ユウ×アリは正義であるッ!   作:ぼっちめがね

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ユウの休養

 アナグラ、夜の病室。ここには一人の負傷者が寝ていた。第一部隊所属、神薙ユウである。彼は今、とある人生の岐路に立たされていた。

 

「ユウ……」

「あ、あの……アリサ……さん……?」

 

 彼の体はボロボロで、ベッドにぐったりと仰向けになっている。そんな彼に乗りかかっているのはアリサだった。しかし、彼女の服装はいつもと違う。薄い、透けるような絹のワンピースだった。彼女は荒く、甘い息を忙しなく吐いている。その吐息が彼の顔に当たり、身体が少しぶるっと震える。

 

「うん。ちょっと待て。マジで待って。お願いッ!!」

「はぁはぁ……ユウ……はぁ」

「アリサ……さん? ちょ~っと落ち着いて話をしようか」

「ユウ……私を……」

 

 彼女はユウの着ている患者服の襟に手をかける。そして、もう片方の手で自分のワンピースの肩紐を外していく。両方の紐がはずれ、ふくよかな胸が開放されたかのように少し垂れる。

 

「ユウ……はぁはぁ……私と……」

「待って! お願いだから待って!! 誰か……誰か助けてぇぇええええ!!!」

 

 

 

     ★☆★

 

 

 

「助けてぇぇええええ!!!」

 

 ユウはベッドから上半身を勢いよく起こした。そして、絶叫と共に眼前の現実を見ないようにすべく、目を強くつむる。ブラックアウトした彼の視界の中に彼女の声が聞こえた。しかし、先程のような妖艶な声ではなく、淡白な声が。

 

「はぁ?」

「…………へ?」

「何ですか? 急に。悪夢でも見たんですか?」

「……夢オチかよッ!!」

「だから意味がわかりませんよ……」

 

 彼の目に映ったのは相も変らぬ病室。そして、ベッドに腰掛けている、普段の服装のアリサ。つまり、先程の映像は彼の夢だったわけで。ある意味、悪夢でもあったわけで。今、彼は最悪の気分だった。

 

「くそ、ちょっと期待した自分が恥ずかしい……」

「さっきから何なんです? そんなことより……はい、りんごです。どうぞ」

 

 アリサはどこからともなく皿とフォークを出してきた。その皿の上には品種改良された巨大りんごがきれいにウサギの形に切られている。

 

「ほー、アリサ、上手だね」

「あの……それ、私じゃなくてヤエさんが……」

 

 アリサは恥ずかしさからか、少し頬を赤く染めている。ちなみに、ヤエというのはアナグラの一人しかいない看護婦である。彼女は相当、腕が達つので一人で全てをこなしてしまうほどのベテランだ。そんな人が切ったのだ。それはきれいに切れるだろう、とユウは思った。

 ユウはアリサからフォークを受け取ろうと右手を伸ばす。しかし、包帯でぐるぐる巻きにされた右手で受け取れるはずもなく、フォークを床に落としてしまった。

 

「あちゃ……これは使えないね。仕方ない、左手でいいや」

「ユウ……その……良かったら私が食べさせてあげてもいいんですよ……」

「え? なんだって?」

「あぁ!! もうっ! いいから黙って食べてください!!」

 

 アリサはりんごを一つ掴むとポカーンと開いたユウの口に突っ込んだ。彼は驚きつつもりんごを味わうように咀嚼する。流石に品種改良されただけあって一口じゃ収まりきらないほどだった。

 

「んぐんぐ……ひゃんがい、ひょれもおいひいね……んぐんぐ」

「クスクス……ユウ、なんか変ですよ、ふふっ」

「んぐっ……あ~これおっきいよ。腹に溜まりそうだな~」

「確かに。まぁ何はともあれ、今回はユウのいい休養になりそうですね」

「そうかな? 僕、そこまでフェンリル社畜じゃないんだけど……」

「ユウは戦いすぎですよ。それに無茶しすぎです」

 

 確かに彼女の言うとおりだった。ユウは実戦に出たときからずっと戦いっぱなしだった。来る日も来る日も闘争に明け暮れ、一週間、部屋に戻らず、睡眠もせず、風呂も入らないで戦い続けたことも何度かあった。まとまった休みはもちろん、一日中休みをもらえたのも数回しかなかった。今思えば彼の体は限界寸前だったのかもしれない。

 

「いや~全治二週間だって、二週間。筋肉衰えちゃうよ」

「…………」

「ん? どうしたの、アリサ?」

「……あの時、私がもっと早く駆けつけていればあなたがこんな目に遭うことも無かったはずです……私は本当にバカです……全然、エリートなんかじゃなかった。色んな人を傷つけて、行方不明にまでして……」

「う~ん、僕にはよくわからないけど、その考えは悪いってのはわかる。あの時、こうしていれば、だなんてただの泣き言でしかない。後悔したら満足がいくまで後悔して、その後は前を向いて歩けばいいんじゃないかな?」

「私は……私は……」

 

 アリサの目からは大粒の涙が零れていた。彼女は抑えきれなくなり、ユウの伸ばした足に顔を伏せた。嗚咽(おえつ)が彼の耳に届く。ひどくいたましい泣き声だ。彼女の泣き声はまるで彼を責めているかのようだった。

 

 

 

     ★☆★

 

 

 

 アリサはユウの足に身体を預けて、クゥクゥと心地よい寝息を立てている。泣き疲れたのだろう。まるで子供のようだ。面会の時間はとっくに過ぎていたが、彼がヤエに頼んで寝かしてあげていた。ユウも流石に眠くなり、ベッドの中で身体を動かし、横向きになる。

 

「うぅん……ん……」

(あ、身体動かすんじゃなかった。起こしちゃったかな?)

 

 アリサはゆっくりと起き上がると何故かベッドの枕元にやって来た。そして、そのまま、何のためらいもなく、ベッドに入ってきた。

 

(はい? ちょちょちょちょちょちょちょっと待て。何、これ)

 

 どうやら彼女はここが自室だと勘違いしているらしく、自分のベッドに入ったと思い込んでいるようだった。そして、彼女の部屋には抱き枕でもあるのだろうか。彼女はユウの身体に腕を回し、がっちりと固定した。

 

(ふぁっ!? 何か当たってる!! 胸の辺りに何か柔らかいものが当たってる!)

 

 今、二人は向かい合わせになっている。おかげでユウの身体には彼女のふくよかな何かが当たっている。それに関しては何も言うまい。正直、彼の頭の中は天変地異並みに混乱していたが、気持ち良さそうに眠る彼女を見て、冷静さを取り戻してきた。

 

「むにゃ……ユウ……」

(むにゃ、て何? ていうか僕の名前、言った?)

「ユウ……好き……です……むにゃ~」

(…………へ?)




これ、夜中に書いたからですかね……深夜テンションなんですよ……
べっ、別にだからって最初があんなのになったんじゃないんですからねっ!

嘘です、ゴメンナサイ……

まぁ今回はまだ甘さ控えめですよ。次回をお楽しmフフフッフッフフフ
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