ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか 作:カブタロウ
ちょこちょこ改稿してるのバレバレかぁ。
ちょっと駄文過ぎて書き直したいわぁ。
全身に痛みと疲労を抱えたまま、ヴェルフは目を覚ました。
むりやり体を起こそうにも包帯を巻かれたうえ、激痛を伴い顔を上げることすら叶わない。
「う……いってぇ……」
顔を横に倒してみれば見慣れたファミリアの休養室。
そのほぼ全てのベッドに負傷した男達が寝込んでいた。
そして一番近くのベッドにはシトゥイーク・ガロテが既に目を覚ましていた。
「なァ、ヴェルフ。」
「……なんだ。」
「オレらは強かったか?」
「答えるまでもない。たった一人の俺に負けたことがお前らの強さの証明だろうよ。」
身もふたもない突き放すような言葉でガロテに答える。
「……そうか……なんでったってオメェはそんなに志を持っていられれんだ。自分の芯を曲げずにオレらを跳ね除けれる?」
「……ふん。答えは簡単だ。俺はただ折れずに限界まで曲がり切っただけだ。」
魔剣を打つ才があったために周囲から嫉妬され、排他される。身内からはただ利用され、剣を打つ自由は無かった。
鍛治師の生涯の願いである『己の理想を突き詰めた武具』なんて考える余裕なんぞあるはずもない。
何度魔剣を打つのを止めようと思ったか。止めたところで、なんの解決にもならなくともただ辛かった。
当時は好きだった鍛治が何よりも嫌いだった。
それでも歯を食いしばり、周囲から目を瞑って自分の殻に閉じこもってひたすら打った。打って打って打ちまくった。
そして俺は限られた自由……魔剣を打つ中で『己の理想』を突き詰めた。
生意気にもうっすらと考えていた魔剣ではないもので周りを見返してやろうなんてこと、露と消えていた。
ーーーなんてことはない。俺はずぶとく強欲に『夢』を持つことを目指しただけなんだよ。
ヴェルフの独白を聞いたガロテは諦めを含んだ溜め息をつく。
「あァ、そうか……ひたすら叩かれて鍛えあげられた鉄がこんなことで折れる訳がないか。オレらは叩かれる前に自分で折れ曲がっちまった、カ」
「……折れたならまた熱して新しいのを打てばいい。お前ら鍛治師は折れちまったものをクドクドとずっと持ってるのか?鍛治師なら、んなもん捨てて反省して次を作れ。お前らはそういう人種だろ。」
「ヴェルフ……」
らしくない話をしたからか再び睡魔がヴェルフを襲った。
身体も碌に動かせない状態では睡魔に抗ったところで意味はない。
ヴェルフは照れもあって寝る、と簡潔に伝えて眠りに入るのだった。
「ほんとうに……すまなかった……ありがとう。」
ベッドから反応はなかった。
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それから数日のこと。
「ふむ、そろそろ大丈夫だな。」
団長、椿の看護によってヴェルフは身体を完治させていた。
「何から何まで……恩にきます。」
「ふ、この程度、仕事の範疇にも入らん。何時でも頼るといい。 」
全く頼もしい人だ。
包帯を外してもらい、ベットから降りると久しぶりの地面の感触に身体がよろけてしまう。
……この調子じゃダンジョンに行くまでまだかかりそうだ。
「さて早速だが主神のところへ行って貰う。…理由はわかるな?」
「ええ、まぁ。」
隣のベッドを見ればガロテの姿は無く、男達の姿は一人も残ってはいなかった。
「今すぐにも主神に行かないといけないが….肩を貸すか?」
己の足で歩けない自分を情けなく思いながらも、団長の肩を借りる。
ゆっくりと歩みを進め、ギルドにが見えた頃、椿は尋ねた。
「今からお前に主神が尋ねられることは、お前にとっては酷なことかも知れない。でもこのことはガロテ達のケジメをつけるのに必要なことなのだ。剣は鍛治師の鑑ゆえ、迷いがあれば芯の通った剣は打てぬ。神の前だ。嘘は通じん。お前は自身に嘘をつくでないぞ。」
椿が言い終えたとき、主神の部屋を閉ざす扉が目の前に聳えていた。
ノックをするまでもなく扉の向こうから声が届いた。
「来たわね?ヴェルフだけ入ってちょうだい。」
「あとは任せたぞ。」
ヴェルフは単身部屋に入り、扉は閉じた。
部屋にはあの男達が俯いてドアを挟んで並び、中央には主神が座りその横ではガロテが腕を組み瞳を閉じていた。
ヴェルフは黙って歩き、ガロテの丁度主神を挟んだ反対側に立つ。
「さて、ヴェルフ。貴方に一つ尋ねます。」
部屋はしんと静まり、あらゆる音が消える。
「貴方は主犯のガロテ、また他の人にどのような処罰を望むかしら?」
神の残酷な質問。この質問は娯楽に飢える神の『遊戯』も含まれているのかもしれない。
真実を見る神の片目がヴェルフを見据える。どう足掻いても本心は暴かれるのみ。
ヴェルフは息を深く吸い、喋りだした。
「俺は、ガロテらにどのような処罰も求めません。」
「…その心は?」
不敬と知りつつも、あえて不遜な態度で神に言う。
「俺は自身に課せられた試練をこなしただけです。」
「……どういうこと?」
「俺は言いました。壊れない魔剣を作る、と。」
壊れない魔剣。それは未だこの世界に存在しない架空の物。存在自体が矛盾する物だ。そんな代物はただのヒトが作られようはずがない。それができるのは物語にうたわれる英雄、ましては神その人ぐらいだろう。
だったらなってやろう。英雄、神、奴隷、狂人だろうがなんだろうが。
そしてヴェルフはこう告げた。
「俺は
ヴェルフの言葉は表面上では丁寧だった。しかしその裏には禍々しい程の野望が見え隠れしていた。それは神でさえ一瞬言葉を忘れる程の覇気。鞘から放たれた刀の様な鋭さがあった。
ヘファイストスは予想を超えていたヴェルフの反応に内心驚きを隠せなく、ヴェルフに魅せられた。
なんて不遜なの。なんて勇ましいの。今までの子供達にこんなヒトは居なかった。私に認められたいという子供達は多く居た。でも神を超えるなど冗談でも私に面と向かって告げたヒトは居ない。
……私が求婚されたことはままあれど、ここまで魅せられるなんてね。下界の子供達に執着するフレイヤやヘスティアの気持ちがわかったかもしれないわ。
「……貴方は、ヴェルフはそういう人だったわね。」
場が静寂に包まれる。
静寂を破ったのはヘファイストスだった。
「……ふふ……ククッ、アハハ!本当に面白いわね、貴方。下界の中で私達を超えようなんてヒト今まで見たことないわ。いいでしょう。私は全面的に貴方の発言を認めましょう。」
「ありがとうございます。……主神に対しこのような無礼、申し訳ありませんでした。」
あれ程の覇気を出しておきながら最早、形だけではあるが非礼を詫びる。
失笑している主神を見やって、ヴェルフは満足気に部屋を後にした。
「また、大層なことを言い放ちおったな。ヴェル吉。」
「聴いてたんですか、団長。」
ドアをから出ればニヤニヤと笑う団長がいた。
その笑みは決してヴェルフを馬鹿にしているわけではない、挑戦的な笑みの様に感じた。
「神を超えるといったが、まずはこの私を超えてもらわんとな?」
「……当然ですよ。すぐに超えてやります。俺自身の魔剣で貴方を打ち破ってみせます。」
「私に面向かって挑戦を叩きつけていって負けたいった奴は大体そんなことをいっていたな」
椿はヴェルフを挑発していく。『洗礼』のために圧倒的な力量差が分かっている相手に対して少々大人気ないとも言える煽り。
ヴェルフは神に言い放っていたこともあり、怒り混じりで普段なら絶対にしない様なことを言った。
ようは、ヴェルフは吹っ切れた。
「俺を普通の鍛治師と思わないでもらいたい。俺は『魔剣鍛治師』。並び立ち、超えてやる。首を洗って待っていろ。『椿』。」
そう言い捨て、ヴェルフはさっさと歩き去った。
「……ふん。私を呼び捨てとは、強気にでたな。ヴェルフ」
立ち去るヴェルフの背中に呟いた、その時だった。
不意にその背中が力を失ったように倒れた。
「どうした、ヴェルフ!?」
「すみません、肩を……」
病み上がりのヴェルフにかっこよく素早く立ち去る体力はなかったようだ。
「全く、しまらない男だな」
「全く、情けねぇ……」
ヴェルフは照れで顔を伏せて気づかなかったが、この時椿の頰はいつもより少しばかり赤かったとかなんとか。
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私は一頻り笑うと、部屋に残るガロテ達を見やる。
ガロテ達の様子は三者三様だ。未だにヴェルフの発言に呆気に取れている者、処罰に顔を青冷めている者、目を瞑り俯瞰して状況をみる者。
「それで?貴方達はどうしたい?」
全員に投げかける問いに彼らは戸惑う。当然処罰されるために来たのだ。何がしたいなど考えていようはずもないだろう。
唯一、これからの方向を定めていたガロテが私の前に歩み寄る。
そして面と向かってこう言った。
「オレらをドン底からやり直させてクダサイ!」
ガロテの願い、それは
一度完全にファルナを主神によって削除してもらう。
そして新しい
「……そういうこと、ね。貴方は全て最初からする、ということかしら。……死ぬかもしれないけどいいの?」
レベルアップの身体能力の差は大きい。つまりレベル2のガロテがレベル1、それも最初の頃に戻るとなると意識と身体能力の違いが何かしらアクシデントを起こすだろう。それが死に直結するのがダンジョンである。
「構わナイ。それぐらいシナイとアイツと同じ鍛治師だって言えナイ、デス。」
「ええ、わかったわ。それじゃあ後ろの彼らはどうするの?」
『アニキ……』
「……オメェら、頼む!オレについてきてクレ!我が儘なのはワカッテル。でもオレ一人じゃあ無理だ。人は一人だけなら甘えてきっとまた同じ道を辿る。でも同じ思いをしたオメェらとなら新しい何かを得られる気がするんダ。だから、この通りダ!」
命令はあってもこれほど本気の懇願は初めてだったのだろう。
彼らには多少なりとも困惑の色が見える。
でも、自分たちの兄貴分を一人で行かせるなんてことはできなかったのだろう。
これでも私が選んだ
「俺はたとえ地の中水の中!兄貴についていきます!」
「ワイやてずっとついてきますわ!」
「足を引っ張るかもしれないけど、自分もついていくっス!」
「ワッチも!」
静まり返っていたのが嘘のように騒がしくなる。
誰もがガロテと共に行くことを決めた。
このことを通じて、一皮剥けることを私は願う。
「さぁ、早速始めましょう。思い立ったが吉、と椿は言っていたわ。もう一度死線をくぐってきなさい!」
きっとこの全員が揃うことはすぐになくなるだろう。ダンジョンはそんなに甘くはない。罠に嵌められ誰一人として帰ってこないこともあるだろう。
それでもいま彼らには以前なかった情熱がある。この熱せられた彼らは様々な、脅威に叩かれて強くなって戻ってくることに期待していたい。
ヘファイストスは
多分三話ぐらいはエタらずにいける。と思います。