Medal of Honor Silver Star   作:機甲の拳を突き上げる

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いや~テスト期間中は時間さく余裕ないですなw


2話 介入

ATVがエンジンを吹かせ道を走り風車を目指している。

 

しかしそれが走る道の両側にはのどかな自然が広がり、武骨な軍用車などおおよそ不釣合いな光景だ。

 

「のどかな所だな・・・・・・」

 

ATVを操縦するデルタフォース隊員、デュースがそう言うと

 

「まったくですね。川の水なんか透き通ってて、ここからでも魚が見えますよ」

 

後ろに乗っていたSEALs隊員のラビットが、どこか呆気にとられたような返事を返した。

 

他愛のない会話をしながら川沿いを走っていると

 

「止まれ」

 

唐突に無線機から野太い声が響き、2人を我に返らせる。デルタフォース隊長のパンサーからだ。

 

M-ATVが全車停止すると、全員が車両から離れながら武器を構え、全周警戒のフォーメーションをとった。

 

すると周囲には、微かにだが硝煙の臭いが漂い、全員の警戒心が更に上がる。

 

パンサーが警戒しながら、爆発したらしい3輪自動車に近付く。

 

「珍しいな、3輪自動車か・・・・・・トヨタでもジゼルでもない」

 

アフガニスタンのような紛争地域にすら4輪駆動の自動車が走るなかで、3輪タイプを現役で使っている所などよほどの片田舎なのだろう。

 

「パンサー」

 

デュースがパンサーの方に近歩み寄ってきた。その手にはいくつかの空薬莢が握られており、それらは日光を浴びて鈍く光っていた。

 

デュースはその薬莢の一つを、パンサーの胸の前に突きだした。

 

それをパンサーが受け取ると同時に、デュースは怪訝そうな声を挙げた。

 

「7.92mmなんてソマリア以来ですよ。しかもこいつを造ったのは、東ヨーロッパ帝国連合兵器工廠・・・・・・いったいどこです?」

 

ヨーロッパに存在する国家の大半はNATO加盟国で、その国軍で使用している小銃も、その大半がNATO基準の5.56mm弾か、或いは旧式の7.62mm弾である

 

ナチス・ドイツ時代の遺物である7.92mm弾を生産している工場は、確かに存在する。だが彼は「東ヨーロッパ帝国連合兵器工廠」などという工場も、また「東ヨーロッパ帝国連合」などというイカレた名前の国家も、世界各国の軍隊を知りつくした彼ですらまったく知り得なかった

 

彼は自分の知り得ないテロ組織にそのようなものがあるのだと考えたが、それにしても妙な話だった。

 

「それだけじゃないぞパンサー、こいつも妙だ」

 

続けざまにマザーがパンサーに見せたのは、同じく空薬莢だった。

 

先ほどまで見つめていた薬莢をポケットにしまい込み、パンサーは差し出された空薬莢を受け取った。すかさず底部を覗きこむと、これは7.5mmと言う珍しい口径だった。

 

「ガリア国営兵器工廠?そんな国ヨーロッパにあったか?」

 

マザーとパンサーは眉を顰め、頭を捻らせて考えを巡らせたが、やがてパンサーは向き直って、

 

「考えても埒が明かん、先に進もう」

 

と、部下を見回しながら声をあげた

 

パンサー達がATVに戻ろうとした時、重く響く聞き覚えのない砲声が響いた。その音を聞いた全員が、その場で伏せながら周囲を警戒する

 

そしてデュースの目に映ったのは、目的地である風車が、爆発で砕け散る瞬間だった。砲弾が命中したのだと、デュースにはすぐ分かった。

 

砲弾が直炸裂した爆音と共に、風車が倒壊する音がデュース達の所まで聞こえてきた。

 

≪ブラウラー4、こちらマザー。今撃ったのはお前らか!≫

 

無線でマザーが大声を上げながら確認すると

 

≪いや、此方は撃ってない。風車が破壊されたのはこちらも目視した。ヘリを出してもいいが、何処の国かも分からず戦争介入はまずい≫

 

もし不穏に戦争に介入すれば、アメリカとの国際問題になるかもしれない・・・・・だが

 

「マザー!一般市民が巻き込まれているかも知れません、救出を!」

 

ラビットがマザーにそう言う。ラビットには6人の子と嫁がおり、この事態を見過ごせないのだろう

 

≪ブラウラー4、現在本部との通信が繋がらず指示もない。いま優先されるのは現場の判断だ、戦争に巻き込まれ涙を流す人々を見捨てるのは栄えあるアメリカ合衆国1市民として軍人としても見過ごせぬ事態だ!≫

 

マザーは振りむきラビット達の方をみると

 

≪これより民間人救出に向かう≫

 

無線を聞いたSEALs、デルタ隊員は共に口元に笑みを浮かべ、覚悟ある漢の表情を浮かべる。

 

≪ブラウラー4了解。何時でも航空支援を出せるようにします、援軍は?≫

 

≪先ほどの砲撃は、迫撃砲か戦車の可能性がある、M1と1個小隊を頼む≫

 

≪ブラウラー4了解、アウト≫

 

マザーは無線機を直し、

 

「よし、行くぞ!」

 

男たちはATVに跨り、壊された風車目指して駆けた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

   アメリカ軍特殊作戦部隊「AFO ウルフパック」、デルタフォース

 

 

町に着いた時には既に銃声が響いており、マザー達と二チームに別れて民間人救出にあたったが、奇妙な事実に隊員は当惑していた

 

民家を一つ一つクリアリングしているが、取り残された人はおろか、未だ敵らしき存在も発見できないのだ。我々は罠に誘われたのか?隊員の顔に緊張が走る

 

皆が自然と警戒を強めながら進んでいると、離れた場所に2階建ての民家を発見した

 

「次はあの家だ」

 

パンサーが指さしながら指示すると、隊員は一定の間隔を保ちながら周囲を警戒し進み、民家に到着した。

 

「デュースと俺は内部、ダスティーとベガスは周囲を捜索しろ」

 

ダスティーとベガスは頷き、周囲を捜索しに行った。パンサーとデュースは、家に静かに侵入した。

 

「俺は2階を探す」

 

パンサーは足音1つさせずに階段を上り、デュースはHK416を背中のマウントに掛け、サイドアームのMk.23を取り出した。

 

デュースは一部屋ずつクリアリングしながら進んでいく。

 

≪パンサー、武装した人を発見した。数は3、1時方向≫

 

と、無線からベガスの声が聞こえた。どうやら ″人〟 を見つけたらしい。

 

≪そのまま待機、確認する。デュースはそのまま捜索≫

 

≪了解≫

 

デュースが捜索を再開しようとすると、部屋の奥から物音が聞こえた。彼は一気に警戒心を高め、足音と周囲に注意しながら進んでいく。

 

すると銃声が響いた・・・・・・デュースがすぐさま身を隠し、状況を確認しようとすると

 

≪野郎っ!民間人を撃ちやがった≫

 

無線からベガスの報告が聞こえ、その声色から怒りが漏れていた

 

≪・・・・・・エネミーコンタクト≫

 

パンサーが無線で武装した3名を『敵』と判断した。デュースも一階の捜索を再開する

 

すると奥からは話声が聞こえてきた

 

「なんだこのババァ・・・・・・ガキを孕んでやがるのか」

 

「・・・・・・めんどくせぇ、まとめてぶっ殺してやらぁ」

 

男の声が二つ聞こえた。

 

男達の会話が英語だと分かって安堵したが、言っている事が尋常ではなかった。会話の内容から危険な状態だと理解し、再び身体を緊張させ、足を速め移動する。

 

彼は移動しながら、その手に握られたMk.23の銃口にサプレッサーをねじ込む。

 

彼がそうしている間も、確実に状況は悪化していた。

 

「やめてください」

 

唐突に、若い女性の声が聞こえた。

 

「おい、見ろよ。こいつ、ダルクスの布を巻いてやがる」

 

「どおりで油臭いわけだ。ババァにダルクス人に・・・・・・ここは豚小屋かってよ!」

 

男達の興奮した声の後に、再び物音が聞こえた。

 

これはただ事ではない、・・・・・・。デュースはドアの前に到着するが早いか、そこから静かに様子を窺た。・・・・・・そこからは小銃を構えた小さな少女と、男が2人、彼女を睨んで向き合っているのが側面から見えた。

 

男達は胸甲のような古臭い防具を身に纏っており、その手には旧式の小銃が握られている。

 

「この家から出て行ってください」

 

少女は男達に銃を向けながら、気丈な声で立ち向かっている。

 

無線からはパンサーが援護位置についたらしく、≪ステンバイ・・・・・・ステンバイ・・・・・・≫と聞こえてくる。

 

「銃を下ろせ、ガキが扱えるシロモノじゃねぇ」

 

男の一人が旧ドイツ軍のそれのようなサブマシンガンを構えた。

 

「どのみちダルクス人だ・・・・・面倒だ、殺せ」

 

男達が引き金に指を掛けた瞬間、デュースの脳裏に焼き付いた記憶がよみがえった。

 

・・・・・・助けたかった、しかし助けられなかった、一人の少女の姿が。

 

その瞬間、デュースの身体は彼の意識を離れ、無意識に動いていた。偶然にもパンサーからのゴーサインが響いたのは、ほぼ同時だった。

 

少女の近くのドアから突然現れたデュースに、男達は反応できなかった。

 

彼らのうちの一人は、デュースの存在に気付く前に頭を撃ち抜かれた。デュースのMk.23から放たれた45ACP弾は、男の被っていたヘルメットを容易く貫通し、その内の頭蓋にめり込んだ。

 

サプレッサーを付けていたので銃声が響かず、彼はどこから撃たれたかすら分からなかった。

 

もう片方の男は倒れる相棒を振り返ると同時に、デュースは彼の脇腹にも銃弾を撃ちこんだ。

 

撃たれた男は仰け反りながらもデュースに銃を向けようとしたが、続けざまにもう一発撃ち込まれ、もんどり打って倒れる。デュースはそのまま男達に素早く近寄ると、いまだ呻いていた一人の後頭部に、一発撃ち込んで苦痛から解き放ってやった。

 

室内に鈍く静かな音が響き、静まり返った。

 

「エネミークールダウン、クリア」

 

デュースが我に返った時には、全て終わっていた。

 

彼は状況の把握にしばらくの時間を要したが、状況を把握すると、 ″ 敵 〟 の排除を無線で伝えた。

 

≪ターゲットダウン、クリア≫

 

≪クリア≫

 

≪クリア≫

 

無線からも仲間の声が聞こえた。どうやら排除したらしい。デュースは少女の方を向き、

 

「怪我は無いか?」

 

言いながら微笑もうとしたが、顔は緊張した仏頂面のまま動かなかった。

 

突然の出来事で呆気にとられていた少女も、彼の言葉にハッと正気に戻り

 

「あ、ありがとうございます・・・・・・あなたは?」

 

「さぁな、しがない兵隊さ。恐らく君の敵ではない」

 

と、弛緩してきた顔の筋肉を出来る限り緩ませて笑うと、

 

「イサラ!マーサさん!」

 

部屋のもう一つのドアから若い青年が現れた、突然現れた青年に、デュースは反射的に銃を構えたが、

 

「兄さん!」

 

後ろの少女が青年に歩み寄るのを見て、引き金から指を離した。

 

「イサラ!無事だったかい!」

 

「はい、この人が助けてくれました」

 

少女はデュースの方を向くと、青年もデュースの方を向いて

 

「妹を助けてくれたありがとうございます。僕はウェルキン・ギュンター、こっちは妹のイサラ」

 

ウェルキンに促され、イサラは頭を下げる。

 

「イサラ・ギュンターです。先程はありがとうございます」

 

と、ウェルキンが入ってきたドアからパンサーが現れた。

 

「デュース」

 

突然現れたパンサーに、ウェルキン兄妹は驚いているようだ。

 

パンサーのほうも2人に驚いたようで、2人に銃口を向けながら、部屋の状況を確認して眉を顰める。

 

「その二人は?」

 

「民間人のようです」

 

すると部屋の奥から呻き声が聞こえ、その場にいた全員が声の方を振り返る。

 

「マーサさん!」

 

テーブルの陰に隠れるような形で倒れていた女性にイサラが駆け寄る、デュースとパンサーは顔を見合わせた。

 

「妊婦か!?」

 

「臨月なんです、たぶん産気づいています」

 

イサラは女性の状態をみると、神妙な顔でウェルキンを振り返った。

 

「・・・・・・兄さん、納屋の方へ」

 

ディースがダスティー達と合流し納屋に向かうと・・・・そこには戦車があった。

 

その形状は、彼らがアフリカで見かけたフランス軍のそれによく似ていたが、古めかしいリベットや設けられた視察孔など、細部がところどころ違っていた。

 

なによりその車体を染めていた青い塗装は、これまで彼らが見たどのような車両よりも異彩を放っていた。

 

戦場で見かけた趣味の悪いスカイブルーとも違う、迷彩効果を考慮したかのような青だ。

 

イサラが戦車に乗り込むと、聞き慣れないエンジン音と共に、エンジン部分の外側のでっぱりが青白く光りだした。

 

座学でしか見た事のない、放射性物質の放つ光、・・・・・・チェレンコフ光放射にそっくりだった。

 

冗談じゃない、・・・・・・デュースは恐ろしくなってウェルキンに聞いた。

 

「まさか・・・・・・これで妊婦を運ぶのか?」

 

「はい、そうです」

 

ウェルキンが肯定とばかり頷くと、パンサーが大声をあげた。

 

「バカ野郎!妊婦乗せて戦車戦しにいくバカが何処にいる!?救援を呼ぶから、ここから脱出しろ!」

 

「仲間がいるんですか!?」

 

驚いたウェルキンが素っ頓狂な声をあげる。

 

「あぁ、すぐ迎えヘリをよこす!まってろ」

 

パンサーは無線を取り出して呼び出した。

 

≪こちらウルフパック1、民間人を3名保護した。一人は妊婦だ、『ブラックホーク』は出せるか?≫

 

≪こちらブラウラー04、GPSがイカレていて、其方の位置が確認できない。LZ(ランディング・ゾーン)でスモークを焚いてくれ≫

 

≪了解した、アウト≫

 

パンサーはウェルキンの方を向き、

 

「おい、このあたりでヘリが着陸できる広場はあるか?」

 

と彼に問いかけたが、何を言っているのか理解できないらしく、ちんぷんかんぷんな顔をして、

 

「ヘリって何ですか!?」

 

戦車の駆動音に阻まれないよう、大声で聞き返してきた。

 

「ヘリコプターだ!知らないのか!?」

 

「しりません!どこの地名ですか!?」

 

パンサーは、どんなところだよと内心呆れながら、広場は正門前にしかないと言われ、そこに向かう事にした。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

   アメリカ軍特殊作戦部隊「AFO ネプチューン」、Navy SEALs

 

マザー達は町の中を捜索している最中に、敵を思しい集団と幾度か交戦していた。

 

その統制された動きから、集団がよく訓練されているであろう事が推測されたが、問題はその装備だった。

 

「奴らの持っている武器、アフリカで見た事がある・・・・・・そうだ、旧ドイツの物に似てなかったか?」

 

「あぁ、まさか連中はネオナチか?」

 

隊員は小声で会話しながらも周囲を警戒しながら、皆で民家の壁に張り付くように進んでゆく。ラビットが角から確認しようとすると、野太い声が聞こえてきた。

 

「ダルクス人か、こいつら」

 

「とっとと殺すか」

 

何事かと急いで確認すると、娘を抱き守ろうと伏せている女性に、″敵〟が銃を向けていた。

 

その姿は、同じ″父親″としてのラビットの逆鱗にふれた。

 

「コンタクト!」

 

ラビットは叫ぶと同時にM4を構え発砲、その声に気付いた時には既に一人は体を数発撃ち抜かれていた。

 

「なっ・・・」

 

銃声の方向を向いた時には、敵兵はす既に琴切れていた。SEALs全員からの集中砲火で、体を蜂の巣にされたのだ。

 

「クリア!」

 

ラビットが叫ぶと、全員が急いで母親達の傍に向かい、周囲を警戒する。

 

「奥さん怪我はないか?」

 

ラビットが声を掛けると

 

「あ、ありがとうございます。貴方達は・・・・・・」

 

「説明は後で、今は避難を」

 

言いながら、ラビットは母親に手を貸して起こしてやる。と、母親の胸に抱かれている少女が、目には一杯の涙を溜めていた。

 

ラビットは彼女にやさしく微笑みながら、小さく震えるその頭を撫でてやった。

 

「もう大丈夫だ、怖い人はやっつけたよ」

 

少女はラビットの方を向き、不安げな目をラビットに向ける。

 

「ほんと?」

 

「あぁ、本当さ。さぁママと一緒に安全な所に行こう」

 

ラビット達が母親と子供を安全な所に移動しようとした瞬間だった。

 

「戦車だ!」

 

男の叫びが聞こえた。その声に驚きながらも、マザーは落ち着いた声で母親に話しかける。

 

「奥さん、あの家でじっとしていてください。すぐ迎えにきます」

 

「わ、わかりました」

 

マザーが比較的壊れていない家に連れて行き、その場を離れようとした途端・・・・先ほどの少女が、ラビットのズボンを掴んでいた。その顔は涙で濡れ、ウサギのぬいぐるみを片方の腕で抱いていた。

 

ラビットはその場にしゃがみ込むと、

 

「また怖い人たちが来たから、やっつけてくるね。ちゃんと迎えに来るから、いい子にしてるんだよ」

 

微笑みながら少女の頭を撫でた。

 

「ぜったい?ぜったいむかえにきてくれる?」

 

少女は涙を流しながら問いかける。その身体は、不安げに小さく震えている。

 

「あぁ、絶対だ。だからママから離れちゃダメだよ」

 

少女はズボンから手を離し、ぬいぐるみを抱きしめ頷いた。

 

ラビット達は急いで現場に向かう。彼らがそこで見たのは、大きな門を攻撃する戦車と、それをたった3人で、土嚢で出来た簡易陣地で防衛する兵士の姿だった。

 

「コンタクト!」

 

マザーが叫ぶと、全員が先程の鎧を着た兵士に発砲。

 

その姿を驚くように見ている簡易陣地にいる3人を横目に、マザー達は簡易陣地に向かい走り陣地内に身を隠した。

 

「おい!ここの隊長はだれだ!?」

 

マザーが3人に大声を上げて問うている間も、ラビット達は応戦していた。

 

「わ、私です!」

 

身を潜めながらマザーに走り寄ってきたのは、まだ20にも満たないような女性だった。

 

身形と雰囲気から察するに、おそらく新兵だろう。

 

「名前は!?」

 

「アリシア!アリシア・メルキオットです!あなた達は!?」

 

マザーはアリシアの大声を聞きながらも、迫りくる敵から銃口を外さない。

 

「俺達は・・・・・・しがない兵隊さ!少なくとも嬢ちゃんらの味方さ!あいつらは一体何者だ!?」

 

マザーは飛んできた銃弾に、壕に体を隠しながら聞いた。

 

「帝国兵ですよ!そんなことも知らないで戦っているんですか!?」

 

アリシアが驚いた顔をして叫ぶ。

 

「どちらにしろ俺達の敵だ!応戦しろ!」

 

アリシア達も応戦しはじめ、徐々に態勢を持ち直してきたが・・・・・・まだそこには戦車がいた。

 

戦車はマザー達に目もくれず門に砲撃、門が崩れはじめた。

 

「あぁ・・・門が」

 

アリシアは悲痛な声を出したが、

 

「まだ壊れてない!そんな声上げてる暇があるなら撃て!」

 

マザーの大声が響き、我に返って射撃を続けた。

 

「ラビット、ランチャーだ!やれ!!」

 

マザーの大声に、ラビットは即座に身体を起こし、M4の下部に付いているM203“グレネードランチャー”を発射した。

 

拍子抜けするような音をさせて飛んで行ったグレネードは、白く薄い煙の尾を引いて戦車の足元に着弾。同時に、発射音からは想像できないほどの爆発を起こし、そのキャタピラを引き千切った。

 

「ナイスだ!ラビット!」

 

動きを停めた戦車から脱出した兵士を、マザー達は容赦なく撃ち殺していく。

 

と、不意に後方から駆動音が響き、マザー達は身体を強張らせた。

 

「後方に駆動音!」

 

マザーは叫びながら、駆動音の方向に銃口を向けた。

 

「アリシアー!」

 

駆動音と共に聞こえた男の声に聞き覚えがあったのか、アリシアは頭を上げ声の方を向く。

 

先ほど撃破したそれとは違うシルエットの戦車が、ゆっくりと近づいてくるのが見えた。

 

「ウェルキン!それって戦車!」

 

アリシアは戦車に驚きながらも喜びの声を挙げたが、戦車の上に乗っていたパンサーが、近寄ってきた帝国兵を撃ち殺し、

 

「感動の再会は後にしてくれ」

 

言いながら飛び降りた。デルタ全員もそれに続き、戦車から飛び降りて走る。

 

≪こちらトマホーク01、町に到着。指示を待つ≫

 

無線から声が響く。友軍の戦車が到着したようだ。

 

パンサーがすかさず命令する。

 

「トマホーク、敵戦車だ!レーザー照射する、やってくれ!」

 

≪了解≫

 

無線から返答の声が響くのを聞くが早いか、パンサーが命令する。

 

「デュース!これで戦車をマーキングしろ!」

 

デュースはパンサーから手渡されたレーザー照準器を手に、大通りに出て戦車にレーザーを照射した。

 

≪目標確認、攻撃する≫

 

守っていた正門を壊しながら現れたのはM1A1エイブラムス、米軍の主力を担う、世界最強の戦車である。

 

突然現れた巨大な戦車に、帝国戦車は急いで照準を合わせるが既に遅く、

 

「照準よし!」

 

「撃て!!」

 

先にエイブラムスの120mm滑腔砲が火を噴き、砲弾が正面装甲で炸裂した。

 

帝国戦車は大爆発を起こして四散、その破片は周囲の兵士を見舞い、二次被害を生みだした。

 

随伴していたパターソン軍曹率いる第75レンジャー連隊1個小隊が即座に周囲に展開し、LZ(ランディングゾーン)を確保、スモークを焚くが早いか、すぐに『ブラックホーク』が現れて着陸した。

 

『ブラックホーク』見たウェルキン達は、まるで宇宙人でも見たように呆気に取られていた。

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