遊輝と神様の東方放浪記   作:DICHI

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第十六ノ巻 究極のオールラウンダー

霊夢 side

 

 

「攻撃」

 

「かかし☆」

 

「攻撃」

 

「かかし☆」

 

「・・・・・・・・攻撃」

 

「ミラーフォース☆」

 

「うわあああ!!!!!!!もう嫌になるよ!!!!!」

 

「じゃあエンドフェイズにワーム・リンクスでドロー♪そして通常ドロー♪反転召喚、デス・ラクーダ♪1枚ドロー♪」

 

「いやああ・・・・・・・手札が増えていく〜〜〜・・・・・・」

 

「ん〜♪とりあえず強謙かな☆ライトニング・ボルテックス、ブレイカー、ライオウ☆ライオウ一択だね♪」

 

「ギャアアアアア!!!!!」

 

「(・・・・・・・・煩いわね)」

 

奥の部屋で遊輝の悲鳴が神社中に聴こえる。さっきからずっとあんな感じで悲鳴しか聞こえてない。全く・・・・・・・少しは静かに出来ないのかしら?

 

「(・・・・・・・・・・・・私は弱い)」

未だにあの異変で突きつけられた言葉が心の奥で刺さったままである。縁側に腰を掛けてボゥ〜と外を見て、お茶を飲む。ここ最近、こんな事しかしていない。なにか違うような事を考えようとしても遊輝に言われたあの一言がずっと残ってしまう。

 

「(・・・・・・・・私は・・・・・・・弱いの?)」

 

「お〜い!!霊夢!!」

 

「うん?魔理沙?」

 

顔を上げて見ると、魔理沙がこっちに飛んできた。右手には大きな袋を持ってきている。

 

「おぅ〜霊夢!久しぶり!紅魔館の時以来だぜ!」

 

「あんた、今まで何していたのよ?」

 

「何って魔法の研究だぜ?魔法使いだから魔法の研究なんて当たり前だろ?あの館の図書館から借りた魔道書が凄くて研究に没頭していたんだぜ。それよりほら、これ今朝採れたキノコだぜ!」

 

「またキノコ・・・・・・あんたはキノコ以外を食べないの?」

 

「キノコがあれば一生暮らしていけるぜ!」

 

「ハァ・・・・・・・貴重な食料だし、ありがたくいただくわ」

 

これでまたキノコ尽くしの生活ね・・・・・・遊輝が色んな料理を作ってくれるのが唯一の救いだわ。

 

「それで霊夢はそこで何をしていたんだ?」

 

「別に・・・・・・・お茶を飲んでいただけよ」

 

「その割には深刻そうな顔付きだったぜ・・・・・・・・もしかして遊輝に言われた言葉を気にしているのか?」

 

「(ギクッ!)」

 

「おやおや、図星のようですねぇ〜霊夢君〜。君は今まで下に見下していた遊輝にバカにされたのがよっぽど堪えているみたいだね〜」

 

「・・・・・(ギラッ)」

 

「悪い悪い。調子に乗りすぎた・・・・・・でも、実際に悩んでいるんだろ?」

 

箒を廊下の淵に立て掛け、魔理沙が私の隣に座った。

 

「・・・・・・・えぇ。正直言って、弾幕ごっこで私よりも弱いって思っていた奴が、あのフランって吸血鬼を圧勝する程の力を隠していただなんて考えたくもないわ」

 

「あれは私もビックリしたぜ。遊輝の2つ目の能力って弾幕ごっこには活かせないと思っていたから」

 

「でも・・・・・・・・・・」

 

「『今のお前は・・・・・・・弱い』だったかな?あの時の霊夢は確かにおかしかったな。まるで金縛りにあったかのように身体が全然動いていなかったぜ」

 

「えぇ・・・・・・・・って、何勝手に私のお饅頭を食べているのよ!!」

 

「別に饅頭の1個や2個ぐらい良いじゃないか。私と霊夢の仲だろ?」

 

『そうそう』

 

『1個ぐらい良いでしょ?』

 

「てああああ!!!!!!あんた達も!!!!」

 

魔理沙に気を取られ過ぎていつの間にかブラックとホワイトに饅頭を食べられてしまい、気づいたらお皿にあった饅頭は0個・・・・・・・・

 

「美味しかったぜ霊夢」

 

『美味しかった☆』

 

『美味かった♪』

 

「・・・・・・・・・・・・・あんた達ぃぃぃ!!!!!!!!」

 

「あ、やべ!!逃げるぞ!!!」

 

『『は〜い☆』』

 

「待ちなさい!!」

 

食い逃げを実行しようとする魔理沙とブラック、ホワイト達を逃さまいとお札を握りしめて追いかける。

 

「・・・・・・煩いな。何してるんだ?」

 

「ん〜と♪輝竜星ーショウフクをシンクロ召喚☆」

 

「神の警告」

 

「うっそ〜〜〜ん!!!!!!」

 

霊夢 side out

 

 

遊輝 side

 

 

「ほいよ晩飯。キノコの炊き込みご飯にキノコと魚の煮付け」

 

魔理沙から貰った大量のキノコをふんだんに使った晩飯3人分をお盆に乗せて霊夢や神様が待っているちゃぶ台がある部屋に向かう。ブラックとホワイトは部屋で寝ている。デッキの試運転を兼ねて神様と何回かデュエルした後に外を覗いてみたら、なんかすっごく疲れてそうな顔をしていてそのまま部屋に入っていった。一緒にいたらしい魔理沙に至ってはもう・・・・・・・・・顔の正気が無かった。あいつら何してたんだ?霊夢がかなり怒ってたのは分かったけど・・・・・・

 

「ま〜たキノコ〜〜?お肉無いの?」

 

「賽銭ゼロの神社に肉なんて求めるな。食いたかったら自分で鴉捕まえて食え」

 

「あんたまた私の神社の悪口言ったわね」

 

「正月という愛でたい時期以外はお賽銭箱がからっからに等しい神社らしいな」

 

「あんたその情報どこから!?」

 

「魔理沙と射命丸から。それとここ数週間の生活で」

 

「あの二人・・・・・・・・覚えておきなさい・・・・・・・・・」

 

二人とも、ご愁傷様です。

さすがに正月以外お賽銭ゼロとか聞いた事無かったわ。この神社、幻想郷だとかなり大事な神社なんだろ?何でこんなにも信仰が無いだろうか?てか、この脇巫女よくこんなピンチな状況で生活していたな。

 

「あんたも覚悟しなさいよ」

 

「何で俺までとばっちり食らうんだよ」

 

「あんたが原因を作ったのでしょうが」

 

「俺は貰った情報を嘘偽りなく言っただけだ」

 

「決めた、ご飯食べ終わったら殺す。既に結界は貼ったから逃げようとしても無駄よ」

 

「準備早ぇな。てか何で今やらねぇんだよ?」

 

「その美味しそうなご飯だけは逃したくない」

 

「そんな事言ってるから貧乏巫女とか言われるんだろうが」

 

「いっただきま〜す♪」

 

「「・・・・・・・・空気読めよ(読みなさい)、このバカ神」」

 

俺と霊夢の軽いジャブの打ち合いを神様の空気読まない言葉でぶち壊されてしまう。何も聞かず、神様はさっさと飯を食べ始める。それに呆れた俺たちも座って飯を食べる。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「あ〜、気持ち良かった」

 

お風呂から上がり、寝巻きに着替えて部屋に戻る。うん?霊夢とのやりとり?あの後逃げようとしたけど、「二重結界」とか使ってガチで殺しにきやがったので弾幕ごっこもどきで霊夢と戦った。結果はなんか勝てた。まぁあいつ、かなり怒っていて冷静じゃなかったからかな。

 

「さてと、デッキを片付けて今日はもう・・・・・・うん?」

 

風呂場から廊下を通ると茶の間にある部屋の前の縁側で霊夢が一人座って月を見ていた。

 

「何してんだ?お前?」

 

「・・・・・・・別に。ただ、月が見たくて見てるだけよ」

 

「ふ〜ん・・・・・・・もしかして、あの事をまだ気にしてんのか?」

 

「・・・・・そうよ。何か悪い?」

 

「やれやれ・・・・・・・紅霧異変の前で言っただろ?努力のしない天才はいつか絶対挫折を味わうって。今の霊夢の状態が挫折だ。それでもプチだけどな」

 

「これでプチ?私は結構悩んでいるのよ?」

 

「悩んでいるだけだろ?落ち込んでいないんだろ?だったら大きな挫折じゃないぜ。本当の挫折はな、心が折れそうな程深刻な状況まで追い込まれるんだから」

 

「それじゃ私は心が折れてないからそんな大きな挫折じゃないって言いたいの?」

 

「今言ったじゃねぇか。別に弱いって言ったのも、あの時の死の恐怖を味わった時の事で、普通のお前なら普通に強いから。第一、お前はあの時の出来事で一つ良い経験をしたじゃねえか」

 

「何?」

 

「恐怖を味わう経験、死の恐怖だ。お前は今まで弾幕ごっこ負け無しという肩書きで、死に対する恐怖を完全に忘れていた。今回の経験で死を味わっただろ?」

 

「・・・・・・・・・そうね。あんな経験二度と味わいたくないわ」

 

「だったらそれを糧にすれば良いだけの話だ。そんなに悩む必要はねぇよ」

 

霊夢の隣に座って空を見上げる。今宵は綺麗な満月だった。周りに雲一つ無く、本当に綺麗に輝いていた。こういう時は妖怪はかなり危ないと言っていたが、博麗の巫女がいるこの神社には余程の大事が起こらない限り、関係のない話だ。

 

「・・・・・・・あんたは味わったことがあるの?立ち上がれないくれないの挫折を」

 

「・・・・・・あぁ、1回だけだけどな。俺もどっちかって言ったら霊夢みたいなタイプだったから」

 

「えっ?」

 

「というか殆どお前と一緒だったよ。あの時の俺は、剣道では敵無しだと勝手に思い込んで調子にのっていたんだよ。だから練習とかも時々サボってたりしてた。でもな・・・・・・・・大きな大会の決勝戦で俺は負けたんだ。しかも完全に叩きのめさせられた」

 

俺の話を霊夢は黙って聞いている。

 

「そこで初めて大きな挫折を味わった。完敗だった。自分は誰にでも勝てるって勝手に思い込んでいたからな。大会が終わった後は直ぐにホテル・・・・・宿の部屋に引きこもったさ。もう二度と剣道もやりたくないって思った」

 

「・・・・・・・そこからどう立ち直ったのよ?」

 

「その大会の夜、奇声とも取れる掛け声が聞こえたんだ。何事かなと思って外を覗き込んだら、俺に勝った相手が一人で竹刀を振っていたんだ。それも5分や10分単位じゃない、1時間や2時間も振っていた。気づいたら俺は下に降りてその人の近くに行ったんだ。向こうもこっちに気づいたらしく、こっちに来て『一緒に練習しないか?』って。何故か無言で頷いてその人と一緒に竹刀を振りまくった。ただひたすら、何も考えずに。そうしたら向こうから話しかけてきたんだよ」

 

 

 

 

『君には僕には無い才能がある。だけど君は僕に負けた。君は努力を怠ったんだと思う。僕は努力してここまで這い上がってきた。だから君は負けた。才能があっても努力しなければこうなってしまうんだよ。もし君がまた僕と交わりたいなら1年後、この大会で再び出会おう。僕も竹刀を持つ勝負師として君に負けるつもりはないけど』

 

 

 

 

 

「・・・・・だったかな?とにかくあの人は俺に再戦のチャンスをくれた。そこからは死に物狂いでやったさ、暇を見つけてやる事が無い時は竹刀を握って努力した。目標はただ一つ、今度こそその人に勝つため。そして1年後、俺は約束を果たすためにもう一度その大会に行った。けど・・・・・・・」

 

「けど?」

 

「その人は来てなかった・・・・・・・いや、もうこの世にはいなかった。大会の後に聞いた話だと、あの日から1ヶ月後に交通事故で亡くなってしまったそうだ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「結果的に優勝はしたさ。けど、俺の気持ちは晴れなかった。でもこればかりはもうどうしようもない・・・・・・叶わない目標になってしまったんだ。だからその目標は諦めて次の目標を作った」

 

「次の目標?」

 

「それ以上は言えない。これに関係ない話だしね」

 

それにこの目標はまだ・・・・・・・・・達成されてない。そうこうしている間に色んな目標も出来てしまったが、これはしっかり達成しないとあの人の為にはならない。

 

「・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・強くなれるのかな?」

 

「なれるよ・・・・・・・と言いたいところだがそこはちょっと分からないな」

 

「私は・・・・・・あの異変で死にかけた・・・・・あんな経験はもう二度と味わいたくない」

 

「そうだな。誰だって死にたくないんだから。霊夢は才能があるし、色んな事が出来るから結構凄い技とか戦い方を見つけるかもしれないな。ただ・・・・・」

「ただ?何よ?」

 

「霊夢は弾幕ごっこにおいて天性の才能がある。全てにおいて他の奴らよりもレベルが数段違う。でも逆を言えば・・・・・・・突発している物がないんだよ。魔理沙みたいな遠距離でも打てる高火力な技、俺みたいに接近戦では絶対に負けないという、突発的な物が」

 

「突発的な・・・・・物・・・・・」

 

「霊夢の場合、良い意味でも悪い意味でもオールラウンダーなんだよ。色んな事が完璧に出来ている。それを逆に捉えてしまうと、どれか一つでも突発として凄いと言える技や特技みたいな物が見当たらないって事になるんだ」

 

これはオールラウンダーの宿命だけどな。弱点が少なくて、何でも対応できるという大きなメリットの代わりに特徴的な物がない。これはある意味致命的な事かもしれない。自分の手数が無くなってしまったら負けてしまう確率が高くなってしまうかな。

 

「オールラウンダーってのは難しいんだよ。そういう事で考えると究極のオールラウンダーってのはめちゃくちゃ凄いんだよ」

 

「究極のオールラウンダー?何それ?普通のとどう違うのよ?」

 

「全てにおいて最高レベルなんだよ。魔理沙みたいな遠距離でも放てる高火力技、俺みたいに接近戦でも強く、遠距離でも勝てる。射命丸みたいな速さやフランみたいなパワーも兼ね揃えている、まさに究極だね」

 

「究極の・・・・・・・・・オールラウンダー・・・・・・・・」

 

「でもこれが出来るようになるのはかなり難しいよ。何せ、全ての能力において最高レベルまで上げないといけないんだから」

 

「・・・・・・・そう、出来ないのね」

 

「・・・・・・勘違いしてないか?俺は『難しい』って言っただけで『出来ない』とは言ってないぞ?」

 

「えっ?」

 

「なればいいじゃんか、究極のオールラウンダーに・・・・・・・・魔理沙みたいな遠距離でも放つ高火力技、射命丸みたいな速さ、俺みたいな接近戦での強さ、フランみたいなパワー。霊夢には天性の才能があるんだ。修行を詰めば出来るようになるさ。無論、時間はかなりかかるがな」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「それに霊夢にはちゃんと長所があるじゃねぇか」

 

「私の長所?」

 

「霊夢は技のレパートリーが多いじゃねぇか。それを使って霊夢は戦いの組み方がすこぶる上手じゃねぇか」

 

霊夢の長所・・・・・・・技の引き出しの圧倒的な多さ。単体だけでも50を超える技があるわけで、これを組み合わせていったら無限と言っても過言ではないくらいのレパートリーが出来てくる。

 

「戦いの組み方って・・・・・・私は相手に合わせてやってるだけで」

 

「そこなんだよ。俺や魔理沙みたいなタイプは基本的な戦い方を決めて、それを派生して戦っている。だけど霊夢の場合、相手の戦い方に合わせて自分の戦い方を決めていってる。例えば俺がAというパターンの攻撃を仕掛けようとすると、霊夢は一瞬でAのパターンの攻略法を見つけて対峙する。んで、俺がBのパターンに攻撃方法を変えたら、今度はBに合わせて戦い方を変えて言ってるという・・・・・・相手に合わせて戦い方を決めていってるんだよ」

 

「・・・・・・・・・随分観察したわね」

 

「こっち来てから敵との戦いで観察力を上げる必要があったからね。とにかく、オールラウンダーだからと言って長所が無いわけではない。霊夢には技の豊富さを武器に弾幕ごっこを磨いて最終的には究極のオールラウンダーを目指して欲しいな。その時には・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本気で戦ってやるよ」

 

その言葉を告げて、俺は部屋へと戻り布団に入る。

 

「・・・・・・・・遊輝の本気・・・・・・・・・(面白いじゃない。やってやるわよ、修行嫌いの私をここまで震わせてあげた事を・・・・・・そして、貴方に勝つ!!)」




遊輝「何とかデッキは形になってきた・・・・・結局マスマティシャン入れて終わりって情けない・・・・・」

神様「まぁチェインは諦めてドローカードやサーチでシスターを持ってくるしかないよね☆」

遊輝「早いとこ《ガガガ》専用の終末の騎士とか出ないかな〜」

神様「無理無理。僕は海王で新規カードが出たから水精鱗でも作り直そうかな?」

遊輝「また水精鱗かよ・・・・・あれもネクロスもシャドールも何で手札が減らないんだ?効果可笑しいだろ?」

神様「最近はインフェルノイドもヤバそうらしいし、そろそろデッキの高速化も考えたほうが良いんじゃない?」

遊輝「だからこそ、ガガガ専用の終末の騎士をだな・・・・・」

神様「無理だって」

遊輝「・・・・・・次回は異変解決したから宴会だな。場所は博麗神社」

神様「【紅霧異変解決の大宴会】♪次回もよろしくよろしく☆」
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