世界の終わりを否定した
幻想とは、世界の全ての終着点にして出発点。
終着点。その言葉の意味するところは一つの世界線での存在の終焉。
存在の終焉は物体そのものの風化による形骸化によって起こるわけではない。
概念そのものの亡失。つまるところの忘却によって成立する。
厳密には忘却とは言えないのだが。
つまり幻想に辿り着くということは–––––ん?
私は誰かって?ハハハ、おかしなことを聞くものだ。
物語の語り部が誰かなど、物語には一切関与しないことだよ。
まぁ、名乗っておくとしよう。
私の名はとある世界の創造主たる存在で、
君達と同じ人間が名付けた名のようなもので名乗らせてもらうなら、
『SCPー343【神】』だ。今後ともよろしく。
おや、もう時間のようだ。
これから君たちにはとある者の物語を見てもらう。
私の創り出した世界線の終焉に際し、
その最期の寸前まで終わりを否定したそれが、
幻想郷という世界に辿り着き、過ごしていく日常のお話。
あぁ、最後に一つ教えておいてあげよう。
幻想入りする時には、全てがそのまま辿り着くとは限らない。
何かしらの原因を以て姿、或いはそれ以上のものが変わることもある。
では、私はこの物語を見る君たちの様子を楽しませてもらおう。
4
私は木漏れ日に瞼の裏を刺激され、
小鳥の囀りに鼓膜を震わされて目覚めた。
周りを見渡せば、鬱蒼とした森が広がっていた。
自身の手を見ると、
そこには白く透き通るような色をした、
柔らかさを纏った手があった。
私は自分が誰だか理解していなかった。
ただただ、私は自らが人間ではない何かであったことを、
そして今も尚、そうであることだけを自覚していた。
だが、そんなことは関係ない。
私がなんであろうが、少なくとも人のような形をした何かではある。
何かを知るには時間と命がいる。
私のことを知るまでは、どうにか生き延びさせてもらおう。
取り敢えずはこの森を出ることから始めようか。
辺りをもう一度見回す。
やはり鬱蒼とした森が広がっている。
少し体を傾けたり、動いたりすると遠くに光が見えた。
あれはもしや出口か。
淡い期待を抱く。
精々この淡い期待が失望に変わらないように願っとこう。
背の高い雑草を掻き分け、光に向かって歩いていく。
実のところ私は今、裸足なのだがどうしてか足に痛みはない。
ある程度は頑丈な体のようだ。
そんなことを考えていると、先程の光の場所へ着く。
そこには神社があった。
広さはかなりあるが、
管理が行き届いていないのか立派な印象は持てない。
「ここは.............」
疑問だらけの私が目覚めてからの第一声であろう言葉を呟くと、
左の方から足音が聞こえる。
「誰?」
私が顔を左へ曲げると、そこには痴女がいた。
いや、これは痴女なのだろうか。
紅白で脇丸出し、何故か腕は半分隠している。
私の中の記憶喪失の常識で考えるとこんな服装は普通ではない。
が、だ。
そもそもよく考えるとこの世界が普通かどうかもわからない。
この服装がこの世界での常識である可能性もある。
とても機能的とは言えないが、それでもだ。
これは気にしたら負けというやつだろう。
気にしないことにしよう。
「わからないんです」
勝手に自己完結しながら、真顔で彼女の問いに答える。
「わからないの?記憶喪失なわけ?
..............ま、いいわ取り敢えずうちに上がりなさい」
誰かも知らない彼女は少し考えたのち、
手招きしながら私に背を向けて歩いていく。
当然私もついていく。
身を寄せる場所もない私にとってはグッドタイミングな出来事だ。
好意に甘んじさせていただくとしよう。
神社の裏に行くと、そこには金髪の黒と白の洋服を着た少女がいた。
「おっ、霊夢。そいつどうしたんだ?」
「そこにいたから名前聞いたら記憶喪失だって言うから連れてきたのよ」
「おーおー、博麗の巫女様は優しいこったなー」
「殴るわよ?」
「怖い怖い。割とマジでお前の場合は洒落にならんからやめてくれ」
「あのー..............」
少し勇気を出して、二人の会話に口を挟む。
あまりこういうのはしたくないが、このままでは話が進みそうにない。
「あぁ、ごめんなさいね」
「すみません。私、口挟んじゃって」
「いいのよいいのよ、こいつとのこんな会話何百回としてるわ」
「そ、そうですか」
特に問題がないようで安心する私を横目に、
霊夢さんが一つため息をつく。
「じゃあ、名無しの権兵衛さん」
「霊夢、表現が古いぜ」
「うるさい」
「なんでしょうか?」
「今からあなたを退治します」
「....................え?」
初めまして皆様、おもいつかないと申します。
SCPと東方のコラボ小説を頑張って書かせていただきますので、
今後ともよろしくお願いします。