死神・小野塚小町は困惑と驚愕の中にいた
その理由は目の前にいる緑の髪と紫のスーツを着た狂気の男・ジョーカーの存在
鎌を目の前に突きつけられてなお、その目に恐怖を浮かべず、逆にこちらを挑発するかのようにおどける
この男は死神をまったく恐れていないのだ
厄介な客を乗せちまったねぇ・・・
小町は表情一つ変えず狼狽していた
映姫様に見つかって働こうと思って仕事を始めたらこれだよ。
やっぱアタイはサボってた方が世の中平和なんじゃないかい?
自分の上司に頭の中で愚痴を漏らし、改めて男を観察する
男は未だに此方を笑った顔で見つめていた
コイツ・・・自分が死んだっていうのになんでこんなに嬉しいそうなんだい?
死ぬ事が目的?いや、コイツはそんなタマじゃない。
死後の世界を見れたから?そんな奴いるのかい?
アタイが死神だから?・・・考えたくない
小町にはジョーカーという男が考えれば考えるほど不気味に見えた。
「汗一つ流したら負け」そんな考えが浮かんでくる。
しかし、そんな小町見透かしているのか、ジョーカーは笑った口を大きく開けた
「ヘイ、死神ガール!いまからこのデッカイ鎌で俺に何しようってんだい?脅しのつもりならちょっと切るくらいが丁度いい。こんな風にな!」
瞬間、ジョーカーは己のスーツの内ポケットに手を入れ小町に迫った。
死神の鎌の大きさゆえ小回りが効かない小町はジョーカーの接近を許してしまう
しまった!
小町は油断しているつもりは無かったし、するつもりも無かった。
ただ何が起こったのか理解できなかった
ジョーカーはただの人間である。空を飛ぶこともできないし、手から光線を撃つこともできない。正真正銘の『人間』なのだ
その人間が死神である小町に『反撃』を行った
人間が神に挑んだのだ
小町は無意識にジョーカーを人間の枠に嵌めてしまっていた
それがこの状況を許したのである
無論小町に普通の人間の武器は効かない
しかし、この男の出した殺気に怯んでしまった
やられる!
そんなことは小町も分かっている。分かっているが相手はジョーカーである。この男なら『何をしても不思議ではない』そう思わせる何かがこの
男にはあった
その結果ジョーカーの攻撃が当たる瞬間、小町は目を瞑ってしまった
・・・・・・
しかし、いつまで経っても痛みはやってこなかった
恐る恐る小町は目を開けると、まっすぐジョーカーの腕は自分の頬に伸びていた
小町はその腕を辿るように視線を動かす。やがて手の部分まで見てみると、そこには一枚のカードが差し出されていた。
それは外界の絵札だった
「これは・・・」
小町はゆっくりカードを手に取り、笑顔を絶やさないジョーカーに尋ねる
「俺の名刺だ。こんなキュートな女の子に相手してもらえるんだ、社交辞令って奴さ。それに死神が俺の名前を覚えるってのもなかなか気分が良い。それとも何かい?こんな虫けらの様な男の名前を知らないほうがいいかい?そいつぁ、人生損してるぜ!」
ククッと笑うジョーカーとは対称的に小町は言いようのない気分になっていた
アタイにはこの男を測りかねない
小町のジョーカーに下した人物像が決定された瞬間だった。おどけた態度からさっきの攻撃まがいまで、小町はこの男の考えている事が理解できない
いや、理解しようとすればするほど遠ざかっていく。
しかし、これだけはハッキリ分かる。
コイツはこの状況を楽しんでいる
常人ではありえない思考、まさに狂気の体現とも呼べる
小町の警戒度は上昇を続けていた
「どうした?殺さないのか?アンタなら俺を殺すの簡単だろう?ん?俺はもう死んでるから殺せないのか?んん?」
相変わらずジョーカーはフザケる事を止めない
小町は覚悟を決めるように話す
「アンタは厄介だね」
「よく言われる。耳タコだ」
「やっぱりアンタは地獄行きだよ・・・」
やがて二人を乗せた小舟は岸へと辿り着いた
はい、以上が第二話です。
ちなみに外界の絵札はトランプのジョーカーです。
次回は映姫さまのドキドキジョーカー裁判を出せたら・・・いいなぁ
なにかと超人的なジョーカーですが、原作でも余程のことがないかぎり本作同様人間です。ただ恐ろしいまでの精神力や知能を持っています。バットマンと表裏一体と呼ばれる所以の一つですね。
ジョーカーの性格は「あらゆる多重人格を超越した超自我」という訳の分からんことになっています。あらゆる過去がありそれぞれがジョーカーを形作ってる
そんなところもジョーカーの魅力の一つです