ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか 作:カブタロウ
※途中テンションがおかしくなって若干違和感を感じるかもしれませんが目をつぶって下さい。
第十一話 発明
友の死別からまた一年。『乗り越える』事が出来たヴェルフは見事Lv2にランクアップを遂げた。
この一年は【鍛治】スキルアップの為、殆ど鍛治中心の生活を送っていた。
そして何度も『魔剣』を打っていたときにある事に気付いた。
【鍛治】スキルのおかげか魔剣の『効果』を調整できるようになったのだ。
例を挙げよう。例えば手に水を汲んでいるとイメージする。手の平の間に隙間を作ると一気に水が落ちていくのに対し、しっかりと閉じれば落ちる水の量が少なくなる。つまり汲んだ水を『魔剣の内包する効果』と考え手の平の隙間の大きさを自由に操作することで落ちる水の量、『魔剣を振る事で発動する効果』を調整できるという事だ。だから発動する効果を大きくすれば少ない回数で壊れるが凄まじい威力を発揮し、逆に最小限にすれば何度も使えるが威力が弱くなるといった魔剣を打つことができるようになった。
その事に気付いたヴェルフは実験用に二振りの魔剣を打った。最大限に威力を発揮する剣と最小限しか威力を発揮しない剣をだ。
そしてその魔剣を持ってダンジョンの『中層』へと向かった。
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ダンジョンーー12階層ーー
今、ヴェルフの目の前には『インファント・ドラゴン』がいた。ある程度強く、多少の
巨大な体は当てやすい大きい的で、硬質な鱗は魔剣の威力の目安になる。そしてLv2の今ならば余裕を持って倒せる。
絶好のカモだ。
ヴェルフは
ドゴォォォォォォオオオオオン‼︎‼︎
魔剣から迸る雷は一瞬にして膨れ上がり目に映るもの全てを強烈な雷光で包み込む。そしてインファント・ドラゴンはおろかダンジョンの壁一面を爆発させ地面を揺らす。
目を開くとそこには崩れ落ちたダンジョンの瓦礫と魔剣から壁へと伸びる削り取られた様な跡。それ以外何も残っていなかった。
そしてバラバラと砕けていく魔剣。
「…………ハア?」
予想外過ぎる。なんだこれは。威力がバカげている。危険過ぎる。
止めよう。この魔剣打つの止めよう。最大限に威力を発揮する魔剣使うと下手したら自分が木っ端微塵になる。
………ちなみにこのとき地上のオラリオでは局地的大地震が観測され、奇跡的に大きな被害こそ出なかったものの唯一初期微動がなかった地震として長くの間オラリオの歴史に刻まれるのだった。
ヴェルフは気をとりなおして階層を上がる。
次の実験は魔剣の威力が弱いのでモンスターのレベルを下げておこうという寸法だ。
5階層ほど戻り7階層で
あいつにしよう。
キラーアントはまだこちらに気付いていないがそんな事は知らない。問答無用でもう片方の魔剣を振るう。
ボッ
刀身に火が灯った。……以上。
「………あ?」
思わず声が漏れ視線の先のキラーアントに気付かれる。
『キシャー!』
「くそっ……」
ヴェルフはLv2のステイタスを惜しみなく使ってキラーアントに近づき仲間を増やす前に殺そうと魔剣を薙ぐ。
ボッ
キラーアントの甲殻を容易く切り裂く
「ん?」
おかしい。こんなに簡単にキラーアントの甲殻が切り裂ける訳がない。いくら自分が鍛治スキルを習得したとはいえオラリオの鍛治師に比べればまだまだ
もう一度魔剣を振る。
刀身に火が宿る。
……ん、待てよ……確かキラーアントの弱点は………ーーーー
呼び起こされる
『ーーを持ち、弱点は脚や胴体の節目と『火属性による攻撃』。弱点がーー』
!!そうか!キラーアントの弱点である『火属性』を纏った攻撃の影響であんなに簡単に切ることができたんだ。
つまり魔剣の効果を最低限にとどめることで刀身にその効果が現れ、『属性攻撃』が可能になったという事だ。しかも壊れにくい。
これは良いぞ!魔剣とはまたベクトルが違うがそれなりの剣の腕がある奴がこの剣を使ったらどうだろうか。(刀身がもっとよく出来ていたらの話だが)属性という有利があるのだから攻略が進みやすくなるだろう。
これは……『発明』だ!
これがあればテストプレイヤーを取ることができるだろう。そして商業系ファミリアとのツテを作ることができる。商業系ファミリアのツテがあれば莫大な情報を集めることができる。この発見は色々な意味で大きく夢に近づく一歩だ。
ヴェルフは工房へと飛んで帰った。
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工房に戻ったヴェルフはありったけのインゴットを用意して持てる
カァン カァン カァン カァン
炉の火が工房を赤く照らし、絶え間なく槌が振るわれる中、ヴェルフは『笑って』いた。それはもう楽しそうで、なにかを自慢しに行く前の子供のようで。
そして一日が過ぎていくーーー
徹夜飲まず食わずで槌を振るって打ち上げた魔剣。刀身は細く、刃は輝く白刃をしている両刃剣だ。今のヴェルフにとって「白刃」をしていることは気にも留めず残り物の食材を適当に炒めて腹に詰め込み魔剣を持って工房を出た。
時刻は早朝、目的地はヘファイストス・ファミリアホーム。
ヘファイストス・ファミリアホームに入り執務室のドアをたたく。
「主神様、急ぎの要件で参ったヴェルフ・アルゲースです。入ってもよろしいでしょうか?」
「ん?ええ、入っていいわよ」
そしてドアを開ける。
「さて、急ぎとはいったけどどんな要件かしら?」
ヴェルフは持ってきた魔剣を前に出して要件を述べる。
「不肖ながらこのヴェルフ・アルゲース、主神に商談をお願いしたく参りました」
「商談?」
「はい。商業系ファミリア通じてどこかの冒険者に私の魔剣のテストプレイヤーになって欲しいのです」
「テストプレイヤー??」
「ええ、私が独自に研究したのですがーーー」
そう言ってこの一年でまとめた魔剣の研究結果のレポートを主神に渡す。
「なるほど。これだけ変化があればスキルの昇華で何が起こるのか研究する意義はあるわね……。でもテストプレイヤーを頼むにはある程度業績がいるわよ?」
いつになく饒舌なヴェルフは次々に語る。
「そこでこの魔剣です。これはーーーー」
昨日発見した効果を説明する。
「ふむ……。分かったわ、知り合いのファミリアに話をつけておきましょう。」
「本当ですか!」
そこに主神はでも、と注釈を告げる。
「商業系ファミリアに力を借りるという事は嫌でもファミリアの名を広げるわ。失敗さえもね。一切失敗するなとは言わないけれど貴方の評価がファミリアの評価に直結することは覚えておいてね。」
「………はい。」
「じゃあ、明後日ぐらいに会談をするから予定を空けておいてね。場所はここ。……要件は終わりね。下がっていいわ。」
「失礼しました。」
そしてヴェルフは心でガッツポーズを決めながらホームを出るのだった。
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翌日
執務室に行くと水色の髪に眼鏡を掛けている美女がいた。羽織られた白の
「ヘルメス・ファミリア所属。アスフィ・アル・アンドロメダです」
ヴェルフは唖然とする。
え?なんでこんなとこで『
「商談の取り引きですが……」
「分かってるわ。貴方のファミリアにテストプレイヤーを見繕ってもらう代わりに
「ありがとうございます。テストプレイヤーについてですが貴方の発明した魔剣を見て斡旋したいと思っています。なのでお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、持っていって。」
ヴェルフを置き去りにして主神と万能者の間で交わされていく契約。
「ふむ、貴方が『ヴェルフ・アルゲース』ですか……、これからもよろしくお願いします。」
アスフィの声で我に返ったヴェルフは
「あ、ああ、よろしく頼む。」
そしてアスフィはヴェルフの魔剣を持って颯爽と執務室を出ていった。
しばらくしてヴェルフは落ち着くと今自分がどれほど幸運なのかを理解した。
思わぬ形だったが『
着実に夢へと進むことができた。確かな進歩だ。
しかし俺は人間だ。夢を実現する
それが『
ヴェルフは決意を新たに固めたのだった。
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ヘルメス・ファミリアホームでは主神が不在の部屋の中で水色の髪の美女が魔剣を眺めていた。
「確か『耐久性にはそこそこ自信がある』とありましたね……」
おもむろに剣を振る。
すると刀身に火が宿り、部屋を明るく照らす。振り切ると剣から火が消え部屋が元の明るさへと戻った。
「ふふ、これは将来期待できますね。」
アスフィは目を細める。
「さて、誰のファミリアにテストプレイヤーを頼みましょうか……」
頭に手を当て知り合いのファミリアの名前を脳裏に浮かばせていると、唐突にドアが開く。
「よっ、アスフィ元気だったか?」
不敵な態度で現れたのはこのファミリアの主神、ヘルメスだった。体格は細く羽付きの鍔広帽子を被り、その中から溢れる橙黄色の髪。顔付きは
「なっ…!?ヘルメス様!?」
予期せぬ主神の登場に驚愕する。
「ハッハッハ!驚いたかい?」
とヘラヘラ笑う。相手をからかっているにもかかわらず、その笑みは不快感を感じさせず場の空気を和らげる。
食えないお方だ……。
「ところでアスフィ、その手に持っている剣はなんだい?」
「ああ、この剣はですねーーーー」
アスフィはヴェルフの研究結果を混ぜてこの魔剣の性質を説明する。
「へぇ、面白そうじゃあないか。………そうだ!あのファミリアにこれを持って行こうぜ!」
ヘルメスはパチンと指を鳴らし、アスフィの耳元にこそこそと『あるファミリア』の名前を告げる。
「っ!?本気ですか!?」
「そうだけど?だって確実に
というか主神の交友関係の広さに呆れる。
アスフィはあの特徴的な口調の神を思い出し、ハァと大きく溜め息をつくのだった。
やっとアスフィキタぁああああああああああ!!
アスフィをヒロイン昇格するかは未定です。要望が多ければ外伝を通じてデレさせてメインヒロインにします。
感想、批評お待ちしています。
追記
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