少年と少女がまだ幼い頃、一つの世界的事件を経てとある兵器が『最強』の座に君臨した。
その兵器の名は通称IS、正式名称『インフィニット・ストラトス』。
空想科学の中から顕現したその兵器が空の支配者となった世界で後に『龍』を纏う少女は少年と大切な約束を交わした。
これはその約束から数年が経過し、少女と少年が再会したところから始まる『もしも』の話。
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3月初旬、日本の国際空港に1人の少女が降り立った。
「よーやく着いたわね」
小さくそう呟いた少女の名前は
彼女は中国の代表候補生としてISに関わる人材の教育養成機関である『国立IS学園』に入学するべく来日した留学生なのだった。
「さーてと、アイツは………あ、いたいた♪」
入国審査などを済ませた彼女は待ち合わせを約束していた1人の青年の姿を見つけた。
「へぇ、眼鏡も似合うじゃない」
その青年は目深く帽子を被り、伊達眼鏡をかけて『変装』していた。
恐らく彼女も事前に青年からその旨と特徴を聞いていなければ気付かなかっただろう。しかし、それが逆に自分だけが気付ける目印になっている事になんとなく苦笑した。
一方、青年も彼女の方に歩み寄って来た。
2人の距離は鈴が青年に抱き付いた事でゼロになった。
「ったく、………よーやく帰って来たかと思えば相変わらず人に飛び付くなぁ、オイ? 危ねーからヤメロつってンだろ」
溜め息混じりに聞こえて来る青年の声はどこか呆れてはいるがしっかりと鈴を抱き止めている。
「だって1年ぶりだし」
「理由になってねぇ」
悪びれもせずに抱き着いたまま鈴は青年の胸に頬を擦り付ける。
「それになんだかんだで文句言ってても必ず受け止めてくれるじゃない♪」
「受け止めねーとオマエがウルセェからだっつの」
「受け止めてくれなかったことなんか1度もないのに?」
「………次は絶対避けてやる」
「そのセリフもう100回以上言ってるよねー」
「………ウルセェ」
ニヤニヤ笑う少女に対して反撃出来なくなった青年は再び溜め息を吐いた後、抱き寄せるように鈴の頭を自分の胸に押し付ける。
鈴はそれが青年なりの照れ隠しであることを紅潮した頬と耳を見なくても、長く深い付き合いで理解していた。
「そー言えば大事な事言ってなかったわね」
「あ?」
抱き寄せる力を少し緩めて互いに顔と視線を見あわせる。
「ただいま」
青年の腕の中で鈴は笑顔でそう告げた。
「………お帰り」
対して青年は冷静を装っているがその声や表情の端からは喜びの感情が溢れ出ていた。
鈴と青年はこの会話を1年前、とある事情から離ればなれになってからずっと心待ちにしていた。
「会いたかったよ、一夏………」
「………俺もだ」
鈴をそっと抱き締める青年の名前は織斑一夏。
鈴と大切な約束を交わした相手であり、世界初にして唯一の男性IS操縦者であった。
少し短い上に拙い文章力ですがよろしくお願いいたします。