Emotoin monster ~感情の舞い~ 作:夢見る座禅組
ストーリー構成は出来ているのですが…
・スペルカード
・語句の細かな表現
・キャラクターの口調、性格
この三点はにわか勢には中々つらい内容でした…(言い訳
ご感想やご指摘できる点などがありましたら、是非コメントをしてください。
「異変…」
地上が赤に覆われている。またしても幻想郷に驚かされた。
「これが…」
「そう、これが異変よ。さーってと!稼ぎどころねー!」
「…へ?」
「言ったでしょ?私の本業は妖怪退治よ。ここでチャッチャと片付ければ人里で『霊夢さんマジリスペクトっす!』ってなると思うから、儲かるハズよ!たぶん!」
「そ、そうなの…?」
「あんま自信ない!」
思わずコケてしまった。
「そうか…ま、まぁ…頑張れよ。」
「頑張りはしないかなー?本気を出すのもかったるいしねぇ…?」
「それでやられたら元も子もないだろ?それで大丈夫なのか?」
「逆にこの私が負けるとでも?」
「いや、だってよ…」
「大丈夫よ。これでも意外と生きてこれるものよ。この通り。いままで通りでも大したことないわ。」
「そういうことなら…大丈夫なんだな?」
「少くとも、あなたに心配をかけられるほど弱くはないと自負しているわよ。そうじゃなくちゃ今頃私は空の上よ。」
「それもそうか。何か俺に出来ることとかある?」
「そうね…私が帰ってきたときに何か労ってほしいわね。」
「料理はできないけど、何かしら考えておくよ。」
「疲れを吹き飛ばしてくれるような物がいいわね。じゃあお願いしましょうか。」
「まかせとけ!」
「じゃあ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃい!」
「ふふっ、お見送りがあるのは悪くないわね。それじゃ、あとは頼んだわよ。」
「おう!」
そう言い残して、霊夢は魔理沙の箒と同じくらいの速さで飛んでいった。
…
……
………
「…とは言ったものの」
悠は「霊夢の疲れを吹き飛ばしてくれるような物」について考えていた。そもそも、居候の身で勝手に人の家のものを物色してもいいのだろうか。
「…霖之助さんのところに行って聞いてみようかな。」
悠は、ここが「幻想郷」だということを、日常とは違うということを、何が起きてもおかしくない世界なのだということを、忘れていた。
…
……
………
「気味が悪いな…」
魔法の森は、紅い雲のせいで日中だというのに薄暗い。
早くこの森を抜けたい。その一心で歩き続ける。自然と歩くスピードも早くなっていた。
「抜けた…。」
しばらく歩くと森を抜ける。森と人里との境目には「香霖堂」がある。
「ごめんくださ~い…」
しかし返事はない。中は薄暗く、人気がない。いつも通りですね。
「いらっしゃいませ。申し訳ございませんが、本日は臨時――って悠くんじゃないか!?」
「はい、悠です。」
香霖堂の店主「霖之助」は大変驚いている。
「何をそんなに慌ててい――」
「道中何事もなかったかい!?」
「へ?」
「襲われたりとか!」
「そんな、襲われるなんて――」
「いいかい悠くん。今君がいる世界は『幻想郷』だ。」
「あ…」
「君は魔法の森に入っても、運よく襲われなかった。でも、その運がどこまで持つかなんて分かったもんじゃない。」
「はい…おっしゃる通りです…。」
しゅん、と悠は落ち込む。
それを見かねた霖之助がフォローをいれる。
「まあ、君もこっちにきて1週間も経ってないじゃないか。仕方ないよ。」
「ありがとうございます…ご迷惑おかけしました…」
「次からは気を付けたまえよ?」
「肝に命じておきます…!」
幻想郷は異変真っ只中だ。
「…そういえば、なんで悠くんはここに来たんだい?」
「おっと、そうだった。実は『霊夢を労う物』を用意しておきたくて…何かいいものはありますか?」
「霊夢を労う…?」
「はい。霊夢は異変の解決に向かいまして、何かできることがないか聞いてみたところ、疲れを吹き飛ばしてくれるものが欲しい、と。」
「なるほどね…」
手を顎にあて、考え込む霖之助。
「…そうだ。少し待っていてくれ。」
しばらくして、何かいい案を思い付いたようで、店の奥に引っ込んでしまう。
その間、悠は店内を物色する。
「…入浴剤?」
霊夢が「例外もある。幻想になっていないものでもごく稀に流れ着く」と言っていた。つまり、これはそういうことだろう。
「…いいかもな。」
「お待たせ悠くん。あの子は美味しいお茶とお煎餅があれば何でもいいからね~…おや、『入浴剤』だね?」
「はい。霊夢のために買っていこうかと。」
「それを買うってことは…やっぱり、『入浴剤』がどういう物なのかわかるということだね?」
霖之助は「道具の名前と用途が判る程度の能力」の持ち主。当然、入浴剤の使用方法は能力でわかる。
「はい。霊夢も女の子ですし、きっと気に入ってくれるかと思って。」
「いい案だ。」
「お茶とお煎餅とこれでいくらになりますか?」
「いいよいいよ。何よりも今回は無事に帰らなくちゃ。せっかくのバイト君がいなくなってしまっちゃ、ウチとしても困るからね。神社まで送るよ。」
「そんな!危険ですよ!」
「少なくとも悠くんが一人で帰るよりかは安全だよ。」
「いや、しかし――」
「言ってなかったっけ?僕は『人間』と『妖怪』のハーフなんだよ。だから心配ご無用!」
「…へ?」
「驚いたかい?ハハッ。無理もないよね。」
そう、「森近霖之助」は人間と妖怪のハーフである。
「え…あ…えと…」
「あぁ、妖怪の血もあるよってだけだから。慌てる必要はないさ。別に取って食ったりなんてしない。」
「そ、そうですか。」
「ただ、弾幕とかなら多少は出せるよ。だから、悠くんを神社まで送る。」
「いや、そんな迷惑じゃ…」
「妖怪の力もある僕の言うことを聞かないつもりかい?」
「ッッ!」
全身で鳥肌がたつのを感じた。確実に悠より戦いを経験している。そんな感じがした。平和ボケした国にいた悠でもわかる。
どうやら無理にでも付いてくるそうだ。拒否権も無い。
「(あぁ…この人には敵いそうにないな。)」
「さぁ…どうしよう?」
「…参りました。」
するとすぐに柔和な笑みを顔に浮かべ、
「そういうわけだから、無理にでも君を安全に送り届けるよ。」
と言う。もちろん悠はこう答える。
「はい。お願いします。」
…
……
………
「やっぱり、いつきてもここは不気味だね。今日なんて特に。」
「俺もそう思います…今まで生きてきた中でもこんな不気味な道はありませんでしたからね…」
空を飛べない二人は、森の中の道を引け腰で歩く。
そんな二人の前に、背中から半透明の羽を生やした、手のひらサイズの「何か」が現れた。
「…悠くん、少し下がっていたまえ。」
「霖之助さん…あれはいったい…?」
「あれは『妖精』だよ。」
言われてみれば納得。
背中から生えている羽は妖精そのもの。大きさも手のひらサイズ。可愛らしい見た目とフリフリのドレス。ファンタジーストーリーよろしく宙に浮いている。
とりあえず言われた通りに少し下がる。
戦闘体勢に入った両者がしばらく睨みあったのち、「弾幕戦」が始まった。
最初は妖精側から攻撃が仕掛けられた。妖精は青く発光した弾幕を、両手を使って連射する。なんの捻りもない弾幕が、ただ一直線に霖之助に向かって襲いかかる。
「甘いっ!」
対抗して霖之助も弾幕攻撃を始める。霖之助は左右それぞれの手から弾幕を放つ。左手で襲いかかる弾幕を弾幕で相殺。右手で攻撃を行う。
右手から放たれた段幕は「重力に影響される弾幕」のようで、上に放たれた弾幕が弧を描いて妖精を頭上から襲う。
「キャー!」
短い悲鳴ののち、妖精が地面に落ちる。
「…死んだ?」
「まさか。妖精の命は『自然』なんだ。この自然がなくならない限り、妖精は何度でも息を吹き返す。今だってただ失神しているだけだよ。じきに起きる。」
確かに、「う~ん…」と唸りながら目を回している。
「さ、また襲われないウチに先を急ごう。」
「分かりました。行きましょう。」
…
……
………
しばらくあるいて、またしても「何か」が現れた。
「…女の子?」
先程の「何か」ではない。頭に赤いリボンをつけた、可愛らしい女の子が現れた。しかしフワフワと浮いている。確実に「人間」ではない。
「あなたは食べてもいい人類?」
「え?もう一度――」
「食べれるものなら食べてみたまえ!悠くん、走るよ!」
「え!?うわ、ちょッ!」
いきなり手を握られ、二人で駆け出す。
「今度はなんですか!?」
「あれは人食い妖怪の『ルーミア』さ!好物が人肉なんだよ!」
「あんな女の子が!?」
「あれでも『闇を操る程度の能力』の持ち主なんだよ!」
確か霊夢が「力の強い妖怪は知性を持つ」とかなんとか言っていた記憶もあるが、人に化けるとは聞いていない。
もっと獣らしいのイメージしてた!
「でもなんで人になるんですか!」
「人間の言葉を喋ってみたかったんじゃないかい!?そのためには言葉の発音に適した作りが必要だからだろう!」
「じゃあ何で体も人なんでしょうね!」
「絵にできないからだよ!放送事故が起きてしまう!」
「なんかすっげぇメタいんだけど!!」
「お兄さんたちなら食べてみせるから…いただきまーす。」
呑気な声ではあったものの、あの子は本気で殺しにきている。いや、喰べにきてる。
「走るんだ悠くん!転ぶんじゃないぞ!」
「まって霖之助さん!それフラグファぇ!」
「悠くん!大丈夫かい!?」
「いっただきまーす……」
ルーミアが転んだ悠に近づく。
「させるかっ!」
霖之助は勇敢にも、さっきまで逃げていた相手に攻撃を仕掛ける。
ルーミアは一度距離をおき、弾幕攻撃にうつる。
「(や、やべぇ…!頭上で戦闘状態…!どうしよう…!)」
「むぅ…夜符『ナイトバード』っ」
ルーミアが何かを掲げながら、舌っ足らずな口調で呟く。
ルーミアの放つ弾幕は、左右に青と緑の弾幕を扇状に放つもの。
霖之助が弾幕をかわす。そのかわした弾幕が左右の木々にあたり、木の葉を落とさせる。
しかし、さっきの彼女の呟きは一体なんだったのか。
「って、霖之助さんを助けなきゃ!」
ルーミアと霖之助の弾幕を避けつつ立ち上がり、昨日の「弾幕」を思い出す。
「(ボールを投げるときのステップで…っ!)」
悠は意識を手のひらに集中しながらステップを踏み、その手のひらを「ルーミア」に向かって突き出す。
すると、昨日やった通りの「大きく」「速い」弾が1発出る。
「わっ…!?」
土煙が舞っていることから、悠の出した弾幕が地面に着弾したことが容易に理解できた。
「おらっ…!」
次は両手を上から前に振り下ろす。イメージは、昨日の「右手を左から右に振り払う」だ。
昨日の場合は、右手を左から右に振り払って小さな弾をいくつか出した。というよりも、出せたというほうが正しいだろうか。
そのイメージで、頭の上から下に振り下ろす。
イメージした通りに出せた。
魔法の森に作られたこの道は、両脇をたくさんの木々に囲まれている。そのため、上下に拡散させることで上への逃げ道を塞ぐ。
先程の土煙もあり、ルーミアは襲いかかる弾幕に気付かずに被弾する。
「ひゃぅ…!?」
大きな音を数発ぶん立てて、ルーミアは地面に落ちる。
ルーミアもさっきの妖精のように目を回して寝そべっている。どうやら死んではいない。
静かになった森の中で、二人が安堵の息をはく。
「ふぅ…悠くん、やるじゃないか。あんなに強い弾を出せるんだね。」
「まぁ、たまたま昨日できたといいますか…他のはこれっぽっちもなのですがね…ははは…」
悠は乾いた笑みを浮かべる。
霖之助のような、手のひらから連続して弾を出す、いわゆる「弾幕」を悠は出せない。ただの攻撃だ。
「さぁ帰ろうか。博麗神社はもうすぐだよ!」
「はい、行きましょう!」
…
……
………
「それじゃ、悠くん。大人しくしているんだよ?」
「お世話になりました。お気をつけて。」
「ああ。」
しばらく歩いてから、博麗神社についた。霖之助は、玄関前まで悠を送り届けてから、今まで来た道を引き返していった。
「…これでしばらく暇だなぁ」
ぼやいてみるも、反応する人は誰もいない。
「…その暇でひとつ商売をしてみたいとは思わない?」
「うおっ!?」
突然、目の前の空間に裂け目ができて何者かが現れる。見た目は恐らく女性だ。
「あ…あなたは…たしか―――」
「悠くん、あなた、霊夢が心配ではなくて?」
「へ?」
「だから、霊夢が心配かどうかって、私は聞いたのよ。」
「え、あぁ…なるほど。」
突然現れた上に、突然おかしな事を言い出した。
「で?どうなのよ。」
「え?ああ、えぇと…まあ、心配では、無きにしもあらずというか…」
「んもう、ハッキリしないのね。」
怒られた。ワケがわからない。
「す、すみません…」
「よく考えてごらんなさい?あなたと同じような年端(としは)もいかない女の子が、たった一人で、戦いをするのよ?心配ではあるでしょう?」
確かにそうだ。霊夢はそれほどに大人に見えない。むしろ年下かと疑ってしまうレベル。心配しないといえば嘘になる。
「…はい、確かに心配です。」
「なら行っちゃいなさいよ♪」
「え?いや、でも…」
「つべこべ言わずに行く!いってらっしゃーい!」
「…は?」
この女性が現れた時と同じ「空間の裂け目」が、足下にある。突然の浮遊感。
「あ"ぁぁぁぁぁ!!!?!」
いつぞやの落下の用に、真下に向かって加速していく。
「いてっ!」
…が、すぐに悠は尻餅をついて自由落下の旅が終わる。終点は博麗神社の玄関。
すると、目の前に空間の裂け目ができ、先程の女性が現れる。
「そういうわけだから、行きましょう。」
「…はぁ…行きませんからね。」
そう言い捨てて、悠が中に歩き出すと…
「あなたには『はい』を言う権利はあるけど『拒否権』はないのよ?」
悠の行く先の床に、いつの間にか先程の「裂け目」ができている。どうやら逃げられないようだ。
「うおっ!あぶね!」
「さて…今度は、成層圏ギリギリから自由落下の旅よ?」
「わかりました!わかりましたから!今のはもう許してください!」
「あら残念♪」
ちっとも残念がってない。さっきからニコニコしている。
…
……
………
――で?霊夢は今どこなんです?
――魔法の森を抜けて、香霖堂も抜けたら、右にまっすぐ進む。整備はされていないけど、道があるからそこを通るといいわ。
霖之助から譲ってもらったお煎餅三枚をポケットに押し込み、悠はこの会話を忘れないように何度も頭のなかで反芻させる。
まずは魔法の森を抜ける。
「そういえば、さっきまでこのあたりで戦っていたんだよな…まさかもう一度ここに来るとは…って、あれは…さっきの妖怪?まだ倒れたまま…」
恐る恐る近寄ってみることにする。
「うーん…おなか…すいた…のだ…」
「…この煎餅たべるのかな?」
「お兄さん…は…食べても…いい?」
「うおッ!!」
意識があった。いや、戻った。極限の空腹状態は恐ろしい。
悠は慌てて首を横に振る。
「おおお俺は食えない!そうだ、ほら、ここにお煎餅があるだろー?こいつなら食べてもいいんだぞー?ほらほらーうまそうだろー?」
「それ…おいしいの?」
「うまい!ウマウマだから!さぁ食べろ!」
必死で煎餅を突き出す。
「食べる…」
バリボリバリボリ…
悠の手から煎餅を奪い取り、ルーミアは奪い取った煎餅をたべる。
「(人食いなのに煎餅でもいいのかい…!)」
一心不乱に煎餅をパクつく。
「美味しいっ…」
「そ、そうか!うまいか…ハハ…」
「お兄さん、いい人…!」
「そそそそうだ!そうなんだよ!お兄さんいい人だから、もう食うなよ!!絶対だからな!!」
「わかった。お兄さんは食べない…!」
「よ、よし…!いい子だ…!ご褒美にもう半分やろう…!」
「!」
ルーミアが悠の手に手を伸ばす。
「待てっ!」
「ふぇ…」
違うんです。ちょっと意地悪したくなっただけです。
目の前の人食い妖怪は「待て」の一言で、泣きそうな顔をしながら行動を静止させる。
「まだだぞ…」
「んぅ~…」
「よし!」
「わはー!」
何この子かわいいチョーカワイイ!小動物みたい。
「…って、こんなところで油売ってる場合じゃない!俺はもう行くぞ!元気でな!」
「お兄さんばいばいー」
ルーミアに別れを告げ、霊夢のいる場所へと急ぐ―――。
ルーミアって原作ではこんなに幼くはないんですよね…?
あ、そこは二次創作ってことでお許しを…(^_^;)