ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか 作:カブタロウ
【注意】少しグロ要素があります。
ヴェルフはホームの臨時用の病室で目が覚める。
身体を起こし、自分の身体に火傷がない事に気付いた。誰かがポーションでも使ったのだろう。『洗礼』のときの怪我用に用意していたのかもしれない。顔も知らない人に心の中で礼を言う。
ヴェルフは周りを見渡し窓の外を見ると今が昼である事が分かる。
「そういえば、俺は『完敗』したんだったな……」
『洗礼』の事を思い出し悔しさに顔を歪ませ拳を握る。ヴェルフ渾身の作品は
何をしようか。ヴェルフの夢は壊れない魔剣だ。しかし鍛治師をする以上【鍛治】スキルは必須だろう。このスキルは派生スキルにあたるのでランクアップをしなくては習得出来ない。時間も時間なので今からダンジョンに潜ることはできないがダンジョンを管理しているギルドで冒険者登録しなくてはダンジョンに行けないのでダンジョン探索の準備を兼ねつつ、冒険者登録をしようとベッドから立ち上がる。
しかしヴェルフは朝から何も食べていないので
ぐー
と腹が鳴る。
ヴェルフは僅かに頰を染め、周りに誰もいない事を確認する。ほっと安堵し、まずは腹を埋めようとホームの食堂へ向かった。
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ホームを出て北東のメインストリートをバベルに向かって歩く。
バベルに着くとオラリオの中心にあたる広場が眼前に広がる。待ち合わせでもしているのだろうちらほらとただ立っている男女が見受けられる。なぜかわからないが魔剣をぶつけたくなったヴェルフだった。
バベルの中に入ると昼時だからか人はあまりいなかった。どこで冒険者登録をするのかわからずキョロキョロしていると前から人があるいてきたのが見え話しかける。
「スイマセン。少々お聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」
その人は女性でセミブロンドの髪をし眼鏡という補助具を付けていて、耳が尖っていることからおそらくエルフであろうと推測する。
「あっ、ハイ。何か御用でしょうか?」
「冒険者登録はどこですれば良いのでしょうか?」
「それでしたらそこのカウンターで受けてもらえればいいですよ。…私が対応しましょうか?」
「えっ、いいんですか?じゃあお願いします」
ギルドの職員であろう人の流れるような対応と終始笑顔な事に「これがプロの技か……」と舌を巻く。カウンターへ着くと先程の女性から次々と書類を渡されるが一つ一つをしっかり確認し、印を押す。
「では、最後に所属ファミリアと名前を書いてください」
ヴェルフは「ヘファイストス・ファミリア」、「ヴェルフ・アルゲース」と書き冒険者登録をおえる。
ギルド職員の女性は一つ咳払いし、微笑みと共に
「最後に一言。 ようこそ、迷宮都市オラリオへ。私達ギルドは貴方を歓迎します」
と言った。
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冒険者登録を終えたヴェルフは、バベルの中の冒険者用掲示板へと向かう。この掲示板には
ーーパエトン・ファミリア所属。モルド・ラトローLv2にランクアップ!ーー
ーー【警告】盗人サポーターのキャットピープルがいる!気をつけろ!!ーー
ーーアストレア・ファミリア所属。リュー・リオンLv4にランクアップ!ーー
ーーギガース・ファミリア所属。エレン・イェーガーLv2にランクアップ!ーー
ーー
…どうやらないようだ。諦めようとしたとき、一つのニュースが目に入る。
ーー【速報】『クロッゾ』、夜逃げする。ーー
先日、未明。押しかけた冒険者によって家がもぬけのからだった事が確認された。
『クロッゾ』の家系は魔剣で有名だったが近年では打つ者がなくなり、没落していた。しかし『ヴェルフ・クロッゾ』という天才的な魔剣鍛治師が産まれ、その勢いを取り戻していた。
その『クロッゾ』は三日ほど前から魔剣の発注を無視しており、突如として行方をくらませたらしい。この事についてラキア王国第一王子マリウス・ウィクトリアス・ラキア氏はーーーーーー
ヴェルフ・アルゲースはこの記事を見て心の底に苦いものを感じた。自分の選択に後悔はないが、仮にも自分の親だ。生きていて欲しいと思う。身勝手だろうか?いや俺はもう『クロッゾ』じゃない。ヘファイストス・ファミリアのヴェルフ・『アルゲース』なんだ。どう思おうと自由だろう?
ヴェルフは自己完結してダンジョン探索の準備を進める……ーーーーー
バベルを出て次はインゴットを扱う店に向かう。ダンジョン用魔剣を打つためだ。手頃な価格のインゴットを適当に見繕い購入する。ついでにと近くの路地で見つけた『青の薬舗』という店でポーションを買う。そこは商業系ファミリアだったのだろうそこの主神を名乗る男と
最後にダンジョン関連の本を買い、工房へと戻った。
工房に着いたヴェルフは早速魔剣を打ち出す。妥協はしないが今日は他にもやる事があるのでほどよいところで魔剣を打つ手を止め、二振りの魔剣を作製する。
その頃には外が暗くなっており、ヴェルフは飯を作って明日のダンジョンの準備をする。やる事をすべて終えたヴェルフは買った本を読みながら眠りに落ちた。
早朝に目を覚まし、凝り固まった体をほぐす。ラキアからもってきたライトアーマーとを身につけ魔剣を腰に差すと、魔石回収用のバックパックを持って自作の太刀を担ぐ。ヴェルフはバベルへと歩き出した。
メインストリートを抜け、バベルに入りダンジョン初挑戦ということでカウンターで手続きを行う。こうもサクサク進んだのは人混みを嫌うヴェルフが早朝に出発したのが功を成したようだ。
カウンターの職員から注意事項と連絡を聞く。
「まず、ダンジョン内での取得物は見つけられた方に権利が発生します。次にーーーー」
ヴェルフは聞きのがさぬよう集中する。
「最後に
すると職員は「チュールさーん。 」と冒険アドバイザーたる人物を呼ぶ。
「はい。冒険アドバイザーを務める『エイナ・チュール』です。よろしくお願いします」
現れた人物は昨日冒険者登録をしてくれた女性だった。しかし一日何百人という冒険者を捌くギルド職員はただ登録しただけの人物を覚えているはずもなく、ヴェルフのことを覚えていなかったのだった。自分が一方的に知っているというなんとも言えない虚しさを感じながらも名前を名乗る。
「『ヴェルフ・アルゲース』です。こちらこそよろしくお願いします」
手続きを済ませたヴェルフはダンジョンへ足を踏み入れる。
冒険者の誰もが通る1層は強力なモンスターがおらず、一部屋一部屋が広い。初心者がモンスターとの立ち回りを練習するのにぴったりな場所である。一歩一歩足を踏み出しつつ、周りに警戒をする。最初の広間に着くと一頭の「ゴブリン」を見つける。オラリオに着く前に見たがダンジョン内の方が一回り大きいようだ。
基本的に知能が高いモンスターを除き集団で動き回るモンスターは少ない。(一度に大量産まれることはある。)知能が低いと連携をとるのが難しいからだ。
このゴブリンも例にもれず一頭で行動していて、後ろを向いているためヴェルフに気付いていない。太刀を構えて少しずつ距離を詰める。ゴブリンは後ろの存在に気付くと襲いかかってくるが横に体をずらして突進をかわし、後ろから蹴りを叩きこんだ。しかし
ゴブリンはすぐに体制を整えまた突っ込んでくる。今度は斜め前に体を踏み込み、すれ違う様にして太刀を横一文字に振り抜く。相手が突進で勢いずいていたからか、反作用の法則によってあっさりと首を跳ね飛ばす。
元々頭があった場所からは鮮血がほとばしり脳という感覚器官を失ったゴブリンの体は地面に倒れる。割と簡単にゴブリンを殺すことができたヴェルフは多数と戦闘しないことを厳守してダンジョンに慣れるかと考える。そしてサポーター・グローブを付け、ゴブリンの死体に片手を突っ込み心臓にほど近い場所の魔石を取り戻し死体が灰になるのを確認する。魔石をバックパックにしまうと太刀を持ってモンスターを探し始めた。
次に見たのは壁から産まれでる「コボルト」だ。壁に罅が入ったかと思うとボロボロと壁を壊して全身に体毛を生やした犬頭のモンスターが現れる。
その姿は先程のゴブリンよりモンスターらしい野性味を感じさせた。コボルトは産まれてすぐ
同じように魔石を回収し新たな獲物を探す。
進んだ先の広間にいるのはニ体のコボルト。これくらいの数なら大丈夫かと判断し、コボルトに襲いかかる。コボルトらはすぐにヴェルフに気付き挟み撃ちで同時に突撃する。ヴェルフはまず、右前方のコボルトの腹を刃が深々と貫通するまで突き刺す。
そして後方のコボルトに太刀に突き刺さったままのコボルトを横からぶつけて転倒させる。そのまま転倒したコボルトを真上から突き刺し殺す。
太刀には血みどろのニ体のコボルトの死体が突き刺さっていた。ヴェルフは太刀を勢いよく振り抜き死体を飛ばす。魔石を回収し血が滴り落ちる太刀を担いでモンスターを探す。
ヴェルフは決して無理をしない程度にあと十体ほど殺し出口へと向かった。その頃には大勢の冒険者がダンジョンに訪れていた。
バベルにてエイナからアドバイスを受け、集めた魔石を換金してシャワーを浴びて血を流す。
バベルを出て空を見上げると太陽は沈みかけ青空は綺麗な茜色へと染まっていた。
お気に入り100突破ァアアアア!!ヤッタネ☆
今回は微妙にシリアスを入れました。そして第六話にして初のダンジョン。
ていうか第一話からアスフィの伏線建ててるのに回収出来無い…。
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