ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第1章~復活の初陣!VS大洗女子学園!~
第9話~戦前の誓いです!~


土曜日の朝、大洗学園戦車道チームは、格納庫の前に集められていた。

並んだ生徒達の前に、生徒会メンバーの3人と亜美が立つ。

 

「えー、休日なのに呼び出して申し訳ないが、今日は練習試合を行うことになった」

 

「え、ウソ?また?」

「昨日模擬戦やったばかりなのに、今日もやるんですか?」

 

桃からの突然の知らせに、生徒はざわめき出す。それを亜美が静め、桃が言葉を続けた。

 

「それで対戦相手だが、他校との試合ではない。同好会チームとの試合だ」

「どの同好会チームですか?」

 

小柄で無愛想な少女、冷泉 麻子(れいぜい まこ)を仲間に加えたAチームの優花里が聞く。

 

「よくぞ聞いてくれた。相手は元戦車道同好会チーム、《RED FLAG(レッド・フラッグ)》だ」

「ええ!?じゃあ、あの戦車は間違いなく!」

「うん、秋山ちゃんの言う戦車は、絶対レッド・フラッグの戦車だよ」

「おおーっ!まさか、あの伝説のチームと試合できるなんて、もう感激雨霰であります!」

 

優花里はレッド・フラッグと試合が出来るということに喜ぶが、他のメンバーは首を傾げるだけだった。

 

「レッド・フラッグって何?」

「そんなに有名なチームなの?」

「名前はカッコ良いけど、そんなチーム聞いたことないよ」

 

1年生チームからも、そんな声が漏れ出す。

 

「ねぇ優花里さん、レッド・フラッグって何ですか?」

 

そう華が訊ねると、優花里は目を輝かせて言った。

 

「戦車道同好会チーム、《RED FLAG》は、チーム名の通り、フラッグ車の旗の色が赤いことからその名前がついた、戦車道業界において、史上初の男女混合チームなんです!」

『『『『『ええっ!?』』』』』

 

『男女混合チーム』という言葉に、優花里、生徒会メンバーの3人、そして亜美以外の生徒達から、驚愕の声が上がる。

無理もない。何せ今や、『戦車道は女子のスポーツ』、『女子の嗜み』等という風潮が蔓延っているこのご時世、男女混合チームの存在など、本来なら有り得ない話なのだ。

それが存在すると聞かされたら、誰でも驚くものだ。

 

「試合形式だが、取り敢えずは戦力差をなくすため、フラッグ戦を予定している。因みにフラッグ車は、Ⅳ号Aチームだ」

「ええっ!?」

「いきなり大役を任されてしまいましたね……………」

「戦力差と言っても、相手戦車が分からなければ何とも言えんな………………」

 

そう麻子が呟くと、今度は杏が前に出て言った。

 

「えっとね、相手戦車は3輌で、使用戦車はIS-2とパンターA型、それからシャーマン・イージーエイト。それでフラッグ車は、恐らくIS-2だと思うよ。相手のリーダーの戦車だしね」

「す、凄い…………………そんな強力な戦車を持っているなんて…………」

「うん……………」

 

強力な戦車の名前が挙げられ、Aチームは怯むが、その時、杏のスマホが鳴った。

 

「あ、電話掛かってきた………………ちょっとゴメン」

 

そう言って、杏は通話ボタンを押した。

 

「はい、もしもし…………ああ、紅夜君じゃん!どったの?……………え?試合形式?ああ、それならフラッグ戦にしようと思ってんだけど……………え?試合はフラッグ戦じゃなくて殲滅戦にしてほしい?なんで?そっち結構不利になっちゃうよ?……………まあ、確かにそうだけど……………うん、分かった。んじゃあ、皆には私から伝えとくから、そっちも準備終わったら来てね~」

 

そう言って通話を切ると、杏はメンバーの方に向き直って言った。

 

「えー、向こう側の要望で、フラッグ戦は止めて、殲滅戦となりました~」

 

その言葉に、優花里が怪訝そうな表情を浮かべた。

 

「殲滅戦?それじゃあ、いくら強力な戦車を持っているとは言え、相手側はかなり不利になるのでは……………?」

「まあ、そうなんだけど、向こう側がそうしてほしいって言うもんでね~。まあ、ある意味ハンデみたいなもんかな?経験の差もあるしね。だって向こう、今までの試合数46試合中、42勝3敗1分けらしいし、それにその3敗1分けは最初の事で、残り42勝は連続。つまり42連勝してるって訳だよ」

「完全なベテランチームじゃない!そんな相手に勝てる訳無いじゃないのよォォォォオオオオオオオッ!!!!」

 

その校庭に、沙織の叫び声が響き渡ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

そして場所を移して、此処は山林の中にある、レッド・フラッグの戦車格納庫。

フェンダー部分に、レッド・フラッグのトレードマークである、風に靡く赤い旗が描かれた3輌の戦車が、朝日を浴びている其所では、レッド・フラッグのトレードマークである、風に靡く赤い旗が背中に描かれ、肩には、其々のチーム名のアルファベットの頭文字が書かれたパンツァージャケットを身に付けたチーム全員、14人が集まり、円陣を組んでいた。

「父なる神よ、栄光の日に感謝します。陸を駆けるなら陸の神の加護を、飛ぶ時は天使の加護をお願いします……………これまでの勝利が、全て神の計画であったものであると、自信はありますが………………力をお貸しください、勝利の神よ、そして、我等の視野と視力よ」

 

十字架の付けられたネックレスを身に付けた静馬が言う。

 

「我等のスピードとパワーをこの試合の勝利のために、イエスの名において祈ると共に、全力を出すことを此処に誓います。Amen」

『『『『『Amen』』』』』

 

静馬の一言に続き、他のメンバーも一斉に言う。

そして次に、紅夜が声を上げた。

 

「Nothing's difficult(困難は無い)!」

『『『『『Everything's a challenge(全てが挑戦)!』』』』』

「Through adversity(困難を乗り越え)………………」

『『『『『To the stars(空へ飛び立て)!!』』』』』

「From the last tank,to the last bullet,to the last minute,to the last one,We fight(最後の1輌、最後の1弾、最後の瞬間、最後の1人になるまで、我々は戦う)!」

『『『『『We fight!』』』』』

「We fight!!」

『『『『『We fight!!』』』』』

「We fight!!!」

『『『『『We fight!!!』』』』』

 

そうして、彼等は円陣を解き、其々の乗る戦車へと近づいていった。

IS-2のフェンダーに軽く触れた紅夜は、気合いを入れるかのように自分の頬を両手で叩き、メンバーへと檄を飛ばした。

「よっしゃあ!何かなし崩し的にやることになった試合だが、思いっきり暴れるぞ!!テメェ等準備は良いか!?」

『『『『『Yes,sir!!』』』』』

 

そうして、チーム全員が戦車に乗り込む。

操縦手や砲手、通信手や副操縦手等、其々の役割を果たす者達次々と乗り込やでいき、最後に車長が乗り込む。

 

「此方、チーム《Lightning(ライトニング)》、チーム《Ray Gun(レイガン)》、応答願う」

 

無線機を手に取った紅夜が言うと、自信に溢れた静馬の声が聞こえた。

 

「此方、チーム《Ray Gun》、何時でも行けるわよ」

「チーム《Smokey(スモーキー)》、ソッチはどうだ?」

 

そう言うと、無線から大河の余裕そうな声が聞こえた。

 

「勿論元気だぜ、ライトニング。皆やる気に満ち溢れてるよ。んで、肝心のソッチは?」

「愚問だな。全員ヤル気満々だぜ」

 

大河からの問いに、紅夜は不敵な笑みを浮かべて返事を返す。

そうして、紅夜は合図用のピストルを取り出す。

 

「さあ、出発だ!」

 

そうして1発、空に向かって撃つ。

『『うおっしゃあ!』』

 

其々のチームの操縦手達が、威勢良く戦車のイグニッションを入れ、3輌の戦車が、マフラーから白い煙を上げながら、そのエンジン音を辺りに響かせる。

 

「Halleluja(ハレルヤ)!聖者の行進だ!」

 

そうして、もう1発を空に向かって撃つ。

 

そして、其々のチームの操縦手達が、一斉にギアを入れ、アクセルペダルを踏み込む。

3輌の戦車は格納庫前を出発し、横隊から縦隊へと隊列を変え、勇ましく山林の道を駆け下り、大洗学園のグラウンドを目指して突進していった。

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