アイドルマスターハードライン   作:MP5

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今回のハードライン。ついにニック達は961プロの前に立つ。ドーズが残した負の遺産を消し去るために


14話  決着

 襲撃事件の生き残り、武田蒼一が奇跡的に目覚めたと聞き、病院を訪れたニックに当時の話をしてくれた。

「あなたがあの子の言っていた刑事さんですね?」

「正式には刑事じゃないがな。それより話せそうか?」

「大丈夫、僕には話す責任があるからね・・・あれはオールド・ホイッスルの収録前に遡る」

 

 

 

「本番5秒前、4、3、2、1」

 撮影が始まる直前だった。フェイスマスクをし、銃を武装した男達が乗り込んで乱射し始めたのだ。老若男女問わず悲鳴が響き渡り、一瞬で穴だらけの人形が転がる地獄絵図と化した。蒼一は被弾したものの、辛うじて意識があった。テロリストに気づかれないよう死体に紛れ死んだふりをし、何者か把握していたその時だった。聞き覚えのある声が、テロリストの中にあった。

「武田蒼一は死んだな。私がいない隙にPCから行方不明アイドルとホットショットの情報を盗み出すからこうなるのだ、うぃ、そうだろう?」

 間違いない、黒井崇男だ。あの腹が立つ喋り方、独特の声質、彼が好んで使う香水の香り、彼は犯人が黒井と断定し、薄れゆく意識の中で動向を把握しようとする。

「撤退する、勝利の美酒を味わおう」

 テロリスト達が撤退していくと同時に彼は意識を失った。闇の中で夢子が彼を呼びかける声が聞こえ、答えようとしたがしばらく動けなかった。

「なるほど。涼に渡したUSBの中身ってのが、行方不明アイドルとホットショットの情報だったと」

「知り合いのプログラマーに頼んで大量にコピーしといた。涼君に渡したのはそのコピーの一つ、データはまだまだあるよ」

「勇敢だが、手段は選ぶべきだったな。それで、データは?」

「僕の使ってるギターの中にUSBがある、警察の方に取りに行ってもらうよ」

「それがいい。あとで俺には最後の仕事があるからな」

「仕事?もう彼を検挙できるまでの証拠があるのかい?」

「ああ、共犯者ともども検挙できる程のな。俺は奴らを許すわけにはいかん」

 ニックは病棟を後にし、その後ろ姿を蒼一は静かに見送った。

 

 

 

 突入決行日の朝。地元警察とICPOの連合が961プロ周辺を封鎖し、ネズミ一匹残らず出られないようにした。陣営にニック、ブーマー、カイ、タイソン、そして協力者の日高舞がいた。もちろん日高戦車で乗り付けて。

「みんな、奴も本気で戦争おっ始める気だ。装備もUMPにHCAR、スパスにL85A2と殺す気満々だけど大丈夫なの?」

「ブーマー。舞以外のみんなが殺傷許可出てんだ、手加減なんてしない方がいい。ハッカーのサポート、期待してるぜ?」

「任せとけって、大船に乗ったつもりでな」

「そろそろ時間だ、行くぞ!」

 作戦はこうだ、最初に日高戦車で敵防衛線を突破しビルに入り内部の敵を鎮圧、冬馬が昔偶然見つけた5階にあるVIP用隠しエレベーターに乗り込み黒井のいるフロアに移動する。おそらくヘリで逃げるであろうから大御所が操縦するブラックホークで先回りし追い込むという作戦だ。

「にゃははははは!!」

 トップスピードで961プロの玄関口を正面突破し、後からニック達が走る。銃弾を戦車に受けてもらいながらエレベーターを目指す。もちろんフロアを上がる度に敵の攻撃も激化し、なかなか進めない。それでもあきらめず進み続け、戦火を潜り抜け、ついに5階にたどり着いた。

「あと少しだ、さっさと突破するぞ!」

「ああ。あのクソッタレに逮捕状突きつけてやる」

 5階をクリアし、例のエレベーターに乗り込んだ。自分達の装備を確認しニックは心の中を整理する。

(ドーズにハメられたことから始まって、今や日本が戦場と化した。これは俺の戦いでもある、黒井を捕まえて決着をつける)

 エレベーターの扉が開き、そこで待っていたのは赤いスーツの恰幅の良い中年、東豪寺だった。手にはF2000が握られている。

「奴なら屋上に向かったよ、臆病な奴だ。自分の起こした事件のツケを俺に押し付けただけでなく、ドーズの遺産を独り占めするつもりだ、俺に構わずさっさと追いかける方が賢明だと思うぞ?」

「そうかい。生憎だが制空権は俺達のものだ、屋上に行ってもお迎えは来ない」

「ククク・・・」

「何がおかしい」

「俺は娘を犠牲にしてまでビジネスしてきたつもりだった。だが現実はどうだ、赤羽根や尾崎、果ては貴様らのせいで俺の評判はガタ落ちどころかどん底だ!俺もこの事件の被害者なんだ!」

 ニックは東豪寺の銃を撃ち落とすと、カイが突撃しダウンを奪い、馬乗りになって拳を振り下ろす。

「アンタみたいなゲス野郎が責任転嫁するんじゃない!とっととくたばれクソ野郎!」

 数十発殴りすっきりしたのか、彼に手錠をかけ戻ってきた。

「行きましょ、奴がまだいるわ」

 

 

 

 屋上に向かうと、黒のスーツの初老の男が大御所を人質に待っていた。手にはAKMが握られており銃口を頭に向けていた。ニック達も自然に銃を構える。

「やっと会えたな、黒井」

「私も会いたかったよニック・メンドーサ。ドーズが見込んだだけの実力はあるようだな」

「銃を捨てろ、もうお前の負けだ」

「いいや負けてない、切り札が残っている」

「ニック、俺に構わず奴を撃て、早く」

「動くな!動いたら殺すぞ!」

 ニックは決断を迫られていた。引き金を引いて奴を殺すか、おとなしく銃を捨てるか。しかし、彼は第3の選択を取った。

「なるほどな。なんでドーズがお前に遺産を残さないかわかった」

「なんだと!?」

「腐ってるんだ、考え方が。ドーズはマイアミのためにプリファード・アウトカムズを設立したが、お前は自分の欲望のために961プロを造った。もっとも、どちらも冷血でクソみたいな根性だがな」

「なにいいいい!言わせておけば若造のくせに知った口を叩くな!」

「黙れクソ野郎!夢や希望を胸に生きた少年少女をヤク漬けにして殺しといていい気になるな!」

「おのれええええ!まずは貴様から殺してやる!」

 銃口がニックに向いた瞬間、タイソンが黒井の手を撃ち抜き怯んだ隙に間合いを詰め、鮮やかに組み伏せた。

「黒井崇男、貴様を逮捕する!」

 手錠をかけると、今までの威勢が無かったかのように力尽き、おとなしくなった。それを確認しヘリに乗り込むと、銃を肩にかける。

「終わったな。もう思い残すことはない、遺産もいらん。この後はどうするつもりだ?」

「私はダンストレーナーとして日本に残る。鍛えがいある子達ばっかりだから」

「俺も765プロに残る。律子だけじゃ不安しかないからな」

「そうか。俺は考えてない」

「何もすぐに決めなくてもいいぜ?アメリカに戻るにしろ、日本に残るにしろ、自由なんだぞ?」

「ニック。タイソンの言うとおりよ、ここからはあなたが決めるべきよ」

「だな、ゆっくり考えさせてもらうよ」

 この作戦により黒井崇男と東豪寺は検挙され、裁判の判決は死刑となり、意外にも控訴せず素直に受け入れたという。これとは別にホットショット製造工場及び武器工場、息のかかった店舗は全て摘発されアメリカのプリファード・アウトカムズも倒産する。これによりドーズの残した負の遺産は全て消えた。余談だが後日、五十嵐幸夫は東豪寺財閥への家宅捜索にて発見され、終身刑となった。

 

 

 

 

 

 作戦から数日後、ニックは876プロに出勤する。

「おはようみんな、今日は武道館で765プロと合同ライブだ。張り切って行けよ」

「「「「「はい!」」」」」

「ニック、ひとついいかしら?なんで鈴木さんもステージに立たせるのよ」

 玲子の疑問に答える。

「グループ名忘れたか?サイネリアだ。愛と絵理、涼に夢子、それと彩音の5人グループだ、別に支障ないだろ?彼女のブレーキ役をトレーナーにしてるし」

「あの人ね、ニックの仲間の・・・しかしよく武道館とれたわね」

「俺の顔パスさ」

 全員を車に乗ったことを確認すると、武道館に向かって走らせた。




次回のハードライン。全てを終わらせたニックは、この先どこに向かうのだろうか


 追伸  アンケート集まらなかったので、日高戦車による強行手段にしました
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