ユウ×アリは正義であるッ!   作:ぼっちめがね

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アリサの訓練

 どこまでも続きそうな荒野にはアラガミの食べ残しと思われる鉄柱が何本も刺さっていた。その中に佇むのはアリサ・イリーニチナ・アミエーラだった。

 彼女は目を閉じ、アラガミの気配を感じ取っていた。そして、彼女が両目を開眼すると同時に後ろの鉄柱の陰からアラガミが飛び出してきた。しかし、アラガミは銀色の粘液のような物で構成されており、訓練用のダミーであることがわかる。

 訓練用ダミーアラガミ、今回は『オウガテイル』が基のようだ。オウガテイルは巨大な口を開き、アリサに突進してくる。

 

「フッ……ッ!!」

 

 アリサは振り向きざまに後ろへと跳躍。オウガテイルはアリサが居た場所を抉るように噛み付いた。アリサはオウガテイルが顔を上げる前に地面を蹴る。そして、右手に握り締めた赤いロングブレードの神機を一閃する。アリサの一撃は見事にオウガテイルの顔へと吸い込まれていき、オウガテイルは霧散した。

 

「ふぅ……これで二十四体目……」

『アリサさん、後方よりダミーが近づいてきます』

「はい、わかりました」

 

 アリサの服の襟に取り付けられた通信機から若い女性の声が聞こえてくる。彼女の名は『竹田ヒバリ』。新人のオペレーターらしいのだが、その仕事っぷりはベテラン並みだ。

 ヒバリの忠告通り、後方から新たなダミーアラガミが近づいてきていた。今度のダミーアラガミは『ヴァジュラ』。帯のような赤い六本のマントを翻し、その巨躯からは想像もつかないような速さで地面を駆っていた。見た目はさながら獅子で、王の風格さえも漂わせている。

 ヴァジュラの走行で発生した微風がアリサの柔肌を撫でる。連戦で出てきた汗もおかげで引いたようだ。アリサは神機を握り締め、ヴァジュラへ向き直る。

 

「行きますッ!!」

「ゴァァァアアア!!!!」

『ダミーとはいえ、攻撃力や凶暴性はそのままです。お気をつけて!』

 

 ヒバリの声を聞いたときにはもう、アリサは地面を蹴っていた。

 ヴァジュラは雷撃による攻撃を得意とする。いくらダミーとはいえ、ヴァジュラの雷撃をまともにくらえば致死に至るかもしれない。アリサはそんな恐怖心はとうに捨てており、ヴァジュラへ向かって神機を振るう。

 アリサはまたしても神機を横に一閃するも、ヴァジュラは高く飛躍し、アリサの頭上を飛び越え、少し離れた所に着地した。

 

「ゴァァァアアア!!!」

「ッ!?……雷撃ッ!!」

 

 ヴァジュラの赤いマントが発光し、ヴァジュラの身体を青白い光線が包み込む。直後、ヴァジュラのマントからは大量の雷が極太の線となってアリサに襲いかかる。線は全部で六本。アリサは後退しながら二本を回避。そしてヴァジュラに近づくために前進しつつ、三本を回避。しかし、最後の一本はアリサの足元を穿ち、アリサを後方へ吹き飛ばした。

 

「きゃぁぁぁああっ!!!」

 

 アリサは地面を滑っていき、ヴァジュラからかなり離れた所で静止した。

 

「クッ……こんなことで……ッ!!」

 

 吹き飛ばされただけで、身体に相当なダメージを負った。立ち上がることすらままならず、産まれたての小鹿のように立っては座りを繰り返していた。そうこうしている内にヴァジュラはまたしてもマントを発光させ始める。

 

「たかが……訓練なのにっ……」

 

 アリサは必死にもがくも、やはり立ち上がれない。ヴァジュラの充電が完了し、雷撃が放たれる、その時だった。ヴァジュラの顔が突如、爆発を引き起こした。爆煙が晴れるとヴァジュラの顔には銃痕がついていた。銃撃されたのは明らかだった。

 アリサは何事かを確認するために銃弾が飛んできたであろう方向を向く。そこには、神機を銃形態にしたまま、肩に掛けてゆっくりと歩いてくる神薙ユウがいた。

 

「何の……つもり……ですかっ」

「そう、カリカリしないでほしいね。メンタルがもたないよ。しっかし、こいつによくもまぁ……」

「私の無様なところを……見に来たんですかっ!」

「生憎、僕にそんな趣味はないよ。えーと、アリサ。君の動きには問題点があるね」

「なっ……!!?」

 

 ユウは神機を銃形態から剣形態へと変える。漆黒の刀身はアリサと同じ、ロングブレードだ。ヴァジュラはその間に爆発の衝撃から回復し、ユウへと走っていく。しかし、ユウはそれでもゆっくりと歩を進めながらアリサの問題点について話し出す。

 

「まずはね、雷撃の間合いが取れてないね」

「ガァァァアアア!!」

 

 ユウが一言発するとヴァジュラはユウに飛び掛り、その口で噛みつこうとする。それに対し、ユウは無駄のない動きで歩きながら回避する。そして、ヴァジュラの後ろに回ったユウはヴァジュラの後ろ足を浅く切る。ヴァジュラは切られたことに反応して、後方へと跳躍し後退する。

 

「次に動きに無駄が多いね。んでもって最後は……」

「ゴァァァアアア!!!」

「人が話してんだけどなぁ」

 

 ユウは冗談めかしく苦笑いを浮かべ、改めてヴァジュラへ向けて疾駆する。ヴジュラとユウの距離が詰まる頃にはヴァジュラの顔の前に雷の球ができていた。球は雷の如き速度で飛んでいき、ユウを目指す。しかし、ユウは高く跳躍することでこれを回避。そのままヴァジュラの頭上に留まり、ロングブレードを下に向ける。

 

「改めて最後は……」

 

 全体重と地球の重力を剣先に込め、神機を振り下ろす。ユウの剣は見事にヴァジュラの顔を上から引き裂き、活動を停止させた。そしてユウはヴァジュラに乗ったまま、顔だけをアリサへ向け、一言を放つ。

 

「慢心だね」

 

 




はい、早速ユウ無双でした。さすがユウですね。一撃でヴァジュラ屠りましたよ。怖い怖い……
アリサは今のところ弱い位置ですがこれから強くなっていきます。

ではでは皆さんダ ズヴィダーニャ~♪
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