ユウ×アリは正義であるッ!   作:ぼっちめがね

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アリサの慢心

 先日の訓練から数日後のことだ。現在、『贖罪の街』にてユウは作戦開始の時間を待っていたのだが、ユウの目の前に佇む少女はふてくされた顔をしていた。

 

「なんで私とこの人が同じミッションに行くんですかッ!!?」

「あーあーうるさいうるさい。せっかくの美人が台無しだよ」

「な、なななな何言ってるんですか!? ドン引きですッ!」

「……理不尽だ」

 

 ユウの前で恥ずかしいのからなのか、怒っているからなのかはわからないが頬を桜色に染めてアリサは慌てふためくように叫ぶ。アリサの言葉はオウガテイルの牙よりも深く鋭くユウの心に突き刺さった。

 ユウは胸を押さえながら、アリサは顔を赤くしてそっぽを向きながら神機を肩に担いだ状態で作戦開始を待つ。

 

「なかなか始まらないな。目標の出現が遅いのかな」

「別にどっちでもいいじゃないですか。アラガミさえ殺せれば……」

「ほー、アラガミにそこまで恨み持ってんだね、アリサ」

「あなたには関係ありません」

 

 アリサはいつものように冷静な面持ちに戻った。しかし、その顔はどこか暗かった。ユウは「そーかもね」と短く返事をして、荒廃した街に向き直る。直後、二人の服の襟に取り付けられた通信機から若い女性の声が聞こえてきた。相手は誰だかすぐにわかった。

 ユウとアリサは服の襟を口元に寄せて通信相手であるヒバリと会話を始める。

 

「ヒバリさん、目標は?」

『コンゴウ二体です。侵入まであと一分です』

「ちなみに二体目はどうなってるんですか?」

『二体目は今のところ作戦領域内には確認されておりません』

「じゃ、行こうか」

「はい。作戦を開始します」

 

 ユウとアリサは高台から飛び降り、喝を入れる。二人は神機を一薙ぎし、神機を水平に構える。次の瞬間、二人の神機の結合部分からオラクル細胞の黒い糸状の物が溢れ出し、赤い腕輪に巻きつき、完全に神機とユウ、アリサが一体化する。オラクル細胞の恩恵により神機の重さを全く感じなくなる。

 神機使いは、強化された筋力に一体化したことにより軽くなった神機は最早、ただの棒きれを持っているに過ぎない。

 

『コンゴウ一体目が作戦エリアに侵入しました』

「オーケー。こちらも目視で確認しました」

「交戦を開始します」

『健闘を祈ります。お気をつけて』

 

 ユウとアリサは荒廃した家屋の陰に隠れ、『コンゴウ』の様子を窺う。コンゴウは猿型のアラガミである。風を操る力と驚異的な聴力を誇る。ユウとアリサはコンゴウの聴力にかからないようにゆっくりと歩を進める。

 ユウとアリサはすでに銃形態にしており、撃てる準備はしてある。二人ともアサルトで、連続した射撃を得意とする。ユウは銃を構えながら最低限の声でアリサに話しかける。

 

「アリサ、君は僕のバックアップを……」

「いいえ、私だけで十分です。一人で戦えます」

「ちょ……アリサッ!!」

 

 アリサはコンゴウの聴力を無視して物陰から飛び出した。ユウはアリサに止まるよう、声をかけるがアリサは既に疾駆していた。

 アリサはアサルトを構えつつ、コンゴウへ突進していく。アリサの地を蹴る音でコンゴウは気配を感じ取り、アリサの方へ向き直る。アリサはこちらを向いたコンゴウの顔に標準を合わせ、トリガーを引き抜く。

 六本の砲塔から成るガトリング砲はバレットを嵐の如く撃ちだす。バレットはコンゴウの顔を結合崩壊へと導く。

 

「ゴァァアアァァア!!!?」

「うお、やるなアリサ。流石はロシア支部」

「クッ……まだ……もう少し引き付けて……」

 

 コンゴウはバレットを顔に受けながら、怯むことなくアリサに突進してくる。どうやらアリサは引き付けてから剣で迎撃するようだ。ユウはいつでもバックアップに回れるように神機を剣形態へと転換する。

 コンゴウがアリサにある程度近づいた時だった。アリサは瞬時に神機を切り替え、剣形態へ変える。そして、地面を蹴り、コンゴウへと肉薄する。

 

「あ!! 馬鹿ッ!!」

「えっ!?」

 

 アリサがロングブレードで一閃しようとした、まさにその時だった。コンゴウの巨大な右手から平手打ちが繰り出された。平手打ちは見事にアリサに命中し、アリサは荒廃したコンクリートの壁を貫きながら吹き飛んでいった。

 ユウは横目でアリサを確認し、毒づきながらコンゴウへ突進していく。

 

「フンッ……!!」

「ゴァァアアァァアア!!」

 

 ユウを喰らおうとコンゴウは巨大な口を開く。ユウはそこに漆黒のロングブレードを一薙ぎする。ただでさえ大きく裂けている口が更に深く、いや、顔が真っ二つになる。顔の上半分はオラクル細胞となって消し飛び、顔の下半分から下は地面を滑っていった。

 

「ふぅ……ッ!? アリサッ!!」

 

 ユウは一息つくと、アリサが吹き飛ばされたことを思い出し、崩れたコンクリートビルの中に入っていく。ユウはコンクリートの瓦礫の中をふらつく足で歩いて、アリサを捜索する。中は粉塵が巻き起こり、辺りが全く見えない。ユウは声を上げてアリサの名前を呼ぶが返事はない。ユウは徐々に奥へと入っていく。

 

「アリサーーー!!無事かーーー!!?」

「ここ……です……」

 

 アリサのか細い声が聞こえ、ユウは足元を見やる。そこには巨大なコンクリート片にもたれたアリサがいた。アリサは神機を持っておらず、神機は少し離れた所に突き刺さっていた。

 

「怪我してるじゃないか。これ飲んどきなよ」

 

 アリサは顔や腹、足に大小の切り傷を受けている。ユウはベルトに通したポーチからアンプルを取り出し、掌に乗せてアリサに渡す。

 

「いいえ、結構です……」

「いいから飲んでおきなよ」

「いりません」

 

 ユウがアンプルを勧めるがアリサは頑としてそれを受け取ろうとはしない。それでもユウはアリサを心配し、アンプルを勧める。

 

「いいから飲むんだっ!!」

「いらないって言ってるじゃないですかッ!!!!」

 

 アリサはユウのアンプルの乗った手を叩く。ユウの手は左へ流れ、アンプルはどこかへと飛んでいってしまった。ユウの持っていたアンプルはオラクル細胞を活性化し、傷の回復を促進させる物で、新入り神機使いには決して安くない物だった。

 

「アリサ……」

「私は一人で十分で……グッ!!」

 

 アリサは足の傷に耐えられないのか、その場に座り込んでしまった。ユウはため息混じりに言葉を放つ。

 

「僕がミッションを終わらすまでそこにいるんだ、いいね?」

「ちょっと……っ!!」

 

 アリサの静止も聞かず、ユウは走り出していた。

 

 




今回は2話またぎます。

ではでは皆さんダ ズヴィダーニャ~♪
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