4月
「ここが第一高校か...」
あの地獄のような受験勉強から解放され、無事に国立魔法大学付属第一高校に入学することができた今日この頃である。え?どんな地獄だったかって?思い出したくないよ...。
まぁ、そのおかげで魔法の基本用語からCADの調整、自分の得意魔法とかも理解することができたんだけどね。ほんとあの眼があって助かったよ。
でも、まさかAクラスになるとわね。付け焼刃だけどなんとかなるもんだなぁ~。
それにしても..
「早く来すぎたかなぁ。誰もいないや...」
現在入学式の二時間前。新入生総代になったわけでもなし、付き添う友人もいない(僕って寂しい人?)。ただ皐月姉さんに「さっさと行きな」と言われたのである。ただそれだけである。
「暇だなぁ~。式場に行ってようかな。あれ?場所どこだっけ?」
え?迷子?ヤバいヤバいヤバい。入学初日で迷子なんてシャレになんないよっ!
そんなことを考えていると少し先に二人の男女が話しているのが見えた。
女子生徒の胸には八枚の花弁をデザインしたマークがあり、男子生徒にそれはなかった。
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「納得できません。なぜお兄様が補欠なのですか?入試の成績はトップだったじゃありませんか!本来ならばお兄様が新入生総代を務めるべきですのに!」
目の前の妹である司波 深雪が俺に対して激しい口調で話してくる。
俺、司波 達也は新入生総代を務める妹の付き添いをしに開式の二時間前にやってきた。
俺と深雪は兄妹っていっても双子ではない。俺が四月生まれで深雪が三月生まれだ。
「魔法科高校なんだから、ペーパーテストより魔法実技のほうが優先されるのは当たり前じゃないか。」
俺は二科生だ。いくらペーパーテストがよくても実技がダメならそれまでだ。
「そんな、勉学も体術もお兄様に勝てる者などいないというのに!本当なら魔法だって...」
「深雪!」
「っ!」
「それは口にしても仕方がないことだと分かっているだろ?」
「......申し訳ございません」
そう。この学校では仕方のないことなのだ。これがこの学校の評価なのだ。
俺は項垂れた妹の頭にポンと手を置きそっと艶やかな癖のない髪を撫でた。
「はぅ..」
「深雪......お前の気持ちは嬉しいよ。俺の代わりにお前が怒ってくれるから、俺はいつも救われている。」
「....嘘です..。」
深雪が頬を軽く赤らめながら俺のほうを向いて言う。
「嘘じゃない」
「嘘です。お兄様はいつもわたしのことを叱ってばかり」
「嘘じゃないって。でも、お前が俺のことを思ってくれているように、俺もお前のことを思っているんだ」
ボンッ
深雪は俺の手からぬけだし顔を真っ赤に染めて後ろをむいてうねうねと
「お兄様.....そんな『想っている』だなんて...」
なにか誤解をしているような気がするが...。まぁ、いい。
「ここでお前が答辞を辞退しても、俺が代わりに選ばれることはない。それどころかお前の評判が悪くなるだけだ」
「それは...」
「本当は分かっているんだろ?深雪は賢い娘だから」
後ろを向いている深雪の肩にそっと手を置く
「っ!...はい」
「可愛い妹の晴れ姿をこのダメ兄貴に見してくれよ」
「お兄様はダメ兄貴なんかじゃありません!!...ですが、わかりました。我侭を言って申し訳ございません。それでは行って参ります。」
そう言って階段のほうに向かって走っていく。
そして...
「見ていてくださいね、お兄様」
「ああ、行っておいで」
そういうと深雪は階段を上っていく。
さて...どうやって時間をつぶそうか..。
「ねぇ、あの子、ウィードじゃない?」
「補欠なのに張り切っちゃって」
少し歩いているとそんな声が聞こえる。
一科と二科か...入学試験で別れるこの制度。まぁ、別にどうこうしたものではないが
そんなことを考えていると一人の男が近づいてくるのが見えた。
すみません。
変なところでとまってしまいました。
入学式前の達也と深雪のやりとりを想起してもらえれば幸いです。
次で達也と元晴を会わせる予定です。
ではでは、また次話でお会いしましょう。