ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第11話~試合です!~

遂に、大洗女子学園戦車道チームVSレッド・フラッグでの親善試合が始まった。

 

どういう訳か、指定の位置が格納庫前だと言われたレッド・フラッグのチームは、試合開始の合図と共に飛び出し、高速でありながらも乱すことなく組まれたパンツァーカイルで、グラウンドから山林地帯へと突入していった。

 

そこからは1列になり、道に沿って進んでいた。

IS-2のキューポラハッチから外を見回している紅夜が無線を繋げた。

 

「敵戦車は見えるか?」

『いや…………今のところは見えねえな、俺等が山林に突っ込んだ時に奇襲してくるかと思ったが、拍子抜けだよ』

『スモーキー、流石にそれは無理があると思うわよ?試合始まって早々鉢合わせするような位置には行かせない筈だもの』

 

静馬の発言は、尤もなことだった。それに紅夜は頷いて、無線での言葉を続けた。

 

「なら、もう少し後だな。スモーキー、お前等は最後尾を走ってるから、後ろからの攻撃には十分に気を付けろよ?」

『りょーかいだ、ライトニング』

『じゃあ、左右の警戒は私達がやるわ』

「頼むぜ、レイガン」

 

そうして通信を終えると、彼等は其々決めた方位へと警戒心を向けた。

全員が双眼鏡を取り出し、周囲を見渡す。

 

「それにしても、試合なんてホントに久し振りだな。最後に試合した相手は確か…………黒森峰だったかな………3対3でもかなりキツかったなぁ………………まあ勝ったけど、アレからあの2人はどうしてるかねぇ………」

 

紅夜は双眼鏡で周囲を見渡しながら、レッド・フラッグ最後の試合で黒森峰と当たった際、自車の砲撃で炎上した相手の戦車に1人取り残された乗員を助けたことを思い出していた。

 

「そういやその人、何処と無く西住さんに似てたような…………………気のせいかな」

 

そう思っていると、突然左方向から飛んできた砲弾が、IS-2の装甲に被弾した。

 

「ウワッ!?誰がやりやがった!?」

紅夜はそう言いながら、双眼鏡で砲弾が飛んできた方向を睨み付ける。

 

「野郎!八九か!」

 

そう紅夜が呟くや否や、八九式戦車は向きを変え、彼等とは擦れ違う形で離脱しようとする。

「スモーキー!9時方向に砲塔を向けろ!八九式だ、やれ!」

「Yes,sir!」

 

そうして、大河が車長を務める戦車、シャーマン・イージーエイトが、砲塔を真横へと向ける。

 

「よっしゃ見えたぞ、撃てぇ!」

 

その瞬間、長砲身の先端にマズルブレーキのついた主砲から、爆音と共に砲弾が撃ち出される。

それは八九式のエンジン部分の真横に命中し、八九式はエンジンから黒い煙を上げる。

そして、行動不能を示す白旗が上がった。

 

《八九式、Bチーム、行動不能!》

 

亜美からの通信が、全車両に入る。

 

「おっし、次行くぞ次!」

 

それから、3輌は少し速度を落とした状態で進んでいったが、他の戦車に会うことはなかった。

 

「中々敵に会わねえな…………あの八九式、もしかして偵察用か?」

 

そう呟きながら、紅夜は双眼鏡での警戒を続ける。

 

やがて彼等は、開けた所に出てきていた。其所は先程、彼等が突っ切った橋だった。

 

「その辺に隠れているかもしれん。向こうにはⅢ突も居たから、待ち伏せしてるかもしれねぇ、気を付けろ!」

 

そう言った矢先の事だった。

 

『被弾!言われたそばから喰らった!』

 

スモーキーから、撃たれたとの通信が入った。

 

「損害は!?」

『左の転輪吹っ飛ばされただけだ。動けねえが、まだやれるぜ!』

 

無線機から、元気そうな声が飛ぶ。その時、茂みが大きく揺れ、其処からジャーマングレーの38tが飛び出してきた。

 

「クソッ!これを狙ってやがったか!レイガン、スモーキーを援護しろ!」

『了解!光線銃(レイガン)を喰らわせてやるわ!』

 

そうしてパンターA型が、シャーマンの前に立ち塞がろうとするが、それよりも早く、38tからの砲弾が放たれた。

 

「スモーキー、踏ん張れ!」

 

紅夜は無線に向かって叫ぶ。

だがその砲弾は、シャーマンにもパンターにも当たらず、別の方へと飛んでいった。

 

『アッハッハ!こりゃ驚いたね!彼奴等外しやがったよ、俺等には当たってねえぜ!Whooo!』

 

そう大河の声が無線越しに聞こえた瞬間…………

 

「和美!あのチビッ子を吹き飛ばしなさい!」

 

静馬がそう叫ぶと、パンターから75mm弾が放たれ、38tの正面に直撃、白旗が上がった。

 

「ああやって来るとなると、他の連中もどっかで待ち伏せしてやがるだろうな…………全車両、茂みに向けて機銃掃射だ、隠れてる連中をいぶり出してやれ」

 

そう紅夜が言った途端、3輌の戦車から立て続けに、機銃の弾が撃ち出され始めた。

 

シャーマンも、砲塔を茂みへと向け、主砲の直ぐ横にある機銃を乱射する。

 

『『『キャアアアアアアアッ!!?』』』

 

何やら悲鳴が聞こえたかと思うと、M3リーが茂みから飛び出してきた。

 

「戦車は違うが、さっきのお返しだ!喰らえ!」

 

そうしてシャーマンから砲弾が放たれ、M3リーの走行車輪と前の案内輪を吹き飛ばした。

走行中にバランスを崩したM3は、そのまま履帯が外れていくのも構わず逃げようとし、履帯が外れた片側がズボズボと地面に埋まっていき、遂にはエンジンに負担をかけ過ぎたのか、エンジンから黒い煙を上げ、白旗が上がった。

 

「Ⅲ突だ、撃て!」

 

ちょうどライトニングの方も、Ⅲ号突撃砲の撃破に成功していた。

 

だが…………

 

突然放たれた1発の砲弾が、シャーマンのエンジン部分に被弾し、シャーマンから白旗が上がった。

 

『ワリィ紅夜、やられた』

「それは別に良いさ、怪我は?」

『全員無事だ。仇討ち頼むぜ?』

「仇討ちって、んな大袈裟な…………まあ、仕返しはキッチリやらせてもらうさ」

 

そうしていると、茂みからⅣ号D型が出てきた。

 

「彼奴等、どっから出てきやがった?」

 

そうしているうちにも、Ⅳ号からの砲撃が始まった。

 

「レイガン、Ⅳ号の足回りを吹っ飛ばしてやれ」

『了解!』

 

そして、後退していくIS-2の前にパンターが躍り出ると、Ⅳ号の右の走行車輪目掛けて75mm弾を撃った。

だが1発目は外れ、Ⅳ号の直ぐ横に被弾し、その衝撃でⅣ号の車体が激しく揺れる。

すかさずⅣ号は反撃に出るが、頑丈な正面装甲を持つパンターを正面から撃破するには火力が足りない。

 

「機銃掃射!」

 

静馬が叫ぶと、2ヶ所の銃座から機銃の嵐が、真っ正面から降り注ぐ。

相手のⅣ号は避けようとしたのか、少し後退すると、突然ギアを入れ換えたのか、猛スピードで突撃してきた。

 

「なっ!?」

 

静馬は突然の行動に驚きながら、操縦手の雅にパンターを後退させるように指示を出す。

 

履帯を破壊して動きを封じようとしているのか、Ⅳ号から砲弾や機銃の嵐が降り注ぐ。

 

「くっ!こうなるとは予想外ね…………ライトニング、援護頼むわ!」

『あいよ!じゃあ合図で横に逃げろ!今Ⅳ号と正面から向き合うように突撃してる!』

「了解!頼んだわよ!」

 

そうして、静馬は紅夜に言われたことを伝え、後ろを見る。

確かに、それなりに離れた所からIS-2が物凄い勢いで向かってきている。

そして、それなりに近づいてきた時………………ッ!

 

「静馬、避けろ!」

「ッ!雅!右に避けなさい!!紅夜達に道を空けて!」

「あい……よっと!」

 

紅夜の叫び声を聞き取った静馬が操縦手である雅に命じ、パンターは激しく車体を揺らしながら、右へと曲がる。

 

Ⅳ号の方は、パンターが道を空けた事によって、突然視界に現れたIS-2に驚いたのか、主砲を撃った後に急ブレーキをかけてしまう。

 

それよって、砲弾の弾道は下に向かい、IS-のシャーシ部分の装甲に当たり、弾かれる。

 

その間髪を入れずして………………

 

「Feuer!!」

 

紅夜の合図によって、IS-2の122mm砲弾が爆音と煙と共に放たれ、Ⅳ号の正面装甲に命中。

有効と判断され、Ⅳ号からも白旗が上がった。

 

《大洗女子学園戦車道チーム、全車5輌中、Aチーム・Ⅳ号D型、Bチーム・八九式、Cチーム・Ⅲ号突撃砲、Dチーム・M3、Eチーム・38t………何れも行動不能。《RED FLAG》、全車3輌中、シャーマン・イージーエイトが行動不能。よってこの勝負、《RED FLAG》の勝利!》

 

そして、レッド・フラッグ久々の試合の勝利の知らせが、亜美からの通信によって知らされるのであった。

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