ヴェルフが魔剣を強くするのは間違っているだろうか 作:カブタロウ
ただし少し見苦しいところがありますので注意して下さい。
今日も今日とてヴェルフはダンジョンに潜る。
「……フンッ!」
手に持った太刀で2~4階層出現モンスター『ダンジョン・リザード』の細長い胴体を真っ二つに切り裂く。
『グギャア!』
ダンジョン・リザードは鮮血を撒き散らし断末魔を上げ物言わぬ屍と化す。魔石を取り出しバックパックへと入れる。屍は灰となって散った。
「そろそろか…」
2~3層辺りで魔石とドロップアイテムでバックパックの半分くらいに入った頃に帰還を始める。するとヴェルフは出口付近の大きなカーゴに気付いた。
「ん?」
疑問に思って近づいていく。
ガタン‼︎ガタガタガタ
「うおっ!」
思わず飛び退く。中からは唸り声も聞こえる。あのカーゴには魔物でも入っているのだろうか?しかしダンジョン内の魔物を外に出すのは禁止の筈なのだが…?
よく見るとカーゴには『ガネーシャ・ファミリア』の紋章があった。近くにギルド職員がいるし公認で捕らえているようだ。それを見ている冒険者もザワザワと騒いでいる。
近々、ファミリアの主催の大きな催しでもするみたいだな。と考えた。
ダンジョンを出て魔石とドロップアイテムを換金する。『何故か』武具が中々売れないからこれだけが収入源である。いいのが出来てると思うんだがなぁ…。まあ、収入が安定してきたし『鍛治』スキルを習得したら売れるだろう。
そして一日の最後の『
カリカリカリカリカリカリカリバキッカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリーーーー
『
『いらっしゃいませー!』
店内の活発な雰囲気に少し元気を貰う。
「また来たのかニャー?」
「…ああ。唯一の俺の癒しだ……」
そう答えて最近のマイブームである『麦芽酒』という酒を注文する。先ほどのキャットピープルの少女の名は『アーニャ』。本人に聞いたわけではなく周りがそう呼んでいただけなのだが。
「ヴェルフさん、いらしたんですか?」
酒を飲んでいると、この酒場の一番の目的の少女がやって来る。
「応、お邪魔している。『シル』。」
オラリオでの最初の知り合いになった少女だ。
「最近というか前々から具合が良くなさそうですが何かあるんですか?」
「(ビクッ!)………いや、まぁ…な…。色々あるんだよ。」
「そ、そうですか…。あっ!そういえばクロエの面白い話があるんですよ。」
「ほう?」
「えっとクロエがアーニャにーーーーーーーー」
「ハハッ!あのクロエが?」
「そうなんです。フフッ。」
二人で笑い合う。嗚呼、ただのこの会話が途轍もなく癒しだ。
(彼らは気づかない。この二人の初々しいほのぼの空間が『豊饒の女主人』常連冒険者達の間で憎めないことで名物となっていることに。)
ダンジョンでの出来事を思い出したヴェルフはあの『カーゴ』のことを何か知らないかシルに聞く。
「ダンジョンに『ガネーシャ・ファミリア』のカーゴがあったんだが何か催しでもあるのか?」
その途端にシルの体がビクッと跳ね上がる。そして若干ぎこちない様子で問いに答える。
「え、え〜と、それは『
曰く、あのカーゴの中にいたのは魔物で『
「ヴェルフさん!一緒に行きませんか?」
顔を赤くしつつも綺麗な満天の笑みでヴェルフを誘った。俗に言う『デート』というやつに。対するヴェルフは
「お、応。い、いいぞ……」
若干顔を赤くし少なからず動揺していた。
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ヴェルフはこの日のダンジョン探索を休み工房にも篭らずバベル前の広場で人を待っていた。その広場には同じ様に人を待っている人が普段より多く逆にダンジョンに行く冒険者は殆どいなかった。
ヴェルフはいつもの黒の着流しではなく外から来たジーンズという履物とジャケットと呼ばれる黒い上着を羽織っていた。赤い髪と相まって中々に映えている。だが、
「………………………」(トントントン)
貧乏揺すりが止まらずソワソワしていた。
ヴァリスも貯めてきたし、時間より早く来て準備は万全だ。でも男女で出かけるなんて初めてだぞ!?どうすればいいんだ!?
顔からは分からないが内心とても緊張していた。
暫く待つと人混みの中からチョコンと薄鈍色の髪に麦わら帽子が見える。それは人混みの間を上手くすり抜けどんどん近づいてくる。あれは……?
「おはようございます。ヴェルフさん。」
シルだった。しかしいつものエプロンでなく白いワンピースという服を着て薄鈍色の髪をポニーテールとか言う結び方をしており、後は小さな鞄と幅広の麦わら帽子を被っていた。
少し見惚れていたが挨拶をされていることを思い出し返事を返す。
「あ、ああ。おはよう、シル。」
「ヴェルフさんはいつもの格好と違ってびっくりしました。」
「そう言うシルも違って可愛いぞ。」
「そ、そうですか。」
「お、おう。」
周りの人の目がだんだんと生暖かくなってくる。
その視線に気付いたヴェルフはその場を離れたくなり
「おい、行くぞ。」
「あっ…」
ヴェルフはシルの手を掴んで引っ張っていった。
暫くシルを連れて歩き闘技場の周りへたどり着く。
「おお、すげぇ……」
至るところで出店がでて匂いを振りまき、前いった市場とは比べられないほどの喧騒で溢れる。
「美味しいクレープ、八〇ヴァリスだよー!」
「出来立てのお好み焼きだぜー!」
「これから毎日肉を焼こうぜ?」
「麦芽酒ですよ麦芽酒!ばっちり冷えてますよー!」
このいつもとは違う非日常の雰囲気に気圧される。そしてやっと自分がシルの手を握っていることに気付いた。
「フフッ、さあ!どんどん回りますよ。」
さっきとは逆に手を引っ張られる。何故かシルに対抗心を燃やしたヴェルフはすぐに距離を詰め相手と肩を並べて歩くのだった。
「まずはこれを食べましょう!」
シルが指をさしたのは薄い生地を焼きフルーツやクリームを巻いて食べる『クレープ』というお菓子だ。甘いものが好きではなかったがこんなところで合わせないのは無粋かと思い『二人分』購入する。
「ほら、食え。」
「あ、ありがとうございます。ヴ、ヴァリスヴァリス。」
「ヴァリスはいらない。俺が勝手に買ったんだ。受け取ってくれ。」
「ハイ…」
「あそこのベンチに座って食べるか。」
そう言って二人でベンチに座ってクレープを食べる。ただし、ヴェルフは右手をシルは左手をお互い握っているので片手で。一度離そうしたがそうしかけた瞬間に強く握られ離すに離せなくなった。
大口で先に食べ終えたヴェルフはシルのクレープを食べる様子を見る。
小口でチビチビと食べる様子はまるで小動物のようで可愛らしい。唇のクリームを舌でちろっと舐めるのも中々愛らしい。
こんな可愛らしい子と知り合いってのも悪くないな。」
「えっ……」
シルが固まった。少し顔が赤い。もしかして俺の声出ていたか!?
自分の考えていた事を思い出し、赤髪に勝るぐらいの勢いで顔を赤くする。
シルは再起動するとぎこちないロボットのような動作でクレープを食べ始める。
そのベンチには方や顔を赤く染め、方やカクカクの動きでクレープを食べる奇妙な空間ができた。
あと五つほど出店を回り
そして暫く待っていると
ブーーーーーーーー
『お待たせ‼︎みんな!
『うおぉおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎‼︎』
『キャーーーーーーーーー!』
シルも含んで大歓声が沸き起こる。
『今回司会・進行を務めるケネル・ラーーーーーー』
『俺がガネーシャだ‼︎』
『おい!まあいいや。さあ!早速
闘技場に鞭を持った
トロールは
衝撃の勢いで巨大を押し倒し一旦距離を取ると鞭をしならせピシャリと音を鳴らす。トロールは怒りで目を血走らせ凄まじい勢いで距離を詰め腕を薙いだ。
パシッパシッ!
『ぐおぉおおおおお!』
トロールは痛みで体をよじる。その顔を更に怒りで歪めると無茶苦茶に暴れだす。
鞭は近接武器の中で攻撃が一番難しいが速い。音速を優に超える攻撃は常人の目には捉えられることはない。
一瞬で無数の攻撃が入る。
『ぐぎぃやぁあああああああああああああああ‼︎‼︎』
トロールは悲鳴を上げ地面に倒れる。やがて顔だけ上げ
『うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼︎‼︎』
再びの大歓声。
凄ぇ、あの凶暴なモンスターを手なづけやがった。
興奮冷めやらぬままに次のショーが始まっていく。
『さぁ次はお待ちかね!バトルボアの
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「凄かったですね!」
フィリア祭が終わりシルが興奮のままに話しかけてくる。
「ああ!」
かくいうヴェルフも興奮が止まっていなかった。
「いや〜まさかあそこであれがああなるとは。」
「ククッ、そんなのもあったな。」
二人で感想をしゃべる。
「来年もまた来ましょうね。」
「……そうだな。」
ダンジョンで死ねない理由が増えた。
二人が歩く通りには祭りの片付けが始まっていた。
うわぁああああああああああ!黒歴史だぁああああああああ!
キャラのコレジャナイ感が激しい。
書いててめっちゃ苦しかった。しかもいつもと同じ文量になった。スイマセン。
次話は話を急展開させます。待っててね!
感想・批評お待ちしています。