IS~紅き破壊者~   作:在原昴

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脅し

ゼロの指示の元、駐屯地には何かの機材が設置された

ラウラは不思議そうに眺めていた

 

ラウラ「ゼロ、これは何なのだ?」

ゼロ「…お前の機体に積まれていたVT(ヴァルキリートレース)システムを参考にして作った疑似体験装置だ…」

ラウラ「な!?」

 

ラウラは自分の機体に積まれていたものを聞いて驚愕していた

VT(ヴァルキリートレース)システム

プリュンヒルデの称号を獲得した人間の動きをコピーすると言う物、だが、使用者に負担がかかり、最悪死に至るため、開発、実験、使用を全て禁じられている

それが知らないうちに自分の機体に積まれていたのだ

準備が終わると、ゼロはその場を去った

 

ラウラ「…兄みたいな人だな…そうだ」

 

ラウラはクスリと笑い、彼の後を追っていった

 

 

軍の上層部と政府の上層部では、いろいろと揉めていた

ゼロの扱いについてだ

処分するべきだという声とこのまま軍に入れるべきだという声の討論が続いていた

素性も知れない人間だが、その脅威は計り知れない

極秘裏に開発をしていたVT(ヴァルキリートレース)をあっさり見抜き、それを進化させたものを持ってきた

万が一、このことが世間に知られればドイツにとっても大打撃だが、逆を言えばゼロを手に入れれば世界最高クラスの軍事力を手に入れられる

 

その時だった、ゼロが軍事用に開発されていたIS、シュバルツェアを纏い、乱入してきた

これには軍の上層部も驚愕していた

何せ、男がISを動かしていたのだからだ

 

政治家1「な!?なぜ、君が動かせる!? なぜ、ここにいる!?」

ゼロ「…質問が多いな…では、一つ目から答える、どうやら、ISコアはとある人物の細胞を素材として使われている…言ってみれば、一種のクローンだ…」

 

その発言にその場にいた人間は騒然としていた

さらに、ゼロは言葉をつづけた

 

ゼロ「二つ目の質問だな…恐らく、俺の細胞がそいつのそれと似ていたからだ…こいつの発動条件はそいつと同じ細胞を持っているかどうかだ…同じ細胞は二つとないらしいが…仮に俺がそいつと何らかのかかわりがある場合、あり得る話だ…」

 

ゼロが淡々と告げると、ゼロはいきなり武装であるマシンガンを向けた

 

ゼロ「それで、この情報と引き換えに要求することがある…一つは俺の国籍と所属だ…ドイツ国籍とドイツ軍所属…それを要求する…」

政治家2「それくらいなら承諾しよう…」

ゼロ「もう一つは俺の身の自由だ…国籍と所属はここだが、お前らに協力する気などない…俺は俺がしたいようにして記憶を探す…それが最大の要求だ…」

 

それを聞いたもの達は考え始めた

だが、すぐに承諾せざるを得なくなった

 

ゼロ「言っておくが、あと三分以内に決定しなかった場合、ここは戦火の火の海になる…この意味が分かるか?」

 

その場にいた人間たちに悪寒が走った

恐らく、ゼロはあと三分以内に承諾せねばこの場にいるもの全てを皆殺しにする

彼にはそれだけの武力がある

政府達はそれを止む無く承諾した

 

ゼロ「…俺は三日後、ドイツを発つ…」

 

ゼロはそう言って出て行った

 

 

その日の夜、ゼロはラウラに訓練場に呼び出されていた

訓練場にはを黒い雨(シュヴァルツェ・ハーゼ)を纏ったラウラが待っていた

 

ラウラ「待っていたぞ、ゼロ」

ゼロ「…何の用だ…」

ラウラ「決まっている…貴様に決闘を申し込む」

ゼロ「…軍人…とは違うな…まるで騎士だな…」

 

ゼロは冷静にゼットセイバーを取り出した

 

ラウラ「ISはどうした?」

ゼロ「問題ない…俺自体がそれだからな…」

 

ゼロの姿が一瞬で変わった

その姿は紅いフレームアーマーに青い宝石のついた赤い兜を装着した姿だった

 

ゼロ「さあ、行くぞ…」

ラウラ「…貴様の実力!!見せてもらう!!」

 

そこからは激戦と言えた

ゼロは剣と銃の二つだけだったが、それでもラウラと互角以上の戦いを繰り広げていた

レールキャノンを撃とうとすれば、ゼロの銃で防がれ、接近もゼロの方が一枚上手だった

AICで動きを封じようにもゼロの流れるような動きには通用しなかったらしい

そして、ラウラのSEが無くなり、戦いはゼロの勝利に終わった

 

ラウラ「…さすがだな…ゼロ…」

ゼロ「…貴様もな…ラウラ…お前に追い抜かれるまで、俺はさらに高みに上ろう…」

 

ゼロはそう言って普段の軍服姿に戻り、ラウラに手を差し出した

 

ゼロ「立てるか?」

ラウラ「愚問だ…だが、少し頼みがある…」

 

ラウラは少し恥ずかしそうにしていた

ゼロは無表情でラウラを見ていた

 

ラウラ「私の…兄上になってはくれないか…?」

ゼロ「・・・?」

ラウラ「私には家族がいないのだ…だから…」

ゼロ「良いだろう…俺には何もない…あるのは…破壊と知識…だけだったが…最初に手に入れたのが家族とはな…」

 

ゼロはこの時、初めて笑顔を見せた

ラウラはその笑顔に心を奪われていた

 

ゼロ「なら、俺の名は…ゼロ・ボーデヴィッヒだな…」

 

ゼロは優しい声音で言い、訓練場を後にした




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『タイムストッパー』、『PIC』

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