日高愛の月間スケジュールを組み立てているニック。警察にいたころには絶対にしなかった仕事を、玲子のアドバイスもあってようやく完成する。
「・・・さて、スケジュール調整完了。さっさと帰るか」
「プロデューサーお疲れ様です!!」
「愛、君の元気はどこから湧くんだ?」
「いつもです!」
「だろうな」
昼間にあれだけの騒ぎがあったのに、元気を余らせている愛。絵理はすでに帰宅しており、事務所には二人しかいない。
「そうだプロデューサー、家に来ませんか?」
「そうだな、お母さんにも挨拶しないとな」
「やったー!ありがとうございます!」
愛と一緒に日高邸にお邪魔することになった。出迎えてくれたのは、まだ30に到達していないぐらいの若い女性。巷では伝説のアイドルと呼ばれてる、名を日高舞と言った。
「ママただいま!」
「あらおかえり、彼氏連れてきたの?」
「・・・876プロのニック・メンドーサだ」
「ニック?・・・降りて来なさい!!」
二階から黒人の男が気だるそうに頭を掻きながら降りてくる。
「なんだよせっかく人がPCの改造してたのに・・・」
二人が顔を合わせて3秒くらい時間が止まった。そして
「ニック!無事だったのか!?」
「ブーマーか!?どうして日本に?」
「みんな離れ離れなって途方に暮れていた時にさ、舞さんに拾われたんだ。で、今は居候してんだ。条件付きでね」
フレンドリーな彼はマーカス・ブーン、通称ブーマーはイラクに派遣された際に得たIT技術でニックの復讐を手伝った天才ハッカー。ニックと離れてから連絡が取れずにいたが、日本にいたとは思いもしなかった。
「わかった、話は中で聞く」
その後、楽しく晩御飯を食べ、愛が寝静まった深夜。ニックは二人にここに来た経緯を話す。
「そっか、ドーズは殺ったのか。しかし」
「そのホットショットという麻薬が日本に来て、しかもアイドル達が誘拐され遺体となって発見される事件が繋がってる。確かに最近報道されてるわ、愛や絵理が何かあったら正気じゃいられないかも」
「そういえば、876には秋月って男がいなかったか?アイツだけが顔を出してないが?」
「彼は315プロっていう男性アイドル専門の事務所に異動したわ。あなたが来る一ヶ月前に行方をくらませているけどね」
「だったら今頃モルモットかもな」
「それなら心配ないわ、ブーマーが彼に会って発信機取り付けたの。場所は従姉妹の律子ちゃんの家よ」
そこでもニックの顔に驚きの表情が出る。
「律子の従兄弟だったのか!?」
「知り合いか?」
「まぁ・・最初はペンフレンドだったけどな、警察になって服役するまでカメラ電話で話したことあるんだ。彼女から日本語教わったんだよ」
意外な事実にあっけらかんとする二人。まさかそんなことがあったなんて知る由もないからだ。
「それはいい。舞、事件について知っている情報はないか?例えば仲のいい人物が怪しいとか・・・」
「あるわ。名前は天ケ瀬冬馬っていうんだけど、彼は元961プロで今は315プロに所属してるの。彼、涼と一緒に仕事した際に怪しい話を聞いたって」
「そいつはなんて?」
「ホットショットがどうこうとか、次はジュピターの脳筋を誘拐だとかって」
その時だった。電話が鳴り響き、場に緊張をもたらす。ここは俺の出番とばかりにニックが受話器を取った。
「もしもし」
「舞さんって、その声ニックなの!?」
「まさか律子か、どうしたいったい?」
「大変よ、家に帰ってきたら涼がさらわれてたの。置手紙もあるのよ」
手紙には警察には話すな、話したら冬馬ごと殺すと書いてあった。内容を聞いたニックは受話器を置き、ブーマーに涼の居場所を探らせた。
「よし、場所は千葉木更津の港にある倉庫だ。メガネにつける発信機作ったかいがあったよ」
「彼らは事件解決の手掛かりになりうる。行くぞブーマー」
「え、俺もかよ!?」
「他に誰が行くんだ。その前に事務所寄って武器調達してからな」
セダンに乗り込んだ二人は、そのまま闇に消えていった。
次回はバトルフィールドらしく、戦闘多めにいきたいとおもいます