ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第130話~殺戮嵐(ジェノサイド)、現場に到着です!~

 聖グロリアーナ女学院の学園艦にて、アッサム誘拐事件が発生したその日の夕方、暇をもて余していたところへ押し掛けてきた蓮斗とのツーリング中にダージリンからの呼び出しを受け、蓮斗の瞬間移動で聖グロリアーナ学園艦を訪れた紅夜は、ダージリンから、誘拐されたアッサムの救出を頼まれる。

 それを引き受けた紅夜は、大体の目星をつけられていたと言う、学園艦の昇降用ドック付近の建物の前に赴くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、これが例の建物か…………」

「何つーか………古いな」

 

 蓮斗の瞬間移動で転移してきた2人は、彼等が居る場所から道を挟んで奥にある、若干古ぼけた4階建ての建物を見てそう言った。

 

「見た感じ………倒産して捨て置かれた、小さな株式会社の跡地ってトコか」

「どうでも良いが、跡地って呼べるのか?コレ」

 

 顎に手を当てて頷きながら呟く紅夜に、蓮斗は苦笑しながら言った。

 

「それもそうだが、この後はどうすんだ?」

 

 蓮斗がそう言うと、紅夜は一瞬蓮斗の方を向き、直ぐに建物の方へと視線を戻した。

 

「さぁな………あの建物の構造が分からんから、アッサムさんが何処に囚われてるのかも分からん」

「地図とか貰いに行くか?」

 

 蓮斗はそう言うが、紅夜は首を横に振った。

 

「時間が惜しい。それに、そもそもダージリンさんや他の奴等が、あの建物の地図を持ってるとも思えん」

「言われてみりゃ、確かにそうだな………それじゃあお前は、右も左も分からん状態で乗り込んでいくつもりだと?」

「そうするしかねぇだろ。お前にも一緒に来てもらうってのもあるが、陸王だけ残す訳にはいかねぇよ、パクられたら堪らんからな。コイツ古くてレアなヤツだし」

 

 そう言いながら、紅夜は陸王のハンドルを軽く叩いた。

 

「陸王パクる奴が居たら、お前ソッコーで潰しに掛かるだろうな………」

「そりゃそうだ………………さて、こうやって長々駄弁ってる暇もねぇんだっけな。ちょっくら行ってくる」

「あいよ。陸王の番は任せとけ」

「おう、頼んだぜ」

 

 紅夜はそう返すと、建物へと歩みより、正面にあった小さなドアの前に立つ。

 

「此処の鍵が開いてたら入れるんだが…………下手したら壁ブッ壊して入らなきゃならなくなるかもなぁ~」

 

 紅夜はそう言いながら、ドアノブに触れてゆっくり回す。

 するも、カチャリと音を立ててドアが開いた。

 

「おっ、鍵開いてたのか。壁ブッ壊す手間が省けたな」

 

 そう呟きながら、紅夜は建物に侵入していった。

 

 

 

 

 

 

「うへぇ~、暗ぇな此処は…………そりゃそうか、何せ昔潰れたって建物だし、今使ってんのはアッサムさん拉致ったバカ共だし」

 

 紅夜はポケットから取り出したスマホの灯りを頼りに、建物内を散策していた。

 元々何かの会社だったのか、机や椅子が置かれているのだが、規則正しく置かれているのではなく、あるものは倒され、あるものは脚が折れているなど、散々なものだった。

 

「おまけに、何か訳分からん書類もぶちまけられてるし…つーか、書類ぐらいは処分なり隠すなりしとけっつーの。企業の企画とか色々書かれてんだろうが……まぁ、もう潰れたから言っても仕方ねぇ事だが」

 

 やれやれと言わんばかりに首を振りながら歩いていると、奥から足音が聞こえてきた。

 

「(おっ、誰か来た。見回り的な感じの奴かな?)」

 

 そう憶測を立てた紅夜は、懐中電灯代わりに使っていたスマホをポケットにしまい、その場に立ち止まって足音の主が現れるのを待った。

 そして、不意に曲がり角から現れた懐中電灯の光が紅夜を照らし、それを持っていた男が紅夜に気づいた。

 かなりガタイは良く、紅夜よりも背が高い。

 何も知らない者に聞けば、間違いなく全員が、その男が強そうと言い出すだろう。

 

「おやおや、こんな時間に何の用かな?坊主」

 

 その男は、ニヤニヤと笑みを浮かべながら近づいてきた。

 

「此処に囚われてるっつー聖グロの人を助けに来たんだけど」

「………」

 

 紅夜は馬鹿正直にそう答える。

 男は目を丸くして、暫く紅夜を見つめ…………

 

「ギャハハハハハッ!!」

 

………大笑いした。

 

「助けるぅ?お前がかぁ?はっきり言って無理無理!女みてぇに細い体してるお前に、俺等を倒して聖グロの嬢ちゃんを助けられると?寝言は寝てから言うモンだぜぇ?」

 

 そう言いながら、男は紅夜の頭を荒めに小突く。

 

「まぁ、どーしても通りたいってんなら、俺を倒せたら行かせてやるよ…………まぁ、そうする間も無くお前は病院行きだがな!」

 

 下卑た笑みを浮かべてそう言いながら、男は紅夜に殴りかかろうとするが、紅夜は動く事無く言った。

 

「ちょっとムカついた」

「は?」

 

 紅夜は、間の抜けた声を出す男の腕を掴むと、軽く引っ張る。

 

「うおっと!?」

 

 突然引っ張られ、男がバランスを崩した瞬間、紅夜はその男の腹に拳を軽く押し付けると、そのまま方向転換して、粗方壊された机と椅子の山の方へと向くと、押し出すようにして男を殴り飛ばした。

 

「ぐぉぉおおおあっ!?」

 

 殴り飛ばされた男は、派手に音を立てて机と椅子の山へと突っ込んだ。

 

「女みたいだからって甘く見てんじゃねぇよ、カス」

 

 そう吐き捨てると、八つ当たりがてらに、その場に置いてあった机を持ち上げて、先程男が突っ込んだ机と椅子の山へと放り投げる。

 その机は派手に音を立てて、机と椅子の山に叩きつけられた。

 

「あっ、そういや彼奴、懐中電灯持ってた筈なんだが………おっ、あったあった」

 

 紅夜は落ちていた懐中電灯を拾い上げると、足元を照らしながら散策を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼等が例の建物に向かってから1時間……アッサムも、彼等も…大丈夫でしょうか…?」

 

 聖グロリアーナ女学院の一室にて、ダージリンはそう呟いた。

 その時は紅茶を飲む気にもなれず、彼女に出来る事と言えば、ただ、椅子に腰掛けて夜空を眺め、3人の無事を祈る事だけだった。

 そうしている間にも、最悪の状況が次々と頭の中に浮かんでくる。

 

――もし、紅夜達がアッサムを救出出来ず、不良集団に返り討ちにされていたら?――

――もし、アッサムが不良集団によって、既に再起不能にまで追い込まれていたら?――

 

 様々な最悪の状況が、頭に浮かんでは消えていく。

 

「(これでは駄目………向かってくださったのは紅夜さんなのですから………今は、彼等を信じないと………ッ!)」

 

 頭を激しく左右に振って、脳裏に浮かぶ最悪の状況を振り払い、ダージリンは椅子から立ち上がると、その部屋の大きな窓の前に立ち、胸の前で手を組んだ。

 

 彼等3人が、無事に帰ってきてくれるのを祈りながら………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か知らんが、ガラスの破片も落ちてやがるな………靴の裏に刺さらないようにしないと」

 

 床を照らす懐中電灯の光を反射して煌めくガラスの破片を踏まないように気を付けながら、紅夜は建物内を歩き回る。

 暫く散策を続けているが、彼は未だに1階から動いていない。

 

「クソッ、この建物まるで迷路だな。どっかに行こうとしても、必ず壁やら倒れた戸棚やらが邪魔してきやがる。それで何度迂回した事か…………」

 

 そう呟きながら歩いていくと、目の前に1つの戸棚が立ちはだかった。

 その戸棚は倒れかかっており、上手く紅夜の行く手を阻んでいる。

 

「チッ!コイツ等、行く先々で出てきやがって……邪魔なんだよ………オラァッ!」

 

 忌々しげに言いながら、紅夜はその戸棚を殴り飛ばした。

 力任せの殴打を受けた戸棚は、深い窪みを作って吹っ飛ばされ、さらに奥で壁に叩きつけられたのか、派手な音を立てる。

 

「やれやれ、また探索しなきゃなら………ん?」

 

 紅夜はそのまま通過しようとしたが、懐中電灯の光が、とある段差を照らしていた。

 上へ上へと向けていくと、その段差は続いている。紅夜は遂に、階段を発見したのだ!

 

「よぉ~し!階段さえ見つけりゃ此方のモンだ、後は一気に上がっていくだけだな!」

 

 紅夜はそう言うと、懐中電灯をポケットに突っ込んで階段を上がろうとしたが、懐中電灯の光が、階段の側で銀色に光る鉄の棒を照らした。

 

「コイツは…………バールか」

 

 一旦懐中電灯をポケットに突っ込み、バールを拾い上げて右手に構えると、軽く振り回してみる。

 

「ほぉ~。この長さと言い重さと言い、中々使いやすいな………………良し、コイツを得物に貰っていくか!」

 

 そうして紅夜は、今度こそ階段をかけ上がっていった。

 

「さぁて、何するつもりなのかは知らねぇが、取り敢えず人拉致った馬鹿共をぶちのめさねぇとなぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、建物の最上階――即ち4階――の大広間では、手足の拘束を解かれ、口に貼り付けられていたガムテープを剥がされたアッサムが連れてこられており、既に来ていた10人程の男達の前で、見せ物の如く立たされていた。

 

「“運命の場”へようこそ、聖グロの嬢ちゃん」

「…貴殿方に“ようこそ”などと言われる筋合いは無いのですが……」

 

 アッサムの前に立つリーダー格の男が言うと、彼女は目を細めてそう言い返した。

 

「おやおや、つれないねぇ」

 

 苦笑しながら言うと、男は手下と思わしき他の男達へと視線を移す。

 無言の命令を受けた男達はゾロゾロと歩き出し、アッサムを取り囲んだ。

 

「………………何の真似ですか?」

「こうでもしねぇと逃げられそうだからな」

 

 リーダー格の男は下卑た笑みを浮かべてそう答えた。

 

「さて、お前が何故此処に来ているのか…………分かるよなぁ?」

「…分かりませんね…………と言うより、分かりたくもありません」

 

 あくまでも、彼等に対して反抗的な態度を取るアッサム。

 そんなアッサムに男の1人が噛みつきそうになるも、傍に居た別の男に宥められ、何とか落ち着きを取り戻した。

 

「それにしても、こんな女1人に対して殿方10人なんて…………理不尽な事をして恥ずかしくないのですか?」

「何言ってんだ?こう言うのは何人もの男で回し犯すのが面白いんだろうが………特に、お前等聖グロの連中みたいなお嬢様タイプの女は、な」

「…………これ程までに最低な殿方、見た事がありませんね」

 

 アッサムがそう言うと、リーダー格の男は眉間に欠陥を浮き上がらせたが、それよりも早く、階段付近に立っていた男が動いた。

 

「テメェ………さっきから黙って聞いてりゃ良い気になりやがって!」

「ッ!きゃあ!?」

 

 その男はズカズカと足音を立ててアッサムの背後に立つと、彼女の髪を掴み上げ、乱暴に向きを変えて自分の方に向かせると、彼女の制服を鷲掴みにして左右に引っ張り、あろうことか、そのまま引きちぎる。

 上着としての機能を果たせなくなった青い服を投げ捨てると、今度は白いシャツを掴み、先程同様に引っ張る。

 ブチブチと音を立てて、シャツのボタンが外れ、弾け飛んでいく。そして終いには、彼女の紫色の下着が露になった。

 

「ッ!イヤッ!」

  

 アッサムは悲鳴を上げ、腕を交差させて下着を隠そうとするが、男が先回りするかの如くその両腕を掴んで上に上げ、素早く両手に掴み変えて拘束する。

 

「ヒュウッ♪おい、見たかよ?紫だぜ紫」

「聖グロの連中も、中々エロい下着着けてるじゃねぇか」

「うひょぉ~ッ!早くヤりてぇなぁ!」

「おい、どうせだからスカートもやろうぜ」

 

 そんな卑猥な会話を交わし、さらに3人の男がアッサムに近づき、スカートを下げようとする。

 アッサムは抵抗するものの、流石に男3人相手には分が悪く、そのまま脱がされてしまう。

 

「ほぉ~………見るからに良いカラダしてるじゃねぇかよ、嬢ちゃん」

「くっ…………!」

 

 リーダー格の男がそう言うと、アッサムは悔しげに歯軋りした。

 

「それにしても、下のフロアで見回りしてる連中、全く来ねぇなぁ………まぁ良いや。さて、それじゃ前菜も楽しんだところで、そろそろメインディッシュに移ろうか」

 

 リーダー格の男がそう言うと、他の男が数名程動いて奥に置かれてあった、折り畳まれたマットを移動させ、リーダー格の男の元に持ってくると、それを広げる。

 

「良し…………おい、連れてこい」

 

 そうして、アッサムの両手を拘束している男に無理矢理歩かされ、アッサムはマットへと連れていかれる。

 

「さぁ~て、さっきまでずっと反抗的だったお前は、どんな声でよがるのかなぁ~?」

 

 そう言いながら、リーダー格の男がアッサムの下着に手を伸ばした、その時だった。

 

「ぐぉぉおおおあっ!?」

『『『『『ッ!?』』』』』

 

 突然、下のフロアから男の悲鳴が響き、次の瞬間には、階段から吹っ飛んできた男が壁に叩きつけられ、そのまま倒れる。

 それを見た一行が沈黙していると、下のフロアから、恐らく誰かが階段を上っているのであろう、ツカツカと音が聞こえてくる。

 

 そして、先程の男を下のフロアから吹っ飛ばした人物が階段から現れると、アッサムを取り囲んでいた男達の目は驚愕に見開かれた。

 

 何故なら………………

 

 

「やれやれ、あの大馬鹿野郎。人が階段上ってる時に向かってきやがって…………落っこちたらどうしてくれるんだっつーの。ただでさえ、さっさと連中を潰したいってのに」

 

…………階段から上ってきた緑髪の青年――長門 紅夜――が、バールを肩に担ぎ、倒れ込んだ男を踏み抜きながら4階の大広間に入ってきたからである。

 

 そして、紅夜は周囲を軽く見渡すと、アッサム達が視界に入ったところで顔の動きを止める。

 彼の目に映るのは、下着姿にされたアッサムと、彼女を取り囲んでいる手下らしき男達。そして、アッサムを裸にしようとばかりに彼女の下着に手を伸ばしているリーダー格の男だった。

 

「………ククッ………There you are(見つけたぜ).」

 

 それを見た紅夜は、獲物を見つけた猛獣のように、狂気に満ちた笑みを浮かべた。 

 

 

 

 

 

 

 大洗最強の殺戮嵐(ジェノサイド)、此処に見参。

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