見ながら考え込んでいた。その様子をその場にいる皆が見ている

 

「この場所は古代ヴァルキュリア人の遺跡と言うことから、ヴァルキュリア関係なのは明白です。だが、なぜヴァルキュリアの遺跡を狙うのかは憶測の域をでません」

 

クルトの言う憶測はマザー達も同じ考えであるものだった。それは古代ヴァルキュリアの古代兵器、いわゆるオーパーツを狙っているのではないかという考えだ。この考えの他にも考古学者が遺跡を調べに来ているという考えもあるが、どれも憶測の領域をでないのだ

 

「……今は考えても始まらない、とりあえず今日はここまでだ。各部隊休息を充分に取らせておけよ、明日は長くなるぞ」

 

このままでは埒があかないと判断したマザーは解散するよう言った。メンバーが己の部隊へと戻ろうとするなか

 

「No.7」

 

呼ばれたクルトが振り向くと、そこにいたのはダスティーだった

 

「どうだ、一戦していかないか?」

 

その手に持っていたのはチェスの盤だった

 

「……あぁ、構わない」

 

クルトは踵を返すと、誰もいなくなった簡易本部の椅子に座ると、ダスティーも反対側の椅子に座りチェスの準備を始めた

 

周囲に話し声で賑わっている中、一角だけコツ、コツと何かを動かしている静かな音が響く。2人は何も喋らないまま(ピース)を動かしていく

 

すると、ダスティーがクルトのナイトを取ったところで口を開いた

 

「……さっきのブリーフィングでいった憶測、あれは何かしらの兵器だと思うか?」

 

それを聞いたクルトはビショップを前へと動かすと

 

「その可能性はあるが、軍にいる研究者が遺跡を調べにきている可能性もある」

 

ダスティーはポーンを前進させると

 

「それは俺も同じことを考えたが、態々こんな最前線の所にくると思うか?」

 

今回の戦場となるバリアス砂漠は第3中隊と独立遊撃隊(アメリカ軍)の活躍によりガリア軍の前線を上げられ、今ではバリアス砂漠らへんは最前線となっていた

 

「さらに、そこにいる部隊は僅か2個小隊程度の規模。軍の高官が来るにしちゃ部隊の規模が余りにも小さすぎないか?」

 

そう言われると、クルトも顎に手を当て考え始めた。高官と言うことから恐らく中佐以上のクラスが来ている可能性が高い。もしラグナイト鉱山の発見による視察ならば、最前線という命の危険を冒してまで来る理由になるだろうか?更に、資源なら北部の方で充分に確保しているはずであり、わざわざこちらに来る必要性があるのだろうか?高官がくるにも関わらず駐屯しているのは僅か2個小隊、護衛の部隊がいると言う報告もない

 

「つまり、ラグナイト鉱山や単なる遺跡の調査ではなく……」

 

ダスティーのクイーンがクルトのルークを食らう

 

「もっと別の……隠されている何かを狙っている」

 

ダスティーの言葉にクルトの頬に冷たい汗が流れた

 

「そう、マザー達は考えている。今の戦況とバリアス砂漠の戦略的価値から見て、高官が来るなんてことはよっぽどの事があるか只の物好きのどちらかだ」

 

クルトもダスティーの言葉に同感しながら、チェスの駒を進める

 

「だが、敵の罠と言う可能性は?最近第7小隊と独立遊撃隊の両隊が前線を巻き返しているのは敵の耳にも入っている。これ以上の快進撃を止める為に両隊を嵌めるという可能性もある」

 

それにはダスティーも同意見だった。快進撃によるガリア軍の士気の上昇、前線の巻き返し、帝国軍の士気の低下、帝国軍から見れば第7小隊と独立遊撃隊(アメリカ軍)の存在はまさしく悪夢に等しいものであった。そこで、その快進撃を続ける部隊を叩くことでガリア軍の鼻っ柱を圧し折り、士気の低下を狙ってるとも考えられた

 

「その線も有力候補の1つだ、待ち伏せ(アンブッシュ)してこちらを潰しに来るかもしれない。その時はこちらから攻めて相手を潰す、頼りにしているぞ」

 

ネームレスは想定外の事態の対処を目的として呼ばれた。そのことは既にクルトの上司であるラムゼイ・クロウ中佐から聞かされていた。その時にガリアで最も噂されている義勇軍第3中隊所属外人部隊……独立遊撃隊(アメリカ軍)の事を聞いていた。敗戦確実と言われていた状況にやってきた中規模の傭兵団、その保有する戦力は小さな国一個分の戦力と言われ、帝国の重戦車の砲弾を弾き返す装甲に一撃で葬る大口径の主砲。空を自由に駆ける兵器に重武装を装備した装甲車を保有している。その傭兵の錬度は危険な任務を幾度となくこなしてきたネームレスをも超える錬度と噂されていた

 

帝国や連邦が保有していない兵器を多数所持している、それを聞いたクルトはどんな集団なんかと思考を巡らせていたが、実際に会って話をしてみると少なくとも此方の敵ではないと言う印象だった

 

「だが、もし遺跡から出てきたのが兵器なら……」

 

ダスティーのポーンがクルトの陣地の最奥のマスへと置かれた

 

「戦況が覆るかもしれないな……」

 

チェスのルールではポーンが相手の陣地の最奥のマスまで行くと他のピースへと昇華することができる。その意味を理解するクルトだが

 

「……それでも」

 

クルトのクイーンがダスティーのナイトを食らう

 

「俺達は勝つ」

 

その眼と声には熱く揺るがない確固とした信念をダスティーは感じた。長年特殊部隊にいて、数多くの兵士を見てきたダスティーだが、ここまでの信念を持っている兵士は数える程度しか知らなかった

 

「それと……チェックメイト」

 

クルトのクイーンと昇華したポーンがダスティーのキングを捉えていた、どこにも逃げ道はない……いわゆる“積み”の状態だった

 

「負けか……いや、楽しかったよ」

 

一局だけの対戦だったが、お互い思っていることと信用できるかが分かったのだから2人とも上々なことだった

 

「クルト~」

 

丁度チェスが終わった時にクルトを呼ぶ声が聞こえた。声のする方を見ると赤と銀の珍しい髪色をした女性がいた

 

「探したよクルト。食事の時間なのにどこにもいないんだから」

 

そう言って近づいてくると、クルトの陰に隠れたダスティーを見てあっ!という表情をした

 

「……いい勝負だったNo.7」

 

チェスの駒を片付けたダスティーは盤を手にし席を立った

 

「次の勝負を楽しみにしてるぞ」

 

そう笑みを浮かべながら言うと、クルトも席をたつ

 

「こっちも楽しかった」

 

次の勝負、つまりお互い生き残ろうと言う意味を分かったクルトは笑みを浮かべながら答えた。ダスティーがクルト達に背を向け自分の部隊に戻っていくと、クルトもリエラと共に自分の部隊へと戻って行く

 

「……あれが噂の傭兵?」

 

共に戻っていたリエラがクルトに尋ねる

 

「あぁ、チェスをしていた」

 

そういうとリエラの表情には不安が浮かんでいた。素性の分からない傭兵団に噂と相まって不安に思っていると

 

「大丈夫だ」

 

突然クルトがそう言い、リエラは目を丸くした

 

「彼らは信用できる」

 

そう言い切ると、不安な表情を浮かべていたリエラの表情が安心した表情になる

 

「うん。いこ、クルト」

 

リエラはクルトの手を握って部隊へと戻っていった

 




一応ネームレスの時系列としては既に第7小隊と共闘しており、リエラと皆がある程度仲良くなっている設定です。
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