765・876の合同ライブは成功に終わった。新グループサイネリアとナムコエンジェルズによるGO MY WAYで締めくくり、876の全員が舞台裏に集まっていた。このライブを提案したニックにとって日本で最後になるであろう仕事を成功させ、もう心残りがない。
「プロデューサーさん、もうアメリカに帰るんですか?」
「一回帰るだけだ。墓参りしに行く」
少しさみしそうな愛だったが、彼の目を見て納得する。
「ひとついいですか?」
「なんだ?」
「私達もマイアミに行ってもよろしいですか?」
「それは構わないが、行ってどうする」
「私も手を合わせたい?」
「なるほどな。だが予定が詰まってるだろ?」
「それなら問題ないわ」
絵理との会話に玲子が口を挟んでくる。
「キャンセルできそうだから連れて行ってあげて」
「・・・母さんも喜ぶだろうから、二人を連れて行くとするか」
それを聞いた二人は喜び、ニックを抱きしめた。苦笑いする彼だったが、その様子を見ていた玲子は微笑ましい表情をしていた。
数週間後、ニック達はマイアミに飛んだ。彼にとって念願ともいえる母親の墓参りである。墓標の前に立った3人は花束を添え、祈りをささげる。
「母さん、ようやく終わったよ。俺は正義を貫き通したんだ、途中少し歪んでしまったけど仲間が支えてくれて、ひょんなことでアイドルのプロデュースもした。おかげで良い方向に変われた、次マイアミに帰る機会があったらまた来るよ」
3人は墓をあとにし、帰路で仲良く会話する。
「プロデューサーさん、天国のお母さんも喜んでいると思いますよ!!」
「たぶんな。愛が元気良すぎて化けて出るかも」
「あのそれって・・・」
「冗談だ、真に受けるなって」
「プロデューサーっていじわる?」
「皮肉屋だって言われる、意地が悪いのは舞と社長だ」
このとき噂の二人はくしゃみしていたが、気にしないでおく。
「それはいいとして、近くに警官時代行きつけだったキューバ料理の店がある。そこで昼飯を食おう」
「「はーい!」」
かつての同僚とよく飲みに行った店に入り、よく座っていたカウンター席に座る。ニックに気づいたのか店のオーナーが声を掛ける。
「おおニック、最近ご無沙汰だったけど日本で大活躍だったみたいだな」
「マイアミでも報道されてたのか、961の一件」
「もちろんだ。全米で報道されて、お前が日本のメディアのインタビュー受けてたの見てたんだぜ?」
「マジかよ」
「ところでこの子達は?」
「日本のアイドルだ、俺がプロデュースしてる子達だ」
「なんだって!?じゃあニックが帰ってきた祝いと彼女達の初マイアミを記念して、たんまり食って帰ってくれ!」
愛と絵理がおいしそうに頬張る姿を見て思わず微笑むニック。
(前なら任務終えたら帰る予定だったが、彼女達と出会って親心って言うのかわからんが放っておけないな。これからも彼女達を支えていこう)
ニック・メンドーサ。彼はICPOのスカウト話を蹴り、876プロの名物プロデューサーとして彼女達を支え、彼と仲間達の活躍劇は芸能界に多大なる影響を与え、しばらく英雄扱いされテレビで顔を出すほどの人気を誇った。そして今日も営業でテレビ局を訪れている。
「876プロのニック・メンドーサだ。仕事の話をしに来た」
これでアイドルマスターハードラインは終わりです
次回作も考えていますが、しばらく風来坊物語に集中したいと思います
読者の皆様、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました