Emotoin monster ~感情の舞い~ 作:夢見る座禅組
―――あれ…?俺は…一体…何を…
―――さっきのは、夢なのか?
少年はぼやける視界に入る情報をできるだけ脳につたえる。
―――ここは…うーん…ここは……
「やっぱり、俺ん家じゃねぇな…」
「あら、やっと起きたのね。」
「…あ!おいあんた!さっきの!俺けがしてるらしいのに何してくれるんだ!」
「うっさいわね!あなたがいきなり慌てるからいけないのよ!」
「悪いのは俺なのか!?」
「そうよ!あなたがいけないのよ!」
「あの状況を飲み込むほうがむずかしいだろうがっ!」
「「ああもう!!あったまきた!!」」
ホォゥゥー…
どこにいるのか、二人の間にフクロウの鳴き声がする。外はまだ夜の帳が下りている。
「…い、いったん落ち着こうぜ。」
「…ええ、そうしましょうか。」
「なあ、あんた…あんたってのも、なんだ。名前は?」
「私は博麗霊夢。あなたは?」
「俺の名前は 鬼怒刈 悠(きぬがい ゆう)だ。よろしく、えっと…博麗さん」
「霊夢、でいいわ。苗字に加えてさん付けだなんてこそばゆいじゃない。私もあなたのことを悠って呼ぶわ。」
「そうか。じゃあ、改めてよろしくな、霊夢。」
「ええ。よろしく。」
「いくつか、質問していいか?」
「ええ。」
「えっと…まずここはどこだ?」
「日本」
「知らない場所に突然来てしまったから焦ったけど…そっか、日本なのか。もう少し、具体的に。」
「じんじゃぁ。」
「これはどういう状況だ?」
「見てのとーりぃ」
「俺の今のこの状況は一体?」
「さあ?」
「じゃああんたは何者だ?」
「ひと」
「…」
「…」
…
……
………
「そんなんでわかるかよ!?」
「私はあなたの質問に答えてあげただけじゃない!」
「もっと誰にでもわかるように言ってくれよ!」
「逆になんでこれでわからないのよ!?」
「普通分からねえよ!」
「こんなの誰でもわかるわよ!」
「常識的に考えてわからねぇよっ!」
「これが私の常識なのよっ!」
「テメーの常識はおかしいんじゃねぇのか!?」
「「ああもう、あったま来たー!!」」
「…」
「…」
「…はぁ。仕方ないわね。いい、一回しか言い直さないわよ?」
★
まず、ここは「幻想郷」っていう場所よ。幻想になったものや、忘れ去られた「もの」達が辿りつく場所なの。
「俺って、その『幻想』、とやらになったのか?」
勿論例外もあるわ。たとえばあなたよ。あなたのように迷い込んでくる人や物もあるの。まぁ、人だったら基本的には「あっち」にかえしているわ。
「『あっち』って何のことだ?」
あー…面倒くさいわね!
「仕方ねぇじゃんかよ」
あっちっていうのはあなたのいた世界…というか、空間というか…まあそういうことよ。こっちでは「外界」とも呼んでいるわ。
それでね、幻想郷っていうのは「外界にとっての幻想」となることで、初めて存在できるの。
だからあなたたち側の人間に気付かれてしまったら、それはもう「幻想」では無くなってしまうでしょ?幻想郷はあなたたちから「幻想郷?そんなものないよ」って考えられているからこそ、幻想のままでいられるの。
…ちょっとわかりづらかったかしら?例えば龍、ドラゴンよ。これだと考えやすいんじゃないかしら?龍はこの幻想郷に存在するんだけど、なぜか知ってる?龍はあなたたちからすれば「そんなものはいない」って言われるでしょ?つまり、龍は幻想の中のものよ。そんなふうに、幻想郷っていうものはあなたたちには相手にしてもらえない話だから「幻想」となって、こうして存在しているのよ。
「その『幻想郷』とかいうこの世界は、日本にあるって言ったよな?」
「ええ。…といっても、ある山の一部よ?」
「じゃあ、どうしてこの世界は、こうやって存在できているんだ?日本の中にあるのなら誰か一人には気付かれたりするもんじゃないのか?」
そうね。でもこの世界は「この結界の外から気付かれる事の無い」という加護を受けた結界で覆うことで、その姿を「見つからないようにしている」の。だからこの世界は、あなたたちの世界では明るみに絶対に出ないようになっているわけ。そして、いまも「幻想」として確かに生きていけている…というわけ。
ちなみに、その結界を「博麗大結界」って言うの。管理者は二人いて、その一人が博麗の巫女である私なわけ。
「こんなのが巫女か」
「あぁ?」
「…あ、いや…じゃあ、なんで俺はここにいるんだ?結界があるなら迷い込むことすらできないだろ?」
二人で管理しているっていってもね、基盤とかを管理しているのは私なの。その結界は少し特別でね。
普通、結界やお札には、所有者の「ちから」が込められているの。人間なら「霊力」、妖怪種なら「妖力」、魔女や魔法使いなら「魔力」、神なら「神力」…みたいにね。あ、私はれっきとした人間よ?
私たちみたいに、生きている者が管理している結界なんだから、与える「ちから」もその日の調子によって変わってくるのよ。つまり、結界の放つ「ちから」も、管理者のその日の調子のよって変わってくるの。
「つまり…?」
つまり、あなたが迷い込むことができた理由は、「たまたま今日の私の調子があまり優れていなかった」っていうことじゃない?
「『じゃない?』って…」
★
「他にも、結界を破ったりすることだってできるのだし…」
「俺を疑っていると。」
「さぁ?」
「チキショー…腹は痛いわ、いきなり殴られるわ、挙句の果てには何か疑われるわ…厄日だな。」
「あら、大変ね。」
「半分はお前だからな?」
「あら、大変ね(棒)」
「少しは反省したらどうだ?」
「あら、た(ry」
「「………」」
「はぁ…もう寝ましょ…?」
「そうしてくれ…あんたの相手はどうしてか疲れる。」
「仕方ないから寝床は貸してあげるわ。」
「助かる。悪いな霊夢。」
「大いに感謝するといいわ、居候?」
こうして、騒がしい夜は静かに幕を閉じた。同時に騒がしい日々のプロローグが終わったということに、後の二人は気づくことになる。
感想、アドバイスなど、心よりお待ちしております。
半ば、焦って出したら、酷い出来になった気がします…。