アイドルマスターハードライン   作:MP5

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 今回のハードライン。北斗と剣胴の死の直後に掛かってきた黒井からの電話。ニックは彼に怒りを感じながらも捜査を続けることにした。自分の正義を信じて


10話  受け継ぐ意思

 

 剣胴が射殺されてから少し経過する。ブーマーが彼のPCに残っていた遺書を確認しその場にいた石川社長とニックに読み上げる。

 ニック、この遺書を読んでいる頃にはもう私は死んでいるハズだ。私は君に嘘をついていたことを詫びたい。君が手にしたドーズの遺産、あれは実を言うと私が個人で管理していたところを黒井の奴が嗅ぎ付け孫を人質にされ仕方なく手渡してしまったのだ。そう、押収されてなんかいない、奴が手に入れたのだ非合法にな。彼はしかも孫を解放どころか専属契約までさせて私のもとに帰してくれなかった、私はあの子のためにホットショットの情報も渡すがやはり変わらなかった・・・。そこで私は決心したのだ、知り合いの石川君、高木君と結託し君達を日本に連れて行き彼の崩壊の手掛かりにしようと・・・。それを有した時間こそが1年だった。こんな私だが君達に頼みがある。私の孫、玲音を助け出してほしい、あの子を救い出せる人間は君達以外にいない、この老体の最後の頼みだ、頼む。

「なんてことだ・・・」

「剣胴さんにこんな事情があるなんて」

「俺もびっくりだ、あんな奴に取られた玲音が心配でたまらないぜ」

「とにかくタイソンとカイに連絡しておこう、大御所には社長から頼む」

「わかったわ。ニック気をつけなさい、装備も万全にしておく方がいいわ」

 タクニカルボックスから拡張マガジン・ヘビーバレル・スタビーグリップをカスタムしたM416、G17、置き土産であろうニックの写真が貼ってあるICPOのバッチ、スモークグレネード、救急キットと、いつになく重装備にしていた。

「これから軽井沢で撮影がある。そこだけ絵理が妨害を受けているって言うからな」

「1年前の妨害の件は知ってるかしら?」

「あぁ、五十嵐幸夫が犯人で最後は失脚した件か」

「今回は逆パターンよ。玲音もあの会場にいるみたいだから彼女とコンタクト取れたらとって帰ってきなさい」

「黒井お得意の妨害か・・・カイも呼んでおくか」

 

 

 

 軽井沢までの車の中、ニックをはじめ、絵理と玲子、愛、そしてカイが乗り合わせている。剣胴が殺されたため玲音に人質としての価値が無いため命のタイムリミットがわずかしかない。そんなこととはいざ知らず、愛はカイと楽しそうに会話していた。

「トレーナーさん、私もママみたいになれますか?」

「どうしたの愛ちゃん、舞みたいになれるかって?あなたにはあなたの良さがあるの、だからそれを大事にした方がいいわ」

「それって子供っぽいってことですか!?」

「違うわ。私が愛ちゃんみたいにキュートな恰好したらドン引きでしょ?ありのままの自分を受け入れるのも良い女の基本よ」

「ええっと、よくわかりませんがかんばります!」

(わかってるじゃない、自覚がないだけであとは問題ないわ)

 一方でニックと玲子は次の仕事の話をしていた。こちらは真剣な顔をしている。

「今回は軽井沢で食レポだろ、何故玲音がいるんだ?」

「会社の了承を取らず勝手に出るみたいね。昨日うちの事務所に電話してきたみたいなのよ」

「(おそらく祖父の件もあるな)そうか、他の出演者は?」

「桜井夢子よ。涼の彼女みたいな子ね」

「(昨日ぶりだが立ち直ったのだろうか)一ついいか?」

「何?」

「どうして俺が警官だったって知ってたんだ?前職の関係としか言ってないが」

 小声でニックに事情を話した。 

「実は・・・プールの一件の後、あなたが帰ってすぐ、箱が気になって開けたところを社長に見つかって聞いたの、彼は警官で意味深の捜査してるって」

「そうか、じゃあ釣竿ケースに入ってるものはわかるな」

 小さくうなずくと心配そうに見つめてきた。

「あなたは絵理や愛を守ってくれてる。それには感謝してるわ、でも銃がなくてもいいと思うの」

「そうだな、確かにそうだ。だが今は事情が違うんだ」

「どう違うのよほとんど一緒じゃない!?」

「絵理と愛が狙われてる。ドラマの撮影現場の件、忘れたか?」

 グゥの文字も言えない。あの日の惨事を見た彼女の脳裏に焼き付いているためだ。

「相手は殺人鬼だ。銃で撃ったくらいじゃ裁き足りんさ」

 

 

 

 夜中に軽井沢に着き、予約していたホテルに入ると、武田蒼一を看病していた少女、桜井夢子がロビーにいた。昨日とうって変わって元気そうな様子にニックは内心胸をなで下ろす。

「あっ夢子さんこんばんわ!」

 最初に挨拶したのは愛だった。

「愛じゃない、元気だった・・・って野暮よね」

「夢子さん、復帰おめでとう?」

 絵理もさりげなく復帰を祝う。

「ありがとう絵理、もう大丈夫だから」

「それはそれとして、玲子、愛と絵理を任せた。彼女と話したいことがある」

 玲子は二人を部屋に連れて行き、ロビーにニックとカイ、夢子だけが残った。

「もう大丈夫なのか、蒼一の具合も気になるが君の方は?」

「あの後、舞さんと律子さんが来てくれて激励を受けました。今のままじゃ武田さんが目覚めてもショックを受けるだけだって」

「そうか。まだ目覚めてはいないのか」

「ええ・・・実を言うと、何故彼が撃たれてか知らないんです。ニックさん、知ってますか?」

「まだ調査中だ。あと、君も狙われる危険もあるから怪しいものがあったり不審者がいたら俺かカイに言ってくれ」

「カイ?もしかしてあなたのこと?」

「はじめまして、カイ・ミン・ダオよ、よろしくね」

「はっはじめまして・・・(うわぁかっこいい・・・)」

 夢子の目標である三浦あずさと大きくタイプの異なる女性を前に緊張する。

「ニック、彼女大丈夫なの?私相手にガチガチだけど・・・」

「撮影になればそんな顔はしないハズだけどな」

 

 

 

 

 撮影当日の朝、軽井沢にある大御所の別荘にてロケが開始された。今回は彼の趣味である燻製料理と山のめぐみをふんだんに使った創作料理に舌鼓するというものだ。しかし、肝心の玲音がいない。ドタキャンする人間でないことは誰もが知っており、ニックも熟知していた。

「静かね」

「あぁ。俺もああやって母さんと楽しみたかったな」

「そう・・・。ん、あれは何かしら?」

 カイが指差す方向を見てみると、遠方で全速力で逃走する一台の赤いスポーツカーと、それを追跡する数台の黒のセダンがいた。途端、ブーマーから通信が入る。

「二人とも聞いてくれ、町の監視カメラをハッキングしてわかったんだが、玲音らしい女の子が運転するスポーツカーと数台のセダンがカーチェイスしてる。これは俺の勘だけど彼女は何らかの証拠と一緒に逃げ出したんじゃないのか!?」

「かもしれないな。行くぞカイ」

 玲子に彼女達のことを託すと、大御所宅にあったクーペに乗り込み玲音救出に向かった。運転をカイに任せると、ニックは助手席から乗り出しM416を構えた。

「思い通りにさせない・・・」

 セダンに向かって発砲し、牽制しながら彼女の逃亡を促す。敵もニックが武装していることを知ると、FAMASで応戦してきた。精度が悪いのか造りが悪いのか、全く当たる気配がしないかわりに近隣住人に負傷者が出ないか心配になった。

「ニック、射手を狙って。このままじゃ危ないわ」

「わかってる!」

 的確な射撃で全ての射手を撃ち抜き被害を最小限に抑えると、諦めたのか敵は撤退を始めた。それを確認し大御所邸に戻ると、疲れた表情をしたオレンジのウェーブの掛かった長髪の少女がベッドで眠っていた。

「怖かっただろうな、いつ殺されてもおかしくない状況だった」

「さっきのことは映画の撮影ってことにしておく。ニック、今日のところは休みたまえ」

「あぁそうする」

 要人確保に成功したニック達は大御所に玲音を預けると、自分の担当するアイドル達の元に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、玲音連れ戻しを失敗した某プロダクション社長は机を叩きながら悔しそうに地団駄を踏んでいたらしい。

 




ここでアンケートを取らせていただきます。タイソンとカイ、ブーマーに使ってほしい武器装備はありますか? ありましたら、個人宛にカスタムも書いてください。できるだけ採用いたします。
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