ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか 作:カブタロウ
今回出典作品はありません、ご了承ください。
それでは第十三話お楽しみください。
ヘファイストス・ファミリアに向かってメインストリートを歩くアスフィは憂鬱になっていた。
今日はヴェルフ・アルゲースにテストプレイヤーが決まったので伝えに行くのですが…
「ハア………」
何故アスフィがこれほどまでに憂鬱なのかは喜報とも悲報とも取れる事と確実に悲報である事をヴェルフに伝えねばならないからだ。
まず、前者の報告はテストプレイヤー先が『ロキ・ファミリア』であり(普通はこれだけで卒倒する)更にテストプレイヤー本人が超有名な冒険者である事だ。……ヴェルフさんの
そして後者の確実に悲報な事を説明するには三日ほど前の出来事まで遡らなければいけないーーー
ーーヴェルフの視界が暗転するまで後15分ーー
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三日前
ある冒険者がダンジョンを駆けていた。
その冒険者は綺麗な金髪をたなびかせ、一振りの両刃剣を持っていた。
『アイズ・ヴァレンシュタイン』、二つ名を『剣姫』。
オラリオの最大派閥のファミリアである『ロキ・ファミリア』所属の第一級冒険者だ。剣術の腕はオラリオ最強レベルであり強さを追い求める
そのアイズは今、ある魔剣の実験、テストプレイヤーを務めていた。その魔剣は我らが主人公『ヴェルフ・アルゲース』渾身の発明品であり今後が期待される特異な性質を持っている。まあ、簡単にヴェルフの研究を纏めれば誰でも『属性攻撃』が可能になるのだ。従来魔剣という物は誰でも魔法の様な力を使える強力なアイテムとして使われているが欠点として回数制限がありその回数も少なく更にコストもかかるのであまりコンスタントに使うことができず、メインウェポンとして使うことが出来いうえ、第一級冒険者など実力者が使う場合自分の技量だけで戦闘した方が効率が良い。しかしその中でヴェルフが魔剣の『ある性質』を生み出したことで限りなく回数制限を増やし強力な効果を発揮できずとはいえ、『
その魔剣の実験にアイズはモンスターを探す。あんまり深いと効かないから中層辺りかな、と考えていたのだが……。
『
この言葉はあるダンジョンの戦略の一つだ。
アイズはその
戦闘しているのは今いる9階層に出現する『キラーアント』や『パープルモス』に加え「中層」辺りから執念深く追って来たのか『アルミラージ』に『ハードアーマード』更には『ヘルハウンド』までおり、まるでダンジョン序盤モンスターの
アイズはヘルハウンドの火炎攻撃を躱し、転がって突進して来たハードアーマードの回転中に一瞬現れる甲殻の隙間を魔剣で切り裂く。アルミラージのトマホークを紙一重で避け、パープルモスの毒粉を【耐異常】スキルで無視して突っ切りすれ違い様に一閃、更に駆けた先の立ち惚けるキラーアントに対して横に剣を薙ぐ。。特に『火』に弱いパープルモスなどは斬ると魔石を残してすぐに燃え尽きる。近距離で戦うモンスターを片付け直ぐさま「後衛」のモンスターへと襲いかかり、空を走る無数の緋線。
戦場に残ったのは燃え尽きた死体の中心にある小さな魔石と火傷の切り傷がある屍、そして佇む一人の冒険者。
「……重い。」
それが最初に抱いた感想だった。別段とても重いという訳ではないが
しかし第一級冒険者のアイズにとって上層近くのモンスターなど苦にもならない。(武器は別だが)
「まだ、足りない。」
そして今度こそ、と中層に向かった。
取り敢えず18階層という
そして道を塞ぐ様に現れる巨大な『ミノタウロス』。
『ブォオオオーーーーー』
「邪魔。」
駆け抜ける一陣の風と紅の一筋の線。
その刹那、ミノタウロスの頭部と胴体が分かれ、頭が燃えて灰となる。
「……つまらない。」
一切立ち止まることなく進み続ける戦姫《アイズ》はふとそう呟いた。
17階層までたどり着きもう少しで18階層の入り口がある大広間『嘆きの大壁』だという所で18階層より下がろうかな、と思ったときある事に気付く。
「静か過ぎる。」
そしてアイズは忘れていた大事なことを思い出した。
そういえばこの日は『
目の前に広がる大広間の『嘆きの大壁』からは大きな
『グオォオオオオオオオオオ‼︎』
「……やった♪」
しかし戦姫《アイズ》の前ではそれすらもカモと化す。
アイズは嬉々として
ゴライアスから放たれる巨槌の様な鉄拳をひらりと躱し脚に潜り込む。そして剣を一薙ぎし脚の健を断とうとするが、強固な皮膚に阻まれ火傷を残して浅く斬りつけるに終わる。
「!?」
どうしよう。
まさかの攻撃力不足に戸惑ってしまう。一旦距離を置き作戦を考える。
同じとこを何度も攻撃する?「力」でゴリ押しする?それとも……
相手の猛攻を軽くいなしながら高速で考えを張り巡らせる。
………そうだ!
そして剣姫は言葉を紡ぐ。
「
アイズの魔力が詠唱式によって旋風に変わる。
魔法【エアリアル】。この超短文詠唱式からなる魔法は単純で強力だ。効果は風属性の付加魔法ただそれだけ。しかし纏う風が尋常じゃないのだ。その風は全身を覆い全てを弾く鎧となり、剣を包み込み風の力で切れ味を倍増させる。更に副次的な効果として移動速度が上昇する。
まあそんな訳で早い話簡単な無敵状態になったアイズは音を置き去りにしてゴライアスに向かう。ゴライアスが反応する間もなく近づき飛び上がって胴体を逆袈裟に斬り上げる。刃の火は風によって爆発的に膨れ上がり巨大な炎刃と化し、深く刻まれた傷口から炎が燃え上がる。肩まで斬ると今度は重力に身を任せ背中を袈裟がけに斬り下げる。
『グガァアアアア!?』
痛みに悶える巨人にはもうもうと燃える炎が刻まれている。風となったアイズは一瞬で脚を横一文字に斬り裂き、脇腹を十字に斬り結ぶ。
止まらない。
至るところに傷をつけ、ゴライアスは全身から煙を立ち昇らせる。
そして
「ハッ!」
引き絞って力を貯めた一突き。
パキッと硬い手応えを感じるとゴライアスの全身が瞬時に灰になった。
「これぐらい出来たら、良いかな。」
アイズは【エアリアル】を解きゆっくりと剣を下ろす。
バキッ!
まるでとても近くの硬質な物が割れるような音が聞こえてきた。
ベリッバリッ!
現在進行形で罅が広がっているようだ。周りを見渡すが、ダンジョンの壁に変化は無い。
しかし音は止まない。
「まさか……」
アイズが魔剣を見る。と同時に目に映った物はバラバラと崩れさった。
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……………ということをがあったらしいのだ。更にアイズから『最高火力』の魔剣の注文と試験用の魔剣“二“振り程お願いがきている。何故二振りなのかは「このペースでアイズが魔剣を振っていくとしたらこれぐらいは欲しいね。」とロキ・ファミリア団長『フィン・ディムナ』は言った。つまりすぐに壊すという事だ。……本当にロキ・ファミリアで良かったのだろうか、ヴェルフさんが心配になって来た。
アスフィはオラリオの外壁に囲まれくり抜かれた様に見える青空を見上げ溜め息をついた。青空はアスフィの心を嘲笑うかの様に快晴だった。
ーーヴェルフが倒れるまで後5分ーー
アスフィが前に視線を向けるとメインストリートの横に並ぶヘファイストス・ファミリアのホームがあった。
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ヴェルフはある連絡が来てからというもののずっとそわそわしていて落ち着きがなかった。
何故なら念願のテストプレイヤーが決まったのだ。
しかし約束の時間まではまだ3時間もある。だが暇を潰そうにも槌を振るう手も落ち着きがなく作業にならない。本を読もうにも内容が頭に入ってこない。ただただ考え続けていることはどんなファミリアかという想像。
なんやかんやで時間を潰そうとしたが結局約束の時間よりも1時間早く工房が飛び出した。
これから待っている悲報を知らずにーー
ーーヴェルフが地面に伏せるまで約半刻ーー
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随分と早く約束場所のホームに着いたヴェルフは取り敢えず
「ヴェル吉、そんなに落ち着きがなくどうしたのだ?」
振り向くとヴェルフが心の中で尊敬する恩師がいた。ヘファイストス・ファミリア団長、『椿・コルブランド』。Lv5の冒険者でありながらオラリオの誇る上級鍛治師でもある人物だ。出会い方が良かったのか今でも懇意にしてもらっている。
ヴェルフはその恩師を視界に収めると返事を返す。
「団長ですか、実はーーーー」
今までに起こった出来事を話し自分が何故落ち着きがないかの話もする。
「ほう、運が良かったなヴェル吉。その年でテストプレイヤーを取り付けれるのはとても降雨だぞ。」
「はい。分かっています。このチャンスを逃さないです。」
「ウム、後テストプレイヤーはあくまでーーーーー」
「そうですか、ならばーーーーー」
「この剣はこういうところがーーーー」
「いや、自分はーーーー」
「だがーーーー」
「ーーであって、つまりーーーー」
「ーーだーーーー」
「ーーそうーーー」
………いつの間にか団長と雑談していた。ふと、時計を見ると約束まで残り10分だった。
「団長、そろそろ約束の時間なので失礼します」
「そうか、ヴェル吉頑張るんだぞ」
そうして椿は立ち去っていった。
ヴェルフは執務室へと向かう。
ーーヴェルフが気絶するまであと数分ーー
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アスフィは今、執務室のドアの前に立っていた。緊張した顔でドアをノックする。
「いいわよ、入ってちょうだい。」
「失礼します。」
そこには自分よりも更に緊張しているヴェルフと華麗な笑みを浮かべるヘファイストスがいた。
「さっそくだけど教えて貰えるかしら?」
「はい。分かりました。」
ヴェルフはゴクッと唾を飲んでいるようだった。
「まず、テストプレイヤーのファミリアですがーーーー」
ーーヴェルフの意識が遠くなるまで後5秒ーー
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「『ロキ・ファミリア』です。」
ヴェルフは驚いた。言葉で言い表わせない程度に。
あの!?あのロキ・ファミリアに!?オラリオ最大派閥のファミリアに!?
恐る恐るテストプレイヤー本人は誰か尋ねる。
「あの、テストプレイヤーは…?」
「『アイズ・ヴァレンシュタイン』です。」
ハッ!? 何故に!?何故に!?あの『剣姫』だと?
ヤバいぞ!ヤバいぞ!何がヤバいってオラリオの最強の一角だぞ!その人が使う武具が鈍らだったら顔に泥塗ったとしてロキ・ファミリアから目をつけられるじゃないか!?
ヴェルフの頭が整理する前に更にアスフィは言葉をかける。
「そして早くも報告なのですが、魔剣が壊れました」
……………………。
あんなに時間かけたのにか…どんな扱いしたら一週間足らずで壊れんだ…。
「更にロキ・ファミリアから注文なのですが、同じ試験用魔剣を二振りと『最高火力』の魔剣が一振り欲しいそうです」
ヴェルフは同じ魔剣を打つのにどれほどの労力がいるのか、とか第一級冒険者が魔剣を振るってダンジョンを崩壊させる図を想像するとかを薄っすら考えーーーー
ヴェルフは考えるのを止めた。
ヴェルフの めのまえが まっくらに なった ▼
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アスフィは地面に倒れるヴェルフを見てこんなことを思った。
これ、どうしましょうか。
楽しんでいただけたでしょうか?
感想、批評お待ちしています。
……ヴェルフの二つ名どうしよう。『
痛えwwダセェww
追記
アンケートは2015/11/1に終了します。