ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第141話~盛り上がる隠し芸大会、前編です!~

 大洗学園艦が寄港し、その港付近にある宴会場にて開催された祝賀会。

 紅夜と静馬の間で微妙な雰囲気が流れながらも、各チーム対抗の隠し芸大会が開催される。

 優勝チームには、10万円相当の何かが贈られると言うのもあり、盛り上がりを見せる各チームのメンバー達。

 其々が1位の商品に思いを馳せる中、チーム対抗隠し芸大会の幕が上がるのであった。

 

 

 

 

 

 

「トップバッターは、風紀を取り締まれば大洗一!厳しさの中に厳しさが滲む!地震雷火事風紀委員、カモさんチームです!」

「(おいおい、其処まで言うか?いや、一応本当の事なんだろうが…………)」

 

 風紀委員の厳しさをごり押しとばかりに強調するような紹介に苦笑を浮かべる紅夜を他所に、垂れ幕が上がる。

 すると、舞台中央で三味線を弾くみどり子と、その両サイドでクラシックギターを弾いているゴモヨとパゾ美が現れた。

  

「ほぉ~、園さんって三味線弾けるんだな。今度教えてもらおうかな」

「ん?達哉、お前三味線に興味あったのか?何か意外だな」

「まぁ、ちょっとな」

 

 風紀委員3人の演奏を聞きながら呟いた達哉に紅夜が訊ねると、達哉は少し照れ臭そうに頬を掻きながら答えた。

 そうしている内に演奏が終わり、彼女等の芸が披露された。

 

「それでは、ご覧にいれましょう!“奇妙奇天裂摩訶不思議”!」

 

 みどり子がそう言うと、ゴモヨとパゾ美はみどり子の背後に隠れる。

 

「先ず最初に、分身の術!」

 

 すると、みどり子の両サイドから、先程隠れた2人がひょっこりと顔を出す。

 

『『『『『『『『…………』』』』』』』』

 

 だが、メンバーからの反応は全く無い。

 

「次に、瞬間移動!」

 

 そう言うと、パゾ美は置かれていた台車の影に隠れる。

 

「『消えた!?』……と思ったら………………あんな所に!」

 

 みどり子がそう言うと、仰向けになったゴモヨがテーブルの下から顔を出し、ギターを鳴らす。

 

「あ、出てきた」

 

 それに興味を示したのは、黒姫だけだった。

 

 その後、ゴモヨは舞台に戻り、既に寝転がっていたパゾ美の上に重なるようにして寝転がる。

 

「幽体離脱~」

 

 そう言うと、ゴモヨは上体を起こす。

 姿が似ているからこそ出来る芸だが、最後までメンバーの反応は、『無』の一言に尽きるのは言うまでもないだろう。

 

「それでは皆さん!」

「「「さ~よ~う~な~ら~~♪」」」

 

 最後は3人同時に別れの挨拶をして、カモさんチームの芸は終わり、垂れ幕が下がった。

 

「それでは次に移ります!」

 

 柚子がそう言うと、再び暗転して垂れ幕にスポットライトが当てられた。

 

「汗はオイル、心はエンジン!カーブでもアクセルは緩めない!トップスピードで人生を駆け抜ける自動車部こと、レオポンチームです!」

 

 自動車部のメンバーをそのまま体現したような紹介を終え、再び垂れ幕が上がる。

 すると、其々の衣装に着替えたレオポンチームのメンバーが、ポーズを決めた状態で姿を現した。

 

「「「「It's show time!」」」」

 

 4人の掛け声と共に、レオポンチームの芸が始まった。

 どうやら手品らしく、ホシノは両手から花を、ツチヤは帽子から白い鳩を出してみせた。

 

「オーッ!」

「凄いです……!」

「コイツは凄いな」

「こんな手品、テレビとかでしか見られないと思ってた」

 

 かなり受けは良く、メンバーも感心した様子だ。

 

「では、最後の大技をお見せしましょう!」

 

 ナカジマがそう言うと、舞台にリフトのギミックでも付けられているのか、アヒルチームの八九式が競り上がってきた。

 

「あーっ!?」

「私達の八九式が!」

「い、何時の間に!?」

 

 突然自分達の愛車が現れた事に、動揺するアヒルチームのメンバー達。

 そんな彼女等を他所に、レオポンチームの大技が披露された。

 

「此処にあります八九式を、見事他の戦車に変身させて見せましょう!」

 

 すると、レオポンチームの面々と八九式を隠すように、白いボードがまたしても競り上がってくる。

 そのボードの後ろから、ドラムロールと共に改造しているのを思わせるような音が聞こえてくる。

 

「うわ~っ!?何て事するのよ~!?」

「私達の八九式~!」

 

 他の面々が緊張した面持ちで見守る中、アヒルチームのメンバーからはブーイングが飛ぶ。

 だが、どうやら時間通りには進まなかったらしく、ドラムロールが終わってもボードは消えない。

 

「あ、ちょっと待っててね」

 

 ボードから顔を覗かせたスズキがそう言って、ボードの向こうに戻っていく。

 そして作業は終わったらしく、ボードが撤去された。

 そして現れたのは、何とレオポンチームの愛車、ポルシェティーガーだったのだ!

 

「凄い!」

「ポルシェティーガーですよアレ!」

「何なのこれ!まさかイリュージョン!?」

 

 あんこうチームでそんな感想が飛び、他の面々も目を輝かせていた。

 これが本当なら、自分達は無料(タダ)でマジックショーを見れたと言う事に……

 

「ふざけんな~!」

「私達の八九式に何すんのよ~!?」

「返せ~!」

「私達の八九式を返せ~!」

 

………なるのだが、アヒルチームからのブーイングの嵐は治まらない。

 

 流石にここまでされては堪らなかったのか、ネタばらしが行われた。

 前に出てきたナカジマ以外の3人が、ポルシェティーガーの両サイドに分かれると、其々逆方向に引っ張る。

 そう。これはイリュージョンでもなく、ただ張りぼてを八九式の前に置いただけなのだ。

 

『『『『『『『『あ~あ………』』』』』』』』

 

 夢を潰されたと言わんばかりに、メンバーから溜め息が漏れ出す。

 

「え、なんでそんな残念そうな声出すの!?」

「ウチの八九式をバカにするな~!」

 

 そんな事もあり、垂れ幕も急ぎめに下ろされた。

 

「は、はい!それでは、3番目のチームの登場です!」

 

 若干焦りの色を見せながら柚子が言うと、暗転して垂れ幕にスポットライトが当てられた。

 

「2次元の戦いに命を燃やし、クリック、エンター、キー操作!指の動きは天下一品!アリクイチームの皆さんです!」

 

 その声と共に垂れ幕が上がり、横1列に並んだアリクイチームのメンバーが姿を現した。

 彼女等の出し物は………………『カエルの歌』だった。

 幼稚園や小学校の音楽では、誰もが経験するであろう、『カエルの歌』、しかも輪唱。

 それを延々繰り返すつもりのようだ。

 

「え、これだけ?」

「これだけみたいだねぇ………」

「え~………?」

 

 ただ歌っているだけの3人に、1年生達は酷く不満げだ。

 

「誰か止めてよ」

「もう良いよ~」

「終わり~!」

「退場!」

 

 アリクイチームの出し物は、ほんの数秒で強制終了となった。

 

「それでは4番手!『出来ない~!』『無理~!』『分からない~!』。年下だから許される!?若いは正義も今の内!1年生ウサギチームです!」

 

 垂れ幕が上がると、舞台上には、何時の間にか体操服に着替えたウサギチームの面々が立っていた。

 

 車長であるが故か、梓はホイッスルで合図を送り、宛ら運動会での組立体操のように、2人1組でのサボテン、6人が横1列に並んでの扇を披露する。

 

「お~、やるなぁ~」

「あんなの見るのは小学校以来だな。俺等は身長高かったから、ピラミッドとかでも土台部分やらされたけど」

 

 紅夜と達哉が、1年生達の演技を見ながら当時の事を思い出し、懐かしむ。

 

「頑張れ~、頑張れ~」

 

 そんな彼等とは違って、沙織は何故かハラハラしたような面持ちで成り行きを見守る。

 

「イェーイ!戦車やれ~!戦車~!」

 

 そんな傍らで、何故か酔っている優花里が無茶を言い出し、それを見たみほや華の表情はひきつっていた。

 

 そうこうしている内に、最後の大技なのであろう、ピラミッドが完成した。

 

「うわ~っ!やったやった~!」

「沙織さん、お行儀悪いですよ」

 

 1年生達の演技が成功して嬉しいのか、思わず立ち上がり、拍手しながら跳び跳ねる沙織を華がたしなめた。

 

「フフッ♪」

「つまらん」

「まぁまぁ、可愛いから良いじゃないの~」

 

 微笑ましそうに笑う柚子の隣で無表情のまま呟く桃だが、その隣に居る杏も、柚子と同じように微笑んでいた。

 

「さぁ!大洗チームでの隠し芸の披露も、折り返し地点に差し掛かりました!次はどのチームが披露するのでしょうか!」

 

 柚子が言うと、再び暗転する広間。そして、下がった垂れ幕にスポットライトが当てられると、また言うのだ。

 

「さぁ、お次は5番手です!」

 

 

 祝賀会は、未々続く。

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