戦姫絶唱シンフォギア~彼女とカノジョのウタ~   作:祇園

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少女と伯爵

くれない、クレナイ、紅

 

まこと、マコト、真琴

 

それが少女の名前

 

少女は一人で公園で遊んでおり、砂場や地面に自分の名前を書いていた

 

普通なら友達と一緒であったり、もし一人だとしても遊具で遊んだりしている

 

『あの子は普通じゃない』

 

それが子を持つ親の第一印象だ

 

だからこそ、親達は自分達の子供を真琴から遠ざけた

 

人は人と違うことを嫌う

 

それは歴史が照明しており、魔女裁判や人種差別がいい例である

 

だが、真琴はそんなことを気にしていなかった

 

「ヤァ、真琴。お待たセしまシタ」

 

「まったよ。はくしゃくさま」

 

『英国紳士』

 

真琴に伯爵様と呼ばれた男は誰が見てもそう答える風貌であり、日本語に馴れていないせいか少し片言気味だ

 

「申シ訳ありまセン。お詫ビと言ってはナンデスが」

 

伯爵は真琴に手を伸ばして目の前で花を出した

 

花の名はアネモネ

 

色は白である

 

「今日ハ、真琴にピッタリな花デス」

 

真琴は「どうして?」と伯爵に問う

 

白いアネモネの花言葉は『真実』『期待』『希望』

 

「ソレは子供みんなに言えるコとデス。特ニ真琴は我輩より才能がアリますカラ」

 

伯爵はどこからともなく伯爵用と真琴用と書かれたシールを貼ったバイオリンを取り出すと真琴はキラキラと目を輝かせて伯爵からバイオリンを受け取りバイオリンを弾き始めた

 

 

 

 

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真琴と伯爵の出会いはバイオリンだった

 

いつものように一人で遊んでいた真琴は伯爵のバイオリンを聴いた

 

真琴の父親も世界的なバイオリニストであるがその時の真琴には父親よりも伯爵のバイオリンを気に入り教えてもらうようにせがんだが、伯爵は断った

 

だが、真琴は存外しつこく伯爵が弾きにくる時間、場所はまばらのはずなのに真琴は必ず見つけて伯爵にお願いした

 

とうとう根負けした伯爵が真琴に教えることとなったが伯爵は才能が無ければ適当に教えてそれっきりにするつもりだったのだが、真琴には才能があった

 

父親『紅(ゆずる)』の才能と同等かそれ以上

 

まさに天才であった

 

それが真琴(少女)伯爵(紳士)の奇妙な関係の始まりだった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「はくしゃくさま。いまのどうだった?」

 

真琴は自分の演奏を伯爵に聞いた

 

伯爵の評価は「イマイチ」であり、真琴は伯爵の評価に不満を漏らす

 

「当タり前デス。コレが紅真琴の完成形ダなんてミとめまセン。せめて我輩ヤ父君ヲ超えてからデないと」

 

真琴は「どうすればいいの?」と聞く

 

伯爵は「胸の音ヲ響かせルのデス」と答えた

 

子供の真琴にはいまいち分からないようだったので伯爵は「マァ、素直に好きなように思うように弾いてみるのデス」と捕捉した

 

伯爵は真琴にアドバイスすると少しはマシになったのか笑みをこぼした

 

 

ーーーこんな楽しい関係がずっと続けばいい

 

 

真琴はそう思っていたが、現実はそう甘くはなかった

 

 

 

 

 

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真琴と伯爵の奇妙な関係が始まってから2ヶ月程経ったある日

 

いつもの公園でいつもの時間に真琴はやってきたが真琴の目には涙が浮かんでいた

 

「真琴?どうシタんですか?」

 

伯爵は真琴に近付くと真琴は泣き始めた

 

伯爵は泣き始めた真琴にオロオロするがとりあえずベンチに座らせて落ち着かせた

 

「真琴、落チ着きマシたか?」

 

真琴は頷くと伯爵は泣いていた理由を聞いた

 

「引っ越しデスか」

 

「うん。はくしゃくさまとおわかれだっておかあさんが……」

 

真琴は涙ぐませながら伯爵に言った

 

幼い真琴にしてみれば伯爵とは二度と会えないことを意味していた

 

「大丈夫デスよ。真琴」

 

伯爵は真琴の涙はハンカチで拭いた

 

「せっかクの美人が台無しデスよ。それに死んデしまうワけではないのデスから」

 

真琴は「でも」と続けようとするが伯爵は真琴の言葉を遮った

 

「真琴、約束シます。真琴ガ世界一のバイオリニストにナった時ハ必ず私は真琴に会イにいきます」

 

伯爵は真琴の頭を撫でると赤いペンダントを首にかけた

 

「お守りデス。私ハ真琴を守ることはデキませんガ、そのお守りが真琴をキット守ってくれるはずデス」

 

「ありがとう。はくしゃくさま」

 

いつもの笑顔に戻った真琴に伯爵はホッとした

 

そしてタイミングよく、真琴の母親が公園の入り口で真琴を呼んでいた

 

「ごめんなさい。もういかなきゃ」

 

「そうデスね。母君が心配しマスからネ」

 

「はくしゃくさま、またね」

 

真琴は伯爵に「バイバイ」ではなく「またね」と言った

 

また伯爵に会えるという願いを込めて真琴は手を振りながら「またね」と言って母親と共に帰っていった




さてさて『アレ』は真琴ヲ選びまシた

まさか真琴ガ適合者にナるとは……

我輩ニ出会わなケればコウならズに済んダのでは?

イヤ、これハ必然デある

真琴ガ我輩に出会っタのも

『アレ』に真琴ガ選ばレたのも

我輩ガ今まで『生きていた』のも

重荷ヲ背負わセテしまいマシた

ダカラ、許してホしいとは言いマセん

デスが、真琴ノ幸せだけは願わせてくだサイ
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