IS、俺嫁日記。   作:u160.k@カプ厨

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ヘタレブラコンだったり、マダオ(マジでダメなお姉さんの略)だったり、アンチられるのではなく、カッコいい千冬さんが書きたいのです。

腕が追い付いてないけど(泣)



学園、激戦。

 未確認敵機体(アンノウン)に相対する白式と甲龍の損傷とエネルギー残量は危険域にまで達していた。

 通常のISを軽く越えた加速と装甲、そして圧倒的な火力を持つ敵の性能を前に制限(リミッター)の掛かったISが相手では数の有利など関係なかった。しかし、白式と甲龍も易々制圧されるほど甘くはない。

 圧倒的性能差のある敵に対し、ある程度のダメージを与えることができている現状は最悪と言うほどの状況ではない。

 

「けど、ここからどうするかが問題よね」

「鈴、甲龍のエネルギーはどれだけ残ってる?」

「大体3分の1、ってところね。一夏は大丈夫?」

「………今はまだな」

 

 そう答える通り白式のエネルギー残量は危険域の手前であり、早々に勝負を決めなければこちらが撃墜される可能性が高い状況である。

 冷静に状況を分析した一夏は鈴に戦闘の中で気付いた敵の不自然な動きについて尋ねた。

 

「………変な事聞くけどISって人が乗らないと動かねーハズだよな」

 

 敵に視線を向けるながら首肯する鈴も相手の動きに対して謎の違和感を感じ取っていた。

 

「その通りよ、けどそれにしては動きが単調過ぎるわよね?」

 

 攻撃、防御、回避。全てに於いて高い能力を見せる未確認機ではあるが、その動作の1つ1つが『機械的』過ぎる印象を与えていた。

 例えば、一夏達が攻撃を仕掛けるとそれに反応して射撃、それを掻い潜られて接近を許した場合は防御。片方に足止めをされた所に一方による追撃が来たら回避、一夏達が距離を開けようとしたら再び射撃と言った具合である。

 その射撃も最初にバリアフィールドごとアリーナの天井を破り、鈴を震撼させたものとは思えない程の威力でしか射って来ない。

 おまけに、一夏と鈴がこうした会話をしている間は攻撃を仕掛けて来くる気配を見せないことから『織斑一夏の奪取もしくは抹殺』の可能性は無くなる。

 

「今だって()()()()()()()()()()()()()()()()攻撃してこねーな」

「明らかにコッチの攻撃を誘ってるわよね」

「俺達の攻撃、つーか動きとかを分析。情報の収集をすることが目的か?」

「アレの行動からして、そう考えるのが自然よね」

 

 そうなると操縦するのは人間である必要性は低くなる。ISの(コア)が『人間が搭乗している』と認識し、起動するようなプログラムを持つ機械が搭載されている。すなわち無人機である可能性が出てきた。

 もし未確認機を操っているのが機械だった場合。捕縛、もしくは撃墜されたとしても仕掛けた側の情報が漏洩することはないし、機械的な行動パターンについても説明がつく。

 結果、未確認機に対峙する2人はそう結論を出した。

 

「ったく、無人機なんて良く考え付くもンだな」

「全くね、もっと別の事に頭使いなさい。って感じよね」

 

 自分達の出した結論に一夏は呆れ、鈴は怒りを募らせる。

 

「けど裏を返せば遠慮はいらないってことよね?」

「そうだな」

「それはいいわ………遠慮なく()れるじゃない!」

「あぁ、それに俺もコソコソ嗅ぎ回られるのは好きじゃねーしな。一発シメといた方が今後のためだな」

 

 手にした青竜刀『双天牙月』の柄を固く握りしめながら激昂する鈴とそれに同意しながら一夏は眼を細めながら敵を睨む。

 

「アタシの一夏に色目使ったこと、徹底的に後悔させてあげるわ!」

(………『色目』って………ある意味正しいのか?)

「………ま、いいや」

「どうかしたの?」

「いや、なんでもねーよ。さっさとあの出歯亀ヤローを片付けるぞ」

「了解!」

 

 鈴のどこかズレているような宣言を聞きながら一夏はいつも自分のそばにいて惜しみ無い愛情と癒しを、そして今は戦意を高揚させ、闘志を奮い起たせてくれる存在に感謝した。

 そして互いにアイコンタクトを交わすと未確認機に向かい背部に備えたブースターの最大出力で行動を開始する。

 

「吼えなさい、甲龍!」

 

 鈴の怒りに応える様に僕たる龍、IS『甲龍』が敵を撃ち墜とすべく衝撃の咆哮を放つ。

 『衝撃砲・龍砲』は空間に圧力を掛けて砲身を形成、その際の余剰圧力を『衝撃』として射出する第3世代兵器だ。

 『龍砲』の最たる特徴として砲弾が不可視であることから防御や回避非常に難しいことが挙がる。また砲身も物質でないことから、あらゆる角度に砲口を向けることが可能である為に奇襲性が高く、弾数にも制限がない。ISに搭載されたハイパーセンサーと相まって死角のない高い完成度を誇る武装だ。

 その見えざる砲弾に捉えられた敵の強固なシールドバリアと漆黒の重装甲も衝撃までは防ぐことが出来ず、貫通した衝撃が内部機器にダメージを与える。

 鈴と甲龍が敵に向けて機銃の如く衝撃の砲弾を撃ち込む事で動きを止めている間に一夏は最大速度で間合いを詰めると己が得意とする近接戦の距離にまで接近。その手にレーザー刀による斬撃の連撃が敵の装甲を切り裂く。

 先ほどまで中にいると思われていた搭乗者がいないことに気付いた二人の全く躊躇も手加減のない衝撃砲とレーザー刀の嵐のような攻撃に敵の装甲とシールドバリアのエネルギーが瞬く間に削られていく。

 

『!』

 

 反撃は勿論、回避や防御はおろか体制を立て直すことすら許されない連撃。

 甲龍の砲撃は未確認機の眼前にいる白式の背後から飛来している。普通ならば同士討ちしてもおかしくないその行動。しかし、白式の動きは衝撃の砲弾がどの軌道で来るのか見なくても解るかのように刀を振るう。その姿には同士討ちの可能性など皆無であるとの甲龍の操縦者への信頼があるからこそ成せるもので、その事が機械であるハズの未確認機に得体の知れないプレッシャーを与えた。

 

『………!』

 

 これ以上、シールドエネルギーの消費が許されない域にまで削られた未確認機は搭載されたセンサーや演算処理など全ての機能を使い、起死回生の一手を打った。

 

「一夏!?」

「………チッ」

 

 その一手とは刀を振るう一夏の腕を掴むことでその動きを止め、そのまま一夏を盾として鈴の砲撃を制限させることだった。

 動きを封じられた一夏は敵の腕を振りほどこうとしているが、そう簡単に離す訳がない。一夏はスラスターの出力を上げて後退することで間合いを開こうとしているが、相手の腕を伸ばすだけで終わる。

 自分の意図を理解したのであろう、鈴の砲撃も止まったことに未確認機は己の一手が間違いでないと判断した。

 

「………掛かったな」

 

 一夏の不穏な一言を聞き取るまでは。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 気合いと共に青竜刀・双天牙月のが垂直に降り降ろされ、未確認機の肘から先が宙を泳ぐ。

 

『!?』

 

「いくら堅牢な重装甲と言えども関節はそうも行かないわよね!」

 

 相手が一夏に気を取られている間に距離を詰め、双天牙月の峰に衝撃砲を撃ち込むことで斬撃の速度と破壊力を増加させた攻撃を決めた鈴の不敵な笑み。完全に伸ばされた状態で関節(ソコ)を攻撃すれば破壊は容易い。

 

『!!』

 

 一矢報いろうとした敵は残った腕の砲を鈴に向ける。だが、

 

「させるかよ」

 

 未確認機の砲口に白式のレーザー刀の刃が突き刺さり、蹴り倒されると同時にチャージされていたエネルギーが暴発。残った腕がビーム砲もろとも破壊される。

 

「鈴」

「OK、一夏!」

 

 鈴から片方の双天牙月を受け取ると暴発の勢いに吹き飛んだ敵に最後の追撃を叩き込む。

 

「これで!」

「終わりだ」

 

 ーーーーーーーーー。

 

 未確認機と一夏・鈴のバカップル………もとい、コンビの戦闘が佳境を迎えるアリーナの管制室では二人の担任である織斑千冬は珈琲を飲んでいた。

 

「先輩!千冬先輩!!」

「ん? どうした山田君、君も飲むか?」

 

 そう言って備え付けのコーヒーサーバーを起動させる千冬に対して、慌て過ぎて数年前の呼び方に戻っている元・後輩にして現・副担任の山田真耶教諭。

 

「何を言ってるんですか!? のんびりコーヒーなんか飲んでる場合じゃないですよぉ!!」

「そうか」

「そうか、じゃありませんよぉっ!?」

 

 未確認機に掌握されたシステムのコントロールを奪還しようと他の教師陣や生徒達が悪戦苦闘している中で千冬はコーヒーを淹れ始めた。

 

「ふむ、現在アリーナの全システムはあの正体不明機に完全に掌握され、生徒達の避難も不完全。訓練機の格納庫も閉鎖されているせいで正体不明機と戦っている織斑と凰の援護にも出られない。確かに状況は芳しくはないな」

 

 弟と同じように冷静に状況を確認すると新しく淹れたコーヒーに砂糖とミルクを入れてゆっくりとかき混ぜる。

 

「その通りです!早くなんとかしないと織斑君と凰さんが!」

 

 『危険だ』と言いかけた所で真耶の前に淹れたてのコーヒーが出された。

 

「まぁ、これでも飲んで落ち着け。真耶」

「落ち着いていられますかー! と言うかなんで先輩はそんなに落ち着いていられるんですか!?」

「これでもこの場の責任者で指揮をしなければならないからな、その立場にいる私が慌てれば事態はより悪い方向に陥ってしまうじゃないか。それに慌てた所で何かが変わる訳でもないだろう」

 

 千冬の言葉に真耶は自分は本来であれば彼女と同じように冷静に事態にあたり、補佐をしなければならないはずだったことを気付かされた。

 『武装した正体不明機の乱入』という予想もしていなかった事態に見舞われた山田真耶と言う人間的にもまだ若く、教師となったばかりの彼女の経験などを考えれば焦燥感に駆られて気が急いてしまうのも致し方ないと言うことを千冬も理解しているために明言はしていない。

 

「あと、1つ。私が冷静でいられる理由がある」

「もう1つの理由、ですか?」

「何、ここにいる者達を信じている。ただそれの簡単なことさ」

「信じている、ですか?」

 

 言葉の真意を理解出来ていない真耶を余所に千冬は不敵な笑みを浮かべる。

 

「私はこの学園の教師だからな。今戦っている織斑や凰、それ以外の生徒達は勿論。君達教師陣も皆が優秀であると信じている。誰がなんと言おうともな」

 

 織斑千冬という人間はこの場の誰よりも山田真耶と言う人間を。

 今戦っている弟とその彼女を。

 システムの奪還に挑む生徒達と彼女達に指示を与える教師陣を信じていた。故に、

 

 『この状況も取るに足らない、簡単に覆せる些細な問題だ』

 

 千冬の言葉の裏に隠された信頼を真耶は感じ取った。

 

「ッ!システム奪還に成功しました!!」

 

 その直後、千冬の信頼に応えるようなタイミングで生徒の1人の報告を皮切りに次々とアリーナの指揮系統が回復されたと言う旨の報告が挙がる。

 

「教員は順次格納庫へ移動後に訓練機を装置。生徒2名と正体不明機の回収と解析の準備を進めて下さい」

「か、回収準備ですか? 援護や攻撃準備ではなく?」

 

 予想もしなかった千冬の指示は真耶を始めとした教師陣と生徒達には理解し難いものだった。

 

「あぁ、もう終わるしな」

 

 千冬が指し示すモニターには正体不明機が一夏と鈴の斬撃により撃破される光景が写し出されていた。

 

 二条の斬撃により未確認機の胴体は左右双方向から切り裂かれ、上下に両断。

 その断面から切断されたコードや、油圧系統に使用されていたと見られるオイルなど『のみ』を飛散させながら未確認機だったモノは地に墜ち、そのまま沈黙していた。

 

「………さて」

 

 千冬は近くの端末を操作して一夏と鈴に通信を繋いだ。

 

『姉き………織斑先生、どうかしましたか?』

『まだ何か未確認機体(アレ)に反応があるんですか!?』

「いや未確認機体は完全に沈黙している。織斑、凰。よくやってくれた」

『いえ』

『はい!ありがとうございます!!』

 

 疲労の色が声の端から微かに見せている以外は問題無さそうな2人の生徒の無事を確認したに内心で安堵すると千冬は労いの言葉をかけた。

 

「あとの事は我々に任せて保健室で検査を受けるように。その後は寮に戻って休んでくれて構わん」

 

 不完全ながらも避難した生徒達に負傷者は1人もいなかったが、戦闘を行った2人には大事を取って待機させていた医療的検査を命ずる。

 事情聴取などは2人が無関係なのは解りきっているかため形式的に行う旨を伝えた千冬は通信を終了、責任者としての後始末に向かうため管制室を後にした。

 

「後は大人の仕事だ」

 




戦闘シーンは文章がやたら多くなってしまう………
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