「グ、グレイフィア。」
黒歌さんは怯えた表情で絞り出す様に発した。
「知ってるにょ?」
「四大魔王の中で最強と言われるサーゼクス・ルシファーのメイドで悪魔の駒は女王。最強の女王って言われ、その力は魔王級にゃ。」
「ご紹介ありがとうございます。さて、幾つか聞きたい事があります。先ず、貴方は人間の様ですがどの様にしてこの冥界に入ったのですか?」
「教える気はないにょ。」
俺はキッパリと断った。約束は絶対に守る主義だからな!
「そうですか。まあ、いいでしょう。私が用があるのはそこのはぐれ悪魔一匹ですから。」
グレイフィアさんが、黒歌さんの方を見ると黒歌さんは顔が青ざめ死人の様だった。
「本来なら不法侵入者として始末しなければならないですが、一つ条件を出しましょう。その条件を飲めば貴方の始末を取り消し、人間界に戻してあげましょう。」
グレイフィアさんは業務用の笑顔を作るとそう提案してきた。
「そっちの条件はなんにょ。」
そう、油断は出来ない。何故なら、どんな無理難題を言われるか分かったもんじゃないからだ。
「簡単です。黒歌、こちら側に来なさい。貴女が来るならそこの貴方の事は見逃しましょう。どうですか?」
「わ、私が、そっちに行ったら。」
黒歌さんはフラフラと一歩、また一歩と歩き出した。
「黒歌さん!?」
くそ、卑怯な!俺は直ぐ様黒歌さんの肩を掴むと黒歌さんは止まって涙目になりながらこちらを向いた。
「ミルたん?」
「行かなくていいにょ。」
「どういうつもりですか?」
グレイフィアさんは眉をピクリと上げ、苛立ちを露わにした。
「黒歌さんはミルたんの家族にょ!家族は絶対に見捨てないにょ!」
「家族?おかしいですね。貴方の家族は白音だけな筈ですが?」
考える様に首を傾げながらグレイフィアさんは言った。だから、俺は言ってやったキッパリと。
「血は繋がっていないけど心で繋がってるにょ!」
強い意志をグレイフィアさんに見せると、グレイフィアさんは溜息をついた。
「成る程。分かりました。なら先ず、貴方の意識を刈り取りましょう。」
その言葉と共にグレイフィアさんの姿がぶれ、次の瞬間脳が揺さぶられたみたいに視界が横にずれ、痛みと共に倒れた。
「ぐっ!?一体!?」
俺は何をされたのか分からなかったし、ありえない出来事を目撃した。先程までグレイフィアさんが立っていた場所と俺が立っていた場所に2人のグレイフィアさんがいたのだ。唖然としている数秒後、先程までグレイフィアさんが立っていた場所にいるグレイフィアさんが、まるで蜃気楼の様に消えて行った。
「なんにょ。今のは。」
「いまの技は魔力と闘気で作り出した幻影です。更に、人は脳で処理しきれない程の速さを目撃するとその対象物が移動しても脳は、知覚出来ていない為蜃気楼と同じ現象が起こります。私はそれを魔力と闘気で上げただけです。さて、次、行きますよ?」
また体がぶれた。俺は直ぐ様気を発動して、全身に纏わせ、移動時に発生する風を切る音を頼りにグレイフィアの足蹴りを回避してカウンターとして、拳を振るった。
「ぐっ!!」
しかし、驚異的なスピードで防御体制に入った為に浅くなってしまった。
「凄いにょ。」
「そちらこそ。しかし、どうやったのですか?先程の一瞬、仙術とはまた違う感じましたが。」
「ミルたんは気を操る事が出来るにょ。気と魔力は似ている物だから気を魔力に変換して察知したにょ。」
「気の変換、ですか。成る程面白い物を使いますね。ですが、今度は如何ですか!」
再びグレイフィアの姿がぶれ、次の瞬間左右からナイフが飛んできた。
俺は仕方なく上に避けたが、読んでいたグレイフィアの踵落としを肩に当たった。
「ぐっ!」
俺は上から一気に地面向かって落ちて行ったが、直ぐに体制を立て直した。
「ほう、中々に丈夫ですね。ほぼノーダメージとは。」
「鍛えているからにょ。」
「そうですか。貴方相手では今までの戦い方では決定打に欠けますね。いいでしょう。次から本気で行きます。」
その言葉と共に今度もまたぶれたのだが、グレイフィアさんの人数が三人に増え、一斉に別方向から別々の攻撃方法でやって来た。更に、闘気を纏わせているらしく、防ぐより流す方がいいと判断し、受け流しに力を注いだ。上、右、真正面から上手い具合にタイミングをずらした時差攻撃でもたった為、先ず真正面から来ている真っ直ぐのストレートを右手で受け流しそのまま体を左に倒し、左足で全体重を支え、浮いている右足で右からやってくるナイフを下から手のバネも使い弾き、片腕で回転する様に回り上からやってくる踵落としを回ってきた右足で弾き、そのまま後方に体操選手がやる大車輪を使い距離を取った。
「どれも手応えは本物だったにょ。どういうことにょ?」
「凄いですね。この技を初見で流したのは、サーゼクス様と貴方だけですよ。最近仕事が増えてきた為欲求が溜まっているので貴方みたいな強い人に会うと嬉しいですね。」
ニヤリ、楽しそうな笑みを浮かべているグレイフィアさんはバトルジャンキーだと思いました。
「次これならどうですか!」
今度もまた三人に増えたが、魔力の塊を三方向から別々に、しかもランダムに撃った為に某弾幕ゲームの様のルナティック並みの鬼畜弾幕が俺を襲った。
「これでどうにょ!ベギラゴン!ファイガ!」
俺は火の二大上級魔法を使い、マグマと同じ位の温度の火の海を放った。火の海は、弾幕を飲み込んで行き、グレイフィアまでやって来たのだが、グレイフィアは涼しげな表情で笑いながらナイフをブンッ!と振るった。すると、スパンッ!と言う気持ちいい音と共に、火の海は真っ二つに割れ、グレイフィアを避ける様に左右の地面を溶かしたのみだった。
「流石に冷や汗が出ました。やはり戦いと言うのは拮抗してるかこちらの実力が低い方が燃える。さあ!まだまだ行きますよ!」
くそ!こっちはヘトヘトだってぇのに向こうは元気そうにしやがって!だが、俺も負けられねぇんだ!黒歌さんの為にも!
俺はグレイフィアさんと互角以上の戦いをしていたが、魔力は無尽蔵にあるとは言え、体力は有限だ。徐々にだが、俺の方が押されて行った。
「はあ、はあ。ようやく疲れが見えてきましたね。」
だが、グレイフィアさんも大技を沢山繰り出している為に疲れが出てきてる。今の実力はほぼ同じ、いや、補助魔法を付けれる俺の方が有利だろう。
「な、なかなかにキツイにょ。」
しかし、戦いながら呪文を唱えなくてはいけないし、何よりも魔法しかも補助魔法をかけると数秒固まる為、致命傷になるのだ。だから、中々かけれない。
「ふう。次、行きますよ!」
その言葉と共に急に辺りが薄暗くなりグレイフィアさんの姿と気配が消えた。そして、ナイフのみが上斜めに投げられ俺の所に向かって行った。俺は咄嗟にスカラにマイティーガードを付け大防御を使った。
「極死・七夜!」
その掛け声と共にナイフが首元向かって直ぐ目の前に迫っていて逃げようにもグレイフィアさんが逃げ場を塞いでいる様で、逃げれなかった。なら、どうするか?俺は自分の腕を首元前に突き出しナイフを刺さるのを見ると力拳を握り、手を返しグレイフィアさんは逆さから地面に落ちた。
「ぐあっ!!くうぅ。」
俺はナイフを抜くとそれを握り潰しグレイフィアさんの首を手で握った。
「勝負、ありにょ。」
「私の、負けね。」
グレイフィアはだらんと力を抜き、負けを認めた。俺も倒れる様に地面に横になった。やっぱり鍛えていても連戦は辛い。
「ミルたん!!」
涙目の黒歌さんが俺に近付き抱きついてきた。
「よかった!本当に無事で。」
俺は笑いながら黒歌さんの頭を撫でながら言う。
「心配かけたにょ。でも、もう安心にょ。」
俺が黒歌さんをあやしてると拍手が何処からか聞こえて来た。
「中々に面白かったよ。まさかグレイフィアを倒すとは。」
声は突如として現れた魔法陣から聞こえ、光と共に赤い髪をした顔立ちのいい男性が現れた。
「サーゼクス様?」
グレイフィアさんは気怠そうにしながらも立ち上がり深々と頭を下げた。
「申し訳ありません。」
「気にしなくていいよ。グレイフィアはよくやってくれた。さて、ミルたんって言ったかな?」
サーゼクスさんはニコニコしながらこちらを向いた。その顔をの奥には何かの感情が見え隠れしていた。
「そうだにょ。でも、ミルたんは貴方には行ってない筈にょ。なんで知ってるにょ?」
「ははは。まあ、魔王だからって事にしといてくれ。」
「それで、なんの用にょ。」
俺は黒歌を背中に庇いながらサーゼクスさんと向き合った。
「凄い覚悟だ。成る程、グレイフィアじゃ敵わない訳だ。でも、君は既にヘトヘトなんじゃないか?」
確かに、体力は殆どないし、気力も不足してる。今立ってるのだって魔力を気に変換して治癒能力を高めているからであって、次に激しい戦いをしたらどうなるか想像が付かない。
「その様子だと図星の様だね。諦めて彼女を渡さないかい?君達には危害を加えるつもりはないのだから。」
「ダメだにょ!ミルたんは、ミルたんが倒れるまで絶対に諦めない!最後まで守り通す!魔法少女は諦めない!どんな状況でも立ち上がるにょ!」
「そうか。なら、仕方ないな。グレイフィア、下がっててくれるかな?僕、少し運動をしようと思うんだ。」
「分かりました。お気を付けて。」
グレイフィアは一例をすると魔法陣の中に消えて行った。
「さて、やろうか。久し振りだから手加減は出来ないかも知れないよ?」
「その前に約束するにょ。貴方に勝ったら黒歌さんの手配書を取り消すと。」
「・・・・分かった。ただし、僕だけの一存では決められないから会議にかけてそこで僕以外の3人に認められないと行けないんだ。それに、取り消せるのは冥界のみだ。堕天使や天使達にまで伝わっているから彼らは襲うだろう。それでもやるかい?」
「当たり前にょ!誰が来ても変わらないにょ!」
「分ったよ。なら、やろうか。」
その瞬間ディーネが声を張り上げながら、サーゼクスさんに水の塊を放った。しかし、サーゼクスさんはそれを片腕で握り潰した。
「なんの真似だい?」
「ハア、ハア、ハア。」
「若いな。この程度で取り乱すとは。さて、邪魔が入ったがやろうか。」
ディーネは震えて戦意を喪失していたが、今は構ってる暇はない。何故なら、この絶体絶命の場面をどう切り抜くかで頭が一杯だからだ。
ドーモ・シチョウシャサン。トキオです。
さて、今回は二話繋げました。何故か?その四が短かったからさ!うんまあ、そういう事なんだ。
さて、ミルたんが主役の作品を見てきましたが、ほぼ人間辞めてますね。うん。まあ、素で別世界に行ける人間が今更と思いますが、人間なんですよねぇ。
それから、コメでミルたんに勝てるかなどのコメントを頂きましたが、この作品のミルたんは最強であってチートじゃないのでよく苦戦します。最強とチートは同じじゃないのかって人もいるといますが、全然違います。最強は、目標として超えられる可能性がありますが、チートはそんなの無視です。しかも、ミルたんはどんなに強くとも人間ですし、このミルたんは、魔力はグレートレッドクラスでまだまだ成長しますが、肉体と体力は普通です。まあ、それでも人間を辞めているレベルですが。
この作品のコンセプトはあくまで最強であってチートではないので、ミルたん無双を期待してる人はがっかりしますのでご注意下さい。(今更ですが。)
さて、話を変えましてミルたんの性格は基本的には目上や初対面の人は年下でもさん付けをして、友達、親友クラスになると、君や呼び捨てになります。使い魔がいい例ですね。
それでは、次回予告と行きましょう!
次回!第6話 解放の戦い!VSサーゼクス
お楽しみに!