ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか   作:カブタロウ

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約一か月ぶりに投稿です。
凍結したと思った?まだまだ続きます。


まだ、見てる人いるのかなぁ………。


第十五話 ダンジョンにて

エイナと飲み交わした翌日。

ヴェルフはこの日、ダンジョンに潜っていた。

鍛治をするのは…もう…疲れた……。

前日の暴走により鍛治の集中力を使い切ったヴェルフは気分転換の為にもしばらくダンジョンに潜る事にしたのだ。

すっかり行動パターンを覚えサクッとモンスターを斬っていく。自作の太刀は血に染まりヴェルフの黒の着流しは返り血を浴びる。

何回層まで行こうか。今は体を動かしたい気分だから14階層ぐらいでちょっと暴れよう。もちろん安全第一で。

歩き慣れ、目を瞑ってでもいけるような何度も通った道を進む。

……ん?道中のモンスターは?だって?『上層』のモンスターは相手にもならない。それだけだ。

たどり着く『中層』。

出迎えてくれたのは三匹の一角兎(アルミラージ)と二頭の放火魔(ヘルハウンド)だった。

 

「フッ、結構なお迎えじゃないか。」

 

嬉々として太刀を振るう。

オラリオで鍛えられた太刀の腕は流れるように滑らかで素早く命を刈り取る。

一通り振り切るとそこには死骸が転がっていた。

 

「結構【器用】が上がったな…』

 

自らのステイタスを確認しつつ、進む。

 

モンスターを十頭程のした頃だろうか。

前方からドタドタと不規則で騒がしい足音が聞こえてきた。

 

「『怪物進呈(パス・パレード)』か…」

 

緊急回避(エスケープ)』の常套句であるそれは以前ヴェルフも受けたことがあった。

あれは辛かった…。

このまま居ると押し付けられるな。

逃げよう。

 

ヴェルフは上層へと逃げた。

しかしその足音はいつまでも後ろについてきた。

 

「なんだ?あいつらは『押し付け』のを躊躇ってるのか?」

 

ヴェルフは考えた。

もし、押し付けられても今のヴェルフの【俊敏】ならばすぐに撒くことができるし、精々苦戦する程度だ。

……だから甘んじて受けようか。

 

そしてヴェルフと逃げてきた冒険者達がすれ違う。

 

「喰らえや…」

 

一人の冒険者が何かボソッと呟いた。ヴェルフはそれを聞き取れなかった。

そして最後の一人が隣を駆け抜けた途端に『何か』がヴェルフに投げつけられた。

 

「!?何だ!?」

 

しかし反応が遅れ『何か』は服に付いた。

その途端に匂い始める独特の異臭。しかし『異臭袋(モルブル)』のような酷い匂いではない。

その匂いは『生肉』だった。

『生肉』とは狩りの効率を上げるためのモンスターを引き寄せるトラップアイテムの事であり、ましてや窮地に投げつけるものではない。

更にそれには特殊な薬品を使っていたのか中々剥がれなかった。

 

「ッ……!嵌められた!」

 

恐らくこの『怪物進呈(パスパレード)』は故意で行われたものだ。

それも俺を『殺す』ために。

 

「ふざけろ!」

 

だが気付いたところでどうしようもない。

目の前には連れてこられた大群のモンスターに後方からは『生肉』の匂いで釣られてきたモンスターの足音が聞こえる。

 

「絶対生き延びてやる!」

 

『生肉』の効果が切れるまで30分ある。

それまで殺し続ければいい。

 

「うおおおおおーーーーーー」

 

_____________________________________

 

 

しかし、意気込んだはいいが、所詮『中層のモンスター(なれたあいて)』だった。

習性、特徴、行動パターン。そこから割り出される弱点。

…頭数が多いだけで戦い難いだけだった。つまり楽勝だった。

 

「なんだか、拍子抜けだな…」

 

相手をする片手間、呟ける程余裕が出来たときだ。

 

ヒュン

 

風を切って飛来してくる。

今度は飛びのいて回避する。

 

ストン

 

『矢』が地面に突き刺さった。

 

「おい、嘘だろ…」

 

俺が知っているなかで『矢』を扱うモンスターなど聞いたことがない。

つまり意味するのは、『人間』による攻撃だという事だ。

素早く視線を向ける。

 

…やはり冒険者だ。それも複数。

その手には矢をつがえられた弓を持っていた。

ってもう撃つのかよ!?

 

「撃てぇ!」

 

一斉に放たれる矢。

勿論狙いは周りの魔物ではなくヴェルフだ。

魔物ごと巻き込んで雨のように降り注ぐ矢。

 

「クソッ!」

 

おかげで魔物は殆ど死んだが、代わりに冒険者が突撃してくる。

咄嗟に腕にあるファミリアのエンブレムに気づく。

あれは…『ソーマ・ファミリア』!?何故だ!?

思考を働かせようとするが、問答無用で襲いかかってくるため余裕がない。

 

ッ……!仕方ねぇ!『あれ』を使うか…。本当は使いたく無いんだかな…。

 

唐突に自身の太刀を地面に突き刺す。

 

「む?臆したか!」

 

「いいや?死んでもらうと駄目だからだが?」

 

「フン!戯言を!問答無用だ!全員で始末せよォー!」

 

「恨みは無いが『報酬』の為だ。死んでもらう!」

 

次々に襲いかかる冒険者。

しかし、ヴェルフは意に介さない。

自身の魔力を集め、詠唱式を紡ぐ。

 

『荒ぶる怒りを我が身に、猛き力を我が元に、すべての破壊を我が意思に』

 

「【暴走憤怒(フィアフル・エクスハティオ)】!」

 

その途端に魔力の流れが生まれ、ヴェルフの周囲を黒いモヤが覆っていく。

 

「なんだァ!?」

 

そしてモヤが晴れる。

その中心に居たのは『ヴェルフ(ばけもの)』であって『ヴェルフ(ぼうけんしゃ)』ではなかった。

全身に黒いモヤを纏い、目は髪の色よりも真紅の色をしていた。

 

『グルァァ……』

 

そして獣のような唸り声。

 

「う、あぁ……」

 

まるでモンスターの『咆吼(ハウル)』を受けたかのように冒険者は怖気づいた。

 

「お、恐れるな‼︎相手は魔物との戦闘で消耗している筈!行け!」

 

その声で恐怖から目覚めた『ソーマ・ファミリア』達は濁流のように押し寄せた。

更に後方では『魔法』の詠唱を始める。

 

「うおおおおお!」

 

ヴェルフを前に押し寄せる大群。

その様子は『孤立無援』『四面楚歌』『絶対絶命』という言葉がふさわしいと思えた。

しかし

 

『ぎゃああああ!?」』

 

ヴェルフが目の前に現れ殴り飛ばす。

そのヴェルフに向かって襲いかかるが、通路の壁を利用した三角飛びで回避される。

 

「な、何が起こっている!?」

 

高速で三次元的な動きをして翻弄する。

そして一撃で殴り飛ばす。

大人数相手に究極のヒットアンドアウェイが成立していた。

最早、ヴェルフを止められる者は居ない。

 

「魔法部隊準備完了‼︎」

 

「よ、よし。放てぇ‼︎」

 

「奥義『神砂ーーー

 

「ビックバンアタッーーダニィ!?」

 

その刹那、魔法部隊の周囲を黒いモヤが覆い、魔法を発動させる為に集めた魔力を霧散させた。

 

ヴェルフの使った魔法の能力の一つ『強制終了(シャットダウン)』。

その効果は一定範囲の魔法の発動を無効にする。

 

勿論そんな効果など相手は知っている筈も無く、

 

「あいつは、唯のレベル2冒険者では無かったのか!?」

 

場を混乱が包む。そして

 

「ブベラァ!?」

 

リーダーらしき者が殴り飛ばされる。

 

「ズーカーさん!?」

「隊長が死んだ!」「この人でなし!」

「どうするのこれ」

 

統率者の居なくなった軍隊は唯の烏合の衆である。

 

『ァアァアァアア‼︎』

 

ヴェルフを止められる筈も無かった。

 

『ギィヤァアアア‼︎お助けェーーーーーーー

 

 

____________________________________

 

 

 

「………う、あ」

 

目を覚ますと激しい痛みが全身を襲う。

場所は記憶が飛ぶ前と同じダンジョンの内部だった。

前と違うところは気絶した冒険者が折り重なってあちこちに倒れている点である。

 

「この『魔法』はあまり使いたくなかったんだがな…」

 

ヴェルフはこういう理由にはまず、この魔法のデメリットである『耐久』の下降補正。

つまり、身体のダメージが大きくなるのだ。その状態であの身体能力を発揮する為に体に尋常ではない負担が掛かるのだ。

次に『制御不能』という能力。

これを正確に表わそうとするならば、『人格の変容』だ。言ってみれば加減が出来ないということだ。

しかし、これはメリットでもある。実際もし、『制御不能』がないままだとヴェルフは自分自身の動きについていけないだろう。

まだ、未熟な証拠だ。だが成長すればこれが無くなる可能性もある。

今はかなり使いにくいが将来が有望な魔法だ。もう一度言う。今は『かなり』使いにくい。

 

「まあ、とりあえずこいつら(ソーマ・ファミリア)をどうにかするか…」

 

と、考えを張り巡らせたときだ。

前方から規則的な足音が聞こえる。

…ソロの冒険者か。

この階層は初心者が多いためソロはそこまで珍しくないが、うーん。

…手伝ってもらうか。

 

そして白髪に赤目の少年が現れる。

 

「えええ!?なんだこれ!?」

 

場の状況を見て飛び上がる。

 

「おーい、そのお前」

 

「え、僕ですか?……ん?」

 

こちらを見た途端に動きが止まる。

 

「どうした?」

 

「で、でたァああああああああああ!」

 

「え、おい!待て!」

 

走って逃げて言ってしまった。

 

「なんだ?」

 

一度自分の容姿を見る。

黒の着流しは大量の返り血を浴びていて、手にも肌色が無くなるぐらいに赤に染まっている。

今は確認出来ないが顔にも付いているだろう。

しかも、イイカンジに着流しがボロボロで幽鬼的な雰囲気を漂わせていた。

……そういうことか。

 

「はぁ、取り敢えず適当に摘んで『異臭袋(モルブル)』を叩きつけときゃいいか」

 

モンスターに襲われんだろ。匂いはきついがな。報いとして受けやがれ。

 

 

 

 

_________________________________

 

 

 

『一仕事』終えてバベルに帰還する。

工房に帰りながら今回の出来事を振り返る。

 

襲撃してきたのは『ソーマ・ファミリア』。

『ソーマ』に関しては俺は全く見に覚えはないが、あいつらは『報酬』と言った。

つまり雇われたのだろう。

 

誰だ?依頼主は。

 

……分からない。

はあ、これからは周りに気を付けないとな。

 

…なんだって息抜きできたダンジョンで更に気負いしなきゃならんのだ。

もう、疲れたなぁ。

 

ヴェルフは癒しを得る為『豊饒の女主人』へと向かうのだった。

 

「ハァ……」

 

夜になりつつある夕焼けの空に大きなため息を一つ。

そして一言。

 

 

 

 

ダンジョンに癒しを求めるのは間違っているだろうか?

 

 

 

 

 

______________________________________________________

 

 

 

余談だが、この日に会った少年とはまた会うことになるとかならないとか。

 

 

 





これからもよろしくぅ


すまない。一つ言い訳をさせてほしい。
スキルが某運命のゲームの狂戦士のそれなんだが。
当時はそんなゲーム知らなかったんだ。パクリみたいでほんとうにすまない。
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