有職転生 - 異世界に来たから謝罪する -   作:妥当な猫の手

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第二話「子守りさんの過去と決意」

 イスリュは巨大陸北北東に位置する農村に生まれた。

 

 親が冒険者だった為、イスリュが7歳ぐらいになると剣の扱い方、魔法の扱い方を教えられながら育ち、成人する15歳の頃には天性の才能があったのか風系統魔術、水系統魔術、治療魔術の中級魔術を会得していた。

 

 彼女の夢は世界を渡り歩く冒険者となる事であったし、親はそんな彼女の夢を尊重してくれようとした。

 

 だが今は第二次人魔大戦真っ最中であり、冒険者となっても魔物の討伐依頼はあることにはあるがかなり少なく、あるのは戦争の為の物資調達や傭兵として戦争に参加することや人間族の動向の調査、はたまた戦争の為の新拠点や砦の建造要員として当てられるなど、とにかくほとんどが戦争に関わる事ばかりである。

 

 そこでイスリュの両親は、自分達の心優しき娘の為に、当時冒険者として傭兵まがいな事をやっていた際に知り合った吸血鬼の王、魔王ズダルビー・ズビズダー様に戦争とあまり関わらないような仕事を斡旋してくれないか頼む事にし、結果として魔王ズダルビーは娘の才能を理解して自らの近衛侍女として育てる事とした。

 

 彼女とて王宮での近衛侍女がどれだけ名誉な事かなど理解できていたが、自分がなりたい物は冒険者である。

 しかし心優しき彼女は両親の思いも理解した。

 そして自分が冒険者になった後もどうせ戦争に従事することになると考えた結果。

 彼女は近衛侍女として遣える事を決めた。

 

 

 その後就職した先では平民の出の為か風あたりは強かったが、彼女の明るい性格と毎日努力する姿に周りの魔族達は心を許し、彼女の育成に努め、育成の結果として普段あまり本性をあまり表に現さなくなった堅物のようなイスリュが誕生し、近衛侍女長になるほどに剣術や魔術、しいては礼儀を重んじるようになるのだがその話は割愛しておこう。

 

 しかし、イスリュの両親の思いもかなわず。

 人間族との戦争が激化する中で、巨大陸の中央付近に位置するズルダート王宮付近でももちろん人間族との争いが起きる事となった。

 

 猛威を奮っているラプラスが前線加わると、前線は一気に下がり魔王ズダルビー・ズビズダーは敗走を余儀なくされる。

 しかし、魔界大帝キシリカ・キシリスの救援もあってラプラスの神級魔法の影響で死にかけていた魔王ズダルビー・ズビズダー達もなんとか一命を取り留める。

 

 命を助けてもらった魔王ズダルビー・ズビズダーは魔界大帝キシリカ・キシリスに求婚しそのまま結婚。

 

 それでも損害を受け城と兵の大半を失った魔王ズダルビー・ズビズダーはラプラスに復讐を誓い、側近で選りすぐりの吸血鬼を選び夜襲をかける事となるがあえなくラプラスにより殺されることとなる。

 

 イスリュは近衛侍女長として、いや大恩ある魔王様の為にも付いて行き死ぬのなら一緒に死にたかった。

 心労により意識を失っていなければ……魔王様とお供していれば……と悲し涙を濡らす事となる。

 

 残された魔王ズダルビー・ズビズダーの兵達はそのまま魔界大帝キシリカ・キシリスの配下となり、その際にイスリュは魔王ズダルビー・ズビズダーの近衛侍女長だった功績からキシリカ親衛隊隊長補佐に配属されることとなった。

 

 配属当初は自分が仕えていた魔王様を失った事から覇気というか、やる気を無くしたように依然の彼女のように形式ばった物言いではなく、やる気のない返事しかしなくなっていた。

 

 だが魔界大帝キシリカ・キシリスが魔王ズダルビー・ズビズダーとの子供を授かった事を知り魔王キシリカにどうか子供の面倒を観る役を私にくださいと懇願。

 

 魔王キシリカは子供が生まれるまでの数ヶ月間の勤務態度で決めるという事になるが、彼女の1日間の別人のような堅物のような勤務態度を見て笑いながら生まれてきたらお主に任せると笑いながら許可した。

 

 その後、不死身の魔王バーディーガーディーの混入により人間族をなんとか中央北部から追い出すことに成功し、キシリカ城に帰る間際に魔王キシリカが産気付き、巨大陸 東南東中央寄りに位置するチッタウルガル砦で出産することとなる。

 

 

 

 女の子が生まれた。

 

 そんな情報が入ってきたのはイスリュが人間族が中央北部の事後処理に追われていたときだった。

 

 

 唯一転移魔方陣を魔術へと昇華させた獣魔族の王、魔王トランジッション。

 彼はキシリカ、バーディーガーディーからの救援要請を聞きつけ各方面からのバックアップを行っていたが、人間族により蹂躙された北北東地方復興のために動いていたのだがいかんせん魔族の手が足りずキシリカに人員要請を行った。

 人員補給として補給されたのが元魔王ズダルビー・ズビズダーの配下の兵士達でその中にイスリュもキシリカ様の子供が生まれるまでは、と言うことで派遣されていた。

 

 

 それを聞きつけた魔王トランジッションは快くイスリュを転移魔術によってキシリカの元まで送り届けるが、そこでみた光景によってイスリュは戦慄した。

 

 バーディーガーディーがキシリカ様より生まれたであろう子供を空高く放り投げながら爆笑している姿。

 

「バァァァディィィガァァァディィィ、お嬢さまぁぁをハナセェェェェ」

 

 魔王ズダルビー・ズビズダーから譲り受けた魔道具、短刀「劈風刀(へきふうとう)」を抜き放ちながらバーディーガーディーに突撃しようとするが魔王トランジッションにより押さえつけられた。

 

「うぁあー、ぁうぁあ、あぁぁぁぁー」

 

 

 と、生まれた子供は止めてくれとでも言うかのように呻いたのちに白いネバネバした物を吐いて気絶した。

 

 

 それを見てイスリュはバーディーガーディーを陛下と呼ぶ事を止めた。

 

 

 

---

 

 

 

 

 お嬢様のお名前はミズリカ・リカナントと名づけられた。

 

 

 好奇心旺盛な子供だった。

 時々泣き声を上げる時はあるが対して手間がかからず、話しかけると額にシワを寄せながら必死に呻きながら何かを訴えかけるように……まるで私の言葉を理解しているように見つめてくるのだ。

 

 そんなミズリカお嬢様に私は単純に『すごい、さすがはズダルビー様の子ですね』と思った。

 

 それからはミズリカお嬢様が目を覚ますたびに、

「魔王としての有り方とは常に優雅で甘美でなくてはなりまん」

「ミズリカお嬢様の為にならわたくしは死んでもよいと思っておりますので、なんなりとお言い付けくださいまし」

「あぁ…大変可愛らしゅう御座います」

 と、そんな言葉をまだ言葉が話せないミズリカお嬢様に対して言い続けていた。

 

 当時は基本的にキシリカ様が一緒にいらっしゃる時は、私は廊下で待機しておりキシリカ様よりお呼びがかかるか、キシリカ様が一人でお出かけになる際にようやくミズリカお嬢様を愛で…お世話することができることになっていた。

 

 以前一度だけ。

 早朝にミズリカお嬢様が一人で部屋を出て軍事指令書庫へとヨチヨチして行かれた時はもだえ……黙ってお嬢様の後ろをご同行させてもらった時などはキシリカ様より頂いた予見眼が無ければミズリカお嬢様を……あぁぁ……あぁぁぁぁぁ……。

 

 その話は置いておきましょう。

 

 とにかくミズリカお嬢様は大変可愛らしく。

 聡明で、なにより!!!!

 可愛らしい!!!

 その為私はミズリカお嬢様がほしがりそうな物や、やってほしい事をお願いされるとなんでもしてしまうようになっていた。

 

 

 そんなある日のことですが、あの忌々しい事件を切っ掛けに私は常にミズリカお嬢様と一緒にいる権利を勝ち取り、ミズリカお嬢様と常に一緒にいられるようになって1年ほど経った頃に、ミズリカお嬢様が大変聡明な為、大変愛らしく言葉を話すようになっており、ご本が読みたいです、とわたくしめにお言葉を下さった為、私は急いで絵本、童話、魔術経典、剣術指南書、などなど、とにかくミズリカお嬢様の為に様々な本を用意させていただきました。

 

 そうするとミズリカお嬢様は可愛らしい困った顔で「イスねんね、もじをおしえてください」とわたくしめに仰られた為、全力で、そう全力で、教えさせてもらうことになるのですが、ミズリカお嬢様は3日後ぐらいには教えていた文字の一覧表なるものを自分で書き上げており、『すごい、さすがはミズリカお嬢様ですね』と思った。

 

 それから4ヶ月ほど経つころには魔人語に関しては完璧に読み書きできるようになった。

 さらにはお金の計算、歴史、今現在の戦争の状況など様々な事を覚えらて、さらには獣人族の言葉、人間族のゲスな屑同然の吐き気さえ催す言葉なんてものまで勉強に取り掛かり始めて、もちろん人間族の言葉に関しては覚える事をお止めした。

 

 お嬢様の口からあんなゲスで屑でどうしようもない糞みたいな言語をはかせるわけにはいけないと思っていたのですが、ミズリカお嬢様がどうしても。

 と、上目づかいでお願いするような顔で私を見上げてきた為、私の理性で止めることが出来ずに部隊の諜報員にミズリカお嬢様との謁見をすることを許し、人間族の汚らしい言語をミズリカお嬢様に仕方なく……。

 

 本当にどうしようもなく……覚えて頂く事となりました。

 

 それにしても本当にミズリカお嬢様は尋常じゃないほど聡明で、きっとミズリカお嬢様はいずれ魔王となる器だ。

 と、確信に近いものを感じ、よりいっそうミズリカお嬢様をめで……。

 めでる事になりました!!

 

 

 

 私はお嬢様に笑顔を向けられると昇天してしまいそうになるのですが、毎日こんな生活をしていると時々不安になってくるのです。

 

 

 

 北北東地方にいた魔族はほとんどが虐殺されており。

 

 もちろんそのなかに両親も。

 

 一緒に育った魔族の幼馴染も。

 

 私に剣術をしっかりと教えてくれた魔族の師匠も。

 

 宮廷で仲のよかった魔族のみんなも。

 

 故郷の町も。

 

 みんな居た。

 

 私にとって大事な魔族は人間族、いや……ラプラスによってすべて奪われた。

 

 

 また……戦争によって大事な家族や仲間を失う恐怖を。

 

 

 

 

 

 私は次こそは。

 

 次こそは大事なお嬢様を自らの手で守っていこう。

 次こそは。

 

 そう、心に誓いました。

 

 

 

 

 




|柱|∀`σ)σミズリカお嬢様って名前は何回でたでしょうか

小説を書くのは初めてなので文法間違いやこうしたほうがいいんじゃないって意見があったらおせーて下さい。
極力手直しします。

追伸:チッタウルガル砦ってとても綺麗な場所ですよね
   大陸うんぬんをだいぶ手直ししました。
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