ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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祝!総合話数100話目!

だが、本編では96話目なので複雑だ………………( ̄∇ ̄;)


第95話~たとえトラブルに見舞われても、皆で助け合います!~

《もくもく作戦》、《パラリラ作戦》と言った2つの作戦を連続で発動。また、単独行動を取らせていたカメさんチームの待ち伏せ攻撃により、黒森峰との差をつけて有利な位置を確保し、2輌の黒森峰戦車を撃破した大洗チームだが、まほがヤークトティーガーを投入した事により、じわじわと差を詰められて行く。

だが、其所でカメさんチームが黒森峰の戦車隊に単身で乗り込んで隊列を乱し、突然の出来事にパニックを起こしている隙に、大洗チームは黒森峰のバリケードを脱出し、撤退に成功。

それをエリカが追うものの、足回りの弱いティーガーⅡを振り回したせいか、足回りが壊れてその場で足止めを喰らう羽目になる。

必死になって修理するティーガーⅡの乗員達を背景に、大洗チームは次の作戦へ向けて行動を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「快晴に加えて、見渡す限りの草原地帯………………試合じゃなければ、ピクニックでもしたいところだな」

 

辺り一面に広がる、自分の髪と同じ緑を眺めながら、紅夜はそう呟く。

 

「ピクニックか~、現役退いてからは全くやってなかったな」

「ああ。皆で集まって戦車動かした後も、昼飯はどっかのレストランで済ませるか、各自で家に帰って、飯食ってから再集合ってのが殆んどだったもんな」

 

その呟きを聞いていた翔と勘助が、そんな事を言い合う。

 

「2人共何の話してんだ?俺も交ぜろよ」

 

IS-2を操縦している達哉も話に入ってくる。

 

「いや、別に大した事じゃねえよ。ただ、この辺でピクニック出来そうだなって話をしてただけさ」

「成る程な………………まぁ、確かにこの辺は緑ばっかの草原地帯だもんな。俺等レッド・フラッグと大洗、それから黒森峰のチーム全員で遊べるんじゃね?」

「発想がかなり子供っぽいな。遠足じゃねえんだから………………だがまぁ、それが実現すれば、中々の光景になるだろうな」

「それを纏めりゃ、一種の理想郷(シャングリ・ラ)が出来上がるって訳だな」

 

口々に言うメンバーの言葉を、紅夜が『理想郷(シャングリ・ラ)』と言う一言で纏めると、達哉達はそれに頷く。

 

『あんこうチーム、左折します。ついてきてください』

 

其処へ、みほからの通信が入ってくる。

 

「左折?曲がったって見えるのは川だってのに……………まぁ良いや。達哉、あんこうチームが左折する。その後に続け」

「Yes,sir.」

 

左折して坂を下り始めたあんこうチームのⅣ号を追うようにして、IS-2も左折して坂を下り始める。

他のチームも後に続いて坂を下り、川の前で停車した。

 

「もしかして西住さん、この川を渡るつもりか?」

 

自車の隣に停車しているⅣ号のキューポラから上半身を乗り出したみほに、紅夜は訊ねる。

 

「うん。見たところ、川を渡れる橋は無さそうだから、此方の方が手っ取り早いからね」

 

そう答えたみほは、軽い戦車が流されないようにするため、上流側にレオポン、下流側にアヒルさんチームを配置するように指示を出す。

そうして並び替えを終えると、ゆっくりと川に入る。

 

横からの流れに揺られながらも、一行は川を横断する。そして半分まで来た時、異変が生じた。

ウサギさんチームのM3が、突如として動きを止めたのだ。

 

「桂里奈、どうしたの?早くしないと置いてかれるよ」

 

梓にそう言われ、桂里奈はアクセルペダルを何度も踏むが、M3はピクリとも動かない。

それどころか、エンジン音も力を失っていき、その音が完全に消えると共に、先程までの小刻みな振動も止まる。

それは、M3がエンストした事を現していた。

 

「?おい西住さん、M3が川の半分辺りから動いてねぇぞ」

「え?」

 

M3の異変に気がついた紅夜に言われたみほは、双眼鏡でM3の方を見る。

他の戦車が少しずつ動いているのに対し、M3は全く動いていないのだ。

 

「全車両、一旦止まってください!」

 

みほの指示で、M3に並びかけていた他の戦車が停車する。

 

「ライトニングだ。ウサギさんチーム、何があった?」

『な、長門先輩………どうしよう、私達………』

 

紅夜の呼び掛けに、梓からの不安げな返答が返される。

 

「大丈夫だ、落ち着け。先ずは何があったのかを言うんだ」

 

そう言われ、梓はM3がエンストした事を伝えた。

 

 

「マジかよ、こりゃあちょっとヤバいな…………分かった。取り敢えず西住さんに伝えとく。お前等はエンジンを再始動出来ないかやってみろ」

 

そう言って通信を切ると、紅夜はみほの方を向き、ウサギさんチームのM3がエンストした事を伝えた。

 

 

「そんな……こんな所で…………」

 

紅夜からウサギさんチームの異変を伝えられたみほは、そう呟いて狼狽える。

川に入って直ぐか、向こう岸に着く寸前にエンストするなら未だしも、真ん中でエンストされてはかなわない。

 

「うーっ、全然掛からないよ~!」

 

その頃ウサギさんチームでは、何とかしてM3のエンジンを再始動させようと躍起になっていたのだが、幾らレバーを動かしてもエンジンが再始動する兆しを見せないと言う状態に、桂里奈から悲鳴が上がる。

エンストすると言うまさかの事態は、1年生をパニックに陥れようとしていた。

現に、悲鳴を上げた桂里奈の両目には涙が溢れている。どうにもならない状態に怯えているのだろう。

 

「……こうなったら、仕方無い…………!」

 

その様子を見た梓は何かを決心したのか、みほへと通信を入れる。

 

「西住隊長、私達の事は良いから、先に行ってください!後で追い掛けますから!」

 

少なくとも、今のところはエンジンが再び動く兆しが見られないと悟った梓は、このまま自分達を置いて、先に行くように言う。

そんな声が通信機から聞こえてくる中、みほは判断しかねていた。

梓の言う通り、このままM3のエンジンが再始動するのを待っても仕方が無い。その上、下手をすれば追い掛けてくる黒森峰の戦車隊が追い付いて、今の状況などお構いなしに一斉攻撃を仕掛けてくるかもしれない。

そうとなれば、大洗の敗北は決定したも同然になるのだ。

 

そうしている間にも時間は過ぎ、川の流れがM3を横倒しにしようとばかりに、M3の側面装甲にぶち当たる。

 

「どうしよう、このままじゃM3が横転しちゃう!」

「それに、モタモタしてると黒森峰が来るぞ」

 

様子を見ていた沙織が言うと、麻子も付け加える。

 

「………………ッ」

 

みほは車長席に座り、膝の上に両手を置き、小刻みに震わせていた。

脳裏を過るのは、去年の試合………………雨で氾濫している川に沿った道を進んでいる途中、前方から奇襲攻撃を仕掛けてきたプラウダからの砲撃で、足場を失ったⅢ号戦車が土手をずり落ち、そのまま川に落ちる場面。

そして聞こえてくる、その時のⅢ号戦車の乗員からの悲鳴。

トラウマがフラッシュバックし、みほは目を固く瞑る。

それを見た沙織は、少しの間考えるような仕草を見せると、みほに声を掛けた。

 

「行ってあげなよ、みぽりん」

 

そう言われたみほは、目を見開いて親友の顔を見る。

沙織は無言のまま、ゆっくりと頷いた。

 

みほは意を決し、席から立ち上がると、優花里に声を掛けた。

 

「優花里さん、ワイヤーにロープを!」

「はいっ!」

 

みほからの指示を受けた優花里は目を潤ませ、嬉しそうに返事を返しすと、直ぐ様ワイヤーとロープを用意した。

そして、ロープを腰に巻き付けたみほは、Ⅳ号のエンジン部分に飛び乗って前方を見やる。

 

M3に辿り着くには、横に居る紅夜のIS-2や、ルノー、Ⅲ突、パンターやイージーエイトに飛び移らなければならない。

 

深く深呼吸すると、みほは少ないスペースで勢いをつけ、紅夜のIS-2へと飛び移ると、そのままルノーへと飛び移る。

通信手用のハッチから見ていた沙織は無線機を操作して、ある人物に呼び掛けた。

 

「紅夜君、聞こえる?紅夜君!」

『武部さん、そんなに叫ばんでも聞こえてるって』

 

呼び掛けられたのは紅夜だった。

大きな声で呼び掛けられたからか、紅夜はIS-2のキューポラから上半身を乗り出した状態でフラフラと揺れている。

 

「お願い、みぽりんを手伝ってあげて!みぽりんと一緒に、1年生の皆を助けて!」

 

今の沙織には、その一言しか言えない。だが、何時もみほの………否、誰かの支えになっていた紅夜なら………………と、微かな望みを賭ける。

 

『………………Roger that.Leave it to me.(あいよ、任せな)』

 

そうして、通信は切られた。

 

 

 

 

 

「さてと、それじゃあ行くとしますかね………………お前等、ちょっとの間頼むぜ?」

「「「Yes,sir.」」」

 

キューポラの上に立った紅夜はジャケットを脱いで腰に巻き付けると、数メートルある戦車同士の間を軽々と飛び越え、Ⅲ突からM3へ移ろうとしていたみほの隣に並び立つ。

 

「よぉ隊長、手伝いに来たぜ」

「紅夜君!?どうして………………」

 

いきなりやって来た紅夜に、みほは驚愕の表情を浮かべる。

 

「お前のチームの無線手さんに頼まれたんだよ。『手伝ってやってくれ』ってな………………落伍者を見捨てる事が出来ねえんだろ?」

「………………うん」

 

その問いに頷くみほを見て、紅夜は微笑む。

 

「なら助けようぜ。ワイヤーで引っ張ってる内に動くかもしれねえしな」

 

紅夜はそう言うと、前方のM3と、車体後部に出てきている1年生グループを見る。

 

今2人が立っているⅢ突とM3との距離は、今までのよりも若干離れていた。

無理にでも飛び越えようとするみほを手で制すると、紅夜はみほを横抱きに抱き上げた。

 

「ッ!?」

 

突然抱き上げられた事に、みほは顔を真っ赤にする。

 

「あのまま飛び越えようとしても川に落ちるがオチだ。ちょっとの間の我慢だ」

 

そう言って、紅夜はみほを抱き抱えたまま、M3へと飛び移る。

 

「西住隊長!長門先輩!」

 

目尻に涙を浮かべながら、声をかけてくる1年生グループ。

紅夜がみほに視線を移すと、みほは腰に巻き付けていたワイヤーをほどく。

 

「これを皆で引っ張ろう」

 

そう言って作業を始めようとするが、其処で紅夜が待ったを掛けた。

 

「悪いが、これは俺にやらせてくれ」

「えっ?」

 

そんな紅夜に、みほは目を丸くする。

 

「流石に、こんな力仕事を女の子にやらせる訳にはいかねぇよ。下手すりゃ輝夫のオッチャンや蓮斗にドヤされちまう。『こう言う力仕事は男1人でやるモンだろォが!』ってな……」

そう言って、紅夜は苦笑を浮かべる。

 

「だから、ただのカッコ付けだと思いたきゃそれで良い。少なくとも、ワイヤーを引っ張るのは俺にやらせてくれ」

 

そして紅夜は、みほや1年生のメンバーが呆然としているのを他所に、Ⅳ号の車体後部で纏めて置かれてあるワイヤーを伸ばす。

それがピンと張り詰め、逆にM3にワイヤーの纏まりが出来ると、今度は八九式へ、最後にポルシェティーガーへと飛び移ると、車体後部のフックにワイヤーの先をくくりつける。

そんな時、砲塔を後ろに向けた戦車の砲撃音が聞こえてきた。

 

「おいおい、何が起こってんだ?」

 

そう呟いた時、紅夜のスマホがメッセージの着信を告げた。

くくり終えてからメッセージを開くと、それはレッド・フラッグのメンバーからのメッセージだった。

 

『今、大洗の連中と俺等で援護射撃してる!焦ってしくじったりすんじゃねぇぞ、紅夜!』

『さっすが祖父さんだ、我等レッド・フラッグの誇り高き隊長だぜ!』

『翔のスマホでのメッセージになるけど、やっぱり最高だよ、ご主人様!』

『相変わらず優しいのね………………そんな所も好きよ』

 

レッド・フラッグのラインで、メンバー全員からのメッセージが届いている。

 

「………………ありがとよ」

 

目頭が熱くなるのを感じながら、紅夜は一言――『ありがとう』――とメッセージを返し、スマホをズボンのポケットにしまうとM3へと舞い戻るのであった。

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