クリスマスは、コンビニのチキン食べてケーキ食べて早めに寝ます。
寂しくねぇし!
現実なんか……現実なんか(´;ω;`)クッ………
クリスマスとは、前世のあたいにとって一番ストレスの溜まる日だった。
そこら辺で、いちゃいちゃするのは別に良い。
だが、車の中で自宅のようにイチャイチャする非常識な客を何人も相手にしなきゃならんのだ。
鏡越しに見えるのが、もの凄い腹立つ。
二十代前半、職場は、親くらい年の離れた人達だらけ。
浮いた話なんかあるわけがない。
よって、クリスマスとはあたいにとって、チキンとケーキをツマミに酔い潰れるまでシャンパンをがぶ飲みする日である。
此が正しいクリスマスの過ごし方である。
異論は認めない。
だが、そんな事はもう過去の話しだ。
そもそも此処は幻想郷。
洋風なイベント等皆無である。
この時期に、一番に思い浮かぶのは、大晦日の二年参りである。
よって、クリスマス等存在しない。
実に平和な所だ。
―――そう思っていた時期があたいにもあった。
此はたまたま、はたての家に遊びに行った時の出来事だ。
「クリスマス?」
あたいは思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
この幻想郷に来て早、数十年。
もうすっかり忘れさっていた忌々しいイベントの名前である。
「そう。今、人里で其が広まっているのよ」
「確か博麗と守矢の神社で、行われるんでしょ?」
はたてとかせんちゃんは、どうやらもう知っているらしく、話がトントンと進んでいく。
二人から聞いた話によると、何でも、守矢神社が、信仰を更に集める為に、開くイベントなんだとか。
其処では、赤い服に赤い帽子で、大きな白い袋を抱えた、いかにもサンタらしい神様二人と巫女(一応彼女も神様らしい)一人で、信者達に、プレゼントとして、妖怪から襲われなくなるありがた~い御守り(効力には、個人差有り)を渡すと言う内容らしい。
ハロウィンの時も同じことをやっていた気がする。
信仰が集まれば、何でもありなんだろうな。
一方博麗の巫女の所は、酉の市の時同様、ずらりと並ぶ屋台(経営しているのは、妖怪や妖精)だ。
お賽銭が入れば良しって事だろう。
つまり何時も通りだ。
また、火事にならなければ良いが。
「んで、其を記事にすると」
「まぁ、其もあるんだけど」
何となく、聞いた疑問に筆の形をした携帯ストラップで、携帯のボタンをコツコツと叩きながら、チラチラと此方をみてくる。
「ねぇ、こまっちゃんも、元とは言え外の人間だったんでしょ?」
「え?うん。まぁ、そうだけど」
その質問に、思わず頷く。
まぁ、二人とも知ってる事だし何も問題は無いのだが。
「じゃあさ。このクリスマスってのがどんなのか分かるんじゃないの」
はたてが、テーブルから身を乗り出し息が掛かるほどに顔を近づける。
それでも、言わんとすることは分かった。
確かに、この二人からしてみれば此は未知なるイベントだ。
とは言え、本来のクリスマスがなんたるかの歴史を求めている訳ではないだろう。
その証拠に、ずっと前の
かと、言ってカップルがイチャイチャする日だなんて、言えない。
此処は、無難にクリスマスのイメージを言うか。
「ほ、本来のく、クリスマスっては、友達と旨い酒飲んで、旨い飯食べて、相手に
此、ハッキリ言って忘年会の記憶である。
まぁ、大して変わらないし良いだろう。
「ようは、普段の宴会と変わらないと」
「まぁ、そんなもんだよ」
「いや、待って一つ気になったんだけど」
かせんちゃんが、納得したその横で、スッと手を上げて質問してくるはたて。
「そのプレゼントって何?」
確かに、プレゼントって言葉はそこまで広まってはいないだろう。
「贈り物の事だよ。でも、自分の気持ちを伝える重大なイベントって捉える人もけっこういるかな」
此は、間違っていないだろう。
毎年の忘年会で貰うプレゼントは、缶ビールの詰め合わせだし。
其は其でありがたいんだけど。
其と同時に、クリスマス過ぎてから結婚しましたと言う連絡がやたら中、高の時の同級生から届くし。
「ふ~ん。まぁ、面白そうなイベントじゃない(自分の気持ちを……ね)」
一瞬、はたての口元がつり上がった気がした。
何処か、深みのある言い方だったが、記者としてなのだろう。
「あ!それって、吸血鬼の館のメイドが言ってたパーティーってやつね!」
かせんちゃんが、パンと手を叩きながら、自信満々に此方を見る。
「え?あんたって彼処の奴等と知り合いなの?」
「節分の時にちょっとね」
そんな二人の会話を、聞きながらあたいは先程の二人の興味津々な、顔を思いだし
「良かったらさ、あたしらもパーティー……する?」
自然とそう言っていた。
◆ ◇
「なるほど、其であたしは、此処にいると」
「いや~本当に、すいません。四季様」
はたての家――その台所で、台の上に立ち、何時もの服の上からエプロンをして、料理を作る四季様に、手を合わせて謝る。
「良いですよ。別に………誘ってくれた事ですし」
プイッと、顔をそらして何かを小声で言う。
小さすぎて聞き取ることは出来なかった。
「へ?」
「何でもありません!」
聞き返したら、怒られてしまった。
う~む。何だったのか。少し気になる。
―――クリスマス当日。
ずっと前のあの激戦が嘘のように、此処数ヵ月ですっかりあの二人とも打ち解けた四季様は、かなりの頻度で此処を訪れていた。
最もその大半の目的が、あたいを迎えに来くると言うものだ。
ちゃんと休憩終わったら行くのに。
「所で、小町この見たことも無いような、食材をいったい何処で手に入れたのです?」
「ちょっとした伝があって」
「もう良いです。だいたい予想は付きました。一人しかいないですよね。こんなことできるの」
実際に目の前には、この幻想郷には、余り馴染みの無い、あたいにとっては、懐かしい食材が並んでいた。
小瓶のラム酒、生クリーム、小麦粉、苺。
瓶ビールまである。
有りがたい。
後、幻想郷のお酒も。
他にも食材は有ったが、はたてとかせんちゃんが使い、外の雑誌を見て作った、料理ローストポーク、鶏肉のグリルサラダ(はたていわく、共食いではない一緒にするなとの事普通に焼き鳥とか、食べてる)お摘まみ各種外の魚の刺身盛り合わせ等が作り置きされている。
後で、あの隙間の賢者にお礼をしないと。
其等を、四季様はてきぱきと料理に変えていく。
え?あたいは、作らないのかって?
前世でも、現世でも一人暮らしだからって、料理が出来ると思うな(作れたとしても片手で食べれる物だけだ)
あたいがやったのは、記憶を元にした飾りつけだ。
因みに、はたては、二つの神社の取材にかせんちゃんも同じく神社だろう。
そろそろ帰って来ると思うのだが
「あー、もう本当に寒い囲炉裏の火入れておいて良かった」
「だらしないわね。この程度の寒さで」
「酒で暖まってた仙人に言われたか無いわよ」
バタンと、扉が閉じられ体を擦りながら寒そうに入って来るはたてと、かせんちゃん。
此で、メンバーは揃った。
そろそろ、始めるかね。
四季様の作った、クリームたっぷりのケーキをもって二人の元へと行くのだった。
◆ ◇
「うええぇぇん!こまち~かせんがいじめるー!」
「服着せようとしただけでしょ!」
……やっぱり、こうなったか。
59杯目だったか60杯目だったかの瓶ビールの、蓋を開けながら、逃げるスッポンポンの四季様と、服を着せようと、追いかけるかせんちゃんを見ながら、コップに注ぎ口へと運ぶ。
死神になってから、結構酒に強くなった。
昔は、十数杯くらいだったのに。
もう殆どの料理も食べ終わり、後はつまみつまみと、いった状況だが、まただ、あの時のようなデジャブ感を感じる。
四季様あんまお酒飲めないのに。
一応、四季様用に、普通のジュースも有るのだが、案の定酔いざましの為の水と間違えて、日本酒を飲む更には、あたいのリクエスのオレンジジュースと似たような酒、カシス・オレンジを飲むと言う事をした。
「全く、仙人も閻魔もだらしなんひんはから」
顔を赤くし呂律の余り回らない舌で愚痴る。
いくら鬼の次に酒豪な天狗でも、色々な種類の酒合わせて、80ちょいも飲めば、流石にこうなるか。
「もう、二人ともそんなはしたなく真似をして!」
……と思っていたら急に、回復し怒り出す。
はたては、スッと立ち上がり、ビシッ!と此方に指を突き付け
「あんたも、あたしのお酒が飲めない訳!?」
「いや、結構飲んでるよ?」
てか、はたては、そろそろ飲まない方がいい気がする。
「あんたが、鈍いんだから、飲まなきゃやってられないわよ」
「……なんかごめん」
そのまま、けたけたと笑いながら、こらーと、二人の鬼ゴッコに参加し始めたはたてを見ながらふと、あぁ、はたてにも色々有ったんだろうな。そう思った。
「もう!こまちは、節操が無さすぎです!聞いてるのですか!」
「えぇ、聞いてますよ」
暫くしてズイッと、あたいの目の前にまで顔を近づけた四季様が、裸で説教を始めた。
さっきまで、子供になってたのに。
酔っぱらいは良くわからん。
「そうやって、こまちは次々と女なら誰でも良いみたいな……兎に角謝って下さい!」
「其あたしの台詞!」
「四季様風邪引きますよ?」
かせんちゃんと、再び服を着る着ないで走り始めた四季様に言う。
「なら、こまちが着せてください!」
「子供ですか?」
酒が、前よりも大量に入り子供ぽくなって見た目にピッタリな性格となっている。
まぁ、着せるけど。
てきぱきと、大人しくなった四季様に服を着せていく。
なんか、娘とかいたら、こんな感じなんだろうか?
「なんか……手慣れてるわね」
あたいと同じようにシラフなかせんちゃんが、ジトーと、変質者を見るような目で此方を見る。
少なくとも、あたいはそう言った趣味は持ち合わせていない。
「前にも似たような事が有ったからね」
「こまち、こまち」
ぐいぐいと、裾を掴み呼び掛ける四季様。
かなり子供になった気がする。
「首だして」
ビシッと、尺であたいの首を示す。
「は~や~く~」
「……分かりました」
スッと、罪人のように首を四季様の前に出すとシュルシュルと、首に何か暖かい物が巻かれた。
「マフラー?」
其は、真っ赤な、毛糸で作られた何ともさわり心地のよいマフラーだった。
「“ぷれぜんと”と言うやつです!秘書から習いました」
舌足らずな声で、自信満々に良いその、幼き日の純粋さを忘れない胸を張って言う。
プレゼント……そう言うのを貰ったのは、いつ以来だったか。
素直に嬉しいと思う。
四季様には、感謝しても仕切れない。
思わず頭を撫でてしまう。
「て、ちょっと!二人だけの世界に行かないでよ!」
ズイッと、はたても此方に顔を近づけ誰かがおせば、唇が触れそうになるほどだ。
なんでまたそんなに近づけたがるの?
流行ってるの?
「ほら、此………あげるわ」
目の前に出されたのは、二つの
「手袋?」
其も滑り止め付きである。
此も真っ赤な毛糸で作られたやつらしく真ん中には両方とも可愛らしくハートマークが付いている。
はたてらしいデザインだった。
「船漕ぐときとか、寒いかと思ったの。……嫌なら捨てれば」
「そんなことしないって……有りがたく使わせて貰うよ」
確かに、殆どの時間を外で過ごすあたいにとってはマフラーとか、手袋とかは、大変有りがたい物だった。
「そ……なら、良いのよ」
プイッと、目をそらしまだ酔いが回っているのだろう赤い頬を更に赤くする。
「全くはたては、酔ってるのにこまっちゃんの事になると、元に戻ったみたいになるんだから」
やっぱりまだ酔ってるのか。
「ねぇ、こまっちゃんさぁ、前にこの時期は、寝ると寒くてしょうが無いみたいな事言ってたよね」
「あー言ってたね」
まぁ、四季様に怒られてる回数が少なくって良いんだけど
「だから、ほら作っておいたわよ」
パサッと、体に掛けられたのは竜や虎、茨の刺繍が施された膝掛けだった。
って、此手作り!?
その鮮麗さに驚かされる。
どうみても高級品でその手の人しか持ってなさそうな代物だ。
でも
「確かに、此があれば寒さともおさらばだ。ありがとね」
「此で怒られる回数も元通りね」
「イヤなこと言わないでよ」
寧ろ増えそう。
「あれ?その袋って何?」
「んーあー此?」
いつの間にか、酔い潰れてあたいを挟むようにして、眠りこける二人どうやら、プレゼント渡した辺りで力尽きたらしい。
その二人の間にあたいが抱えた大きな白い袋。
其を開けてその一つを、かせんちゃんに渡す。
「あたいからのプレゼント」
二人に先程渡された膝掛けを毛布変わりに被せて、その頭の横に同じように置く。
サンタになった気分だ。
「……開けても良い?」
「どうぞ」
ガサガサと袋を開けてかせんちゃんが取り出しのは
「此って、服?」
「セーターって奴だよ。久々に編んでみた」
「手作りなの?」
「おうよ」
確かに、かせんちゃんとかは、見たことも無いだろう。
外の服だし。
皆のイメージーカラーを想像して作った物で、かせんちゃんのはピンクの糸で編んだものである。
因みに、はたては紫、四季様は深緑だ。
四季様は、白黒と思いゼブラにしようとしたが、余りの難しさに挫折した。
「えへへ、どう似合う?」
「うん。とっても」
早速着てくれたかせんちゃんが、その場でくるんと一回転する。
その、笑顔は、何とも無邪気で仙人とかではなく一人の女性の可愛らしい笑顔だった。
何となく、ちょっとした思い付きで、開いたクリスマスパーティー。
参加しているのは、種族は別々間にかなり複雑な関係を築く。
其が一同に関してこうやって、騒ぐのはあたい達くらいだろう。
だから、こんな日くらいそんな関係を忘れて楽しくやっても良いじゃないか。
「メリークリスマス」
子供の頃に言った言葉を、目の前で可笑しそうに笑うかせんちゃんと、規則正しい寝息を立てる二人に向けて言う。
あたいにとっては、この日常が、何よりのプレゼントである。
少なくとも、あたいの回りではこんな日常が続いて欲しいと、久々にこの聖なる夜に願うばかりである。
もう一度言う。
メリークリスマス。
あ、此は一応ifの話です。
本編とは、半分関係ありません。
でも、昨日まで戦っていた相手と主人公を通して仲良くなるのは、良くあるよね?チラチラ
其では、皆さんメリークリスマス!
一人で見てもイルミネーションは、とても綺麗ですよ!