小野塚小町は、休みたい。――其だけ。   作:クリティカル

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女同士だから健全だね。
何もいやらしくもないよね。
私の欲望全開だけど問題無いよね。
健全なら問題無し。

タイトル変えました。
なんか違う気がして。
すいません。


一難去ってまた一難

あたいとはたての関係を語るならば、執筆者と読者だ。

この幻想郷には、娯楽が少ない。

そして、一人の時の娯楽はもっと少ない。

そんな時に、娯楽として上がるのが、新聞だ。

外の世界でなら、娯楽と言うより情報源だろう。

勿論此方でも、その意味は持っている。

だが、どちらかと言うとゴシップ記事に近い。

殆どの記事に捏造が見られるからだ。

でも、別に読み手の殆どは真実を求めてる訳ではない。

何故なら、自分とは無関係と考えるからである。

あたいだって、昔どんなニュースが流れても、へぇ~そーなのかーで聞き流し出勤時には忘れていた。

覚えているのは、天気予報と消費税の上げ下げくらいである。

そして、あたいの所には新聞が届かない。

まぁ、三途の河にまで届けようと言う物好きはいない。

だから、自分から買いに行くのだ。

新聞と言えば、天狗の里だ。

紙はこの幻想郷では、手に入り面く高価な代物で、殆どが、無縁塚の紙である。

そんな所に、人はまず取りに行かない。

そうなると自然と妖怪等の方へと渡って行くようになる。

天狗は、人よりも高度な文明を持っている。

と言うか、妖怪の山は人里よりも文明が遥かに高い。

特に天狗の里は、一つの出版社と言えるだろう。

あたいの知る限りでも、天狗のボスの天魔に管理職の大天狗。

事務職担当の鼻高天狗に印刷業者の山伏天狗、山の警備の白狼天狗。

そして、報道部隊の鴉天狗だ。

彼らは、独自の社会を築き上げ排他的な生活をしている。

だから、あたいも通るたんびに襲われそうになった。

何回……白狼天狗に追いかけ回された事か。

其で何回か大怪盗と警部のように、追いかけっこをしている内にどういう訳かその内の一人に懐かれた。

理由は、知らない。

一つ言えるとすれば、とても撫で心地が良いことだ。

それ以来、妖怪の山を通るだけなら黙認してくれた。

そして、三途の河からも近い(最も距離など関係ないが)のが実に魅力的だ。

さて、どうやって手に入れるかと、里を(何回か白狼天狗以外に襲われそうになった)ピュンピュンと跳んでいたら、発見したと言うのが、切っ掛けだった。

昔から、ぽつんと立つ店に何となくよっていたりしたのだ。

何気にそう言う所は隠れた名店みたいで好きだったから。

其で扉をノックしたところが、はたての家だった。

其から、良くはたての所まで新聞を買いに行った。

そして、良く四季様や天魔や大天狗から匿ってくれる事もあった。

後、良く取材も受けた。

まぁ、そんな事を繰り返すうちに、はたての家の中で読むようになっていた。

其で現在に至る。

 

「ふ~ん。そんな事になってたの。此方に被害が来なかっただけ良かったけど」

 

「まぁ、そんな所かな」

 

多少の事は伏せて、はたてに今回起こった事を話す。

今回の事件は実に仙人らしい事件だったと言わざる得ない。

何せ怨霊潰しだ、妖怪退治なら聞いたことがあるが此はなかなか無い。

霊は物理攻撃が通用する相手では無い。

すり抜けるから。

何か特殊な、武器とか力とかなら話は別だが。

光属性っぽい何か。

兎に角、明日全てにけりが付くだろう。

 

「やっぱりあんたってトラブルに愛されてるのね」

 

「出来ればフラれたいんだけど」

 

ごしごしとあたいの背中が上下に擦られる感触と、後ろからのはたての声に答える。

別にあたいは、何処の死神探偵の少年では無い。

あたいが事件を呼び寄せてるなんて事は無いし、トラブルに愛されてるなんて事は断じてない。

 

「でも、こまっちゃんが、トラブルを呼び寄せてるのには同意ね」

 

「あたいは疫病神なの?」

 

「死神でしょ」

 

ちゃぽんと、かせんちゃんがお湯に浸り伸びをしながら言う。

はたてのお風呂は兎に角広かった。

外の世界みたいに、シャワーまで付いて、お風呂も普通2人入れば狭いのに、はたての所は5~6人くらいは入れそうな、ちょした銭湯だ。

あたいの所なんて、釜茹での刑罰で使ってた、五右衛門風呂のお古だってのに。

こんなことが出来るのも、河童の技術力だろう。

屋根に、太陽光パネル(らしき物)あったし。

 

……え?何で風呂なんだって?

其は、はたてが、「そんな泥だらけで居座られても困るから纏めて入ってよ」と言うのでお言葉に甘えさせて貰ったのだ。

はたては、やたらお節介だ。

あたいの全身を洗おうとしてくるのだ。

子供扱いされているようで恥ずかしかったので、断ったが兎に角目が真剣そのもので折れた。

こんな事をして貰ったのは、前世であたいがまだ、小さい頃に母親にして貰って以来だ。

なんか横からの視線に寒気を感じるけど。

 

「其にしてもあんた……また胸大きくなったんじゃないの?」

 

「きゃん!」

 

モミリとはたての両手が脇の下から進入した手があたいの胸をわしづかみにする。

ぞくりとした、くすぐったさに、思わず変な声が出る。

高校時代もクラスメイトにこんな事をされた気がする。

 

「ちょっと!何やってんの!」

 

ザバ!と勢い良く立ち上がり、前を一切隠さず、二つの丸みを帯びた半球のボールとその先端の桜の蕾が丸見えである。

下の方は湯煙で見えなかった。

見てどうと思うわけではないが。

右腕の包帯は、防水の術でも使っているのか全く濡れていない。

 

「見ての通り洗ってるの」

 

しれっと、当たり前のように、平然と言う。

いやまぁ、確かに洗ってるだけと言えば洗ってるだけだ。

 

「何処からどう見てもハレンチな事を平然と………謝って下さい!」

 

「何でよ!其にそんなこと言うなら、あんただって、こいつの体食い張るように見てるじゃない!」

 

「其は、ケガをしていないか見ていただけです。貴女こそ先程からこまっちゃんの体に鼻を近づけたり、胸を押し当てたりしてるじゃないですか」

 

「うるさい!うるさい!うるさい!そっちだってずっと前に同じ事したくせに!」

 

「あれは、地底の温泉だからセーフです!他にもいましたし!」

 

まぁ、確かに他にも、鬼とか、覚り妖怪の姉妹とかそのペットとかいたね。

はたての声がキンキンと風呂場に響く。

てか、二人ともあたいに何をしてるの?

聞いてみたいけど、なんか怖いから止めておこう。

知らぬが仏だ。

まぁ、はたてにかせんちゃんがからかわれているだけだろうけど……あたいを使うのは、どうかと思いますよ?ええ。

 

「だいたいあんた客でしょ!大人しくしてなさいよ!」

 

「其は感謝してます。ですが、其と此は違います。何なら、このままこまっちゃんを連れて帰りますよ?」

 

「ぐっ……そう来るのね」

 

「二人とも、やめ―――わっ!」

 

何かデジャブを感じそろそろ止めようとして立ち上がった所で、ツルンと濡れたタイルで足を滑らせ

 

「え?」

 

「ちょ!」

 

ドシーーーーーーン!

 

風呂から上がっていたかせんちゃんと、はたてにもたれ掛かるようにして倒れてしまう。

 

「あいたたた。――二人共だいじょ――ぶ?」

 

目の前に、閉じられた洞窟があった。

ふにゅりと、左手には、水まんじゅうのような柔らかい物の感触があった。

恐る恐る、目線を上げると

 

「なっな……なな」

 

「こまっ……ちゃ」

 

真上に全身を茹でたこのように赤くしたはたて

左には、その水まんじゅうの持ち主かせんちゃんが、同じように右手の包帯を除いて赤くしていた。

 

「何すんのよ!こ、この――変態!」

 

胸を揉むのは良いの!?

そんな理不尽な、叫びを出すことも出来ず

バチーーンッ!とあたいは、右頬に、季節外れの紅葉を描かれる事となった。

 

「そ、そう言うのは、確り手順を踏んで」

 

「其以上は口を閉じなさい!」

 

まぁ、さっきみたいになるよりは良いかな。

あたいの身が持たないし。

 

◆ ◇

 

そんな騒動があってから数時間が立ち辺りもすっかり暗くなり日付も変わった頃。

 

「うぅ……頭がガンガンガンジス川よ」

 

ガチャリと、扉を開けて頭を抑えながら外に出る、華仙の姿。

どうやら先程まで酒盛りをしていたらしい。

夜風にでも当たりに来たのだろうか?

 

「仙人からそんな言葉を聞けるとは思わなかったわ」

 

家の中ではなく、華仙と同じ外からの声。

其は、華仙を呼び出したはたてのものだった。

 

「言ってみただけよ。あの程度で潰れる訳無いわ」

 

その言葉に、特に警戒するわけでも無く答える。

普通に話している姿から察するに、華仙なりのジョークだったようだ。

 

「ま、あんな寒いギャグが言えるならそうよね」

 

はたても其は分かっていたようで、はぁと溜め息を付きながら納得する。

 

「私は、頭がガンガンすると言っただけですが」

 

「え?」

 

「ん?」

 

どうやら、自覚は無いらしい。

まぁ、良いわと、何処か諦めたように、首を左右に振ってから。

 

「あんたってさ―――“鬼”でしょ?」

 

「――――ッ!?」

 

「髪切った?」くらい何気なく言う。

 

常識な事を言うくらい、平然と言われた言葉に華仙は驚きを隠せないでいた。

 

「何で、分かったの?」

 

「ん~?」

 

はたては、そのぷっくりとした桜色の唇に指を当てて空を見ながら暫く考える仕草をして

 

「そうねぇ……強いて言うなら、記者の勘かな」

 

「なにそれ」

 

その言葉を聞いて、がくりと肩を落とす。

そんな華仙の方に振り向き

 

「ま、あたし達は元々上下関係にあったけど」

 

ビシッ!と、華仙の鼻先に人差し指を突きつけて

 

「あたし、鬼が相手でも閻魔が相手でもアイツを諦める気無いから!」

 

力強く

 

「他の天狗達みたいに怖じ気付いたりしない!」

 

宣戦布告した。

 

「フフッ」

 

その布告に、あえてクスリと笑い

 

「―――その挑戦として受けて立つよ。鬼は()付かないからね」

 

「種族隠して仙人やってる奴が言うのもどうかと思うけどね」

 

「人間の仙人なんて一言も言って無いよ」

 

「プッ……なにそれ。―――まぁ、良いわ。天狗と鬼一つ屋根の下。此だけで号外物よ」

 

「取材なら、受けて立つよ」

 

「取材は、喧嘩じゃ無いでしょ……もう冷えてきたし家入りなさいよ」

 

「そうね。折角お風呂入ったのに台無しよ」

 

「お酒でも飲む?あんたを酔わすほど強いのは無いけど、より詳しく話してくれるんならいくらでも飲ましてあげるよ?」

 

「元から、隠すなんてまねしないわよ」

 

「どうだか」

 

閻魔と仙人が敵同士。

天狗と鬼は上司と部下。

天魔でさえも鬼には頭を垂れる。

そんな種族の常識を越えて、この二人は、恋敵ともなり、酒を飲み交わす。

其も一方的に飲ますのでは無い。

お互いの合意の元に飲み交わす。

何百何千と歴史を辿っても、こんな関係は初めてだ。

そんな歴史を大きく揺るがす、この騒動は正に革命と言えるだろう。

そんな二人の取材と言う名の飲み比べは、朝、小町が起きるまで続いた。

 

 

 

 

 

――後に発行された、『花果念報(かかしねんぽう)』には、閻魔のキス云々が、詳しく(話は勿論盛られている)載っており、其を読んだある神社の巫女は、空の湯飲みに、何度も口をつけ、手が震えて、湯飲みが地面に落ち割れ慌てふためき、ある普通の魔法使いは、誤って実験用の毒キノコを口に含み悶え窓から覗いていた人形使いに介抱され、その人形使いもその新聞の内容を知ると、敵が減ったと喜び、ある館の宝石の羽を持つ吸血鬼は、怒り狂い館を跡形もなくキュッとしてドカーン!し、妹を狙う不届き者が消えたと喜ぶ姉を巻き添えにした。

また、花畑では、ある花妖怪が、その新聞を足で踏みつけその衝撃で、五百メートル程のクレーターが出来上がり、此も記事となった。

とある鴉天狗いわく「近くに花畑があったため被害が最小限に納へられた」との事だ。

花畑じゃない所で読まれていたらと思うと………よそう。考えたくもない。

また、冥界では、庭師兼剣士の娘が、何やら呪文のようなものをブツブツと呟きながら、ひたすら新聞を貼り付けた木に、刀を振るっていたと言う。

『文々。新聞』がガソリンだとすると、この新聞は、間違いなく火種だろう。

この火事に気づかないのは、一人の死神だけである。

この新聞を秘書死神から受け取った閻魔本人も、最初は恥ずかしさで赤面しその次にしてやられたと歯をギリリと鳴らして怒りを露わにする。

後に別の天狗によって仙人の風呂云々(勿論盛られている)の新聞が発行されるが、其はまた別の話し。

 

ペンは剣よりも強し。

情報に勝る武器など、何時の時代も存在しないのだ。

 

「大ちゃん、キスって何?」

 

「えっと……知りたい?」

 

まぁ、無知な者にはただの紙切れだが。




だいたい小町のせい。
華仙の種族については、本当は断言出来ませんが、此処では鬼とさせていただきます。
ご理解の方どうか宜しくお願いします。
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