有職転生 - 異世界に来たから謝罪する -   作:妥当な猫の手

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第三話「名乗り」

 俺の名前はミズリカ・リカナント。

 もうすぐ二歳になるプリティベイビーだ。

 

 なんの因果か俺が愛読していた小説『無職転生』の世界に転生してしまったようだ。

 地球での生活に嫌気が差していたって分けでもない。

 地球に戻りたいかと聞かれれば今の状況を考えるにYESと答えるだろう。

 

 そう、今の状況が非常にまずい。

 

 生まれたのがルーデウスがいる時代ならばまだ救いが合ったかもしれないが、原作から4200年ほども前の時代に転生してしまった事が原因である。

 いや、だからと言ってあの時代が安全かと言われればそれば違うと思うんだけどまぁそれは置いておいてだ。

 

 忍者襲撃事件以来子守りのイスリュが俺の世話を甲斐甲斐しくしてくれるようになり、イスリュの協力もあって一歳児にしてこの世界の状況について学び、この時代がいつなのかってのをいち早く理解した。

 

 そして今が4200年前の第二次人魔大戦時代であることが分かった。

 原作の知識でこの時代について語られていたことなんて物のわずかだったはず。

 

 覚えているのも、

・巨大陸が消滅した。

・キシリカが魔族を率いて魚人とか獣人と一緒に人間と戦った。

・キシリカは負けて死ぬ

 これだけである。

 

 しかも、現在は戦争が終結するであろう末期であり、龍神ラプラスの参入によって魚人達は戦線離脱している。

 

 

 つまりは地球で言う第二次世界大戦末期と同じような状況で大日本帝国側の代表の娘として、ほっぽりだされたと言ったほうが理解できるかもしれない。

 

 人を殺した報いだなってのが建前で、二度も死んでたまるかってのが本音である。

 

 平和な時代に生まれてはいたが戦争の凄惨さと言うものは多少なりとも理解しているつもりだ。

 なら死なない為にする事の第一歩として知識を身に付けた。

 勉強漬けの1年で自分の立ち位置ってのを最近ようやく理解できてきた。

 

 

 

---

 

 

 チッタウルガル砦。

 北と南の山に囲まれており山によって超える事ができない地形を利用し、人間族の侵入を妨害する為に作られた分厚い双璧。

 砦の中は大きく分けて4つの区画に分けられる。

 

 中央付近には魔族用の兵舎小屋、獣人用の兵舎小屋、医療施設。

 東双璧の隅にある指令室や会議室など書斎を取り纏めている屋敷。

 西双璧付近にある大食堂、兵の訓練をするための広場。

 さらに北側貯水湖、北側の山からは砦に向かって滝が形成されており砦の中に貯水湖ができている為、貯水湖を利用した畑や家畜小屋が作られており一つの街ほどには広くなっている。

 

 魔大陸に3つある砦のうちの1つ、もっとも軍備が整っている砦であり、魔族を率いているキシリカが仮拠点として待機している場所でもある。

 

 砦の見張り台からは周りを一望できる様になっており、南には森が広がり、北には超えることができそうもない山と荒れ果てた大地が広がっている。

 

 砦は土と石で構成されているのか古代の遺跡と言うような雰囲気をかもしだしてはいるが、高く積まれた石の壁は易々とは突破できないような作りとなっているのだろう。

 

 こんなに自然が溢れかえっている光景をマジマジとみたのはいつ以来だろうか。

 確か、日本に帰ってから田舎の両親に会いに行って以来かな。

 

 しかし、今見ている景色も大半は吹き飛んでしまうと考えるとすこし憂鬱になってくるな。

 

「ファーハハハハ!」

 

 見張り台に到着した瞬間、紫髪の露出度の高い女が、手すりの上に乗りあげてふんぞり返った。

 彼女の名前はキシリカ・キシリス。

 魔族を従える魔王であり、俺の母上でもある。

 

 原作では愉快な腹ペコキャラであると思っていた。

 実際に娘になった今でも愉快な腹ペコキャラと言う印象は変らなかった。

 変ったところと言えば幼女体系がプルンプルンした体系になったと言ったところだろうか。

 いや、この場合は戻ったと言ったほうが正しいのかな。

 

「さぁ!名を名乗れ!」

 

「……ミズリカ・リスナントです」

 

「ちっがぁぁぁう!」

 

 俺の名乗りを聞いて手すりの上でこれでもかと言うほどエビゾリになる。

 このやり取りは俺が言葉を話せるようになってから3度目である。

 

 一度目は恥ずかしかったので無言を貫いた。

 二度目は渋々恥ずかしがりながら言った。

 三度目になっても恥ずかしい物は恥ずかしい。

 

 一体この行動になんの意味があるのか今でも謎である。

 名乗りが重要視されていたのは確か日本の歴史ぐらいじゃなかったか?

 敵を目の前にして喋っていたら不意打ちを喰らいそうなものなんだが……。

 

「ミズリカお嬢様、これは魔族の王になる身としては覚えておかなくてはならない事で御座います」

 

 と、後ろから促された。

 振り返ると、そこには金髪のロングヘアーに絶世の美人といっても差し障りない耳の長い魔族が肩膝を付きながら平伏している。

 彼女の名前はイスリュ。

 忍者事件以来彼女はキシリカと一緒の時ですら付き従うようになり、俺の事を護衛も含めて世話してくれている。

 

 以前の俺ならば美人のお姉さんに常に監視されていると思うとそれだけで興奮を覚えたかもしれない。

 まぁこの1年でそちら方面の羞恥心は捨て去ってしまった。

 だって半年前まで毎日おっぱい吸わせてもらってれば……いや、そもそも興奮する為の原動力がないのだから仕方ないだろう。

 ちなみにイスリュの胸はママンと違って小さい、まぁそれ以外は非の打ちどころのない美貌と言えよう。

 

「イス姉……わたし魔王になるつもりないよ?」

 

 上目遣いでイスリュを見上げる。

 これが彼女に一番効果的であり、味方に引き込むならばこれ以上の技はない。

 

 かかかっ……負けが見えている戦争の代表になんてなるつもりはねーよ。

 最善策をうたせてもらうぜ。

 

 てか、魔王って継承システムなのかなぁ?

 だとしたらならないとだめなんだろか。

 

 

「うぐっ……いえ……ですが……」

 

 イスリュはうろたえながらもキシリカと俺を交互に見ている

 フフン、今回も有耶無耶にできるかな。

 子供がよっぽど好きなんだとは思うが彼女はやってほしい事やお願い事をするとすぐさま実行に移してくれる。

 

 ふとキシリカと目が合うと不思議そうな顔をしながらキシリカが追い討ちをかけた。

 

「お?いや……魔王にはならんでもよいぞ?何になるかはお主が決めるとよい」

「え?」

「そもそも魔王なんてゆう肩書きは後からついてくるもんじゃ。

 なぁに、細かい事は気にするでない!

 名乗れたほうがかっこいいからじゃ!」

 

 そんなキシリカの言葉に呆気にとられた。

 どういうことですかね?

 そんな視線をイスリュに向けると、そんな馬鹿な!

 と、見捨てられた子犬のような目をキシリカに向けており、俺と目が合うと顔を背けられた。

 

 あぁ……なるほど……。

 

 言葉が喋れる様になってからはよくイスリュに「お嬢様は将来魔王になるのですから」などと言われてきた為、魔王の後継者ってのは受け継がれるものなのかと思ったがそうではないらしい。

 

 よくは分からんが魔王になる為の条件ってのは民に認められて始めて成れると言ったところだろう。

 まぁ他の魔王さんのところが全部そうだってわけじゃないんだろうけどな。

 

 それにしてもイスリュは俺を過大視しすぎているところがある。

 まぁ一歳になったばかりの子供が言葉を喋り、しっかりと二足歩行しだし、歴史の事を学び、世界情勢の事や様々な語学を学びだしてるんだから仕方ないのかもしれないな。

 そうした点で気味悪がられなかっただけよかったよな。

 

「よし!でわ妾からゆくぞ!妾はキシリカ・キシリス!人呼んで、魔・界・大・帝!」

 

 手すりの上で屈伸をした後に気合を入れるように掛け声からの勢いで、腰に手を当てて、股間を突き出すように溢れんばかりの胸を張った。

 

 次はおぬしの番じゃぞ?

 とでも言うかのようにドヤ顔をしながら目上から見下ろしてくる。

 

 まだ一歳の子供になにを教えとるんだこいつは……。

 

 

 かかっ……。

 でもまぁ面白い。

 

 最近は自分の境遇を知って憂鬱になっている事が多かった。

 こうして馬鹿みたいな事を目の前でされているとそんな境遇がどうでもよくなってくる。

 それに毎回この練習をさせられたんじゃ他の事に割く時間がもったいない。

 

 

 魔王にならなくてもいいならここは一つ、キシリカの子供として乗っかってやるのも悪くないな。

 そう思い、足を半歩広げた。

 

「わたしはミズリカ・リカナント!人呼んで、魔・界・神・童!」

 

 右手をピースで横から目にあてがい、左手は腰、全体のポーズとしてはキシリカを意識しながらビシッときめてみた。

 

 数秒間静寂が流れた。

 俺にとっては体感で一分立った。

 

 ゆっくりとしゃがみこんで顔を膝に埋めた。

 

 

 ああああああ、恥ずかしい。

 だめだ、自分で神童って言うのはさすがに恥ずかしい。

 なにより語呂が悪い。

 

 

「お?おおお!さすが妾の娘じゃ!ファーハハハハ!」

 

 ママンが満足なようでなによりです。

 イスリュは俺の頭をぽふぽふと撫でながら気味の悪い笑顔をしている。

 たまにするその笑顔は気持ち悪いのだが、なにを考えているのだろうか?

 

 

 でも、そうだな……。

 こうして頭を撫でられる事なんて前世で無かったし、いや? 

 覚えてないだけかも知れないがな。

 まぁ悪くないな……こういうのも。

 

「ファーハハハハ!」

「……! カカッ……カァーカカカカ!」

 

 キシリカの笑い声に遅れて笑い声を上げた。

 かっかっかっ……。

 前世ではこんな風に笑った事なんてなかった。

 これも遺伝と言う奴なのだろうか?

 まぁそんな事はどうだっていい。

 笑う角には福来たるって言うことわざがあるぐらいだしな。

 

 その後親子そろって高笑いをあげながら高台を降りた。

 

 

 

 高台を降りるとキシリカ親衛隊の民族衣装を軍服にしたような女性が二人と獣人族の男性が一人。

 

 青髪ポニーテールの小さい女の子は高台の土台の柱にもたれかかりながら頬を膨らませている。

 片や緑髪を腰にまで伸ばし、背が高くスラリとした槍を持った美しいお姉さん。

 特徴的に前者はミグルド族、後者は額に光るものがある事からもスペルド族だろう。

 

 この時代だとスペルド族は嫌われてないようだな。

 嫌われるのって確かラプラス戦役だったか?

 

 あっ、あとは本来見張り台で警備していたうさ耳獣人族の若いお兄さん。

 人間に白いウサ耳を取って付けたような印象で砦で見かける他の獣人族に比べても、コスプレをしているようにしか見えない。

 茶色のサラサラヘアーと白色のウサ耳、さらには顔もイケメンときたもんで腐の付く人に見せればオモチャにされてしまうのだろうな。

 

 獣人族のお兄さんは欠伸一つした後にキシリカに軽く会釈をし、高台に登って行った。

 親衛隊の二人はキシリカに雑務をするように注意しに来ていた。

 

「いやじゃぁ~、きょうはミズリカと遊ぶんじゃ~」

 

 そんな声と共に緑髪のお姉さんに引きづられていった。

 そういえばあの親衛隊の二人もキシリカが連行される際によく見かけるのだが、あまり話した事がないな。

 今度おしゃべりしてみようかしら?

 二人とも美人だしデュフフ……。

 

 まるでルーデウスのような気持ち悪い笑みを意識して作って見たものの虚しさが下半身を駆け巡った。

 

 はぁ……。

 息子がいれば異種族ハーレムを築けそうな立場なのになぁ。

 

 

 にしても、キシリカと遊ぶのは結構楽しかったりするから、もう少し一緒に居たかったな。

 キシリカは結構忙しいらしく寝ている時以外は色々とバタバタしているようだ。

 その合間にも俺と遊んでくれたりするのだからいい母親と言えるかも知れない。

 

 特に魔眼ごっことかは楽しい。

 俺も使えるようになればもっと楽しいのだろうがなぁ。

 

「でわお部屋に戻りましょうか」

「あいさー」

 

 イスリュは音も無く背後に控えていた。

 最初の頃は驚いていたが、まぁいつもの事なので慣れてしまった。

 

 

---

 

 

 

 部屋に戻る途中、待機室に誰か座っていた。

 獣人族って事は間違いなく分かるが初めてみる人だ。

 銀色の毛並みに巨大な体で服の上からでももっふもふしてやがる事が伺える。

 

 普通の獣人族の者とは比べものにならないほどもっふもふやで。

 まさに二足歩行する犬と言った所だろうか?

 まぁ、巨大とは言ってもバーディ陛下よりは少し小さいぐらいではある。

 

 

「あぁ、戻ったか」

「あら? どうかなさいましたか?」

「キシリカはどうした」

「えぇ、キシリカ様ならお嬢様とお遊びになられたのち。スペルディアとミグルディアに連れて行かれましたよ」

「そうか」

 

 あー、さっきのミグルド族とスペルド族の二人の事か。

 わんわんは座っていた椅子から立ち上がると部屋を出て行こうと出口まで来た。

 ん?なぜ俺の前で立ち止まったんだ?

 

 あっそうか……。

 邪魔ですね。

 

 ささっと廊下に出て道を譲った。

 しかし、わんわんは廊下の外に出ると再び俺の前に立ちはだかった。

 

「わっわわわ!」

 

 ガバッと頭を片手で掴まれたかと思うとグニグニと左右に頭を揺らされた。

 

 一瞬頭でも捻り潰されるのかと思って焦ったが、ぐりぐりと2,3回揺らすと手を離して執務室のある部屋の方向に歩いて行った。

 

「えっ? えっ? なっなに!? おれなんか悪い事した?」

「お嬢様、おれでは無く、わたしですよ?」

「あっ、はい」

 

 つい焦って素が出てしまった。

 ……ってそうじゃなくって。

 

「今の人なに!?」

「ドルディア様ですか? お嬢様はお会いになられた事は御座いませんでしたか。多少無口ではありますが優しいお方ですよ」

「え? 優しい? 頭取られそうになったんだけど」

「痛かったのですか?」

「う、うん脳震盪おこすかと思ったよ」

「のう……?」

 

 はて? という顔をした後に「のちほど注意しておきますね」と言われた。

 

「ですが、さきほどのアレは頭を撫でられているようでしたよ?」

 

 えぇ……頭を掴んで左右に揺らすのが撫でる分類に入るとは思わなかったよ。

 イスリュ……急激に頭を揺らされて首が少し痛くなるほどだぞ?

 

 やはりイスリュは天然さん。

 天然で美人、ふむ悪くないな。

 

 そんな事を考えつつ首と肩の間をもみほぐしながらいつも寝ている寝室に戻った。

 

 

 

 

 部屋に入ってまず目に飛び込んでくるのは中央にどっしりと構えているダブルベット。

 調度品なんかはしっかりと整理されているが、それでも王族の居る部屋ってイメージではない。

 安いビジネスホテルの一室を大きくしたと言ったところだろうか?

 

 まぁ元々この砦の責任者が使っていた部屋を改装して使用しているらしいのでこんなものなのかも知れないな。

 

 寝室に入ると一直線に部屋の隅にある空間に向かった。

 椅子とカーテンで作った俺だけの空間である。

 昔、田舎に住んでいたときに秘密基地なんかを作っていたがそれに近い感覚で作った。

 

 最初のうちはイスリュにものの数秒で取り払われていたが、上目使いでお願いをしたら渋々了承してくれた。

 あっ、ちなみにキシリカは一緒になって作ってくれた。

 

「ふぅ……」

 

 カーテンを潜り毛布が敷いてある上に寝そべった。

 現代に居た頃のトラックの中の空間、又はワンルーム3畳の自宅を思い出す。

 

 限られた空間ってのはどんな時だって人間を落ち着かせてくれると個人的には思っている。

 閉所恐怖症なんて人もいるらしいが、この限られた空間の素晴らしさが分からないとは可愛そうな人種である。

 まぁ閉所恐怖症ってのは、大抵パニック障害に起因するらしいがな。

 

 もぞりと片手を動かして小脇に積まれている本を二冊取り出す。

・人族語の魔術教本。

・魔人語の魔術教本。

 

 以前文学や歴史を学ぶために貴重な本をイスリュに持ってきてもらった時に、一緒に持ってきてくれていたものだ。

 

 内容が人間族の言葉で書かれている物と魔人語で書いている物とがあり、一先ず文学を覚え終わってから取りかかろうと思い4ヶ月も放置していた。

 

 前世でも順序立てて覚えていく性格な為、一つの事を終わらせてから取り掛かるつもりだった。

 まぁ魔術ってのをいち早くやりたい気持ちはあったんだが、原作で確かルーデウスが気絶しまくって毎日を無駄にしてたからな。

 そうした事も考慮して、ある程度知識を付けてから取りかかりたかった。

 

 余談だがイスリュは人間族の言葉については中々教えてくれなかった。

 第二次人魔大戦中とあって人間族の事を憎んでいるか、もしくはそうした教育が施されているのかもしれない。

 実際、人間族の言葉を覚える為に持ってきてくれたのが人間族が行った残虐な行為について記された書籍だったしな。

 

 うつ伏せになりながらページを開いた。

 両方の魔術教本をざっと読み勧めていくと、基本どちらも変らないが幾つかの相違点に気がついた。

 

 

 

1.まず、魔術は大きく分けると3種類となる。

 でも魔人族側には、詳しくは書かれていないが、多様性があるためこれのほかにも様々な系統があるらしい。

 原作でもたしか老デウスが多様性がなんたらって言ってたしな。

 

・攻撃魔術:相手を攻撃する

・治癒魔術:相手を癒す

・召喚魔術:何かを呼び出す

 

 魔人族側で気になった魔術は転移魔術と死霊魔術。

 人間族側で気になった魔術は結界魔術と神撃魔術。

 

 

 転移魔術ってのは魔王トランジッションが開発したものであり、その危険性から誰にも伝授していない。

 確か原作の時代だと転移魔術なんてなかったはずだ。

 いや、そもそも転移魔方陣すら情報規制があって、ほとんどなにもわからないんだったか?

 

 死霊魔術と神撃魔術。

 これに関しては詳しく書かれていない為いまいち理解できない。

 まぁなんとなく書いてある事をまとめると、

 

・『死霊魔術』

 吸血鬼が生み出した魔術で現在の戦争においてもっとも活用されている魔術である。

 

・『神撃魔術』

 死霊魔術に対抗するために作られた魔術である。

 

 

 神撃魔術は原作知識だと確かミリスが生み出したんだったか?

 ちなみに結界魔術たしかミリスが作ったものだったかな。

 こっちも詳しくは載ってないがバリアみたいなもんだろう。

 

 それにしても死霊魔術ねぇ。

 俺も魔族としては覚えたほうがいいのだろうか?

 

 

2.魔術を使うには、魔力が必要であるらしい。

 

 普通は魔族なら生まれたときから自分の体内の魔力は感知できるらしい。

 俺感知できてないんですけど。

 

3.魔術の発動方法には二つの方法がある。

 

・詠唱

・魔法陣

 

 ここに関してはかなり驚いた。

 

 ルーデウスが居た時代、つまりは今から4200年後ぐらいには詠唱が主流であった。

 しかし、現在では詠唱にかかる時間が1分~2分もかかるらしく、魔法陣を事前にスクロールとかで準備しておいて戦うのが主流らしい。

 

 まぁつまる所、無詠唱さえ覚えてしまえば俺でも結構強くなるのかもしれないな。

 

 

4.個人の魔力は生まれた時からほぼ決まっている。

 

 ルーデウスが子供の時から魔術を使うことによって増えていた。

 なので4に関しては頭から除外しておこう。

 

 

 

 正直ナナホシなんかは魔力とか一切使えなかったみたいだし、かなり不安が残っているが俺のパターンは転生。

 

 そう、つまりはルーデウスと一緒のパターンって奴だ。

 まぁ、ルーデウスと同じように魔力が高くなるのか?

 あそこまで強くなることができるのか?

 って気持ちは強いがとりあえずは今現在俺が置かれている状況でそんな甘っちょろい事は言ってられないだろう。

 

 

---

 

 

「お嬢様、紅茶入れましたがお飲みになられませんか?」

「飲む!」

 

 ふと熱中して魔術の本を読んでいるとカーテンの外から声をかけられ、いつもの様に反射的に返事を返した。

 イスリュの入れてくれる紅茶は絶品なのである。

 前世では飲み物には特にこだわりは無かった。

 あぁ、でもコーヒーとかは毎日飲んでたな。

 でもそんなに好きだったわけではないし眠気覚ましの為に飲んでたものだしなぁ。

 

 そんな事を考えながらもプライベート空間を出て、ベットの脇の机に向かう。

 

 椅子に座るとすでに紅茶は容易されており、付け合わせにフランスパンのように固いパンも用意されていた。

 朝と夜は食堂でご飯を食べるのだが、昼を少し過ぎた辺りでこうして紅茶となにかしらの食べ物を用意してくれる。

 

 そういえば俺の体で紅茶って大丈夫なんだろうか?

 コーヒーもそうだが紅茶にもカフェインって含まれてるよな?

 いや、でももうすぐ二歳だし問題ないな。

 ……母乳終わってからすぐ飲んでるわ。

 まぁ問題ないか、うまいし。

 

「モチャモチャ……ズビビー」

「お嬢様、いつも言っておりますが、音を出しながら食べてはいけませんよ」

「ママもこんな感じだもん」

「今度お二人が揃ったときに注意しませんとね……」

「ふぇー」

 

 何度目になるか分からない会話。

 日本で食事するときは常にぼっちだったからよく覚えていないが、こちらに来てからは食べ方についてよく注意されようになった。

 イスリュが毎回注意してくるもののキシリカ自体が食べ方があまり行儀正しいとは言えない為、強く注意できないのかもなぁ。

 

「イヒュフフ、フフヒュフフフフフーふッフフ?」

「はぁ……?」

 

 自分で発音しておいてなんだがさすがにないな。

 モグモグと急ぎ早に噛んだ後にゴクリと飲み込んだ。

 

「ふぅ……イスねぇ? ため息をつくと幸せが逃げていくよ?」

「え? そっそうなんですか?」

「そーなんですよぉ!カァーカカカカ!」

 

 いったいどこからそんな情報を仕入れて来るのやらと頭の上にハテナを浮かべたような顔をしている。

 現世での言い回しをたまに使っていると不思議がられる。

 一様この世界にもそうした迷信なんかもあるらしく、イスリュが人間についての逸話など言ってた。

 

 たしか穴のなかに引きづり込まれて悪い子がいい子になるとかなんとか?

 詳しくは思い出せない。

 

 まぁ雑学的なものを覚えるよりも今は覚える事が多いいから聞いても忘れてしまうのだろう。

 

「イスねぇの小さい時はどーだったの?」

「はい?」

「お行儀よかったの?」

 

 イスリュは手をアゴにやり、昔を思い出すように目を天井に向けた。

 

「そう……ですね。今のお嬢様よりはよかったと思っております」

「ぶぅー」

 

 お子様なら誰しも食べ散らかすのは当たり前だと思うんだけどなぁ。

 

「あっ……そういえばイスねぇは魔術いつ覚えたの?」

「わたくしですか? ……確か7歳頃から両親に教えて貰いましたわ」

「え!?」

 

 あれ? この時代だからか?

 確か魔術って気軽に扱えるものじゃないはずだ。

 

「えっと……イスねぇって何歳?」

「はい? 今年で22ですよ?」

「んぬぇ!?」

 

 知らなかった……。

 魔族ってのは基本的に長命で何百歳単位と思っていたものだから、てっきりこの美人なお姉さんも俺よりも年上の人物かと思っていた。

 俺より年下じゃねぇか……。

 

 今の俺はもうすぐ2ちゃい。

 でも精神的には29歳のもうすぐ三十路突入のおっさんになりかけている。

 

 ん?まてよ?

 29歳と22歳の夫婦。

 そんなに珍しくもないな。

 

 ……ありだな。

 

 でもな、ありだろうと『無いものは無い』だからそう言った関係になる事は間違いなくないだろう。

 

 『無いものは無い』

 だからと言って俺が男を好きになる事はありえない。

 俺の精神は男であってホモセクシュアルでは断じてない。

 どちらかと言えば現状をかんがみるにレズビアンに該当するんだぞ?

 つまりはこの体でイスリュをどうやって落とし……いや、いまはそのことについて考えるのはよそう。

 

 そう自分自身にそう言い聞かせながら紅茶をすする。

 

 まずい、もう一杯!

 と、青汁CMのセリフを言いたいところだが一日一杯が毎日の日課であり、それ以上飲むのはマナー違反のような気がする。

 我慢しておく事にしよう。

 

 

 

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