小野塚小町は、休みたい。――其だけ。   作:クリティカル

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年明けまで、残すところ後一日。
未練の無いよう好きなことを、兎に角ぶち込んでじっくり煮込みました。
反省はしている。
後悔はし……してない!(震え声)
一応此れは少し遠い未来の話ですが、ネタバレとかはこの作品には無縁の言葉なので。

因みに現在の私のPCの壁紙は赤河童の女の子です。(その前は秘封の二人だった)



大晦日大宴会

大晦日。

其は、一年の終わり。

誰もが、この一年で一番忙しい時期である。

その中でも二年参りと言うのがある。

日付が変わる瞬間にお参りすれば、二年分お参りした事になって得した気分になるのだとか。

そんな行事もあって、神社は参拝客でごった返す

 

「あ!ちょっと文!あたしの天ぷら取らないでよ!」

 

「あややや。其は取られるほどボーっとしてた貴女が悪いんですよ?そんなんでは天ぷらも、スクープも―――想い人も取られてしまいますねぇ~」

 

「う、上手いこと言ったつもりか!」

 

「おやおや~お顔が真っ赤ですよ~もしかして、もう酔ってしまわれたんですかぁ~?」

 

「ウッサイ!」

 

「おぉ、怖い怖い」

 

「全くこの露出閻魔……人のお酒を勝手に飲んで………謝って下さい!」

 

「んあ~~?しゅみませんねぇ~、罪深き仙人よりも善なる閻魔に飲まれた方が酒の神も喜ばれるかと思って」

 

「屁理屈でしょ!」

 

「屁理屈も立派な理屈です」

 

「グッ……こまっちゃんみたいな事言って」

 

「上司ですから」

 

「ドヤ顔で言うなーー!謝って下さい!そして服着て下さい!」

 

「いーやーで一すー!あっかんべー」

 

「子供か!」

 

「ちょっと其処!人の神聖な神社で喧嘩するなら摘まみ出すわよ!」

 

「あはははは!まぁ、良いじゃないか。喧嘩も立派な酒のお供だぜ!」

 

「ヒック!そうらよレイム~酒に喧嘩は付き物。夏の蚊と一緒さ」

 

「あんたらが言うと、いっそう追い出したくなるわね」

 

 

――とは、限らない。

 

博麗神社。

此処は、幻想郷の東の端に存在する神社で有名な妖怪神社だ。

あたいが昔住んでいた外の世界と幻想郷の境目に存在し、神社からは幻想郷が一望出来る。

ただし、参拝客は一人も来てない。

まぁ、今日に限らずこんな死神に天狗に仙人に裸の閻魔に鬼に魔法使いetc.な連中の集まる所に来ようだなんて命知らずな奴は、この場所を理解していない外来人くらいなもんだ。

 

「なーなーコーマーチー」

 

杯を傾けていると、グイグイと袖を引っ張る子供がいた。

 

「ん?なんだい?」

 

「なんでそんなに不機嫌なのだー?」

 

「別に不機嫌じゃないさ」

 

強いて言うなら飲みすぎた。

もうかれこれ三時間は飲んでるし。

 

「そーなのかー?」

 

「そーなのだー」

 

わはーと、両手を広げて年相応な無邪気な笑顔を向けて来る見た目七歳くらいの少女の名前はルーミア。

頭のリボンと光輝く金髪に血のような赤い瞳が愛らしい人食い妖怪だ。

 

「そうよ。こんな一大イベントな日に不機嫌になんかなってなれないわ!」

 

「そうだよ。今年こそ勝ってもらうんだから、みとりお姉ちゃんも寝ないでよね?」

 

「あんたこそ、途中で飽きたとか言って寝るの『禁止』だから」

 

あたいの横で胡瓜を食べている二人の内一人は、何処かの蝸牛小学生みたいな大きなリュックを背負い頭には、緑の帽子を被りウェーブの掛かった外ハネの艶々とした青髪と澄んだ水のように青い瞳。

そして、胸の真ん中に固定された鍵が特徴的なこの河童の名前は河城にとり。

何処かの家具店とは、絶対に関係ない。

 

「ねぇ。死神あんたは、今年はどっちが勝つと思ってるの?」

 

ひょこっと顔を此方に向けてジト目に見えるくらい目を細めて答えを待つ彼女の名は河城みとり。

地底に住むにとりの腹違いの姉だ。

背中にリュックではなく車両通行止めの標識を背負いにとりの青い服とは逆に赤い服に赤い帽子。

愛らしいピンクの髪。

胸の真ん中に妹の鍵と合わさる鍵穴が固定されている。

 

彼女は最近地上にも顔を出すようになった。

まぁ、其処は追い追い船の上で語るとしよう。

 

「まぁ、あたいは別にどっちでも良いけどさ」

 

「甘いぜ!」

 

「そうだよ!ハッキリさせな!」

 

酔って顔を赤く染めて肩組んで現れた二人は、鬼と魔法使いだ。

鬼の方は、ルーミアよりも身長は低くその身長に不釣り合いな程大きな角に赤いリボンが良く目立つ。

また、両手首にぶら下げる丸と三角の分銅(後、髪の先にも四角い分銅髪は千切れないのだろうか?)は、重さを感じさせないほど軽々と振り回す。

また、彼女―――伊吹萃香が手に持っている瓢箪は、常に酒が沸くと言う何とも羨ましい品物だ。

 

「なんだよ辛気くさい顔して、折角の年明けだって言うのに」

 

「いや、相変わらずだなと」

 

一方此方の魔法使いは、白と黒を中心としたいかにも魔女と言う格好だ。

彼女の名は霧雨魔理沙。

自称普通の魔法使いとの事だ。

あたいには、普通の基準は分からないが。

 

「折角此れから明星が勝つか負けるかの大勝負が始まるってのにさ!」

 

そう。先程から勝つだ負けるだのと其処ら中で言われている行事は初日の出よりも大切な物だと言う。

ハッキリと言って、あたいがこうして話している間に正月に変わり初日の出ならぬ初明星を待つばかりである。

なんでも、明星が太陽に勝ち日の出の時も光続けていれば、その年は妖怪の強い年になるのだとか。

元人間のあたいとしては、別にどちらが勝っても良いのだけども。

 

「ちょっと!何縁起でも無いこと言ってるの!」

 

そうも行かない人が一人。

 

頭に大きな赤いリボンと袖と服が別れて脇の見えるデザインとなったコスプレと言われても納得の出来る巫女服を着た少女。

この神社の巫女、博麗霊夢だ。

 

「なんだよ。妖怪の年になれば異変が一杯で楽しいだろ?」

 

「疲れるだけよ!」

 

グイッ!と魔理沙の首に腕を掛けてアームロック状態にしてから此方を向いて

 

「小町!あんたからもなんか言ってやってよ!」

 

「……程々にね?」

 

あたいから言える事は、此くらいしか無い。

だからそんなに睨まないで?

不貞腐れないで?

 

「もー!参拝客一人もは来ないしお賽銭箱は空だし此もあんた達のせいでしょ!」

 

「其は今日に限った話じゃ無いと思うぜ?」

 

激しく同意する。

あたいは心の中で静かに頷いた。

わーぎゃーと、喧嘩するこの二人は本当に小さい頃から何一つ変わっていない。

霊夢も隙間のおば……お姉さんと一緒にオムツ変えてたのが懐かしい。

魔理沙も人里の両親に変わってあの骨董品屋のウンチク店主と一緒にオムツ変えてた頃が懐かしい。

 

……懐かしむ程年取って無い筈何だけどな。

 

「ほんと……貴女は全く変わらない味」

 

「きゃん!」

 

「「「「なっ!」」」」

 

「あっははははははははっ!」

 

にとり、みとり、魔理沙、霊夢が驚き萃香が瓢箪の酒を煽りながら笑う。

 

ペロッと犬のように耳に舌を這わせられるくすぐったい感覚と背中にふにっとした柔らかい感触と同時に首に腕を回される。

 

「ルーミア!あんた何勝手に封印解いてるのよ!」

 

「解いたんじゃないわ、解けたのよ」

 

ルーミア大人バージョン。

 

決して、彼女は赤い飴や青い飴を食べた訳では無い。

頭のリボンは、彼女の本来の力を封印する為の物らしく解けると本来の姿になるのだが、そう簡単に解けない筈

 

「取れたー♪」

 

目の前で無邪気に、ぴょんぴょんと跳ねる幼女がいた。

 

「こいしちゃん……その手に持っているのは何かな?」

 

「わかんなーい」

 

「なるほど……無意識か」

 

古明地こいし―――其が彼女の名前だ。

リボンをあしらった帽子に緑がかった銀髪。

エメラルドのような深緑の瞳と閉じた青色の球体の第三の目を持つ無意識の覚り妖怪だ。

この子の姉とペット達を見かけないと言うことは一人でフラリと来たのだろう。

 

「えへへ~」

 

「おっと」

 

「あら、じゃあ……あたしも」

 

ポスッと軽くジャンプし、あたいの胸に飛び込んでそのまま顔を埋めてしまった。

其に対向するように、後ろからルーミアが更に体を押し付けて来る。

 

何?この状況?

 

「ちょっと!そうやって抱きつくの『禁止』!」

 

「お姉ちゃんの言う通りだ!早く退きなよ!スケベ死神!」

 

「え?それってあたいの事?」

 

「そうよ!退かないとあんたら全員退治するわよ!」

 

「そうだ!そうやってうらやまあ、いや、恥ずかしい事するな!小町マスパ食らわすぞ!」

 

「何故に!?」

 

みとりが、何処からともなく取り出した通行止めの標識を。

にとりがリュックから伸びるマジックアームを。

霊夢がお祓い棒を。

魔理沙が、店主いわく『暖房にも実験にも実戦にも使えるマジックアイテム』その名もミニ八卦炉を向けて来る。

ねぇ、待って!確か、あたいの記憶が正しければ其は、山一つ焼き払う事が出来るって聞いたことあるんだけど!?

其人に向ける!?

 

「あらあら、楽しそうね。交ぜてくれない?」

 

ガシリと突然頭をクレーンゲームのヌイグルミのように捕まれる。

 

「イィ!イタタタタタタタタタ!!!!」

 

ギリギリギリギリギリィと、頭全体を鋭い痛みが襲う。

反射的に顔を上げると、其処には

 

「こんなに女の子侍らせてイ~イご身分だ事ねぇ」

 

「あたいも女「なんですって?良く聞こえないわ?」なんだ……けど」

 

アルティメットサディスティッククリーチャー、通称USCこと、風見幽香。

目の上で、プルンと揺れる胸は恐らく89のD。

本当だとしたら何とも羨ましい。

 

「や、やぁ幽香久しぶり」

 

「久しぶり……ですって?」

 

ニッコリと向日葵のように明るい笑顔を向けて来るが、その笑顔は、冷酷な殺人鬼の狂気的な笑顔にも見えなくない。

笑っているようで笑ってない。

特に目が。

 

「全くあの新聞の記事といい、あの異変といい今日の宴会といい。どうしてうちのペットは出かけるたんびに常に女がいるのかしら?最後に会った時よりも五人くらい増えてない?」

 

あたいはペットだったのか。

てか、別に女を侍らせてとかは、一切無い。

その前にあたいは女だ。

 

「そのくらいにしたら?今この子が死ぬ『運命』なんて視えないもの」

 

「あぁ!?」

 

落ち着いた何処か気品のある声に、幽香がドスの聞いた声で反応する。

そちらに目を向ければ、其処には、畳に不釣り合いな大きな玉座に座りピンクのゴスロリドレスとでも言うのかを着て、ルビーのような瞳とニンマリと笑う口元から覗く牙が、何とも可愛らしい。

見た目幼い吸血鬼レミリア・スカーレットだ。

 

「ねぇ、咲夜。思うのだけど、この不届き者の死神の生き血でお雑煮をこの世の物とは思えない味が出来上がるんじゃない?」

 

「其は名案ですね。お嬢様」

 

「いや却下でしょ!」

 

そもそもお雑煮の材料に血は入らないと思うのだけど、クルッと此方を振り向いた女性は以下にもメイドと言う格好だ。

少し丈の短いメイド服に、絹のような銀髪。

チラリと見えた太股に取り付けられた幾つもの銀のナイフ。

ウン。最後絶対に可笑しい。

 

そんなメイド――十六夜咲夜は、丁寧にペコリとお辞儀をすると

 

「そう言う訳ですので「いや、どういう訳で!?」取り合えず血の沢山出る所を差し出しては頂けませんか?「普通に嫌だよ!」あ、別に額でも構いませんよ?血が沢山出れば何処でもいいのですので」

 

ニコリと笑いながらキラリと光るナイフを指先で軽く撫でながら妙にうっとりとした顔で言う。

 

「いやそう言う問題でも無いからね!?」

 

此、絶対に頷いちゃダメだ。

 

「こまちお姉さま~」

 

「フグゥ!」

 

ツッコンだ瞬間に、今度はテーブルを飛び越えて来た何者かによって、横腹に鉄球を勢い良く投げつけられたかのような痛みに襲われる。

 

「やっぱり殺しましょう。そういう『運命』が視えたから」

 

レミリアが、ビキビキと青筋を立てパリン!と手に持っていたワイングラスを握り潰す。

 

「フン!なにさ。お姉様だって、こいしちゃんのお姉さまとイチャイチャしてるクセに」

 

「ふ、フラン!」

 

あたいの横腹に抱き付いた少女は、ピコピコと背中の七色に光る宝石を散りばめたような美しい羽を僅かに上下に動かし不満を訴える。

その幼き吸血鬼、フランドール・スカーレット通称、フランに姉が、顔を真っ赤にして怒っていると言うより照れ隠し。

図星のようだ。

 

「こ~ま~ち~」

 

「こまっちゃん」

 

「あんたって奴は、ちょっと目を離した隙に」

 

「あやや。此れは此れは、渡しの死神さん。相変わらずのハーレムで」

 

ビクッ!と、思わず心臓が跳ねる。

何時もの聞き慣れた声のする方へ顔を向けると、少し酔いを覚ましたのか般若のごとき怒りの形相の四季様。

だが、まだ酔いは覚めきっていないらしく裸だ(服着て)。

そして、包帯の巻かれた腕で握り拳を作って震えるかせんちゃん。

肩を上げて、両手でやれやれと呆れるはたて。

カシャカシャとカメラを向けて写真を撮る火のように赤い瞳に、黒髪のセミロング頭に天狗帽を被りエルフを思わせる尖った耳に、黒いフリルの付いたミニスカートに白いフォー丸半袖シャツと寒そうな格好な、射命丸文。

通称、文。

 

「あらあら、側室の方々が来てしまったわ」

 

ルーミアは、スッとあたいの首から腕を解き、ふっと全員に挑発的な笑みを見せる。

 

「ふふっそうね。この子の『本命達』が来てしまったなら席を外しましょうか」

 

この子(あたい)の頬を日傘の先端でグリグリと捻りながらルーミアと同じ笑みを見せる。

 

その瞬間に、何かあたいのこの数十年で培った、危険センサー(生存本能)が微々っと反応する。

 

周りを見渡すと

 

「あやややや………此は逃げた方が良さそうですね」

 

逃げた方が良さそうと、言いつつカメラを構える文。

 

「だ、誰が小町の本命ですか!」

 

顔処か全身を真っ赤にして尺を二人に向ける四季様。

え?何故其処であたいの名前が?

 

「そ、そうよ!デタラメ言わないで!そ、側室じゃないし!」

 

両手をぶんぶんと激しく振り何かを否定するかせんちゃん。

 

「そ、そもそもコイツは女でしょ!」

 

携帯であたいを指すはたて

はい。前世も現世も正真正銘の女です。

 

「待ちなさい!そもそも何で『本命』とか決めるわけ?物心付いた時からあたしの方が良く見てるわよ!」

 

何かを訴える霊夢。

うん。まぁ、修行中とか隣で手拭い持って待ってたね。

って、あたいは部活のマネージャーか。

 

「あはははは!おい!死神お前もなかなか罪な奴だね!あはははは!」

 

何が可笑しいのか、あたいの背中をバシバシと叩いて笑う萃香。

ご免なさい。

何故こんなことになってるのかの説明が欲しいです。

 

「そ、そうよ!そんなデタラメ『禁止』なんだから!」

 

「そうだよ!そんな事で動じる訳無いじゃんか!」

 

姉妹揃って、何か慌てて、にとりなんかは大好きな胡瓜をぶんぶんと上下に振り回す。

姉のみとりにかんしては、もう口癖となった『禁止』を指差し二人に連呼する。

能力を使って無いだけ、まだ良い方だろう。

 

「あら、私達別にペットの事なんて一言も言って無いわよ?」

 

「そうよ。貴女達が勝手に解釈して怒ってるだけ……いえ、この場合照れ隠しかしら?」

 

苛めっ子の常套手段のようなノリで、ピシリッ!と辺りの空気を凍らせる。

 

「わ~、コマチお姉ちゃんて『すけこまし~』?」

 

こいしちゃん意味わかってる?分かってないよねこれ絶対。

 

「違うよ。お姉さまが言ってたけど、『遊び人の末路』って言うんだって」

 

少なくとも違う。 

そして良くそんな難しい言葉を妹に教えたな。

今正に、この宴会場で大乱闘が始まる五秒前と言ったところで

 

「あ!出たぜ!」

 

突然魔理沙が、外を指差して大声で叫ぶ。

その声に、全員が反応し外を我先にと見出す。

 

「今日は、必ず明星だ」

 

コソッと横に魔理沙が座りあたいと今だ離れないフランとこいしにそう告げる。

 

「まさか…何か仕組んだのかい?」

 

「さぁな。最近予言の魔法を覚えたんだ。そしたら明星と出たぜ」

 

「本当かな~?」

 

なかなか信じがたい話ではあるが、魔法と言うのは万能だ。

賭けとか勝ち放題じゃん。

あたい月の姫に勝てるかもしれないじゃん。

今度教えて貰お。

 

「金星が!」

 

レミリアが、叫び全員がそちらの方向に注目する。

其処には、昇って来た太陽よりも眩しく光る金星―――明星がハッキリと妖怪の山方向から確認出来る。

 

「お嬢様。遂に待ちに待った夜の時代が訪れるのですね!」

 

その従者も歓喜に震え少し涙ぐんでいる様子で肩震えている。

咲夜さん。

あんた一応人間だろ?

其言ったら隣の魔理沙もだけどさ。

周りも口々に喜びを表し、まるでワール○カップのような騒がしさになる。

 

「よし!勝利の酒だ!」

 

萃香が、また酒を呷り其を合図にまたしても宴会となる。

 

先程の喧騒が嘘のように明星の話題に移った所で、あたいは魔理沙の耳に口を寄せて

 

「ねぇ、あれって例の“光の三妖精”だろ?」

 

「おっ?なんだよ分かってたのかよ」

 

「少し前まであんたと一緒に騒いでたじゃないか」

 

ニヒッと、イタズラの成功した子供のように笑い帽子の鍔を指で持ち上げる。

 

「其に、何年あんたを見てると思ってるんだい?」

 

それこそ、魔理沙が実家を飛び出した辺りでも良く差し入れを持って言ったものである。

だってじゃないと、この子キノコしか食べないんだもの。

しかもたまに毒キノコ混ざってる。

 

「やっぱり、おかんには隠せないや」

 

はははっと、始めっから隠す気の無いと言わんばかりに、酒を飲み笑う。

其に釣られてか、フランとこいしも笑ってる。

だが、あたいはおかんでは無い。

おねいさんと言いなさい。おねいさんと。

 

「似たようなもんだろ?」

 

「あれ?声に出てた?」

 

「ばっちり」

 

うそ~ん。

恥ずかしい。

特に理由なく風呂に入って歌ってたのが、はたてにばれた時くらい恥ずかしい。

 

「うぅ~、こんなのあり得ないわ」

 

ふらふらと、足取り悪く此方に向かってくる霊夢。

かける言葉が見つからない。

実際此処で明星が出て欲しく無いと望んでいたのは霊夢とあたいくらいで、他全員は臨んでいたのだ(そもそも例外の二人除いて全員妖怪)。

 

「霊夢」

 

あたいは、背後にどんよりとしたムードを背負う霊夢を此方に手招きして

 

「お疲れ」

 

そう言った。

これくらいしか言えないのだ。

 

「うぅ……」

 

ボスッ!とあたいのお腹辺りにグリグリと顔を押し付けてすすり泣く。

 

「何でよ~!此方は朝からずっと、天照大神を迎えてたのに~後で退治してやる!」

 

「神様なのに?」

 

恐らく、今まで成功していた、そのやたら名前の長い神様への儀式が失敗したのが悔しかったのだろう。

負けず嫌いは昔から変わらない。

その呼ばれた神にはとんだ、とばっちりだが。

 

「あ~、うん。まぁ、来年があるさ」

 

そんな霊夢の頭を撫でながら、背中を擦る。

昔もこんな風に慰めてたってな。

 

(霊夢の奴……口元笑ってやがる)

 

(霊夢って小町お姉さまが来る前もずっと飲んでた気が)

 

魔理沙とフランが何か言いたげに此方を見るが、ゴメンね後で聞くから。

 

暫くして、霊夢が突然立ち上がり、両腕をバッ!と振り上げて

 

「あーもう良い!飲む!小町も魔理沙も七草の日まで付き合って貰うからね!」

 

何処か吹っ切れたようにそう叫んだ。

 

「そんなに!?」

 

「了解だぜ!」

 

どんだけ飲む気でいるのだろうかこの子は。

 

酒豪にしたのは、隙間のおば……おねえさんと先代巫女であってあたいは関係ない……筈だ。

魔理沙に関しては、あのウンチク店主だ。

 

其にしても

 

(異変の多い年かぁ……)

 

取り合えず、あたいは巻き込まれないように願って、このご利益のあるんだが無いんだかの神社に帰り際にでも、気休めで賽銭いれてくかね。

霊夢のお年玉も含めて多目に。

 

今だ光続ける明星擬きに向けて、乾杯と呟き杯を傾けるのであった。

 

そして、言い遅れたが、あたいはぐるりと周りを見渡して

 

明けましておめでとう。

今年も宜しく。

 

そう静かに呟いた。

 

◆ ◇

 

妖怪の付近上空。

其処には、先程まで宴会に参加していた三人の妖精がいた。

 

「―――で、何時までこうしてれば、良いのかな?」

 

両手を前に付きだし、パァと光を屈折させているのは、明星の正体サニーミルク。

オレンジ掛かった金髪のセミロングを冬の冷たい風に靡かせている。

 

「あんまり、長いとバレちゃうんじゃない?」

 

横から、そろそろ帰りましょうよと口を挟むのは、栗のような口をして三日月方の羽を持ったルナチャイルド。

 

「結局私達は、悔しがる霊夢の姿が確認出来ないのよねぇ」

 

腰まである長い黒髪に、頭に青いリボンを付けたスターサファイアが、勘づき始める。

 

――ようはこの三人の妖精魔理沙に上手いこと言いくるめられ、利用されたのである。

其に気付くのは何時になることやら。

 

「「「くしゅん!……寒っ」」」

 

 

この三妖精を哀れむように吹いた強めの冷たい冬の風によって、妖精達の小さなくしゃみの音が、微かに空に新年早々響いたそうな。




もしも、私が幻想郷に行ったら数分もしないうちに闇妖怪にル○ンダイブして食われる自信があります。
取り合えず、部屋の大掃除は26日に終わらせたのですが今だ部屋の大量のフィギュアの埃取りが終わってません。
そろそろケースを買おうと本気で考えています。
ほんと何時まで、本棚の上やタンスの上に、飾ってるんだよと。
そして、他の作品を含めて何時も見てくれている皆様。
こんな作品ですが本当に有り難うございます。
感想・指摘・評価をくれる皆様本当に有り難うございます。
私のやる気やアイデアに繋がっています。
此れからもこんな作品ですがどうぞ宜しくお願いします。

皆様と私に来年こそは春の妖精が告げに来ますように。

てか、来てよ。
何時になったら告げに来てくれるのさ。


其では皆様良いお年を!

なお、今回の元ネタは、『東方三月精』からです。
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