ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか   作:カブタロウ

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火月ぃぃぃいいいいいいい‼︎‼︎(すいませんでしタァァァァァァ!)

失踪してました。
シャドウバースしてました。存分に罵って下さい。
本当申し訳ありません。


第十七話 修羅の道

ヘファイストス・ファミリアの工房が集まる一角にて。

ヴェルフは自身に与えられた工房のドアを堅く閉ざしていた。

無理矢理作った寝台に寝そべり溜め息を漏らす。

 

「なんだってんだよ……」

 

誰に問う訳でもなく溢れた言葉は工房の天井に吸い込まれていく。

ヴェルフは問う。自分自身に。

これでいいのか?

これでは『あのとき』と一緒ではないか。

ヴェルフは過去、ラキアにいた頃を思い出し始めた。

 

 

________________________________

 

某日。ラキア王国。

 

『血のおかげで成り上がりやがって!』

『どうせ技術なんてないんだろう!』

『お前の所為で俺の剣が売れねぇじゃねぇか!』

『運がいいだけのモグリが!』

 

「やめてくれよ……おまえら……」

 

ヴェルフに対して同業で同期の仲間から掛けられた罵倒。

俺が『魔剣製造』に目覚めてから風向きは変わってしまった。

昨日まで共に切磋琢磨していた仲間が一斉に敵に成った。

そして、何より誰にも自身の技術を認めて貰えなかった。なんでもかんでも『魔剣製造』のおかげだと思われるのだ。

技術を重んじる職である鍛治を行う身としてこれ以上悔しく、悲しいことはなかった。

 

「俺だって……!頑張ったからここまで来たんだ!」

 

「うるせぇよ!黙れ!『クロッゾ』さんよぉ!?」

 

しかし、こっちの言葉になど聞きもしない。もう、友として付き合うことが出来ないのだろうと、そう思った。

そしてヴェルフは工房でひたすら魔剣だけを打ち続けた。周りと完全に遮断された状態で。

友であった者を見返し、自身の技術を認めさせるため。俺が血のおかげだけで成り上がったんじゃないと、そう思わせるために。

そこから今のヴェルフが出来た。至高の魔剣を作るという今のヴェルフが。

でも、やはり独学だけでは限界があった。

あの伝説に残るような威力は出来ない。

だからオラリオに行った。

…今思えばラキアから出たい、そんな思いもあったんだろう。仲間と語らうことも出来ない。物売り出すには商人を通じてだけ。

ラキアとオラリオの暮らしを比べれば、圧倒的にラキアの方が豊かだった。でも息苦しかった。

家族も変わり、友も変わる。結構メンタルにキテいたようだ。

要は、俺は逃げたのだ。周りから。その目を閉じたまま。

 

 

「もう、俺は逃げない……!今度は!今度こそは……!」

 

ヴェルフは決心した。もう逃げないと。真っ向から吹き飛ばしてやると。

時間を確認するため窓をみる。もう随分時が経ち、日が高くなっている。

そしてドアを開けてドアノブに手をかけようとすると、ドアに何処からか反射した光が当たっていた。

その方向を向くと、『火月』があった。

 

「……ああ、行ってくる。」

 

向かうはただ一つ。主神のもとだ。

 

 

_______________________________________

 

 

「……あら、ヴェルフ。突然何のようかしら?」

 

我らが主神、ヘファイストスはゆっくりと顔をあげてこちらをみた。

 

「教えて下さい。」

 

「……何をかしら?」

 

「主神は分かっているはずです。俺が今求めている事を。」

 

「……そうね。分かっているわ。いいでしょう。」

 

そう言うと机の上の白紙を一枚とり、サラサラと何か書きつけていく。

それが書き終わると紙を裏返し、ヴェルフのもとに送る。

 

「ありがとうございます。」

 

ヴェルフがその紙を裏返そうとすると、その動作が主神の手に遮られた。

 

「……なんですか?」

 

「言っておくけれど私は神よ。これでも『子供達を見る目』はあるっていうことを理解しておいてちょうだい。」

 

「……?、分かりました。」

 

ヴェルフは紙を見る。

 

ーー『シトゥイーク・ガロテ』ーー

 

 

 

「……さて、行くか……」

 

ヴェルフはガロテの工房に向かいつつも、何処か犯人がガロテであることに違和感を感じていた。

確か、ガロテはヴェルフとほぼ同じ時期に入った同期だ。

鍛治の腕はそこそこだが金を取る事で有名のソーマ・ファミリアに暗殺の依頼を送れるほど資金があるわけがないのである。それにソーマから送られてきた刺客の数。並大抵の金額でなければあの数は動かないだろう。

つまり、犯人はガロテだけではない。

もっと沢山。さらに言えば同期のほとんどが関わっている可能性がある。

そこまで考えてヴェルフは足を止めた。

もし同期全員、もしくはそれ以上が俺に刃を向けてきたら。

罵詈雑言の嵐を耐えることが出来るのか。

俺にはまだ選択肢はある。

ここから逃げて、ファミリアから逃げて、また新しいファミリアに入る。

それなら一旦この問題はおわる。

 

俺はどうしたい?

 

正直に言えば怖い。またラキアと同じように『消えろ』だの『黙れ』だのの暴言をかけられ、味方はいない。そんな状況が怖くて仕方ない。

ぎゅっと拳を握り締める。

そこには何度も潰れて硬くなった『ハンマーダコ』感触があった。

鍛治師として歩んできた経験が形としてあった。

今までの鍛治の経験は偽りか?

違う。このタコに誓って。

このヘファイストス・ファミリアで生きたいと思った想いは偽りか?

違う。神に誓って。

ラキアの空、世界(かみ)に誓った言葉は偽りか?

違う。この剣に誓って。

逃げたいか?

……違う!この『ヴェルフ・アルゲース』という名に誓って!

俺は『クロッゾ』だった。だけど、違う。後戻りは、もう出来ないんだ。この名を捨てた時から。

 

そうと決まったときには足は自然と動いていた。

迷いは無かった。

 

 

______________________________

 

 

 

持ち物は己で打った剣一つのみ。

鎧も付けず、堂々と。

ヴェルフは同期の工房が集まる街道の裏へと進む。

ヴェルフの姿が街道から見えなくなった時、ヴェルフを囲うようにしてぞろぞろと見知った顔が現れた。

そして正面に佇むこの男。シトゥイーク・ガロテだ。

 

「オメェから来るとはおもってなかったゼェ?ヴェルフ。」

 

「俺もてめぇらが俺を殺しにくるとは思っていなかったがな。ガロテ。」

 

「……ウルセェ!入団早々に椿さんに気に入られ!魔剣を打てて!流れるままに出世街道を登りやがッて!」

 

『そーだ!消えちまえ!』『お前なんかオラリオから出て行け!』

 

「オレはオメェが憎くて憎くて堪らねェ!確かにここで殺したトコロでオレらが出世するワケでもねェ。でもなァ!殺さずにはいられねぇんだよ!」

 

『ここで死んじまえ!』『才能の七光りが!』

 

「……言いたいことはそれだけか。」

 

「んだとテメェ!オメェなんかにゃオレらのことなんてわかんねェんだろうが!」

 

『スカしたツラしてんじゃねーぞ!立場分かっーーーー

 

 

 

「……知るかぁ‼︎」

 

 

 

ヴェルフは一喝する。

 

「今の俺の立場なんてのもお前らの気持ちなんてのも全くしらねぇし分かりたくもねぇ!…確かに俺には『才能』ってもんがある!魔剣がある!お前らに無いモノがある!だがそれに慢心したいことはない!俺の努力なんかお前らは知らなくていい!俺もお前らの努力は知らねえ!だったらどっちが努力してるかなんてものは勝負しかないだろ!」

 

剣を掴み構える。

 

スキルは使わず打った剣。

この剣で。

 

「さぁこい!」

 

「……ダマレェェ‼︎」

 

いつもなら槌を振る音が響くこの界隈ではいつもと違う『鉄』のぶつかる音が響いた。

 

 

『アアアアァァァアアア‼︎』

 

怒号と剣の音だけがこの空間を埋め尽くす。

数刻たった今もヴェルフは血を流しながら剣を振るう。

ガロテは思った。

何故、まだ生きている?

こちらはまだLv1が多いが少なからずLv2もいる。

なのに同じLv2であるヴェルフは生きている。こっちは少しずつだが減ってきている。その中のやつらは戦意を喪失したものがほとんどだ。

なぜか。剣が折られたからだ。鍛治師の息子とも言える存在が死んだのだ。戦意を削がれるものだ。

ヴェルフの剣は折れていない。未だこちらの剣を折り続ける。

殺意は次第に疑問、驚き、恐れへと変わっていく。

いつしかガロテは呆然と、ヴェルフを見ていた。

そして鍛治師に成り立ての『憧れ』を思い出した。

 

『強靭で折れず、何にも負けない剣を打つ』

 

どこにでも溢れる子供のような夢だ。

ガロテはヴェルフがその夢の『剣』そのものであるかのように思えた。

強くて諦めず、誰にも負けない。

ガロテは己の打った剣をみる。

鈍色の曲刀。

前みた時はよくできていると思ったのに今見るとまるで歪曲した自分の性根のようにも見える。

ヴェルフの剣を見る。

刃こぼれはしても決して失われない輝きを持っていると、そう思えた。

気づけば残ったのは己一人。

ヴェルフは勝ったのだ。周りを見れば折れた剣を握った同志たちが座りこんでいる。でもどこか踏ん切りのついたような諦めのついた表情を見せていた。

ガロテはヴェルフに挑む。

自分もこの『剣』を折ってくれるのではないかと期待して。

 

「死ネェ!」

 

剣を打ちあう。

満身創痍のはずなのに勢いは衰えない。

いつしか押され、ヴェルフの渾身の一撃がガロテの剣を捉えた。

ガロテは剣もろとも吹き飛び仰向けに倒れる。

ヴェルフは歩みより剣を上段に構えた。

思わず目を瞑り剣で防御する。

 

コツン

 

弱々しい音が響いた。

ヴェルフの剣は僅かにガロテの剣を叩いたのみに終わりヴェルフはそのまま力尽きたように倒れこんだ。

 

「く……そ……折れなかった……」

 

ヴェルフはそのまま目を閉じた。

ガロテはヴェルフを刺し殺そうと剣を杖に立ち上がろうとした。

 

しかし踵が地面を捉えた瞬間、ポキンと。

中心から剣が折れた。

体重のまま前のめりに倒れる。

 

「しっかり折ってるじゃねェか……」

 

ガロテはそのまま気絶した。

 

 

 

 

「……やれやれ。これだから感情で動くやつは困る」

 

戦意を喪失した鍛治師達を次々に気絶させゆっくりヴェルフによる影があった。

暗闇の中からはソーマ・ファミリア、ザニスが現れた。手には鈍く輝く短刀を握っている。

 

「殺すのは仕事ではないんだが…しょうがない。後から払い戻しを頼まれないようしっかり殺しておこうか。」

 

ザニスは短刀を振り上げる。

 

「……動くなよ。」

 

突然、首に冷たい感触が走り、鋭い殺気が全身を貫いた。

気づかなかった?Lv2の私が?

 

「そのまま短刀を捨てろ。」

 

カランと短刀が落ちる。ザニスに刃物を押し立てた人物は短刀を蹴り飛ばす。

 

「帰れ、今すぐ。」

 

「……分かった。」

 

その人物はザニスを押すと刃物を引いた。

 

「あと依頼はとり消しだ。コレをやる。」

 

ザニスは投げられた小袋を受けとった。その中には依頼金を超える額にはなる宝石が詰まっていた。

 

「……ここは退散させてもらう。」

 

ザニスは暗闇へと消えていった。

 

「ふん。やっと一件落着だ。…主神頼みとはいえちと今回は疲れた。あとはこいつらをファミリアの休養室に運ぶだけか。」

 

太刀を背負った眼帯の女性は気絶させた男達を軽々しく担ぎあげるとそのまま暗闇に姿を消した。

 




構想はあったんすよ。(言い訳)
なにかこうセリフが出でこないんですよね。

……ほんと待ってた人には感謝とともに最大の謝罪を。
すみませんでした。
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